サイアミディン

糖質酔いはなぜ起こるか

鈴木功先生が提唱される間欠的ファスティング+糖質選択の理論では、

肥満の原因は体重のセットポイントを上げるインスリン抵抗性、及びビタミンやミネラルなどの微量栄養素の不足にも関わらず脳においしいと誤認させる精製炭水化物や加工食品であると指摘され、

インスリン抵抗性を改善させるために低インスリン状態となるファスティングを間欠的に取り入れることを勧められています。

ただ食事に関しては精製炭水化物や加工食品の代わりに食べるべきものは、栄養密度の高い野菜や豆類、雑穀などの糖質を含む食品を摂取することを推奨されています。

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鈴木 功 (著),‎ 鈴木 睦美 (その他)


一時的に糖質制限食にしてもよいが長期的には続けるべきではないというのが鈴木先生のご意見です。
精製炭水化物のような人為的な糖質ではなく、自然の構造を保ちビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカルなど他の栄養も豊富に含んだ良質の糖質を摂るべきということで「糖質選択」というわけですが、

なぜ糖質制限ではなく糖質選択にすべきだと考えるのかに関しては鈴木先生は次のように述べられています。

(以下、p50より引用)

厳格な糖質制限は、糖質中毒の治療として非常に有効です。

しかし今度は体が脂肪酸を主なエネルギー源とする状態のほうに過度に適応した状態が続くことになりますから、

逆に糖質をとったときにはすぐに対応しきれない状態になり、血糖値が少しの糖質で上がりやすくなってしまいます。

このとき、いわゆる糖質酔いという現象、頭がぼーっとするなどの不快感が起こりやすくなります。

すぐに対応しきれないのは、脳に優先的に糖質を回すため、体のほうはインスリン感受性を下げて糖質を利用しない節約モードになっているからです(これは生理的インスリン抵抗性ともいいます)。

この糖質代謝が苦手な状態を継続することは、たまにとった糖質で急激な血糖スパイク、インスリンスパイクを起こしやすくなってしまいますから、かえって不安定な状態なのです。

また厳密な糖質制限をゆるめたときでも体重の増加はグリコーゲンの補充を伴うので変動が大きくなります。

そのことを知っていないと体重が増加するショックに耐えきれず、挫折してリバウンドする原因ともなりがちです。

この生理的インスリン抵抗性は普通、通常量の糖質(1食あたり60〜80g)をとれば数日で速やかに改善します。

(引用、ここまで)



鈴木先生の御主張の要点は、

厳格な糖質制限を長く続けていると脂質代謝に過剰適応し、

糖代謝が錆びついて久しぶりの糖質摂取に対応出来ず糖質酔いという厄介な現象を起こしてしまう、

だからそんな代謝を偏らせる不自然な食事療法を長く続けるべきではない、ということではないかと思います。

確かに久しぶりの糖質摂取による糖質酔いという現象、確かに認められる人は一定の確率で存在するようです。

しかし、この現象は糖質制限実践者に普遍的に認められる現象ではありません。

例えばこの私です。私は約6年の糖質制限実践者ですが、5年目の途中で行いこのブログでも公開した人体実験シリーズ

その中の「たがしゅうの75gブドウ糖負荷試験」、あれは随分久しぶりの糖質摂取です。

糖質酔いを起こすという人は比較的少量を糖質制限基準よりオーバーしただけで頭痛や吐き気、ぼ〜っとする感じなどを自覚されてしまうようですが、

私の場合は75gという大量糖質を久しぶりに摂取したにも関わらず、

血糖値はほとんど上がりませんでしたし、糖質酔いと呼ばれる症状は全く自覚しませんでした。「意外と何も起こらなかった」というのが正直な感想でした。

その代わりインスリンはドバッと出ています。つまり肥満体質の私は久しぶりの糖質摂取でも適切にインスリンを分泌することで糖質酔い現象を起こさずに済んでいます。なぜでしょうか?

実はその実験の少し前に私が行った実験で、「ササミ負荷試験」というほぼ純タンパク質の食品でも私はインスリンが結構分泌されるという事実がわかっています。

それを踏まえると、推測ではありますが、私は普段は糖質制限で脂質代謝をメインに使いつつも、

糖質制限実践中にしっかり摂るタンパク質でインスリン分泌刺激は繰り返されているため機能が錆びついておらず、

大量糖質摂取による緊急のインスリン出動要請にも即座に対応することができ、糖質酔いを起こさなくて済んでいるのではないかと思います。

そう考えると、肥満体質かやせ体質かで糖質酔いの現象が起こるかどうかは変わってくるという可能性が見えてきますが、

同じホモ・サピエンスで肥満体質であろうとやせ体質であろうと、本質的に健康を保つ原理は共通するはずだと私は考えます。

一方で糖質酔いは明らかによろしくない現象です。それでは次になぜやせ型体質の人に糖質酔いが起こりやすいのかという理由について考えてみます。

これは「女性に糖質制限不適応者が多い理由」での考察と一部重複しますが、

まず筋肉量が少ないことは糖新生の働きが弱くなることにつながります。

筋肉が少ないと、運動により分枝鎖アミノ酸が骨格筋で異化され,生成されるグルタミン酸から、アラニンが生成され、肝臓での糖新生を促進させるという働きが行いにくくなるからです。

糖新生は健康的な糖質制限状態を保つには大事な要素です。

糖質制限をよく勉強している人なら知っていると思いますが、糖新生ができなくなる肝硬変の人は糖質制限をやってはいけない禁忌に当たります

やせていて筋肉量の少ない状態はそれの軽い版のような状態とも言えます。

また糖質酔いという現象の病態は、「機能性低血糖症」の病態を考えると分かりやすくなります。

機能性低血糖症は胃下垂などの消化吸収機能不良者や胃切除後のような消化吸収機能が一部欠損している状況の人が、

自分の消化吸収能に見合わないほど多くの糖質を摂取してしまったときに、

胃でのワンクッションなしに大量の糖質が小腸へと入り込み、

あまりに緊急の大量糖質摂取にインスリンの緊急出動要請が対応しきれずに、

糖質量に応じたインスリン追加分泌のタイミングがずれて、結果的に急激な血糖上昇とそれに引き続いての低血糖症、あるいはデコボコ型の血糖変動を呈したりすることにつながってしまうわけです。

ここでやせ型の人の糖新生能が低いという点も増悪因子として効いてきて、本来なら糖新生により起こさなくて済むはずの低血糖が起こってしまうわけです。

この場合、消化吸収機能が低下していることが機能性低血糖症の病態の主因ですが、

糖質酔いの場合は、肥満体質に比べてタンパク質の消化吸収能が低いやせ型体質の人は、

糖質摂取をしていないとインスリン分泌が鍛えられず、久しぶりの糖質摂取でのインスリン緊急出動に対応することができない
ため、

たいした糖質量でなくてもインスリンがよいタイミングで分泌されず、機能性低血糖症と同じような病態が起こり、糖質酔いと呼ばれる自覚症状の変化が観察されているのではないかと思います。


以上を踏まえて、もう一度鈴木先生のコメントを振り返ります。

鈴木先生は糖質酔いの原因を「糖質利用の臓器別優先性により、脳だけは糖質を使えるけど、身体は糖質を使えなくなるために生じる『生理的インスリン抵抗性』のせいだ」とされていますが、

この生理的インスリン抵抗性というのが、あまり一般的でない概念ですし、ちょっと恣意的な概念にさえ私には思えます。

なぜならば赤血球以外のすべての臓器や組織はブドウ糖もケトン体も両方利用することが出来るわけで、

糖質摂取が久しぶりであろうとなかろうと、大量に糖質が入る状況ならば、どちらかに偏ることなく脳も全身も両方ともブドウ糖を主たるエネルギーとして使ってしかるべきだと思うからです。

従って私が考える糖質酔いの原因は「消化吸収機能の低下及びそれに伴う筋肉量の減少」だと考えます。

ではなぜ消化吸収機能の低下が起こったのでしょうか。


人類は皆、多少の個人差はあれど、胎児期にはケトン体優位であることは宗田先生グループの研究で明らかになりました

そこに母親から引き継いだ遺伝素因や腸内細菌叢という変え難い要素はあるにしても、

成長していく中で現代ではもはやほとんどすべての人が曝されるであろう環境因子が糖質頻回過剰摂取です。

その刺激に対し、過剰適応する要素を持つ人は肥満するけれども、消耗疲弊する要素を持つ人は太らない代わりに消化吸収機能が低下していきやせ型非筋肉質へと移行していくのではないかと私は思うわけです。

過剰適応タイプは太り続けるものの脂質代謝はまだ消耗疲弊せず消化吸収機能は保たれますが、

消耗疲弊タイプは繰り返す糖質過剰摂取で次第に太れなくなり、糖代謝が過剰駆動され、不使用の脂質代謝が消耗疲弊してしまっているのではないかと、

即ち、元を正せば糖質過剰摂取のための消化吸収機能低下なのではないかと私は推察します。

だから、もはや錆び付ききってしまった脂質代謝システムを再び動かそうとメンテナンスするのは確かに大変なので、

やせ型体質の人にとって駆動し慣れている糖代謝がこれ以上オーバーヒートしないように、良質の糖質や運動などを組み合わせながら糖代謝システム大事に使っていく糖質選択の考え方は確かに一つの方法ではあると思いますが、

ケトン体の安全幅に比べて血糖値の安全幅は狭いので、

きちんと食事を意識するだけでなく十分に運動するなど上手にコントロールしないと健康を維持し続けるのはなかなか難しいのではないかと個人的には思います。


たがしゅう
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No title

先生ご自身のデータから導き出された「普段は糖質制限で脂質代謝をメインに使いつつも、しっかり摂るタンパク質でインスリン分泌刺激は繰り返されているため機能が錆びついておらず」の明解な考察に痺れました。

私は生粋の2型糖尿人ですが、大量(と言っても30グラム負荷ですが)糖質摂取によっても糖質酔いは感じません。血糖値の急上昇のみで急降下が起きないからかも知れません。

今日のブログ内容なるほどと思いました。糖質制限3年目です。胃が弱く、bmiがようやく19になりました。1年前から運動量の多い生活となり最近山歩きも始めました。食欲が増加、精神的にも良好です。痩せ型・消化能力難ありのタイプは、ご指摘のように、糖質制限と軽い運動をセットで考えた方がいいかもしれません。

どちらも尊い

鈴木先生のブログもよく読みます。併設されている糖質制限メニューの頂けるレストランにもいつか行ってみたいと思っています。生物多様性の世界において、様々な試行錯誤と取捨選択が行われて行く中で、糖質制限周辺についても様々なパターンが編み出されて行くことは未来への宝物だと感じます。鈴木先生の方法論も田頭先生の方法論もどちらも尊く、私個人はこれより先、糖質0に近づける方向で進みますが、糖質制限によって糖尿病だけでなく様々な身体状況の明らかな改善を実感している身としては、全ての糖質制限推進医師のデータの積み上げによって、一日でも早く「糖尿病治療としての糖質制限が一般的な治療となって合併症等で苦しむ人がいなくなる日」が来てくれたらいいなと心から思います。
私としては、ダイエット目的の方法論としての糖質制限よりも糖尿病撲滅の為の方法論としての糖質制限を優先したいです。

Re: No title

tama さん

 コメント頂き有難うございます。

> 私は生粋の2型糖尿人ですが、大量(と言っても30グラム負荷ですが)糖質摂取によっても糖質酔いは感じません。血糖値の急上昇のみで急降下が起きないからかも知れません。

 その御経験を踏まえますと、糖質酔いの症状は血糖の上昇そのものではなく、やはりその後血糖値が下がり過ぎる事に由来しているように思えますね。

Re: タイトルなし

T さん

 コメント頂き有難うございます。

> 痩せ型・消化能力難ありのタイプは、ご指摘のように、糖質制限と軽い運動をセットで考えた方がいいかもしれません。

 そうですね。
 錆びついた脂質代謝を使うのを諦めて、オーバーヒートしない程度に運動も組み合わせつつ糖代謝をメインに使うか、
 それとも時間をかけて糖代謝から脂質代謝メインの代謝へと整えていくか、大きく二つの方法論になってくると思います。

 どちらにしても筋肉量を増やす方が生存に有利になるので、特に蛋白質はしっかり確保し適度な運動を組み合わせるのが望ましいと私は考えます。

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

胃がんで、胃を一部、摘出された方が、
「ダンピング症候群」で苦労されているのを知っています。
まさに、糖質酔い、機能性低血糖症の症状です。

全摘ではないのですが、残された胃の形が、
縦にほぼ真っすぐなので、食べ物が滞在せず、
一気に小腸へ送られます。
急な血糖値の上昇で、インスリンが出て、
血糖値が急降下し、機能性低血糖症の症状が出ます。

参考までにですが・・・
江部先生の御著書、ブログで知りました。
ダンピング症候群が糖質制限で軽減できる可能性についての記事です。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1342.html

痩せている人に、糖質酔いが多い事に関して言えば、
胃の形が関係している可能性もゼロでは無い気がします。
痩せている人は、胃下垂の人が多いといわれます。
胃の形故に、ダンピング症候群に似た状態になるのではないか。
糖質酔いの、数ある原因の1つとして、
考えて良いのではないかと思いました。

Re: どちらも尊い

m.kurimoto さん

 コメント頂き有難うございます。

 鈴木先生の御意見は、「とにかく糖質制限をしていればなんだってよい」というような安易な風潮に待ったをかけるという意味で意義深いものであったと私も思います。また引き続きいろいろと考えていきたいと思います。

Re: No title

Etsuko さん

 コメント頂き有難うございます。

> 痩せている人に、糖質酔いが多い事に関して言えば、
> 胃の形が関係している可能性もゼロでは無い気がします。
> 痩せている人は、胃下垂の人が多いといわれます。
> 胃の形故に、ダンピング症候群に似た状態になるのではないか。


 実はそれは私もそう考えています。

 胃下垂は消化吸収機能低下の傍証だと思っています。
 消化吸収機能が低ければ、なかなか消化されない食塊の重みが胃を押し下げる物理的刺激が繰り返されます。
 その結果、胃下垂状態を呈していると考えれば、「胃下垂=消化吸収機能低下」の構図を納得することができるからです。

 客観的には胃の検査でバリウム検査が頻用されていた少し前の時代には確認することができましたが、
 最近は内視鏡が主流なのでその辺りが見えにくくなってきました。
 しかし人によっては胃下垂の人は食べた後本当に下っ腹のあたりが膨らむので、検査しなくても自分が胃下垂だという事を認識できるという事もあるそうです。

素朴な疑問

色々と代謝の回路を分かりやすく説明してもらい興味深く大変参考になっています。ただ一つ表現が曖昧な箇所があり、たがしゅう先生は代謝が良く錆びついていると表現しますが、錆びついてる原因が実際には何がそこで起こっているのかが良く分かりません。なぜ代謝がそこですぐに行われないのかが謎です。普段使ってないからすぐに対応出来ないと言う理由は結果は正しいと思いますが、理屈にはなってないと思います。すぐに対応されない過程が謎です。 私の意見は結論ありきですが、そこには腸内細菌の可能性が大きく関わっている気がします。腸内細菌が、その代謝に対応してないからなのではと思うのですが、どう思われるでしょうか? 腸内細菌 遺伝子で検索すると腸内細菌の持つ遺伝子の数は圧倒的に人間の持つ遺伝子の数よりも多く、代謝にも多く関わっているようです。 僕としては遺伝子の差で人間の代謝はそんなに変わらないと思うのです。そんなに太りやすいとか、痩せやすいとかは人の遺伝子の差なのかが疑問です。明らかに遺伝子に違いがある人はもっとわかりやすい違いが出てるような気がします。生まれながらにある物質を生成できないとか。その代謝が出来ないなど。

Re: 素朴な疑問

なおき さん

 コメント頂き有難うございます。

> たがしゅう先生は代謝が良く錆びついていると表現しますが、錆びついてる原因が実際には何がそこで起こっているのかが良く分かりません。

 実はその点は生命反応を生化学的反応として捉える発想の最大の落とし穴だと私は思っています。
 要するにそこに酵素と基質、あるいは触媒さえあれば化学反応(代謝)ははたして必ず起こると言えるのか、ということです。

 詳細な化学的理論に関しては正直言って私も勉強不足でわかりません。
 ただ、例えば今まさに生命の最期の時間を終えようとしている人に、いくら生化学的に正しいからと言って大量のビタミンやミネラルを投与して代謝酵素反応が惹起され生命活動が復活するのかと言えば決してそんなことはないという事を私は経験的に知っています。そこには体温、pH、血流、物質どうしの疎密さ、そしておそらくは目に見えない要因まで様々な要素が組み合わさって化学反応の可逆性、不可逆性のバランスが決定されているように思います。

 少しニュアンスが変わってしまうかもしれませんが、「代謝が錆びついている」とは「代謝反応の可逆性が弱まっている」と言い換える事ができるかもしれません。裏を返せば「不可逆性が強まっている」、そう考えると代謝が錆びついている人には不可逆的な要素があっていくら頑張っても徒労に帰すというのか、という質問も出てきそうですが、どこまでが可逆的で不可逆的なのかはやってみないとわからないという側面があると思います。

 2014年7月7日(月)の本ブログ記事
 「『遺伝』であきらめない」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-326.html
 も御参照下さい。

実生活は混在している

「なんちゃって」なスーパー糖質制限を続けて5年以上が経ちます。

「なんちゃって」なので、ハレの日でも平日でも、食べたければガンガン糖質を摂ってしまうし、必要がなければ肉系が中心の食事です。サプリも摂ります。

体重減らそうと頑張っていた時でもそうでしたが、「1回の食事で20g以内に抑えればいいんでしょ」と普通にチョコレートを食べてました。

この辺の適当さが自分には合っていたと思いますが、「糖質は限りなくゼロ」「いわれたことはちゃんと守る」「きちんと数字で把握したい」という方は多いのですね。

江部先生の病院のスーパー糖質制限でも1回の食事量の12%は糖質ですけど、実際の生活で、糖質を「制限」か「選択」かはすっぱりと切り分けられるわけもなく、混在していると思います。

江部先生は「糖尿病」「耐糖能異常」の方へのケアと食習慣の改善がご自分の「主戦場」ととらえていらっしゃるようにも見えますが、痩せている方の糖質制限など、様々な体質の方にも目配りはされているように見えます。

ダイエット・摂食障害・痩せの体質の方が糖質とどう向き合うかをそれぞれ議論されているようにも思いますが、江部先生のブログにザクッと書いてあるし、オーソモレキュラーの知見(厳格な糖質制限は必要ない)はネットで調べれば行き当たります。

人間も生き物である以上、生老病死は避けられないので、「アンチエイジング」とか言われても「死なないわけではないでしょ」という感想しかなく、ならば「自分が満足できるQOLの範囲で何を食べるか選択するのは医者でも世間の常識でもなく自分」であると思います。

バランス感覚が分からない、もしくは取り戻せない方にバランスのとり方を示すために、いろいろご苦労をされているのだなぁ、と思いました。

自分に合った食事のしかたを知るということは、自分を大事にすることなのだなぁ、と改めて感じます。

Re: 実生活は混在している

緑楽 さん

 コメント頂き有難うございます。

 江部先生をはじめ糖質制限推進派医師にとって難しいのは御指摘の通り、ヒトの多様性への対応です。

 よかれと思って行う情報発信も表現に気を付けていないと誤解して受け止められて逆恨みを買うなどという悲劇も起こらないとも限りません。またそうしたトラブルはそもそも自己責任で行うという原則が相手に伝わっていないがために起こり得ることです。

 江部先生のスタンスはそうした中で最もバランスのとれた情報発信をなさっていると私には感じられ、おおいに参考にさせて頂いている次第です。

No title

糖質制限1年半のやせ型の膠原病患者です。薬は一切飲んでいません。
徹底する性格なので、糖質を0に近づけ魚や鶏とグラスフェットバターやココナッツオイルと野菜を中心にし、加工食品や植物油等を一切とらない食事を1年していました。ケトン体は爆上げしていましたが、常にエネルギー不足で階段で足が上がりませんでした。完全に脂質代謝の錆びついたタイプだと思います。唾液も出なくなり、シェーグレンの疑いも言われました。半年前から糖質の多い野菜をOKにすると、少し動きやすくなり、涙と唾液も戻りました。しかし、糖質による不調も再開しました。(目の異変など)
脂質代謝も糖代謝も上手く利用できないので、運動・ミネラル・ビタミン・プロバイオ・プレバイオ・水素水・アーシング・テラヘルツ・サウナなどで体質改善に取り組んでいます。

「やせ型なので糖質選択しながら、運動などを続ける」というのが結論なのでしょうが、このような体質の場合、糖質量をどの程度に設定したら良いのかが悩みです。

Re: No title

まぁ さん

 コメント頂き有難うございます。

 糖質再摂取で症状改善したのなら、少なくとも糖代謝は錆びついていないと思います。

> 「やせ型なので糖質選択しながら、運動などを続ける」というのが結論なのでしょうが、このような体質の場合、糖質量をどの程度に設定したら良いのかが悩みです。

 グラムで設定せずに体調を目標にするというのが一つの考え方と思います。
 
 まずは食事前後での自分の体調の変化をよく観察することだと思います。意識をしていないと特にささいな変化は意外とスルーしてしまうものです。しかしそのささいな変化に自分がどう動くべきかのヒントが隠されています。
 その上で糖質量だけでなく、全体に気を配って食事と体調との関連を観察し、自分ルールを作っていく事が大切なのではないかと思います。脂質代謝機能低下の不可逆性が強固であれば、必ずしも脂質代謝を使う事にこだわらずに良質の糖質にも頼りながら、あるいは一度に処理できる全体量の事も意識しながら代謝をハンドリングしていく発想も大事と思います。
 
 ちなみにケトン体高値は必ずしもケトン体利用できている状況とは限りませんし、脂質代謝が錆びついている人にとっては負担にさえなる可能性があります。最近は私はケトン体の数値自体にはあまりこだわらないという考えに至っています。

No title

お忙しい中、丁寧なお返事を頂き深く感謝いたします。
体調の変化を見ながら食事を選択し、同時に肉体改善のさらなる努力をしていくことにしました。

(糖質制限で膠原病が良くなるという先生方の記事を読んだため)糖質制限への期待が大きすぎ、脂質代謝を諦められずにグラスフェットバターやココナッツオイルを摂り続けてきましたが、ほとんどエネルギーにかえられていないとしたら、ほとんどが余分でしかないですね・・・。
何を食べたらよいか分からなくなりますが、地道に自分に合った食事を探していきます。
どうもありがとうございました<m(__)m>

No title

たがしゅう先生

私も糖質酔いは感じない派です。
緑楽さんに近い考えだったりしますので、
そもそもそんなに厳格な糖質制限になっていないと思いますし、
今も暁現象ありますし糖新生力もありそうで、それも影響しているのかなと思います。

鈴木先生のおっしゃる

>すぐに対応しきれないのは、脳に優先的に糖質を回すため、体のほうはインスリン感受性を下げて糖質を利用しない節約モードになっているからです(これは生理的インスリン抵抗性ともいいます)。

には私も???です。
脳に優先的に糖質を回すとは?どのようにして?
糖質を利用しない節約モードというのも???です。
(そもそも脳の中でもグルコースを必要としているのはグレア細胞で、
 重要なニューロンは乳酸やケトン体をエネルギーとしています。)

糖質酔い?については、酒(アルコール)と同じことと思います。
たまに酒を飲むとすぐ酔う(酔いやすい)ので、それを避けるために毎日飲むようにする、
少量でも毒に慣らしておけば少し多めに摂ったときでも打たれ強くなっている、
一生酒を飲まない分けにはいかないし、どうせダメージを受けるならば、
たまに受けるダメージを小さくするために、あえて少量のダメージを毎日受け続ける、
ということと同じですね。
その害の影響が出やすいか(=アルコール)出づらいか(=糖質)の違いだけで。

長期の糖質摂取で依存度の高い人、ステレオタイプで自分で考えない人ほど、
少しの不定愁訴にも過剰に反応し、糖質制限への不安が大きくなり、
(それに糖質の中毒性がプラスして)、やめられない(やめたくない)、
やっぱり少しは摂るべきだ、と結論付けてしまうのかなと思います。

とはいえなかなか上手くいかない人は、そのように考えても仕方ないと思いますし、
上手くいかない場合の解決策が確立されている分けでもなく、難しい問題かと。
(一部の先生方は色々と試行錯誤されていますが。)

それでもそのような先生方の発する情報を元に
『脂質代謝の錆びつき』を考えますと、色んなことが見えてくると思います。

まず代謝に必要なものが体内に足りていないこと。
(ホルモン、酵素、ビタミン、ミネラル(特に鉄分)、必須栄養素(脂質、蛋白質)等。)

その足りない理由は?
意識して摂取していない、食べる量が少ない(あまり食べられない)、食べても吸収されない、
代謝に必要なものを自ら作れないこと等。

そして代謝を回す土台が弱いこと。
長年の低脂質・低たんぱく食の影響、内臓の機能低下、ホルモンや酵素を十分に作れない等。

運動をしていない(特に有酸素運動)ことも脂質代謝への影響は小さくないと思います。

そんな脂質代謝が錆びついている人に効果的と言われているものですが、
糖質制限食の少量頻回摂取や、鉄+メガビタミン(VC、VB、VE)の摂取、
たんぱく質をプロテインやアミノ酸で摂ること等。


脂質代謝を上手く回せない人は、一人で行うことはなかなか辛いことと思います。
早くたがしゅう先生のおっしゃることを理解し実践できる医師が増えてくれることを望んで止みません。

Re: No title

福助 さん

 コメント頂き有難うございます。

> たまに受けるダメージを小さくするために、あえて少量のダメージを毎日受け続ける、
> ということと同じですね。


 それは「ホルミシス効果」と呼ばれるものに発想が近いように思います。
 ホルミシスとは、何らかの有害性を持つ物理的、化学的、生物学的な要因について、有害となる量に達しない少量を用いることで逆に有益な刺激がもたらされることです。
 私流に言えば、オーバーヒートしない程度で常にある程度の機能が働き続けるアイドリング状態としておく事で、とっさの自体にも対応しやすくなるメリットが生み出される、といった所です。

> 脂質代謝が錆びついている人に効果的と言われているものですが、
> 糖質制限食の少量頻回摂取や、鉄+メガビタミン(VC、VB、VE)の摂取、
> たんぱく質をプロテインやアミノ酸で摂ること等。


 いずれもプラスの発想だと思います。
 それで万事うまく行っているのであれば何も言う事はありませんが、
 あまりうまく行っているようには思えない節も正直感じます。

 それならばもう少しマイナスの発想について検討されてもよいような気がします。
 具体的にはプチ断食を組み合わせて消化管を休ませる時間を作って少しずつ消化管の働きを元に戻していく発想です。
 絶食時間をある程度確保できれば消化管を休ませることができるだけでなく、オートファジーが働いて有害な糖化タンパク質を分解してくれる可能性もあると思うからです。

 しかし脂質代謝が錆びついている代表格のやせ型女性の方は、プチ断食でさえやせていく事に対する恐怖やストレスを感じて実践できない人が多い印象を持っています。脂質代謝錆びつきの真の原因はストレスをうまくマネジメントできない所にあるのかもしれません。

 2018年3月7日(水)の本ブログ記事
 「ストレスは糖代謝を駆動する」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1274.html
 も御参照下さい。

No title

> いずれもプラスの発想だと思います。
>  それで万事うまく行っているのであれば何も言う事はありませんが、
>  あまりうまく行っているようには思えない節も正直感じます。


プラスが上手くいっていないとのことですが、
少なくとも私は数件のHPで上手くいっている事例を多数掲載されていることを知っています。

そのようなことを行っているところが数多くあり、
思わしくない結果が出ているのであるならば寧ろ教えて頂きたいです。
(そこを追及することで更なる進展があるものと思いますので。)


糖質制限が普及してかなりの年月が経っていますが、
上手くいかない人への対処方法については確固たるものが確立されている分けではなく、
最近はそれを逆手にだから糖質制限は危険だとの論調が絶えません。
上手くいっていない人は総じて摂取エネルギーが足りていない、
だからもっと摂りましょう だけのように思います。
(LowT3症候群にしても同様です)
そこから先に進んでいかないことも今一つ普及に拍車がかからない理由の一つだと思います。

私も「上手くいかない=代謝が上手く回らない」は真だと思います。
もっと「代謝の錆びつき」というものの根っこを深く掘り下げ、
どうしたら改善できるのか、具体的な対処方法に結び付けて欲しいところです。
そんな『たがしゅうメソット』を期待しています。

Re: No title

福助 さん

 コメント頂き有難うございます。

 糖質制限+メガビタミン、鉄補充などがうまく行くのは私の印象だと過剰適応病態がメインの人までで、消耗疲弊病態メインの人にはかえって負担になる事もあるように思います。

 2017年11月5日(日)の本ブログ記事
 「過剰適応か、消耗疲弊か」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1147.html
 も御参照下さい。

 先日もちょうど、生来のやせ体型女性で今まで体調が良かった事がないという感想を持っている人が、他院で糖質制限+メガビタミンの指導を受けたけれど、一向に体調が良くならず、それでもビタミンが足りないからだと半ば強要されてサプリ代が膨大になり、通院を途中で中断せざるを得なかったという人と話をする機会がありました。メガビタミンでうまく行かない例はメガビタミン推進派からは出て来ないものです。糖質制限推進派も気を付けないといけませんが。

 消耗疲弊病態に対して私の現時点での治療選択肢は漢方です。あるいはまだ勉強中ですがホメオパシーにも可能性があるように思っています。両者の共通点は患者さんの波長とマッチした自然物を用いるということです。そこに消耗疲弊病態に対してアプローチする方法のヒントが隠されているように私は思っています。

質的栄養不足とブアメードの実験

たがしゅう先生のおっしゃる「過剰適応、消耗疲弊」はとても興味深い概念だと思います。

「質的栄養不足」という概念がいつごろから使い始められたのか、記憶があやふやですが、『ヒトはなぜ太るのか? そして、どうすればいいか』で紹介された「肥満の方の栄養失調」という事例あたりから、私は意識し始めたように思います。

「質的栄養不足」ということは「本来摂る必要のある栄養が取れていない(もしくは過剰摂取している栄養素(糖質)のために代謝等で消費せざるを得ない栄養素が欠けている)」なのだから、基本は「不足は補うもの」と今はとらえております。

ただ、人はそれぞれ異なる体質があるので、引き算(糖質制限)で調整が利くのか、足し算(欠けている栄養素を補う)で調整が利くのかは、一般化できないように思います。

なので、健康診断等で行う血液検査などで自分がどういう状態にあるのかということを、医師も説明でき、受診者も理解できるというリテラシーは必要だと考えます。
オーソモレキュラーが警戒されるのは、サプリ代とか血液検査以外の遺伝子検査等で「高いお金を払わされる」「次々と不安を作り出す」というイメージがあるからなのでしょう。

ただ、足し算や引き算だけでは説明しきれない「底が抜けた状態」という場合もありそうで、ブアメードの実験の被験者のようなマインドを変えるにはどうしたらよいのかとお考えになっている先生のお気持ちも理解したいと考えております。

結局、目の前にいる人を観る、という身も蓋もない結論に行き当たりそうです。

Re: 質的栄養不足とブアメードの実験

緑楽 さん

 コメント頂き有難うございます。

 プアメードの実験、浅学にして存じ上げませんでした。
 ネットで調べて驚きましたが、今ではおよそ考えられない実験内容です。
 しかし一方でストレスマネジメントの問題を考える上で重要な示唆を与えているようにも思えます。

 「不足を補う」だけでなく、「過剰を減じる」の発想があって初めて中庸が目指せると思います。
 漢方で言えば、補法と瀉法のバランスです。そしてそれには目に見えるものと見えないものがあるという事も忘れてはならないと私は思っています。

No title

>  糖質制限+メガビタミン、鉄補充などがうまく行くのは私の印象だと過剰適応病態がメインの人までで、消耗疲弊病態メインの人にはかえって負担になる事もあるように思います。

先生が始め何故それはプラスの発想だから良くないと否定してきたのか、上記のような方がいらしたからということなのでしょうか。
確かにその方は可哀想ですが、それは糖質制限+ビタミンが上手くいっているか否かを見極め対処する術を持たない他院の医師に問題があるわけで、糖質制限+ビタミン自体が悪いわけでは無いと思います。

例に良く出されます痩せ型女性の消耗疲弊な方は、鉄不足が殆どではないでしょうか?
鉄不足でミトコンドリアが疲弊している人が鉄分を補うことが第一と思いますが、先生はまずマイナスから始めるのでしょうか?
プラスでだめならマイナスでないと、最初からマイナスでは危険ではないでしょうか?

現実に効果を出されている方々が多くいる中で、それを否定されるのは構いませんが、もう少し理論立てて頂かないと、消耗疲弊病態ですとか漢方ですとか波長ですとか良く分からないのが正直なところです。

Re: No title

福助 さん

 率直な御意見を頂き有難うございます。

 確かに過剰適応と消耗疲弊の概念、あるいは漢方とホメオパシーの共通点などについては私自身の中でも開拓中の分野であって、理論立てての説明が十分でないことは否めません。それは真摯に受け止めたいと思います。

 私自身鉄不足が疑われる患者さんに対して鉄剤や鉄サプリを勧める機会はしばしばございます。
 ですので、何もビタミンやミネラル、微量元素補充のすべてを否定しているわけではないですし、私がやせ型消耗疲弊状態の方にいきなりマイナスから始めるという指導を行っているわけでも勿論ありません。

 申し上げたいのは、やせ型で消化吸収機能が低下している人に本人が処理できないビタミン、ミネラル、微量元素を与える事が害を与える行為となっている可能性があるということです。そして鉄欠乏は鉄不足という絶対量の問題だけではなく、鉄利用障害という機能低下の問題もあるという事を忘れてはいけません。「不足を補えば解決、解決しないのは補い方が悪い」というだけの単純な話ではないと私は思っています。

 2017年7月28日(金)の本ブログ記事
 「『鉄欠乏症』=『鉄不足』+『鉄利用障害』」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1042.html
 も御参照下さい。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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