サイアミディン

根治に導けるのは自分だけ

認知症パーキンソン病に対しての減薬治療方針は、

確かに患者さんに目覚ましい治療効果をもたらすことができます。

ただしそれは薬剤の過剰投与による副作用部分がなくなったことによる効果であって、

医師が病気を治すのに何か凄い技術を披露したわけではありません。

平たく言えば、「スタートラインに戻っただけ」

がん放置療法に通じるものがあると私は考えています。

決して病気の進行が踏みとどまったわけではなく、

根本的原因に対処しない限りはやはり緩やかに悪化していくであろうと思います。
しかし認知症やパーキンソン病においでは、

ごく少量の薬剤を使用して実際に患者の状態が良くなっている事実があるのだから、

薬は何でもかんでも悪いというのではなくて、量のさじ加減をして適量用いれば患者に利益をもたらすことができると考えられる方もいると思います。

けれど私は先日の「ドーパミン刺激療法が症状を改善しても長期予後は改善しない」というガイドライン上の文言を眺めていると、

適量だろうが過剰投与だろうが、やっていることは「根本的原因を放置したまま対症療法を行使する行為」に他ならず、

一見症状が良くなったように見えても、長期的には少しずつ歪みが大きくなって、結果的には寿命を縮めるなどの悪いことをしてしまっている可能性は否定できないように思います。

個人の寿命が分かるのは一度きりだから、寿命が縮んだかどうかは神のみぞ知るといったところですが、

そこにかまけて目先の利益を追い求める対症療法主体の治療の負の側面を私達は見過ごしてしまっている可能性があるように思います。

それでも患者さんが幸せなのであればそれでも良いのかもしれませんが、

折角だから根治に向けての意識改革を可能な限り患者さん自身に行ってもらいたいというのが私の考え方です。

従って、ごく少量の処方術を含めた対症療法アプローチは、

今の私にとって、根治に向けて意識を変えられない患者さんに対しての、やむをえず選択する次善の策という位置付けです。

それでは根治に向けて意識を改革するとはどういうことなのか、

パーキンソン病を例にとって考えてみたいと思います。


パーキンソン病の症状の始まりは便秘だと言われています。

また便秘をもたらしているのは排便がスムーズにいくよう自律的に調整している自律神経、その機能障害です。

自律神経の機能障害、自律神経失調とも言いますが、自律神経はストレスを受けた時には交感神経優位となり、その機能が揺さぶりを受けます。

適量のストレスとそれを処理できる身体システムがうまく機能していればよいですが、

何度も何度もストレスを受け、しかもそれをうまく処理できずに放置していれば、ストレスによる自律神経の撹乱刺激が繰り返されることで、

交感神経過緊張状態という名の自律神経機能の過剰適応状態となり、それさえも放置する状況が続けばやがて不可逆的な自律神経機能の消耗疲弊状態に至るという流れが想定されます。

この話の流れで考えれば、便秘とはストレスマネジメント出来ずにいて最初に自覚される身体症状と見ることが出来ますし、

パーキンソン病はストレスマネジメントできないままでいることのなれの果てという見方もできます。

そういえば女性には便秘が多いという現象も臨床現場ではよく観察されますが、

やせ型で筋肉量が少ない人がオーバーヒートしやすいという話や、やせ型女性で糖質制限に適応しにくく症状を伴うLow T3症候群を呈するという話ともリンクしてきます。

これはパーキンソン病の教科書などには全く書かれていない私の考えるパーキンソン病発症の流れで、エビデンスなどはもちろんありませんが、

もしこの仮説が正しいとすれば、ドーパミン補充やドーパミン刺激に重きをおく現在のパーキンソン病診療のスタンダードは、

やはり根本的原因に全くアプローチせずに対症療法に終始しているという構図が浮かび上がってきます。

またこの仮説が正しいのだとすれば、パーキンソン病の根本的原因に対処するためには、

パーキンソン病を治す、もしくは不可逆的な段階に至ったとしてもパーキンソン病をそれ以上悪化させないようにするためには、

誰が何をしなければならないことになるでしょうか。

「自分がストレスをマネジメントする」ことではないでしょうか。

糖質摂取により血糖値の上昇を中心としたストレス対処の代理反応が起こるという話もしましたが、

糖質過剰摂取を繰り返して自律神経が揺さぶられても自律神経障害は来ます。糖尿病に自律神経障害を合併しやすいのはその傍証です。

だから糖質制限はパーキンソン病の根治療法の一翼を担うということがわかりますが、

同時にそれだけでは十分ではないという可能性も見えてきます。

ストレスをストレスと認識しない、あるいはストレスと分かっていても対処できないその考え方や環境の中に根本的な原因があるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、その考え方や環境を変えられるのは自分しかいません。

どれだけ頭の良い医者でも、どれだけ卓越した技術を持つ医者でも、

それだけは代わってあげることは出来ないのです。

だからパーキンソン病を根治へ導けるのは、

どれだけ医療が進歩しても自分しかいないと私は思います。


たがしゅう
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潜在意識

病気になるのも自分、治すのも自分

というのは誰しも十分に理解しているはずですが、何故病気になるのでしょう?

こうなると、好きで病気になりたいと公然という人はいないでしょうが、実は潜在意識の中で病気を望んでいる場合もあるのかと見なければ解決できないのです。

母親の愛情を受けたくて、仮病する子がいるといいます。

その心理は十分に理解できますし、大人にも適用できる原理かなとも思います。

その視点で見ていくと、新たなアプローチも存在するかもしれませんね。

Re: 潜在意識

だいきち さん

コメント頂き有難うございます。

> 好きで病気になりたいと公然という人はいないでしょうが、実は潜在意識の中で病気を望んでいる場合もある

面白い着眼点ですね。
賛否両論ありそうですが、私はその発想、理解できます。
ヒントは「自分の欲求に気付かなくさせられる社会構造」です。後日記事にさせて頂きたく思います。

No title

《 好きで病気になりたいと公然という人はいないでしょうが、実は潜在意識の中で病気を望んでいる場合もある 》

大きく頷いてしまいました。
患者会等で難病の患者さん達と長年付き合ってきて思うことは、病気でいることが好きで治りたくないと(潜在的に)思っている人が結構多いということです。

また希少難病を持っているということで偉くなったような錯覚に陥っている人もいます。
これは特に大学病院において希少難病が貴重な研究対象となり、教授をはじめたくさんの医者が注目し大切にするので『偉くなったような錯覚』を増長させているのではないでしょうか。

また別なパターンですが、家族の為に病気になっている人もいると思います。
家族が『病気が治られては困る』と潜在的に思っているような感じです。当の病人は、家族の期待に応え病気を治しません。

複雑ですね〜


Re: No title

黒猫ババ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 患者会等で難病の患者さん達と長年付き合ってきて思うことは、病気でいることが好きで治りたくないと(潜在的に)思っている人が結構多い


 関係者の方からの御意見で説得力があります。
 病気、難病というものの捉え方を根本的に考え直す必要があるのかもしれません。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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