サイアミディン

治療の選択肢を与え続ける

新しい病院に移って湿潤療法を行う機会がかなり増えてきました。

ただいわゆる急性期病院ではないので、外傷したばかりの人がそのまま受診するというケースは少なくて、

他所の急性期病院で従来治療を受けた患者さんがリハビリ目的で当院へ転院して来て、傷の治療を同時に引き継ぐという形で診る機会が多いです。

十数例の症例を診てきて、前医が行っている創傷治療で湿潤療法を取り入れているケースは残念ながら皆無です。

中にはすでに植皮が行われているケースがあり、網目状の跡が創面に色濃く残っているケースも見受けられます。

湿潤療法でリカバーできる場合はまだいいですが、植皮後の傷はその後どれだけ湿潤療法を完璧に行ってもきれいに治らない事を私は知っているので、

その傷の治療を引き継ぐ時には何とも言えない無念の想いが致します。

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不完全な湿潤療法

現在私は今いる病院で糖質制限や湿潤療法の普及に努めています。

先駆者の夏井先生の御尽力のおかげで、少なくとも私の周りでは湿潤療法という言葉を聞いたことがないという方は大分少なくなっている印象です。

その一方で湿潤療法の理解が中途半端で、不完全な湿潤療法を行ってしまっているケースも思いのほか多いようです。

中でも一番多いのは湿潤環境を保てど、有害な外用剤を一緒に使ってしまっているケースです。

具体的には、ゲーベン、アクトシン、イソジンシュガー、カデックス、ソフラチュール、ユーパスタ、フィブラストスプレーなどの外用剤です。

せっかく湿潤環境を保つ被覆材を使用していても、そうした有害な外用剤を使うのであればその効果は差し引きゼロになる可能性があります。

おそらく、何も塗らないと感染するのではないかという医療者に何となくある不安が、そうした状況を作りだすのではないかと思います。

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シンプルな治療、それでも治る

新しい病院での褥瘡回診を担当させて頂く事になりました。

10年前に私が院内に広めた褥瘡のラップ療法が今でもきちんと行われており、

褥瘡の処置に関しては近隣の病院と比べて定評がある状態になっているそうです。

褥瘡回診に際しては、夏井先生がおそらく世界一シンプルな褥瘡治療のフローチャートを作っておられたのでそちらを参考にさせて頂きました。

外用剤はワセリン以外一切使わない。発赤のみの褥瘡ならフィルム剤、黒色壊死/高度発赤がなければ穴あきポリエチレン袋+紙おむつ、通称「穴ポリ」を当てる。

当院では「穴ポリ」を看護師さんが自ら作ってくれる文化が根付いており、処置の体制は万全です。

そして黒色壊死/高度発赤があれば、それは感染が疑われる状況なので、デブリドマン/ドレナージを行う。これくらいの事であれば内科医の私でも行うことができます。

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治療の主導権を患者へ渡す

私は主として神経内科医として働いてきましたので、

今まで怪我の患者さんを診る機会はあまりありませんでした。

しかし私は湿潤療法の開祖、夏井先生を師と仰ぎ、糖質制限も夏井先生から教えてもらった身です。

忘れた頃にやってくる外傷患者さんの診療には湿潤療法を試さんと日頃より機会をうかがっている所です。

そんな中、前任の病院の最後の当直で、30代の指の先端を切断されたという患者さんがやってきました。

湿潤療法を知らなければ、慌てて外科の先生を呼ぶくらいの対応しかできなかったかもしれませんが、

そこは湿潤療法を知っている者としてまずは冷静に創を観察するところから対応してみる事にしました。

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夏井先生外来見学体験記

ちょうど3年前の今と同じ頃、

私は湿潤療法の実際を知るべく夏井睦先生の外来を見学させて頂きました。

今にして思えばその時の経験が、その後の自分の生き方を大きく変えました。

私は夏井先生の診療を診て、その考え方を知り、自分にもできる事があるかもしれないと思い立ち、このブログを開設したのでした。

ブログを始めた事により、私の糖質制限への理解も高まり、何より生きる喜びを得ることができました。

私にとって夏井先生は人生の恩人であり、生き方のヒントを教えて頂いた師匠です。

ただ3年前はまだこのブログが始まっておらず、その時感じた生の感情の記録は残しておりませんでした。

今回病院の盆休みを利用して、私の新しい人生の原点を再確認すべく、改めて外来を見学させて頂きました。

感じたことを今回こそは記録に残しておこうと思います。

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シャンプーレスと糖質制限

糖質制限に遅れる事数か月の時期に,

一緒に始めたのが,シャワーの時にシャンプーを使わない「シャンプーレス」です.

これは湿潤療法の夏井先生のサイトで紹介されていたのですが,

一般に売られているシャンプーにはおしなべて界面活性剤が含まれているので,

頭皮の皮脂を根こそぎ持っていかれてしまうため,返って頭皮によくないというのです.

理屈ではわかっても,今までシャンプーをずっと使っていた人間が,まったくシャンプーをせずに過ごすというのは初めて聞く人は抵抗あるかもしれませんが,

これがまた,シャンプーなしの方が髪の触り心地がよくなるのです.

今や私は,シャンプーをしない事が当たり前の生活になっています.

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湿潤療法公開実験結果

湿潤療法人体実験のその後の経過です.

いやぁ,実際にやってみるとこういう実験って難しいものです.

というのも膝はやはりよく動く場所なので,しっかり固定したつもりでも被覆財がずれてしまうのです.

せっかく二つに分けて固定したのに,すべてはがれてせっかくの湿潤療法部位もそのまま乾燥させる形になってしまいました.

受傷は12月1日14時頃で,まず以下は12月3日朝の傷の状態です.



また今度は上半分にプラスモイスト,下半分をアット〇ン軟膏を塗布しました.やはりアット〇ン塗布部は後からじわじわチクチクする感じが襲ってきます.

今度はずれないようにテープの固定の上からさらにフィルムドレッシング剤で固定を補強しました.




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湿潤療法の人体実験

昨日フットサルをする機会がありました。

久しぶりの競技スポーツだったので、念入りに準備運動をして楽しみました。

ただやっぱり慣れない動きをしたせいか、膝をすりむいてしまいました。

まぁでもそこは湿潤療法の知識がある私、いつものようにあらかじめ購入しておいたプラスモイストで事なきを得ようかと思っていたのですが、

ブログをやっているのでふと思いつきました。

「せっかくであれば擦り傷の治療経過を情報共有してみよう。またどうせなら有害軟膏の人体実験までしてしまおう」

というわけで公開実験のはじまりです。

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苦い経験

医師3年目、町の小さな病院で後期研修医として内科を中心に診療に携わっていた頃の話です。

その時私は当時の院長のご理解の下、褥創のラップ療法湿潤療法を実践することを許されていました。

その時に出会った一人の患者さんの事が私は今でも忘れられません。

70代の男性でした。頑固な方で糖尿病を持っており長年その病院で療養されているような方でした。

ある時、内側の踵(内果)に傷を作られてそれがなかなか治らないということで湿潤療法で治療してみようということにしました。

穴あきポリエチレン袋と紙オムツを組み合わせた創部を湿潤環境に保ち、なおかつ滲出液(傷から出てくるいわゆる「ジクジクした液体」)も適度に吸収できる自作の被覆剤を患部に当て、それを毎日交換するというようなことをひたすら続けていました。

湿潤療法に切り替えたことで傷の痛みはかなり軽減しました。しかし待てど暮らせど傷がなかなか閉じてきません。

そんな状況が続いていたある日、その患者さんにこう言われました。

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ラップ療法との出会い

私は2005年に医師免許を取得した医師です.

医師免許を取得した瞬間から正式に医師となるわけですが,免許取り立ての医師は「研修医」と呼ばれます.

年配の方にとっては「インターン」という方が通りが良いようですが,

インターンは1960年代頃まで医師免許を取る前の修行期間として存在していた,1年程度学生でもない医師でもない中途半端な身分の存在でした.

しかしこのインターンは給与の保証もまったくなく,いわゆる無給労働を強いられていたので,学生側から強い反対運動が起こり,1968年にインターン廃止を定めるよう医師法が改正されました.

法改正により医師免許取得後に2年以上の臨床研修を行うことが義務付けられ,その期間はインターンではなく「研修医」として医師として身分が保障されることになりました.

ところが,それでも依然として労働面や給与面での処遇には問題も多かったようです.

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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