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哲学カフェで学ぶ健全な対話

先日、当ブログで紹介した哲学者、小川仁志先生が主催する「哲学カフェ」というものに参加して参りました。

「哲学カフェ」とはどういうものか、と申しますと、

ソクラテスとかアリストテレスなど古代ギリシアの時代から哲学の学びとして行われていた「開かれた対話」をモチーフに、

オープンなコミュニティスペースで自由に参加者を募り、司会(ファシリテーター)進行の下、ひとつのテーマについて自由に討論していく過程を通じて、

物事の本質に迫ろうとする試みです。
哲学カフェは全国様々な地域で行われているようですが、

私は小川先生の解説のわかりやすさに大変感銘を受けたので、是非とも小川先生の哲学カフェを体験してみたいということで、

鹿児島から山口県は徳山市まで足を運んで哲学カフェに参加して参りました。

告知案内を見ますと、徳山駅近くのビル内のコミュニティスペースで

小川先生の哲学カフェは月に1回、開催されているようでした。

事前予約は不要、参加費も無料ということで、かなり敷居の低い催しであるところに好感を持ちました。

場所はビル内の一室というわけではなく、階段の踊り場近くにある広々としたスペースに椅子を置いて討論する形で行われていたので、

変な話、別件でビルを訪れた人にも会話の内容を聞かれてしまうオープンさがありましたし、

別に聞かれて困るような話をしているわけではないので問題はないですし、

何だったらたまたま訪れた人にも哲学に触れるチャンスを与えることにもつながるので好ましいやり方なわけです。まさに「開かれた対話」を現代で再現していると言えます。


さて、参加者は常連の方から私と同じく初参加の方まで、20〜30人程集まっていました。

年齢もバラバラで老若男女、中学生くらいの男の子から御年配の方まで様々な立場の人達が一堂に会していました。

テーマは「人間関係について」という事で、「皆さんは人間関係で悩まれたことはないですか?」という小川先生からの質問を皮切りに、

挙手制で手を挙げた人へ小川先生が当てた順に自由に意見が述べられていくスタイルで進められていきました。

ただし、この哲学カフェには3つだけ絶対に守って欲しいルールがあるという注意事項が最初に示されていました。

まずは「相手の話を最後まで聞くこと」、

途中で話を遮ってしまうと険悪なムードが生まれる元となり、健全な対話ができなくなるからです。

次に「難しい言葉をできるだけ使わずに分かりやすい言葉で意見を言うこと」、

難しい専門用語を使ってしまうとカフェに参加している人の中に話についていけない人が出てきて、これまた健全な対話が出来なくなってしまうからです。

たとえ難しい言葉を使うにしても、どういう意味か参加者にわかるように説明して使うようにとのことでした。

実際のカフェでは、そういう注意がなされているにも関わらず、難しい言葉を使って意見を述べられる参加者の方もおられたのですが、

そこは「今の○○さんのご意見を分かりやすく解説しますと…」と小川先生がフォローし、全体の対話内容のバランスを整えておられ、

この催しにおける司会進行の役割はかなり大きなものがあると感じました。

そして、私が最も重要だと感じた注意事項の3つ目が、相手の意見を全否定しないということです。

全否定したら健全な対話にならないというのは勿論ですが、

どんなに間違っていると思われる理論の中にも一抹の真理、正当性が隠されているから、それを理解するように努めようというのです。

極端に言えば「人は殺すべきである」という意見を誰かが述べたとして、一見全否定したくなるように思うのですが、

なぜそう思うに至ったのか、その人の考え方の背景を理解するように努めるということが大事だというのです。

もしかしたらその人は誰かを殺さなければ自分が殺されるという極限状態を経験してそのような考えに行き着いたのかもしれません。

そこから「人を殺すべき」という所には同意できないけれど、「人は自分のことを最優先に考えるものである」という本質的な所を抽出し、そこは認めるように努めるのです。

間違っていると思われる意見を聞いても全否定せず、どこが間違っているのかを冷静に指摘するというのが健全な対話を成立させるために大切だということを教わりました。

1時間の自由な対話の中で様々な意見が出されましたが、

意見を出す人も出さない人もそれぞれが「人間関係」について考えさせられる、

参加者の満足度の高い素晴らしい試みであったと私は感じました。


翻って糖質制限界で聞かれる強論にも思いを馳せてみますと、

一見否定したくなる理論であっても、そこに至る背景やプロセスについては一考の価値は隠されていることでしょう。

糖質制限実践者が否定的に捉えがちなカロリー理論でさえ、本質的には理解できる部分があるはずです。

相手の意見をはなから全否定せず、理解できる部分を抽出しようとする行為は、

自分の考えを深めることにもつながり、とても大切なことであるように感じました。

非常に参考になるやり方で運営されていた哲学カフェ、

そのノウハウが糖質制限を語る会でも応用できないか思案しています。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生

はじめの3つの注意事項を読み、豚皮揚げを食べる会やオフ会での事を思い浮かべました。

糖質制限の会でお会いする専門家の方は先生はじめ皆ほとんどが②を含めてすべて実践されているように思います

そして私が会話した9割以上の方が①と③を実践されておられます。

ですから気持ち良い会話が出来ると思いました。皆が同じ方向を向いている糖質制限の会と違い、哲学カフェでは難しい時があるのかもしれません。進行役の方、素敵だと思いました

くんだみえ

Re: No title

栗田三江(くんだみえ)さん

 コメント頂き有難うございます。

 哲学カフェでも一見ベクトルの異なる意見が出たように見えても、司会の先生の促しで実は本質的には同じ事を考えているというような気付きも芽生えたりして大変面白かったです。

哲学カフェ、鹿児島にあったらまた、流行りそうですね。
相手の意見を最後まで聞く、意見を否定しない、そのスタイルはBS法に似てますね。よくグループワークでBS法はもちいられますが、似てるのかなって思いました。
意見を伝えるの、人から何か思われるのではって思う自分がいます。
オープンスペースで意見を気軽に述べられる場所があることがいいとおもいます。
たがしゅう先生はいろいろ勉強されててすごいです🌟
ありがとうございます(o^O^o)

Re: タイトルなし

瀬川里香 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 相手の意見を最後まで聞く、意見を否定しない、そのスタイルはBS法に似てますね。よくグループワークでBS法はもちいられますが、似てるのかなって思いました。

 BS(ブレーン・ストーミング)法ですね。

(以下、http://media.nuas.ac.jp/~robin/Jpn/note/BS.htmより引用)

■概要
アレックス・F・オズボーン(Alex F. Asborn)が考案した創造性開発のための技法。一言でいえば、何人かが集まり、あるテーマをめぐって、既成概念にとらわれず、自由奔放にアイデアを出し合う会議形式の一種である。

■目的
①特定問題の解決策を見出す。
②メンバーの題解決能力(創造性)が育つ。
③チームワークの強化。

■ルール
①質より量:量が質を生むと考える(数で勝負する。量の中から質の良いものが生まれる。 )
②自由奔放:テーマに関係すれば何でもOK (奔放な発想を歓迎し、とっぴな意見でもかまわない)
③批判厳禁:批判すると量が減る(どんな意見が出てきても、それを批判してはいけない)
④結合改善:他人の意見に便乗して発展する(出てきたアイデアを結合し、改善して、さらに発展させる)

(引用、ここまで)


 確かに似ていますね。
 批判せずに自由に意見を言い合うという事が、思考を深めていくコツなのかもしれませんね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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