サイアミディン

限られた環境で最善を考える

私はこれまでの医師人生の中で、

救急車を受け入れたり、様々な検査機器が整備されているいわゆる「大きな病院」で働いていたことの方が多かったです。

「大きな病院」にいれば、患者さんの急変があっても、

診察の後、必要な緊急検査を行い、病態に応じた適切な処置が行いやすい状況にあります。

ところが今いる「小さな病院」では、院内で十分な検査ができません。行える処置も限られています。

そうすると限られた検査と限られた処置で対応するためには、問診と診察という身一つで行える技術を磨くことが不可欠です。

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糖尿病患者に糖質制限指導をすべきでない時

重度の糖尿病があり重度の認知症がある高齢患者さんを入院で担当しました。

私の病院では栄養士さんに掛け合った結果、

糖尿病患者さんには、糖質20%代までの糖質制限食を提供できる体制になりました。

この患者さんにも当院で実施可能な最大限の糖質制限食を勧めるべく、

初回診察の際に念入りに糖質制限の理論を説明しました。

患者さん御本人は認知症があり到底理解できる状況ではなかったので、

配偶者の方を中心に御家族へ糖質制限食の導入に理解を求め、御了解を頂きました。

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一見伝わったようであっても

私が担当する入院患者さんには、院内の栄養士さんの協力を得て、

主食を半量にして、副食を増量した「半糖質制限食」という食事を基本的に全員におすすめしています。

理由はリハビリ目的で他院から紹介で来られる患者さんが多いということもあって、

リハビリにおける高蛋白食の重要性が指摘されてきているからというのが一つ、

もう一つは、糖質量を抑えることで減薬を行いやすくしたいからです。

例えば、糖質頻回過剰摂取に伴う高インスリン血症は、原因不明の高血圧の原因になっていたりします。

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治すだけが治療ではない

私は神経内科医として進行期パーキンソン病の患者さんを診る機会があります。

とあるパーキンソン病患者さんはベッド上でずっと寝たきりで、

常に無表情で口を開いたままいびき様の痰が絡むような呼吸をしています。

何をするにも意欲や覇気は感じられず、まともに意志表示もできない、ベッド上なされるがままの状態です。

口をずっと開けたままにしているので、口腔内は乾燥し外来異物や細菌が侵入しやすい状況で、

唾液も誤嚥してしまいいつも吸痰が欠かせず、それでもしょっちゅう微熱を繰り返しています。

せめて少しでも病状がよくなるように、こういう患者さんに私は鼻呼吸と深呼吸をことある毎に指導するのですが、

やってくれるのは一瞬だけ、少し目を離すと再び大きな口を開けての口呼吸に逆戻りです。

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やるべきことをやっていればよい

時々看護師さんから患者さんの血圧が高いという事で相談を受けることがあります。

医学的には高血圧緊急症という、放置していると意識障害をきたしたり、腎機能が急速に悪化していく病態が知られているからです。

ただそれは言わば血圧管理システムのオーバーヒート状態であって、よほどでないと起こりません。

多くの場合は、症状は何もないけど血圧が高いというような状態です。

例えば、ある患者さんの血圧が180~190mmHgであったりする場合に、看護師さんやリハビリの療法士さん達から「このまま様子を見ていていいのか」「このままリハビリを続けていいのか」などと不安気に聞かれる事があります。

そういう場合の私の基本的方針は「やるべきことをやっていれば経過観察」です。

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主導権を取り戻せ

とある自己免疫疾患の患者さんに糖質制限指導を行っています。

その方は別の専門医にステロイドを中心とした処方を受けているので、薬剤調整を私が直接できるわけではありません。

なので作戦としては、まずはとにかくしっかりと糖質制限を行うことで体調やデータを改善させていき、

その上で処方をしている主治医と相談して、ステロイドの減量について相談して徐々に減薬を目指すようにとアドバイスしています。

ところがその患者さんは糖質制限ができているにも関わらず、結局ステロイドの減薬を主治医に相談できずに、

どうも言われるがままにそのままの量のステロイドを飲み続けてしまっているようです。

なぜステロイドの減量を相談しないのか?と尋ねた所、「相談しにくいから」と患者さんは言うのです。

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害を与えない治療による最期

この感じた気持ちを忘れないうちに書き記しておきましょう。

末期の膵臓癌の患者さんで重症の脳梗塞を起こした方を入院で受け持ちました。

進行がんがあると時折血液を固める成分に異常が生じ、脳梗塞を合併する事があるのです。

画像検査では膵臓を大きく占拠するその病変は周囲の組織を破壊して強い炎症反応を起こしてしまっており、

何か食事を無理にでも入れてしまえば消化液が分泌されて、そのせいで自分の組織が融解して炎症が増悪してしまう状況でした。

肝臓にも転移が多発しており、CA19-9という腫瘍マーカーも基準値が37U/ml未満の所、300000U/mlと振り切れた数値を示しているような状況でした。

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食べなくても便は出る

糖尿病がある方で、糖質制限を指導しても、漢方を駆使しても、

眠れない、身体がだるい、足がしびれる、などといった症状を言い続ける70代の患者さんがいました。

糖質制限指導もHbA1c 6.5%程度とある程度の所まではうまく行くのですが、

完全にはよくなり切らないという事で、実は常食していた果物の摂取を控えるよう追加指導したり、

自律神経を整える漢方を2,3種類くらいとっかえひっかえ使用してみたりもしましたが、一向に症状が改善しません。

そうこうしていたらその患者さん、お腹が痛いという訴えで別の内科を受診され、

高度の便秘になっているという事が判明し、大腸癌などがないか検査入院されるという話になっていました。

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めでたいこともストレスになりうる

抗不安薬などの依存性のある向精神薬を、

医師から気軽に処方され続けて依存症に陥ってしまっている患者さんは結構おられます。

きっかけは誰にでも起こり得る人生の中でのショックな出来事や人間関係などのトラブルであったりするのに、

その解決を薬に頼ってしまったがために薬から離れられなくなり人生が変わってしまう人は決して少なくありません。

薬はあくまでも緊急避難的で一時的な方法だという事を肝に銘じ、

漫然に使用し続けるという事を医師も患者も厳に慎まなければならないと私は思っています。

そしてこうしたきっかけになる事は、何も悲しい出来事ばかりではありません。

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情報の解釈は自分次第

私は今地方の病院で勤務していますが、

情報化社会となったおかげで、地方にいても自分次第でいくらでも情報を入手する事ができます。

ただ情報が得られたからといって、必ずしも皆が得をするわけではありません。

情報の扱い方を誤ると逆に道に迷うということもあるのです。

先日外来業務をしておりましたら、

立て続けに2名ほど、こちらが尋ねたわけではないのに、糖質制限をされているという中年の男性と出会いました。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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