サイアミディン

人工甘味料コーラ負荷試験(追試)

前回に引き続いて、人工甘味料コーラ負荷試験を別の人で再検してみました。

ササミ負荷試験の追試でも協力してくれた身長171cm、体重63cm、BMI 21.5の友人Aさんです。

Aさんは前日は夕食で普通に高糖質食を食べたとのことでした。

また朝絶食状態で来てもらい、午前9時に人口甘味料コーラを飲んでもらい15時の実験終了まで何も食べないようにしてもらいました。

その条件は普段1日1食の私にすれば普通のことですが、

普通に3食食べるAさんにはちょっと我慢を強いてしまい申し訳なかったと思います。後半はかなりお腹が空いてしまっていたそうです。

しかしながらその御協力のおかげで貴重な実験データを得ることができました。
以下に結果をお示ししたいと思います。

実測血糖(mg/dL)  実測3ヒドロキシ酪酸値(μmol/L)
食前      93       50
30分後     89       40
60分後     91       54
120分後    90       38
180分後    88       77
240分後    85       111
300分後    81       221
360分後    80       252
(血糖基準値:70~109mg/dL 3-ヒドロキシ酪酸基準値:85μmol/L以下 )

インスリン値(μU/mL)  グルカゴン値(pg/mL)
食前      7.9      150
30分後     7.8      149
60分後     7.7      146
120分後    7.3       153
180分後    5.3       142
240分後    5.6       163
300分後    3.8       158
360分後    4.1       158
(インスリン基準値:1.7~10.4μU/mL グルカゴン基準値:70~174pg/mL)

私の人口甘味料コーラ試験の結果と比較して御覧頂ければと思います。

流石やせ型のAさん、前夜の高糖質食摂取にも関わらず、

私と違って朝の空腹時インスリン値は十分低い値に抑えられています。

一方で私と違って朝の空腹時時点のケトン体値は上昇していません。

夜から翌朝までの10~12時間程度の絶食時間があればケトン体は上昇しそうなものですが、

高糖質食をベースにしているとその程度の絶食時間ではケトン体は上昇しないという事がAさんのケースでは見てとれます。


さて人工甘味料コーラ(以下、コーラ)摂取後の変化について考察します。

Aさんも私も血糖値の変動は筋書き通りにコーラ摂取でほとんど変化していませんが、それ以外の所ではいろいろ差があります。

まず私の場合はコーラ摂取後ちょこっとだけインスリンが分泌されているようにも見えましたが、

Aさんの場合は本当にインスリンがピクリとも上昇していません。

人工甘味料の甘味でインスリンが分泌される可能性があること事を示す研究論文もあったと思いますが(Nakagawa Y, Nagasawa M, Yamada S, et al. Sweet taste receptor expressed in pancreatic beta-cells activates the calcium and cyclic AMP signaling systems and stimulates insulin secretion. PloS One. 2009; 4(4): e5106.)

それは人によって違うということが証明されたのではないかと思います。

一方でコーラ摂取後私はケトン体は下がり続ける方向で値が推移していきましたが、

Aさんのケトン体値は逆に上昇傾向を呈しました。

これはAさんのケトン体値が最初から低い所にあったためにこれ以上下がり様がなかったということもあると思いますが、

朝絶食以降もコーラしか飲んでいないために実質的な絶食時間がさらに6時間延長となりようやくケトン体が産生され始めたと解釈する方が妥当かもしれません。

また私の場合はコーラ摂取後にグルカゴンの産生が長時間抑制され続けましたが、

Aさんの場合はほぼ不変と言っていいようなグルカゴン値の推移を示しました。

一概にコーラによってケトン体、グルカゴンは抑制される、とは言い切れない、新たな謎を残す結果となりました。


この差をもたらす原因として腸内細菌の違いであったり、

甘味受容体の数の違いであったり、様々な仮説は考えられますが推測の域を出ません。

わからない事はわからないまま保留としておくのが無難です。

N=2の実験データとして公開し、読者の方々が考える材料にもなってくれればと思います。

それにしても予想を裏切る結果の連続です。

今後も既知の理論だけにとらわれず自分の目で確かめていく必要性を感じます。


たがしゅう
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グルカゴンダイエット

こういう Diet を主張する医師が鹿児島にいるんですね

https://www.facebook.com/isao.suzuki.3990

Re: グルカゴンダイエット

中嶋一雄 先生

 コメント頂き有難うございます。

 すでに何度か交流させて頂いており刺激を受けています。御縁ですね。

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

Aさんの負荷試験の結果も興味深く拝見しました。
Aさんも身体を張り、結果をシェアして下さり、
ありがとうございます。

人それぞれ、多様な背景(腸内細菌など)があり、
同じ負荷試験でも、違う傾向が出るものですね。

人体の働きは一様に見えて、実は個性豊かなんだと感じます。
人体実験シリーズはとても面白いです。

腸内環境

どんな病気も行きつく先は腸なんですかね?
ステロイド性糖尿病も薬による腸内環境悪化が原因なのでしょうか。
これからもっと糞便移植法の研究が進めばどんな難病も治せるのかも。

こんなに色々あって、微妙なものなら、
冗談抜きで、
瞑想や精神力なんかで、
色々な数値をコントロールできても不思議では無いような気がしてきました。

あと、
水なら変化無いんでしょうかね?

Re: No title

Etsuko さん

 コメント頂き有難うございます。

 自分一人ではわからなかったことを知ることができたので、Aさんには本当に感謝しています。

 多様なヒトが集団を形成して世界を作り上げているのが、また腸内細菌が一人のヒトを作り上げている構造と共通しているようで大変興味深いですね。

Re: 腸内環境

タビ猫 さん

 コメント頂き有難うございます。

 腸が病気の発症に大きな役割を占めているには違いないでしょうね。
 植物にとっての土壌のようなもので、それくらい大事なものであろうと私は思っています。

 糞便移植法は対症療法として期待が持てますが、それでは本当の意味での病気からの解放には至りません。やはり私は根本治療につながる方法を追い求めていきたいです。

Re: タイトルなし

ふあっつおー さん

 コメント頂き有難うございます。

 精神が身体に与える影響は決してばかにならないと私は思います。
 心身一如という言葉もありますが、経験的に糖質制限でうまくいかない患者さんは心理面で問題を抱えているように思われる方も多く見られるように思います。

> 水なら変化無いんでしょうかね?

 種々の人体実験コーナーにそういえばコントロール(比較対照)がないという問題は実は認識しておりました。
 普段の自分の状態を知るという意味で、水での人体実験も候補とさせて頂きます。

>普段の自分の状態を知るという意味で、水での人体実験も候補とさせて頂きます。


有り難うございます。

ダイエット飲料 vs 水

こんな記事がありました。

「ダイエット飲料vs水」勝つのはどっちだ?という研究
http://yuchrszk.blogspot.jp/2017/10/vs.html

参考まで

Re: ダイエット飲料 vs 水

小松 さん

 情報を頂き有難うございます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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