サイアミディン

自然の甘味は使いよう

甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)という漢方薬があります。

小麦(しょうばく)20g、大棗6g、甘草5gの割合で構成される漢方薬で、子供の夜泣きや引きつけに使用される漢方薬です。

構成生薬からもわかるようにすごく甘い薬でだからこそ子供に使われる側面があるのですが、

小麦(しょうばく)はいわゆるコムギとほぼ同義です。糖質制限的には一見してあまり使用したくない薬と思われるかもしれません。
しかし実際には上記の3つの生薬を乾燥エキス化し、全体量にして3.25gだけを調剤されるので、その中に含まれる小麦の量は1日量で2.1gなのでさしたる糖質量ではありませんし、

糖質が入っていながらこの薬には夜泣きを落ち着ける以外にも意義深い使い方があります。

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漢方薬は薬ではない

西洋医学を学んできた医師にとって概して漢方の考え方はとっつきづらいものです。

地道に古典的な漢方のお作法を学んでいくのがいわゆる王道だと思いますが、

そのお作法に全く頼らずに科学的思考で漢方薬を捉え、西洋医学的な発想での漢方薬の処方術を推進している「サイエンス漢方処方研究会」という会があります。

実は私も漢方薬の科学的な側面に興味があり、その会に所属して漢方薬の謎を解き明かすために役立ちそうな情報を学んでいます。

その「サイエンス漢方処方研究会」の理事長が、北海道は日高郡新ひだか町の静仁会静内病院の院長、井斎偉矢(いさい ひでや)先生です。

先日、井斎先生の鹿児島講演会があり参加して参りました。

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望ましい利益相反関係とは

医学界では2004年スタチンの研究論文が

製薬会社により有利な内容に捏造されたという可能性
が明るみになって以降、

利益相反の問題が表立って取り沙汰されるようになりました。

もはや学会で研究発表したり論文を書いたりした際に利益相反の有無を明記するのは常識化しています。

ただ利益相反がある医師がプレゼンをする場合、

どの団体と利益相反があるのかを明記したスライドが1〜2秒で次に送られてしまう事がほとんどで、

これを明示することにどれほどの意味があるのだろうかと思ったりもします。

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中医学と薬の効き方

久しぶりに風邪を引き、のどのいがらっぽさから始まった症状が、

漢方を用いても治まらず、咽頭痛、咳へと進展し、周りの人に心配されてしまう状態にまでこじれてしまったので、

糖質制限関連で知り合うことができて漢方にもお詳しい先生である鹿児島県鈴木内科クリニックの鈴木功先生に私の風邪を診てもらうことにしました。

正確に言うと鈴木先生は漢方よりも歴史の古い本場の中医学に精通しておられる先生です。

漢方は中国のものと誤解されている方もいるかもしれませんが、実は漢方とは中国の伝統医学が日本に伝わりその後国内で独自の発展を遂げてきた診療体系です。

鎖国の時代にオランダ医学(蘭方)が入ってきたタイミングで、それと区別するために漢の国の医学で「漢方」と名付けられました。

実は中医学と漢方とは似て非なるものです。

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オープンスタイルの魅力

私は漢方が好きな医者です。

なぜ好きかと言えば、できることの応用範囲がものすごく広いということがまずあります。

例えば自分が耳鼻科医でなくとも難治性の耳鳴に対して治療の選択肢が提供できたり、

血圧が200から90mmHgまで著しい変動を示す為降圧剤が使いにくい患者さんに対して自律神経にアプローチすることで高血圧と低血圧の両方に対応できたり、

睡眠薬依存から離脱させたり、急性咽頭炎の強い喉の痛みをすぐさま取り去ったりと、漢方ならではのメリットを挙げればキリがない程です。

そんな奥深い漢方を学ぶため、漢方の勉強会に積極的に出席してみると、

これがまた講師の先生のお話が大変わかりやすく面白いものが多いのです。

私の経験上、かなりの確率で役に立つ情報や明日使える具体的な処方術を教えてもらえます。

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ストレスの存在を見抜く術

ストレスが様々な病気に関わっていることを記事にしましたが、

本日はそのストレスが処理しきれていない状況を客観的にどう捉えるかという事について考えます。

ポイントは自律神経過剰刺激によってもたらされる微小循環障害です。

全てのストレス性疾患は、煎じ詰めればこの微小循環障害から始まると言っても過言ではないほどです。

この微小循環障害の事を漢方医学では「瘀血(おけつ)」と呼びますが、

この「瘀血」こそが、処理できないストレスを身体が抱えている事を示す表現型の一つと言えるのです。

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見える部分と見えない部分とのバランス

私は漢方治療に大きな興味を持っていますが、

漢方の良さは科学的に説明できる部分とそうでない部分とがあります。

いわゆるエビデンスベースの切り口では決して説明できない部分について私はよく理解しているつもりです。

しかしこの部分をエビデンス絶対主義の人達に説明しようとするとうまく伝えられないという事を経験します。

逆に古来からの経験的理論にどっぷりはまった漢方の治療家に、科学的視点から説明を試みてもこれまたうまく伝わらないのです。

目に見える科学的な視点と目に見えない経験的な視点、このバランスが取れてこそ真の意味で漢方の理解につながると私は思っています。

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必ずしも細部を掘り下げない

今日は半夏厚朴湯という漢方薬がストレスマネジメント能を発揮する理由について私なりに推論を巡らせてみたいと思います。

半夏厚朴湯というのはその名の通り、「半夏」と「厚朴」という生薬が含まれている漢方薬ですが、

その二つ以外にも「茯苓(ぶくりょう)」「蘇葉(そよう)」「生姜(しょうきょう)」という生薬の全部で5つの生薬が含まれている処方です。

歴史的には西暦200年頃の中国は後漢の時代に著されたと言われる「金匱要略」という古典医学書に記載があり、

「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん:あぶった肉が喉にひっかかったような感覚)」とか、「梅核気(ばいかくき:梅の種がのどにつまったような症状)」と呼ばれる症状を目安に使う事を勧められていた漢方薬です。

咽頭がんなどの器質的な異常がないのに、喉に違和感がずっと残り、吐こうとしても飲み込もうとしても違和感がなくならず、医者からは異常なしと説明を受けるのみなので患者さんにすれば大変嫌な症状です。

一方で、なぜかそういう患者さんは交感神経過緊張状態を示している事が多いことが経験的に知られています。

おそらく咽中炙臠や梅核気と呼ばれる症状は、何らかの原因でストレス反応が発動しても、下流の応答系統がきちんと機能しきらない状態を示す表現型の一つなのではないかと私は考えています。

要するにストレス反応を自分の中で処理しきれずに歪みを生じてしまっている状態です。半夏厚朴湯はそういう状態の人に使うと非常によく効くことを稀ならず経験します。

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害を与えない治療のための工夫

「Do No Harm(まず害をなすなかれ)」という治療原則があります。

診療に当たっていると薬剤の副作用が問題になる場面と多々遭遇しますが、

薬を使って治療するというアプローチを使っている限り、厳密に害がゼロの状態で治療する事は困難です。

それは全ての薬に副作用が起こり得るからというわけですが、その副作用をゼロに近づける工夫を行う事は可能です。

一般的には使用する薬を極力減らすという事が対策として考えられると思いますが、

私の中での対策は、「極力もともと体内に存在する構造物を極力適量だけ利用する」という方法です。

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難治性こむら返りへの対策

糖質制限指導をしていて時々遭遇するトラブルにこむら返りがあります。

こむら返りに関しては以前詳細に考察した事がありますが、メカニズムのすべてがわかっているわけではありません。

しかし大ざっぱに捉えれば「特に血行に問題のある人が、運動や脱水などの誘因を契機に局所でのカルシウムやマグネシウム利用が不十分になるために起こる筋肉の一過性痙攣及びそれに伴う痛み」と言えるのではないかと思います。

糖質制限を実施してこむら返りになってしまう人は、糖質制限で急激に代謝が変わったことで起こる一時的なミネラル利用不全が主因なのではないかと私は考えています。

糖質制限そのものは血流を改善させ、長期的には動脈硬化の改善が期待できる治療法なので、

糖質制限してこむら返りを起こす人にはカルシウムやマグネシウムが多い食品を勧めたり、カルシウム+マグネシウムのサプリメントや芍薬甘草湯という漢方薬での対症療法で急場をしのぎつつ、地道に糖質制限を続けて血行改善を心がけるよう指導する事が私は多いです。

ところがごくまれに年単位で糖質制限しているのに運動する度にこむら返りを起こすという人に出会う事があります。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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