サイアミディン

目先の利益にとらわれない

先日、医者に依存したパーキンソン病は良くならないという厳しい意見を記事にしましたが、

何を言うたがしゅう、実際にL-dopaを中心とした神経内科医による投薬治療で患者の症状は確実に改善しているではないかという御意見があるかもしれません。

確かに症状は良くなっています。神経内科医としてその現場を私も確かに目の当たりにしてきました。

しかし同時に、その治療を続けていった先の顛末も約10年の神経内科医経験により肌で感じてきました。

薬で良くなったかに見えたパーキンソン病患者の症状はその後年単位で悪化していき、

最終的にドーパミン神経系の過剰適応(ジスキネジアなどの不随意運動)や消耗疲弊(薬に無反応で無表情持続開口寝たきりの状態)へとつながっていくのです。
それでも何もしないよりマシではないかと思われるかもしれませんが、

人生のトータルの生活の質で言えば何もしなかった方がドーパミン神経系が長持ちした可能性は否定できません。

今は薬を使うことが当たり前の世の中なので、全く薬を使わなかった場合にどうなるかという事は意外とあまり知られていないことだったりするのです。この構造は抗がん剤の世界にも当てはまります。

よしんば薬を使う方が生活の質が上がっていたとしても、現代医療のアプローチでパーキンソン病が根治した症例を私は知りません。

根治を目指せない以上、たとえ症状が良くなったとしても、それは本当の意味で「良くなった」とはやはり言えないと私は思います。

西洋医学によるパーキンソン病治療は、選択肢が拡がったと言えど、いずれも根治に根ざしていない対症療法に過ぎないのです。


私達は合理的でない生き物ですので、

何も考えなければついつい目先の利益にとらわれがちです。

薬を使って症状は良くなれど5年で寝たきりとなる人生を送ったとして、

もしも薬を使わなければ多少の身体の不自由を感じながらも20年は生きられるとすれば、

薬を使って良かったと心から言えるでしょうか。

薬を使わなければ支払わなくて良かった医療費も、薬を使わなければ何か他の有意義なことに使えたかもしれません。

今5年、20年という設定は完全なる私の空想で根拠はありませんが、

人生は一度きりなので本当の所はどうなるか誰にもわからないのです。

しかし折角私達は前頭連合野が発達し、人為的に知恵を絞り出すことができるのだから、

目先の利益にとらわれずに、もう長期的な目線でどう生きるかを考えてみてはどうでしょうか。

今の症状が苦しければその症状を取り除くのと同時に、

なぜそのような状態になったのか、どうすればその問題を解決することができるのか、

仕事優先になり過ぎていなかったか、我慢をし過ぎていなかったか、他人に気をつかいすぎていなかったか

今までの自分の生き方を振り返り俯瞰的に考え直してみることです。

そうすればパーキンソン病を根治するのも夢ではないと、

私は本気で考えています。


たがしゅう
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振り返ることの大切さ

>今は薬を使うことが当たり前の世の中なので、全く薬を使わなかった場合にどうなるかという事は意外とあまり知られていないことだったりするのです。

先生のような医師という、しかも専門の分野に長いこと携わっている人の意見として聞くと、医療現場の現状を少し恐ろしくも感じました。

人はお金で健康を買うような行為に疑問を感じなくなってしまっています。

どこかで「いい」とうわさを聞くと、サプリや健康器具や薬を高価な日用品を買うかのように「高価だけど必要だからしょうがない」と買っているように見えます。

必要なのは自分の生き方を振り返ることなんでしょうけど。

No title

はじめまして。コメント失礼いたします。40代女既婚子有です。
現在パーキンソン病と診断されて5年2回目の休職中で、
職場復帰を検討中にこちらのブログに出会いました。

担当のリハビリ医はあなたはまだ若いのだから、
薬を増量して外で仕事復帰した方が良いと言いますが、
ストレスコントロールが下手な自分には復帰するのは
身体にとって厳しいと考えました。

これからは直近の数年よりも10年単位で身体を大切にして
生きていきたいと思います。

わかりやすい記事で助かりました。ありがとうございました。


Re: 振り返ることの大切さ

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

 最近、立ち止まって振り返る事の重要性を強く実感します。
 無目的に手当たり次第に興味のある周りのものを探り続けていく自分の中の魔物は、人為でもってコントロールされるべきだと思います。

Re: No title

通行人 さん

 コメント頂き有難うございます。

 仕事がストレスコントロールになる人とそうでない人がいると思いますが、
 それを決めるのは自分自身であるべきだと私は考えています。

 通行人 さんが復帰がストレスになると感じられるのであれば、きっとそれが正しいのだと思います。
 そして一旦立ち止まって、その後どうすればストレスをコントロールできる生き方にすることができるか、仕事の種類を変えるのも良し、大きく生活のスタイルを変えるのも良し、見直せる所がないかどうかを考えてもらえればと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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