サイアミディン

ストレスはほとんどの病気に関わる

私の診療は糖質制限とストレスマネジメントを二本柱としています。

糖質過剰摂取がほとんどの人の病気で関わっているのと同じように、

ストレスマネジメントの視点でみると、ストレスもほとんどの人の病気に広く関わっている印象を受けます。

自律神経過剰刺激症候群、またの名をReilly現象と呼ばれる病態があります。あまり聞き慣れない言葉かもしれません。

これは、自律神経の末端に強い刺激または弱くても持続的な刺激が作用することで、病的な自律神経反射を起こし、

血管運動の乱れや平滑筋の緊張や運動異常によって器質的変化を起こす現象と定義されています。

平たく言えば、ストレスがかかり続けてそれをうまく処理できなければ、身体の中の様々な臓器に支障をきたしうるということです。
このことに対して以前から警鐘を鳴らしておられたのが、免疫学者の安保徹先生です。

残念ながら2016年12月6日に大動脈解離が原因でこの世を去られましたが、

私は安保先生の御講演を一度だけ聴講させて頂いたことがあります。

その時安保先生がおっしゃっていたあるフレーズが私はとても印象に残りました。

「病気は医者が治せる筋合いのものではない」


独特の言い回しですが、非常に芯をついている言葉だと私は思います。

つまり多くの人は病気になると、その不運を呪い、病院に対して治してくれとせがみますが、

実は病気になった原因は多くの場合、自分の人生での生き方に無理が生じたために結果的に引き起こされているわけであって、

自分がその原因に目を向けずして医者に治して下さいと言って来られてもやりようがないということなのです。

考えてみれば、私の二本柱である糖質制限もストレスマネジメントも、

はっきり言ってやろうと思えば病院の力は一切必要ありません。

知らず知らずのうちに糖質過剰摂取となっていた食生活を見直し、

ストレスがかかり過ぎている現在の生活環境を変えるということです。

これに対し医者はアドバイスすることはできても、実際に行動を起こすのは患者さんです。

それなのに「先生、治して下さい」と言われたところで、治せる筋合いがないということなのです。


例えば、緑内障という目の病気があります。

眼球内では、房水(ぼうすい)という液体が産生され循環しています。房水は眼球を内側から圧して、眼球に一定の張りを与えているのですが、

緑内障とはこの房水の流れに淀みが生じ、眼球内の圧力である眼圧が上昇してしまい頭痛や視力障害をきたす病気です。

なぜ房水の流れに淀むかと言われたら、房水の排水口にあたる隅角(ぐうかく)という場所が循環障害を起こすことが一つの原因だと考えられていますが、

この循環障害をきたしうる大きな要因の一つがストレスに伴う自律神経過剰刺激であるわけです。

緑内障の原因がストレスだと言えば、ほとんどの人は藪医者だと思うかもしれません。

しかし理屈から言えばおおいにありうることなのです。

他にも片頭痛やメニエール病、膠原病などストレスとの関連を指摘される病気は挙げればキリがないほどあります。

何もストレスが関係するのは胃潰瘍やうつ病だけではないのです。


さてこの自律神経過剰刺激症候群、西洋医学では認識すらされない事が多く、されたとしてもこれといった対処法が用意されていません。

本来はストレスマネジメントが重要になるわけですが、患者さんにその事を話してもすぐにはなかなか理解してもらえません。

一方で、漢方医学ではこの現象を診察で捉えることができ、しかもそれを治療する薬が準備されています。

従って私はどうにもストレスマネジメントを理解してもらえない人には漢方薬で当座のストレス反応を取りながら、

あくまでも薬は対症療法なので、それで体調が回復している間に根治療法としてのストレスマネジメントを指導していくスタイルを基本としています。

それではこの患者さんにはストレスがかかっているというのをどうやって見抜くのか、

次回はその点について紹介したいと思います。


たがしゅう
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夏のストレス?

先生のブログ、楽しみにしています。

ストレスの項目で
思ったのですが、
「夏」というだけでストレスになるのでしょうか?


朝の血糖値を測っています。
食事も生活パターンもそんなに違わないのに
どうも、いつもより高いのです。

夕食後、体を動かしたり掃除して汗だくになるくらいでも
朝には、変化がないようです、、、

タンパク質を少し増やしたから?
気候のせい?
(日中はオフィスで冷房あり、帰宅後は扇風機だけ)

気候、関係あるのでしょうか???

不思議に思っています。。

Re: 夏のストレス?

リリー さん

 コメント頂き有難うございます。

 タンパク質の摂取量が多くなれば糖新生亢進で血糖値が高くなる可能性はあります。
 また私のように体質的に単純にタンパク質摂取で血糖値が上がる可能性もあります。

 2017年7月16日(日)の本ブログ記事
 「ササミ負荷試験」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1030.html
 も御参照下さい。

 あるいは身体にストレスが加わる事が起こってもストレス性の血糖上昇が起こりえます。
 夏の気候に限らず、夏ならではの何らかの生活環境変化がもたらしている可能性もあり、はっきりとした原因は私にはよくわかりません。

夏のストレス

議論、横から失礼します。以下よろしければご参考まで。
東洋医学が立脚する五行説からいうと、夏は火が盛んになるので水を剋する結果になります。火が燃え上がることで水分が蒸発するイメージです。
火は内臓でいうと心臓が象徴する血液循環系が配当され
水は腎臓が象徴する水分循環系が配当されています。
気温が上昇することで末端の血管まで血液を送り出す負荷が低くなると、心臓にかかる負荷は低くなり、余裕の活動モード。
一方の腎臓は活発な行動による、発汗や老廃物の排出で大忙し。
心臓は活発に血液を送り出してくれますので、濾過装置の腎臓は必然的に頑張らざるをえません。
水分排出系、老廃物濾過系の弱い人にとって、これがストレスになるというのが五行説による一般的な説明です。
冷房のしっかり効いた室内に長時間いることで、気温の変化を受けなくてもこの説明パターンは有効。これを解く鍵は日照時間の変化にあると思いますが、話題がずれていきますので、端的に申し上げると自然の四季の運行に対応して人体のなかにも四季があるというのが東洋の人体観ということになります。自然の一部に過ぎない人間が、人体ににミニ自然を内蔵していると言っていいかもしれません。
当然、春、秋、冬にもストレスの因子があって、花粉症なんかも春に特有の症状ですので、花粉だけが原因というより、季節のストレスの側面もあると思います。

Re: 夏のストレス

やまたつ さん

コメント頂き有難うございます。

温熱であれば循環が良くなりストレス緩和要因となる可能性があります。
しかし暑熱であればその適応反応が過剰となり、それがストレスとなる可能性があります。

勿論、夏の季節がストレスになる可能性はあります。
しかしその背景に食事因子がある可能性もあるし、気候以外のストレスが関わっている可能性もあります。それを第三者の私が判断するには限界があるので、「はっきりとした原因はわからない」という表現をさせて頂きました。

なお自然に生まれた人間が、人体にミニ自然を内蔵しているという考え方には賛同できます。

ありがとうございます!

先生のお考え、そしてササミ負荷試験を拝見しました。
原因がわからないので、じっくり考えてみます。


以前から食事(特にタンパク質)は、
肉で高めになるようです。
魚はそれほどでもないみたいです。

夏の暑さ=ストレス ならば
帰宅してもクーラーをつけたら
どうなるか?も試してみます。

(イライラしたり精神的なストレスでも
翌朝、そんなに高くはなかったのですが、、、)

夏の暑さ→秋になるとどうか(気温が涼しくなると)

個人差があるのですね、
タンパク質=多ければ多いほどよい と単純に考えていたので、興味深いです。

人間の体は不思議です

追記

表題のストレスとは少し違って恐縮です。
タンパク質のことが疑問です。

体重の~%が必須であり、
特に高たんぱくが推奨されますね。

某サプリメーカー、○ぐびーで
プロテインを購入、指示通りに飲むと
強烈なガスの臭い、、、
1週間たっても全く同じで断念しました。

同じく実母にも勧めたのですが
皮膚に湿疹ができたり、さんざんでした。。

そのころ、
青汁だけでタンパク質をとらないで
難病を治された方の本を読みました。

タンパク質なくても生きていけるのは
「腸内細菌」がかかわってるとの研究者のコメントも
ありました。

人それぞれにあった「タンパク質量」が
あるのかも?と思い始めています。

理系人間でなく、
アバウトにしか言えずすみません、、、

Re: 追記

リリー さん

 コメント頂き有難うございます。

 私は「タンパク質がないとヒトは生きていけない」には賛同できますが、
 「タンパク質は多ければ多いほど良い」には理論的にも、実際的にも賛同できません。

 御指摘のように腸内細菌がアミノ酸を作るパターンやオートファジーの活性化率を考慮すれば、タンパク質必要量が個人によって大きく変わるということは容易に推定可能だからです。必要量を見誤って過剰にタンパク質を外部から摂取すればトラブルが起こるのは必然です。

 本当の意味での必要量を推し量るには各々が体調をベースに考えるよりないと私は考えています。

 もっと言えば「タンパク質を外部から摂取しなければ生きていけない」かどうかに関しては疑問の余地があります。一方で「タンパク質が存在しなければ生きていけない」に関しては完全に賛同できます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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