サイアミディン

たがしゅうの75gブドウ糖負荷試験

人体実験シリーズ、第4弾です。

今回は基本に立ち返るということで、生粋の糖質制限実践者である私たがしゅうが、

あえて75gブドウ糖負荷試験を実施することで、糖質が身体に与える影響を再確認してみることにしました。

本来医療機関で行う75gブドウ糖負荷試験(76gOGTT)は、専用の75gブドウ糖入り炭酸水(トレーラン®)があるのでそれを飲んで実施するのですが、

この実験のために1本だけ購入することは原則できず、20本1セットで購入しなければなりません。

私が患者さんに75gOGTTを勧める場面はまずありませんので、1本使ったら19本が無駄になってしまうことがほぼ確実です。

ですので、この度の実験には75gブドウ糖入り炭酸水を自作することにしました。
ブドウ糖写真

自作してみて思ったのですが、

75gのブドウ糖ってめちゃくちゃ量多いです。

ブトウ糖を水筒に入れても入れてもまだまだ入れないといけない感じでした。

こういうジュースを知らず知らずのうちに何十年も飲んでいたのかと思うと自分でやり出していながら若干恐ろしくなりました。

糖質の怖さがいまいち実感できないという人には、清涼飲料水を一度自作してみるというのが一つの方法であるかもしれません。


余談はさておき、今回の実験も特に長い絶食期間は設けずに約10時間絶食の状態で行っています。

食前、30分後、60分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後の計8回採血を行って血糖、インスリン、C-ペプチド、ケトン体、グルカゴンの5項目を確認することにしました。

今回一番の興味はグルカゴンの推移です。一般的な75gOGTTでここまで測定することはまずないと思います。

注目の測定結果はこちらです。

実測血糖(mg/dL)  実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前      96       166
30分後     124      162
60分後     113       83
120分後    96       41
180分後    94       55
240分後    91       140
300分後    94       163
360分後    92       126 
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )

インスリン値(μU/mL)  C-ペプチド値(ng/mL)
食前      12.1       2.78
30分後     63.2      6.93
60分後     41.5      6.34
120分後    16.1       4.15
180分後    9.8       2.64
240分後    6.5       1.85
300分後    6.0       1.73
360分後    6.6       1.79
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL C-ペプチド基準値:負荷前0.61~2.09ng/mL)

グルカゴン値(pg/mL)
食前      213
30分後     219
60分後     192
120分後    190
180分後    215
240分後    211
300分後    199
360分後    200
(グルカゴン基準値:70~174pg/mL)


実は前夜に油断して過食をしてしまっており、

その影響あってか食前のインスリン値がやや高め、ケトン体の値やや低めの状態で行う事になってしまった今回の実験ですが、

75gのブドウ糖負荷にも関わらず、私の血糖は30分後をピークに28mg/dLの上昇のみです。

75gタンパク質負荷として実施したササミ負荷試験では血糖ピーク幅は18mg/dLでしたので、それほど大きな違いはありません。

ケトン体の推移に関しても180分後を底として下がり続け、その後再び上昇してきている経過も75gタンパク質負荷の時と同様の印象です。

その代わりインスリンは基礎値の10倍ほど上昇しています。75gタンパク質負荷の時は約7倍でした。

そして同時に実施したC-ペプチドはインスリンの自己分泌能を反映する数値ですが、インスリンの変動に合わせてかなり高い値まで増えています。

どうやら私は血糖値が上がりにくい代わりに、かなり高いインスリン分泌能を備えているようです。どうりで太りやすいわけです。

自分が比較的身長が高いのも、近視になったのも、全てつながってくるように思えました

またブドウ糖と比べて、タンパク質のインパクトも思っていた以上に大きいことがわかりました。

私は糖質制限+タンパク質制限を行わなければ最適値に持っていけないということがより明確化されたように思います。


ただ明らかに違ったのは、今回注目のグルカゴン値です。

タンパク質負荷の時に血糖上昇とともにあれだけ分泌刺激されていたグルカゴンが、

今回の75gブドウ糖負荷試験では、全くといっていいほど分泌されていません。むしろ下がっているくらいです。

グルカゴンの分泌トリガーは、ブドウ糖やインスリンとは無関係な所にあるということが確認できます。

これがどのような意味を持つのかについては今後さらなる考察が必要になると思いますが、

ひとまずは今回のこの事実を皆様とシェアさせて頂きたいと思います。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

決死のご覚悟での実験、お疲れ様です (>_<)

まずとても意外だったのが血糖値の上がり具合・・驚きました
一般的に言われている様な数値よりも緩やか過ぎる感じですね
やっぱり人それぞれの個人差って、かなりあるものだな〜という感想です!

「75gのブドウ糖」も、実際に見てみると驚くほどの量なのに
市販の菓子パンやスイーツには、これと同じ位、それ以上でも
平気で入っていますね
知らずに、あるいは知っていて召し上がっていらっしゃる方が
とても多いのは残念ですし、怖いことだと思います

Re: 決死のご覚悟での実験、お疲れ様です (>_<)

みい さん

コメント頂き有難うございます。

血糖値が上がらないからいいのかと言われると、
インスリンの害はしっかり受けてしまっているのでどっちもどっちだと思います。
近視はその害の一つだろうと考えています。

また、お菓子作りをしている人は砂糖の量の多さを実感しているはずです。
それでも止められないというのは実に恐ろしいと思います。

実体験

たがしゅう先生、いつもご自分のお体での実体験のデータを開示いただき、ありがとうございます。
糖質制限が何を意味するのかも、わかってくるような気がします。

私が本年1月に75gOGTTをしたときのデータをお示しします。

              血糖mg/dL  インスリンμU/mL
Pre             100         4.1
30 min           104         14.4
60 min           107         11.3
90 min           103         17.7
120 min            92         14.7

これらデータから見えてくるものはあるのでしょうか?Preの血糖が少し高いこと、インスリンがだらだらと高めに推移していることが気になります。
先生のインスリンは、一時的に上昇をしても、すぐに下がっています。

この生体反応のばらつきが興味深いです。

Re: 実体験

じょん さん

コメント頂き有難うございます。

インスリンがほとんど上昇していないのに、血糖値も上がっていないのが不思議ですね。
じょんさんはやせ型体質でしょうか。インスリン分泌能が少なく、しかも血糖値が上がらない人は糖化、糖鎖修飾などの別の血糖処理機構が働いているのではないかと私は考えています。

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

覚悟の人体実験お疲れ様でした。
結果をシェアしていただきありがとうございます。

グルコース・ミニスパイクの様子が良く分かります。
ブドウ糖とケトン体が、シーソーの様な関係(時差あり)だと良く分かります。

先生とじょんさんお二人の結果から、
「75gブドウ糖負荷試験」に個人差があると知りました。
大規模な数の人体実験をすると、
どれだけの個人差があるのだろうと興味が湧きます。

Re:Re: 実体験

たがしゅう先生、ありがとうございます。
もともとは痩せ型だったのですが、学生のときにウェイトトレーニングをして、一時期90kg近くになったこともあり、現在、身長172 cm、体重は73 kgです。体脂肪率は20%前後です。
糖質制限をはじめて2年近くたつと思うのですが、糖質制限を始める前には75gOGTTで30分後に、血糖は140mg/dLを超えて、そのときのインスリンは30μU/mL程度だったと思います。糖質制限をはじめてから、75gOGTTでも血糖値は110 mg/dL前後くらいにしか上がらなくなりました。まだ、2回程度なので、どうなのかわかりませんが。
また機会があればテストをやってみたいと思います。

Re: No title

Etsuko さん

コメント頂き有難うございます。

理論主義に陥ると生命現象を一様に考えてしまいがちですが、
実際には、このブドウ糖負荷試験のように、生物には多様性があるということは大事なポイントだと思います。

Re: Re:Re: 実体験

じょん さん

御返事頂き有難うございます。

そうしますと、もともとやせ体質でインスリン分泌能が低いところに、
ウエイトトレーニングで筋量が増えて、インスリン非依存的に血糖が処理できるようになった、というのが実情に近いかもしれませんね。

たがしゅう先生こんばんは!実験参考になりました、ありがとうございます。
江部先生のブログでも、インスリン、グルカゴンについてコメントがありました。江部先生が近々記事にしてくれるそうです。
一つ質問なんですけど、ブドウ入り炭酸水は美味しかったですか!?もっと飲みたいと思うのでしょうか!?スーパー糖質制限を6年もしていると、砂糖の味を忘れてしまいまして・・・

Re: タイトルなし

あっぴ さん

御質問頂き有難うございます。

> ブドウ入り炭酸水は美味しかったですか!?もっと飲みたいと思うのでしょうか!?

すごく甘く感じました。甘過ぎてまた飲みたいとは思いませんでした。
その点において私は昔と味覚が大きく変わっています。

貴重な指標

> 前夜に油断して過食をして

先生の体格でしたら 3000kcalでも食べ過ぎではないと思いますが、インスリンが12と結果に出てしまっているわけですね。それにしても 10時間も影響してしまうものなのですね。

> インスリンは基礎値の10倍ほど上昇

63.2 x 0.56 ≒ 37.2

なので、たんぱく質 x 0.56 の「公式」は近似式として機能しそうですね。ホエイプロテインとかは別にして。

> かなり高いインスリン分泌能

インスリン抵抗性を改善するには、ケトン食かマッチョのどちらかということでしょうか。いずれにせよ、先生が実践しデータが残るので、患者さんには説得力がありますね。

先生、今回のタンパク/脂質/糖質の実験「三部作」、有難うございました。従来の他の先生方の不毛な議論よりはるかに価値があります。先生のデータが多くの人にとって貴重な指標として末永く参照されることになるでしょう。

Re: 貴重な指標

通りすがり さん

 コメント頂き有難うございます。

 あくまでもN=1の話ですので、参考程度ということになるでしょうけれど、
 必ずしも教科書的に言われている事の通りに行くとは限らないということを一つお示しできたのではないかと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR