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サイアミディン

やせ型の人はオーバーヒートしやすい

甲状腺機能の働きについて、医学生向け参考書の「STEP」で復習していると、

次のような記載があることに気付きました。



STEP内科〈3〉代謝・内分泌 (Step series) 単行本 – 2002/11
高橋 茂樹 (著),‎ 板垣 英二 (監修)

(以下、p170より引用)

e)代謝系への作用

第一に、糖質の腸管からの吸収速度を早めるので、

甲状腺ホルモンの過剰状態では、一過性の高インスリン血症によって食後性高血糖を来すことがあります(OGTTでは、oxyhyperglycemiaとなります)。

第二に、LDL受容体の増産体制を強化するので、血中のコレステロールはどんどんと末梢組織に吸い込まれていきます。

このために、甲状腺ホルモンは血清コレステロールを低下させます。

第三に、蛋白異化作用があるので、過剰状態では前述のように筋萎縮や筋力低下を引き起こします。

(引用、ここまで)



甲状腺ホルモンが代謝にもたらす3つの影響を紹介しましたが、

こういう影響が過剰にもたらされないように、ストレスホルモンによるT4からT3への変換抑制というブレーキ機構が働いているというのは以前も述べた通りです。

3つの影響の中で、私が特に注目するのは1つ目の食後性低血糖です。

引用文に書かれているoxyhyperglycemiaというのは、「急峻高血糖」と言って、

糖質の経口負荷後、初期に著明に血糖が上昇し、続いて急速に血糖が低下し低血糖をきたすジェットコースター型の血糖変動のことを指します。

一般に、やせ型の人に多く見られる機能性低血糖症という病態の中にはこのパターンが多く含まれていますし、

胃全摘術後のダンピング症候群でもこのoxyhyperglycemiaが起こっています。

それ故、私は今までやせ型の人に機能性低血糖症が起こりやすい理由を、

消化吸収機能が低下しており、まるで胃がないかの如く、胃が本来の働きを果たさないために、

胃で食物を溜め込みゆっくり十二指腸へと移動させることなく、胃を素通りすることで小腸で糖質が一気に吸収され、

oxyhyperglycemiaが起こることが原因だと考えていました。

ところが、今回のSTEPの引用文を改めて踏まえてみますと、

やせ型の人はLow T3症候群のブレーキをうまく作動させ切れないために、

一時的な甲状腺機能亢進症をきたしていることも機能性低血糖症を起こしやすくする一因ではないかと考えた次第です。

やせ型の人は糖新生能が低い、オートファジーがうまく働かないという点に加えて、

それ以上やせることに不安や恐怖を感じやすいという観点からも、

糖質制限+ストレスマネジメントを行いにくい状況に置かれていると私は考える次第です。

だからと言って糖質過剰+ストレス過剰となってしまえば、

おそらくその状態で人生の苦難を乗り越えていくのは難しいのではないでしょうか。

ストレスブレーキをかけるのが上手でないやせ型体質の人は、

栄養素の補充という観点だけではなく、人一倍ストレスマネジメントの観点が必要な人達ではないかと私は思います。

こうなるとやせ型体質の人で健康長寿を成し遂げた人に俄然興味が出てきます。

その人はおそらく素晴らしいストレスマネジメント術を備えているのではないかと想像する次第です。


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
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※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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