サイアミディン

意識的に休む必要性

私はこのブログでしきりにストレスマネジメントの重要性を叫んでいますが、

糖質制限と違って科学的に見えない部分も多いので、いまいちその重要性が正確に伝わっていないと感じることがあります。

伝える情報だけでなく、伝える側の技術というのも大事になってくると思います。

わかりやすく伝えるために重要な技術の一つに「たとえる」ということがあります。

先日紹介した「バナナを逆からむいてみたら」という本の中で、

ストレスマネジメントの重要性を大変わかりやすく紹介している文章がありました。

(p89-90より引用)

(前略)

演説の最中に、私は水の入ったグラスを持ち、聴衆に向かってこう語りかけました。

「このグラスはどのくらい重いでしょうか?」

聴衆が何も言わないうちに、私はこう続けました。

「もし私がこのままグラスを持ち続ければ、五分後には腕がつらくなってくるでしょう。一〇分もすれば、かなりの痛みを感じることでしょう。

そして十五分後には苦しみを感じるでしょう。そんなことをしたら、私は愚かな僧侶ということになります。

ではどうすればいいでしょうか?

このグラスを重いと感じるようになる前に、一分間だけグラスを置けばいいのです。

一分間だけ腕を休ませれば、私はまたラクラクとグラスを持つことができるようになるのです。

実はこれと同じことが、職場におけるストレスの元凶なのです。

ストレスは、あなたがこなさなければならない仕事量にも、責任の重さにも関係ありません。

耐えがたい負担を感じる前に仕事を中断し、ほんのわずかでも休憩すれば、ストレスなどは生じないのです。」

(引用、ここまで)



いかがでしょうか。なぜストレスマネジメントが大切かが大変よくわかるのではないでしょうか。

現代はストレス社会といいますが、ストレス社会になった元凶はストレスの多さではなく、ストレスをマネジメントするのが難しい社会構造です。

義務教育により足並みをそろえた教育を受け、友達を作ることが善でそれができない人間ははみ出しものとなってしまうような空気、

そこから生まれるいじめの問題、格差社会、資本主義、組織に所属した者に求められる義務と責任、

婚姻制度、嫁姑関係、家族ができる事によって生まれる世間とのつながり、そこでまた足並みをそろえていくこと、

原始時代に好き勝手本能のままに動いていた時代に比べたら格段に多くの制限が加わった社会の中を私達は生きています。

その代わり得られる人と人のつながりによって得られる幸せも私達は享受してきたわけですが、

その引き換えに受け止めなければならないものがストレスです。

周囲と合わせるが故に休みたい自分の本能に逆らい無理をする、真面目な人ほどそれが高じて知らず知らずのうちにストレスがかかります。

いつしかそれがオーバーヒートかシャットダウンを起こし、身体にガタが来てしまうのです。

それをコップを持つ手を降ろすかの如く、一旦休むという選択を取る自由が残されてさえいれば、

ストレスがたまりやすい社会の中においてもパフォーマンスを落とすことなく生きていけるのではないでしょうか。

人と人とが支え合う社会で生きている以上、原始時代のように休みたい時に休むという選択肢はとれないものの、

それを理想型として、それに近づける形でふとした瞬間に腰を降ろすことが許される社会は良い社会だと私は思います。

原始時代は原始時代で自由な代わりに過酷な人生を強いられるわけですから、

現代に生きる私達は人為的に作られた社会の中を、人為を利用してストレスマネジメントを行いつつ生きていくのが、

超自然的で望ましい生き方なのではないかと私は考える次第です。


たがしゅう
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①先生が重視される「体調」と繋がりますね。疲れを「感じたら」休むのは当然の事。疲れに鈍感、感じても「休めない理由」に縛られ休まず、休んでも頭の中は仕事の事ばかりリラックスどころか深まる自己嫌悪。
②未来はわからない。嫌な上司が異動になったり職場の組織が変わったり。「嫌なことを無視する力」は全然卑怯じゃない。元国連弁務官緒方さんの言葉で、難民の方々は今日を乗り切ることが大切、明日はわからないからとありました。
③戦前の教育で育った亡き母の信条は「忍耐」「人に迷惑をかけない」、今はそれらプラス「友人仕事趣味等全てが充実してない人は負け組」で不幸な人は運が悪いか自己責任。「悩まぬ事は罪悪」と、悩むために生きてるかの人は、「体調」より検査重視の医療と同源と思えます。
④自分の喜怒哀楽も他者もおおらかに敬意を持って大切にする。先生が語る会で紹介してた偉人ですね。理想ですが、教育の方向が大切ですね。長文申し訳ありません。ストレスコントロールこの間の自分のテーマでした。スッキリしました!

Re: タイトルなし

T さん

コメント頂き有難うございます。

仕事を休むことの難しさと糖質を制限することの難しさには共通構造があります。
明日はその事に関して記事にしたいと思います。

ストレスは目に見えないから難しい問題ですね。休息をとるぐらいしか、
ストレス解消方法もあんまり分からないです。
忙しくして、ストレス感じないふりしたり、自分は、大丈夫っておもって頑張りすぎてしまう傾向あるなぁってたがしゅう先生のブログ読んでて振り返りできました。
ありがとうございます‼️

Re: タイトルなし

瀬川里香 さん

コメント頂き有難うございます。

休息も立派なストレスマネジメントです。
ただその休息でさえ社会構造ゆえに十分できなくなっている事もまた事実です。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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