サイアミディン

着実に思考を積み重ねる

私はリアルタイムに人と議論するのは苦手ですが、

一人の時間でじっくり考えるのは割と好きな方です。

なぜならば誰にも邪魔をされずに思考実験を着々と進めることができるからかもしれません。

以前にも記事にしましたが、人と議論をする時に相手が思考の未成熟者なら自分の理論に飲み込まれるだけですし、

思考の成熟者と議論すればその考えに至った背景も立場も環境もすべて異なるために、

正直言って完全なる意見の一致に至ることは珍いです。
現実世界でらこれ以上自分の意見を主張しても意味なし感を私が感じて妥協してしまう事もしばしばです。

そんな中、たがしゅうブログの記事を書き続けるという作業は、

自分の思考の樹を育てるのにもってこいの場になっていると私は考えています。

日々のブログ記事を執筆をしている際に、

ふと過去に書いた記事を思い出して、「あれ、今回の記事はあの時の記事に通じる話だな」と気が付き、

その過去記事とリンクさせたりする作業は、私がブログを書くときによく行っている作業です。

この際、たまたま得られた共通点なのか、それとも他の事象にも通じる普遍的な共通構造なのかということについて、

誰の価値観にも邪魔されずに、自分が今まで育ててきた思考の樹という名の価値観でじっくりと検証することができます。

その結果、普遍的な共通構造だという結論に行き着いた場合、

その共通構造を別の事柄に当てはめ応用して考えることで、また新たなブログ記事を書くことができたりします。

そしていろいろな事象に当てはめて考えることができる自分の考えの妥当性に自信を持つことができるようになります。

具体的に言えば、糖質制限、湿潤療法、シャンプーレス、認知症のごく少量薬物投与法などに共通する構造として、

「身体にとって不要なものを取り除くことによって、身体本来の姿を取り戻すことができる」という原理があります。

これに気付くことによって糖質制限の妥当性が自分の中でより強固なものになります。

一方でビタミンやミネラルの大量補充療法はこの原理から離れることになるため、

その妥当性については慎重に判断しようという姿勢になりますし、

仮に効果があったとしても、それは人体に歪みを与え、長い目で見て正常の機能を発揮できなくなる可能性についても見通すことができるようになります。

こうした思考の蓄積も、例えばビタミン大量療法で恩恵を受けているという人と議論しても、決してひとところにまとまることはありません。

それならば自分の理論で、理詰めで相手をうならせればいいと思われるかもしれませんが、

残念ながら私には現場でさっと知識を披露できるほどの瞬発力はないようです。

だから私は一人でじっくりと思考を積み重ねていく作業の方が向いています。

そして積み重ねていった結果出来上がってきた思考の樹を自分の場で公開し、

その妥当性について世間の反応を受け止め、また思考を積み重ねてていく。淡々と、淡々と。

それが私のブログスタイルです。


たがしゅう
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車の両輪

今回も大変興味深い記事でした。

>具体的に言えば、糖質制限、湿潤療法、シャン
>プーレス、認知症のごく少量薬物投与法などに
>共通する構造として、
>
>「身体にとって不要なものを取り除くことによっ
>て、身体本来の姿を取り戻すことができる」という
>原理があります。
>
>これに気付くことによって糖質制限の妥当性が
>自分の中でより強固なものになります。
>
>一方でビタミンやミネラルの大量補充療法はこの
>原理から離れることになるため、

過剰な糖質摂取を控えることで正常化しやすいのは、もともと糖質・脂質・タンパク質等を含め、摂食・消化・吸収ができている方のように思います。

痩せている方もしくは過剰なダイエット・偏食で質的な栄養不足に輪をかけている方の場合や、糖質制限と同時に脂質もしくはカロリーを制限する誤りに陥ってしまった方の場合は、「身体にとって不要なものを取り除く」だけでは足りないのかもしれません。

人類の歴史で極端に食べられない環境はあったとしても、自らの意思で食べない状態を続ける(ダイエット・痩身)というのが自然の姿だったようには見えません。

なので、「質的栄養を充足させる」という行為は必要と考えています。

低T3症候群に始まるお話は、人により「身体にとって不要なものを取り除く」という行為と「身体に必要な(もしくは過去の摂食歴で決定的に不足している)栄養を充足する」という行為の両輪を、どうハンドルしていくか、ということなのだと解釈しています。

1日2食の力士が太れるのは、それだけの消化・吸収能力があるということで、痩せている女性や消化・吸収に問題がある方々に通用することではなく、体質によりこまめな摂食指導が必要な場合もある、ということのように見えます。

お書きになった全体の流れから思ったことは、そういう体質を考慮に入れない議論は建設的でないし、自分の体質に沿った理論に流れやすい(思考の樹にも制約がある)けど、それが当てはまらない方もおり、それぞれの守備範囲や方法論はもう少し明確にする必要がある、ということだと思います。

得意・不得意があるというだけのことで、対立することではないですね。

先生のおっしゃる「普遍的な共通構造」を生化学や臨床を参考にして共有していくことなのだと思います。

今回も長々と申し訳ございません。

Re: 車の両輪

緑楽 さん

 コメント頂き有難うございます。

> なので、「質的栄養を充足させる」という行為は必要と考えています。

 それを人為的に行うか、自然のメカニズムで行うかのアプローチで意見が分かれる所です。

 縁楽さんの考える車の両輪は「有害物の減量・排除」と「必要物の増量・充足」ということなのではないかと思いますが、
 それは両方とも身体的・物理的な視点での両輪だと思います。

 私はもう少し大きく両輪を捉えていて、「身体面・物理面」と「精神面・機能面」の2つの視点が重要と考えています。

 なぜそう考える事が大事かと言いますと、有害物の排除と必要物の充足だけで解決しない患者さんが確かに存在しているからです。そして身体面だけに注目、精神症状さえ身体面で全て説明できるという機械論的な発想で考えると、精神面からの、見えないものに対するアプローチが疎かになる危険性があるからです。

 なぜやせ型の人が栄養を消化吸収しにくい体質になったのかという理由を考える場合に、栄養素が足りなかったからだけでは矛盾を生じてしまいます。糖質過剰、ストレスに対してのマネジメントが不足していたからではないかという考えに至れば、いくら栄養素を必要十分量補充した所で根本的解決にならないという事がわかります。

 御指摘のように私が作ることのできる思考の樹には限界があると思います。私は肥満体質の私の視点でしか世界を見ることができないからです。そういうものだと理解した上で、各人が自分だけの思考の樹を育てていく必要があると思っています。その作業を怠る人はいろいろな他人の意見に振り回されても然るべきだと思います。

No title

早速のご返信ありがとうございます。

> 縁楽さんの考える車の両輪は「有害物の減量・
>排除」と「必要物の増量・充足」ということなので
>はないかと思いますが、
> それは両方とも身体的・物理的な視点での両
>輪だと思います。

おっしゃる通り、私が言及した車の両輪は「身体的・物理的な視点」もしくは「栄養学」的な視点と思います。

ビタミンB群の不足や鉄分不足による精神的症状というのも環境要因と絡み合って起こることもあると思うので、栄養学的アプローチで「変数を変える」とか「レバレッジを効かせる」という身体と精神の相関関係はあるのではないかと、自分の体験からも考えております。

> 私はもう少し大きく両輪を捉えていて、「身体
>面・物理面」と「精神面・機能面」の2つの視点が
>重要と考えています。

この点に全く異論はありません。
ストレスマネジメントも「自己責任」の及ぶ場所と「周囲の環境要因」の両輪があると感じております。しばしばハラスメントやいじめの中に「自己責任論」を織り交ぜ「構造的暴力」を見えないようにしているケースもあるので、ストレスマネジメントだけで対応するよりも「中動態的」な視点も必要なのではないかと考えております。

どちらにしても個人のハンドルできる範囲においては、栄養充足による心身の安定と思考法(ストレスマネジメント)による心身の安定の両方が必要であることは大いに同感です。

Re: No title

緑楽 さん

 コメント頂き有難うございます。

 近年、栄養療法に偏った視点、操作的に栄養を大量補充しすべての問題を解決しようとする視点で議論される場面を多く目にするようになってきたので、私なりの警鐘を鳴らさせて頂いた次第です。

 御指摘のようにバランスを意識した対応が重要だと私も思います。

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

>一方でビタミンやミネラルの大量補充療法は
この原理から離れることになる


ビタミンDを大量補充し、免疫を強化、
よってアレルギー疾患を改善させる。

糖質過多な現代の食、
紫外線を避けたがる意識の環境では、
ビタミンDの量が、くる病は防げても、
免疫を強化するには足りていないと、
「オーソモレキュラー」の本で読みました。

だから、ビタミンDを大量補充になるのですよね。
なんだか不自然な気がしましたが、

1つ疑問が湧きました。

狩猟・採集をしていた時代の、ビタミンDの摂取量です。
その頃は、日焼け止めも無く、主に野外活動だったでしょう。
ヒトの体内ではビタミンDをたくさん合成していたでしょう。
肉食の時代なので、肉を食べる時に肝臓もしっかり食べていたとします。
そうであれば、現代より、はるかに多くのビタミンDを摂取し、
利用していたのかなと思います。

ビタミンDの大量補充ではなく、
狩猟・採集をしていた時代と同じ量のビタミンDを摂る。

狩猟・採集をしていた時代の糖質量、ビタミンDの摂取量にして、
ヒト本来の身体の機能が正常化するというのなら、
納得できる気がしました。

Re: No title

Etsuko さん

 コメント頂き有難うございます。

> 1つ疑問が湧きました。
> 狩猟・採集をしていた時代の、ビタミンDの摂取量です。
> 現代より、はるかに多くのビタミンDを摂取し、
> 利用していたのかなと思います。


 その理屈はよく聞きますし、実際にビタミン剤が効果も出すこともあり、一定の説得力があるように思います。
 ただ問題は、「外部からの大量のビタミン剤の投与状態がはたして本当に最適量かどうか」ということです。

 私達の身体の代謝というのは、学べば学ぶほど精巧なシステムが構築されているという事に気付かされます。
 単一の物質を外部から投与して何か良い変化が起こってくれる程、単純な仕組みにはなっていないのです。
 その外部物質がもともと人体に存在しているものである場合、確かに外部投与が一時的な代謝賦活となる事はありますが、
 その外部投与が最適状態でない場合、外部投与の継続がいつか歪みを生じてしまいます。

 例えば、ステロイドホルモンは人体が合成する物質で薬として投与すれば抗炎症、抗浮腫など目覚ましい症状改善効果をもたらしますが、だからといってその大量投与状態を続けていれば様々な副作用がもたらされるという事はよく知られていることです。

 精巧な身体の代謝の調整は、基本的に身体に任せておいた方がよい、とするのが私の基本的考え方です。
 だから「病的状態から正常状態に復帰させるのに大量のビタミン・ミネラル処方が必要である」とするオーソモレキュラーの考え方には少し懐疑的スタンスでおります。
 
 糖質制限状態では、糖質摂取状態に比べて代謝される物質の必要量の幅が大きくなる印象を持っています。
 分かりやすく言えば、「量を多く摂り過ぎても、少なく摂り過ぎても、大抵の場合は身体が何とかしてくれる」ということです。そのためには身体本来の働きが営まれているという事が大前提で、そのための秘訣が糖質制限+ストレスマネジメントだと私は考えています。そのようにしていれば先史時代に比べて若干ビタミンの摂取量が落ちていたとしても、身体が見事に適応してくれるということです。

河野メソッドも両輪の1つ

上記のたがしゅう先生のご意見を伺って頭の中に思い浮かべたのは、コウノメソッドでたびたび触れられる「少量の薬物治療(家族天秤法)」と「介護」は車の両輪、ということと、ナンスタディです。

認知症の治療は、被治療者に対する少量の薬物治療と同時に、家族をはじめとする被治療者に関係する方々が、
いかに被治療者の様子をよく観るかという、関わりとリテラシーの比重が大きいように思います。

また、ナンスタデイでは本来アルツハイマーの症状を呈しても不思議ではない脳の変化があるにもかかわらず、発症の様子なく生活の質を保っている修道女の方もおられた、というものだったと記憶しております。

被治療者の性格・介護者との関係、医師との関わりなどが大きく影響するのだと思いました。

Re: 河野メソッドも両輪の1つ

緑楽 さん

コメント頂き有難うございます。

> コウノメソッドでたびたび触れられる「少量の薬物治療(家族天秤法)」と「介護」は車の両輪、ということ

そうですね。
「害の排除」と「益の充足」という両輪と一般化することもできるかもしれませんね。

ナンスタディは「認知予備能」、即ち普段から脳をしっかり使って認知症を予防することの重要性を伺い知ることができます。
私流に言えばストレスマネジメントが認知症を予防する、といったところです。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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