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サイアミディン

糖質摂取では根本解決にならない

やせ型体質の人が糖質制限を行っている際、久しぶりの糖質摂取によって起こるとされる頭痛、めまい、脱力など、

俗に「糖質酔い」と呼ばれる症状に対し、それは糖質制限によって糖代謝が錆びついたためであり、糖質制限を長期に継続する事はよくないとする論調があります。

この状況と非常に類似している病態として「アセトン血性嘔吐症」があります。

周期性嘔吐症とか、自家中毒症などとも呼ばれますが、この病気もやせ型のこどもに起こりやすく、なおかつ治療法がブドウ糖補給です。

いずれも起こっている現象は「機能性低血糖症」、すなわちストレスや糖質摂取などの血糖上昇イベントに対して糖新生機能の不十分さなどを背景にインスリンが効きすぎる事で起こる一過性の低血糖症状だと思います。

ちなみに自家中毒の原義は、「自分の新陳代謝で作り出した物質で中毒症状を起こす事」で尿毒症や糖尿病性昏睡などの病態も広い意味で自家中毒と呼ぶそうです。
さて、自家中毒症=周期性嘔吐症=アセトン血性嘔吐症の症状は、

確かにブドウ糖点滴を行うことで当座改善させることができますが、これは本質的な治療なのでしょうか。

2~10歳のやせ型小児に好発するこの病気は、10歳以降は筋肉量が増えて糖新生能が増すから再発しなくなるのではないかと以前私は考察しました。

という事は成人のやせ型体質による糖質酔いを起こさないようにするためにも筋肉量を増やすという事が根本解決につながるのではないでしょうか。

そもそも機能性低血糖症はやせ型の人には程度の差こそあれど、結構一般的に認められる現象です。

食事が摂れなくて無性に甘いものが欲しくなるといってイライラしている人はかなりの確率で機能性低血糖症です。そうした人は経験的に糖質摂取が自分の症状を改善させることを知っています。

しかしその糖質摂取が根本解決になっているかと言えば決してそんなことはありません。その人はまた同じようにしばらく食べられない時があったら相変わらずイライラします。

だから「1食抜くプチ断食するなんてすごい、自分にはとてもできない」という発想になりやすいのだと思います。

けれどその機能性低血糖症はそもそも糖質摂取という血糖上昇イベントを起こしているがために起こっている現象です。

機能性低血糖症を起こさないようにするためにはそもそも血糖上昇イベントをむやみに起こさないようにすること

すなわち糖質制限しか根治療法になりえないのではないかと私は思います。

それはあたかもタバコのニコチン切れの症状が再喫煙してニコチンが補充されることで改善する現象をもって、「だから喫煙は必要である」と主張しているようなものです。

ニコチン切れの症状を起こしたくなければ、禁煙するより他に方法はないのではないでしょうか。

それができないという人のみ依存物質とうまく付き合いながらうまくマネジメントするという方法を模索するべきであって、

全員に糖質摂取を勧めるような指導は、喫煙者に喫煙継続を勧めるような指導と共通構造を持っていると私は思います。

まず目指すべきは、糖質摂取で付け焼刃的に症状を改善させることではなく、

その状態を作る根本原因を排除しつつ、こじれてしまった身体をゆっくりと整えていく事ではないかと思います。

そのための努力の一つが筋肉量を増やすことだと思いますが、

ダイエット本は数あれど、やせ型の人が筋肉を増やす方法や体験談に関してはまだまだ情報が少ないように思います。

今後この方面の分野がもっと開拓されていくべきと思います。


たがしゅう
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たがしゅう先生おはようございます。1つ質問させて下さい。糖質摂取した時に、例えば20g糖質摂取して血糖値が50上がるのと、40g糖質摂取して血糖値が上がらない食べ方をして血糖値が30しか上がらないのは身体にとってはどちらがいいと思われますか!?

Re: タイトルなし

あっぴ さん

御質問頂き有難うございます。

> 糖質摂取した時に、例えば20g糖質摂取して血糖値が50上がるのと、40g糖質摂取して血糖値が上がらない食べ方をして血糖値が30しか上がらないのは身体にとってはどちらがいいと思われますか!?

それは答えに窮する御質問です。
なぜならば健康は血糖値だけで規定されているわけではないからです。

例えば血糖値が低いのは一見良さそうですが、裏で高インスリン血症の害を受けていたりします。
同じ高インスリン血症でも脂肪細胞の数が多くて耐えうるパターンと耐えきれずに酸化ストレスとなるパターンなど様々です。
これ以外にも炎症、ストレスホルモン、自律神経、神経伝達物質、あるいはまだ認識できていないものも含めて様々なシステムが健康の維持に複雑に関わり合っています。血糖値という一面だけで捉えようとするとリスキーで、ミスリーディングされやすいと思います。

2017年7月15日(土)の本ブログ記事
「血糖値に人生を支配されない」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1029.html
も御参照下さい。

強いて言うならば、「体調が良い」と感じる方が身体に良いと思います。

たがしゅう先生お返事有難うございます。血糖値に人生を左右されない、素晴らしいブログ内容ですね!なるべく糖質を控え、血糖値に左右されず、生活して行きたいと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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