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サイアミディン

やせ体質の本質とは

前回はやせ型体質の方の糖質制限を考える際に、

消化管→筋肉→肝臓

の流れを想定すべきという私見を述べました。

なぜそう思うかと言えば、筋肉量が低下したやせ型体質の人の多くは、

糖質制限中に脂質・タンパク質を増やすように指導しても、なかなか増やしきれないという話をよく聞くことから、

大量の食物を一度に消化吸収する能力が落ちている事が想定されるからです。

それに消化管機能が低下しているからこそ筋肉の材料となるタンパク質(アミノ酸)が吸収できず、

結果的に筋肉量が少なくなるという流れも見えてきます。
では一体何が原因で消化管の機能低下を起こしているのかという疑問がわきますが、

もしかしたら、そもそも機能低下と捉えること自体が私達の恣意的な観点であって、

本来は機能低下でもなんでもなく、消化管機能のバリエーション(多様性)の中で低い部分を見ているというだけなのかもしれません。


生物多様性という言葉がありますが、

ヒトを野生動物としてみた時に、種が存続するためには様々なバリエーションを作っておく方が有利です。

肥満型で少しの食料でたくさん脂肪を蓄える事のできる種を作れば、飢餓になりやすい環境で有利かもしれませんし、

やせ型で脂肪を蓄える能力が低かったとしても、スピーディで運動能力が高く、敵対動物から逃げなければならない場面が多い環境では優位に働くかもしれません。

だからやせ型体質の人はヒトという種の中でのバリエーションの一つに過ぎず、

別に機能が低下しているのではなく、あえて処理量を少なくするタイプの初期設定(体質)としてこの世に産まれた人なのかもしれません。

ところが生まれた現代の社会は基本的に飽食の環境でした。

肥満体質の人は脂肪を蓄積しすぎる弊害を受ける一方で、やせ体質の人は処理しきれない食料の多さに消化管機能がオーバーヒートしてしまうという弊害を受ける事になってしまいました。

その結果、やせ型体質の人はストレスに対抗するためのシステムが上手く機能しにくい環境におかれます。

コルチゾールを中心としたストレス反応を起こそうにもその材料となるコレステロール(脂質)は消化管から吸収されにくいですし、

セロトニンを中心としたストレス緩和システムを働かせようにもその材料となるトリプトファン(タンパク質)も消化管から吸収されにくいです。

そういう状況の中で糖質摂取によって起こる血糖値上昇を起点とした代理ストレス適応反応は、特にやせ型体質の人にとって重要な位置を占めていたように推察されます。

本当にやせ型体質の人が本質的に求めていた生活環境は、適量の食料があり、生きるために他の動物と戦ったり逃げ回ったりするようなものだったのではないでしょうか。

しかし現実に目の前に現れたのは多すぎる食料と運動しなくて済む生活環境、

そして現代社会の多すぎるストレスが、ストレス適応能力の低いやせ型体質の方に大きく立ちはだかります。

ストレスは交感神経優位にする事で消化管の働きを阻害します。

ストレスが先か、体質が先か、どちらが最初かはわかりませんが、

どちらも互いに関連してやせ型体質の人の消化管機能を低下をさせている事は間違いないように私は思います。


ではやせ型体質の人が現代の生活環境に適応するためにはどうすればよいのでしょうか。

ここまでの考察を踏まえれば、適量の食事、必要量以上の運動、そしてストレスマネジメントという事になりましょうか。

あるいはガリガリの状態から細マッチョになるためのアプローチも参考になるかもしれません。

そういった情報は少し調べればネット上に散在してはいますが、

はたしてこれらの情報は本当に正しいのかどうか、自分の頭で考えて確かめていくという視点も必要だと思います。

ここから先は私よりも是非、実際にやせ型体質の人達に、

自分でいろいろ試行錯誤して解決に向けての方法論を確立していってもらう事にも期待したいです。

誰かの指導に身を委ねるのはストレスフリーで楽かもしれませんが、

それはストレスマネジメントというよりもストレスからの現実逃避に近い行為なのでお勧めできません。

自分の体質を理解した自分が、自分で考えて到達する答えが最も根治的だと私は思います。


たがしゅう
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木の大過から考えること

先日に続いて、五行論の視点から先生の考察を東洋医学的に解釈させていただきます。
木が土を剋することで良好な関係を作りだしている状態を木剋土と表現しますが、さらに木がストレスに対応するため、盛んになり過ぎると、木の大過となります。

2017年10月3日自然の甘味は使いようでコメントさせていただきましたが、木の大過の症状を西洋医学的に表現すれば、交感神経優位の状態。
その外見は、引き締まった体躯と高い身長。現代の細マッチョのイケメン、ファッションショーでランウェイを闊歩するモデルの女性を想起します。
最近、栄養失調のモデルをファッションショーに登場させないよう規制するとの話題がニュースで取り上げられたことがありますが、問題の根底には、スタイルを良くしようとすればするほど、交感神経優位の状態から栄養失調を招くという光と陰の関係があるとも言えます。

五行論では、木が大過し、活動が盛んになり過ぎた場合、木を剋する金を使うことがあります。この場合の剋するとは悪いものを切り取る、制圧するというイメージ。具体的な事象では、木を刃物で切り倒す。枝をハサミで切る等。
一方、金が象徴する味は「辛」。 身近な食材でいうとアルコール類が該当します。酒の辛口という表現がその典型。
飲酒にメリットがあるとすればストレスを発散する目的で、アルコールの薬理作用として副交感神経を優位にすることで、交感神経優位の状態を緩和することでしょうか。逆に金の作用が強すぎると、アルコールが肝臓を痛めるという金剋木の状態になり、様々な肝臓の病理が発生。 俗に酒を飲むのではなく酒に飲まれる。という状態ですね。

今回の記事で、先生はストレスが先か気質が先かという疑問を提示されています。
事象は因果の相互関係によって成立するものですが、個人的には先行する原因は気質にあり、環境の変化に対応出来ないこと=ストレスマネジメントの失敗が結果として心身の不調が起こると理解しています。酒を飲むのではなく、飲まれるのは、やはり個人の資質によるものと考えたいところです。

そうすると、ストレスコントロールの主体は自分自身であって、医師や環境が与えてくれるのではない。自分の体は貴重な財産として自分で守る。普通なら気の遠くなりそうな目標ですが、東洋にはストレスコントロールの体系を含んだ生活の智慧とも言える「養生」の伝統があります。
「養生」とは「生を養う」と読みます。では、誰がという主語を補えば「私が生を養う 」ことになり、やはり、行動の開始点は個人という前提。

行動の開始点が個人にあるという認識は、人間は望まずに一人でこの世界に投げ出され、一人死んでいくという東洋の古代人の直観でしょうか。そこには祖先との繋がりや他者に生かされているという道徳的・人倫的な暖かい視点はなく、人間は自然の一部分を構成する要素に過ぎないという、ある意味現代自然科学にも通じる冷酷な唯物論的認識があるように思います。
現代では、伝統は途切れ、断片化、陳腐化したように見える養生。しかし、養生の一部門である辟穀が現代に糖質制限として蘇ったように(一人で思いこんでいるだけです)、養生の中には、現代に活用出来る遺産は、まだまだあると感じています。

Re: 木の大過から考えること

やまたつ さん

 コメント頂き有難うございます。
 いつもながら詳細でわかりやすい考察に圧倒されます。

 木の大過は「交感神経過緊張状態」ですね。
 木は肝臓だけでなく、精神状態も含めて「肝」と捉える東洋医学的解釈を踏まえれば相同しますね。
 そう言えば、漢方薬の抑肝散も「肝」を抑える、すなわち「交感神経過緊張」を和らげることが主体の薬です。

 なるほど、TVで周囲の目にさらされるモデルやイケメンの体型は常に一定のストレスがかかり続けていてしかるべきです。
 無理をしながらも誰もが見て憧れる体型をキープしている状態は、不安定でいつ健康を害してもおかしくない交感神経過緊張状態だという解釈もさもありなんという気がいたします。過剰適応ステージに陥らないギリギリの所で踏ん張れば、表面上問題は特に出てこないのでしょうけれど、内実はいかがなものでしょうか。

 やまたつさんの考察通り、気質が先であるならば個人の考え次第で健康課題を克服できる可能性が見えてきます。
 しかしやせ型体質の方のストレスマネジメントの在り方を客観視している分にはあまりストレスをうまくマネジメントできていない方が多い印象を受けます。それは表層意識よりも深い、本人さえ気づいていない潜在意識の部分に問題があるからなのかもしれません。その辺りはストレスをこじらせれば不可逆的な消耗疲弊状態に近づくという話とも連動しているようにも思えます。

 2018年2月13日(火)の本ブログ記事
 「ストレスをマネジメントできずに起こってくること」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1251.html
 も御参照下さい。

 ともあれ、予防医学というのなら、病態がこじれる前にうまくストレスをマネジメントする手法や考え方をもっと明確に示せるように学んでいく必要があると私は感じています。

ありがとうございました

田頭先生、コメントありがとうございます。
自分の場合は、書籍からの知識が大半で、臨床に従事されている医師と医学や健康に関し、意見を交換する機会は日常生活ではあり得ません。先生の人柄が大きいと思いますが、気さくに先生からコメントいただけるこのブログは貴重な場と認識しています。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

やせ型体質です

初めまして。いつもブログを楽しみにしています。
当方やせ型体質の43歳女性です。
半年前から糖質制限を始めました。
コレステロールの話が出てきたので、勇気を出してコメントさせていただくことにしました。
私は母方が家族性高コレステロール血症の家系で、母は心筋梗塞、狭心症、脳梗塞を患いました。左麻痺が残りましたが、健在です。
4人弟妹の1番上で、私だけが家族性高コレステロール血症です。
32歳から処方薬を飲んでおり、現在はクレストールとゼチーアを処方されています。
40歳の時に乳がん検診で引っ掛かり乳腺腫瘍(良性)が判明、経過観察中です。

糖質制限を始めたきっかけは、当時糖尿病の症状に当てはまるものがたくさんあり、糖尿病を調べた際に辿り着きすぐに実践しました。
血糖値もまったく測らずに始めたので、今では糖尿病だったか分かりませんが、朝からだるい、ご飯を食べると眠い、疲れたからと甘いものを食べると余計に疲れる、視界がぼやける、頻尿、頭痛、など様々な体調不良が改善しました。
ボロボロだった肌もしっとりしてきました。

しっかり糖質制限出来ているとは思うのですが、標準体重にはなっていません。BMIは17.6です。
1日の食事量は肉200グラム、卵2個、プロテイン20グラムを目安にしています。野菜、きのこ、魚も食べます。運動量は仕事の昼休みにウォーキング15~20分と夕食後スロトレ(ゆっくりやる筋トレ)15分程度です。
毎日継続していますが、なかなか筋肉質になりません。タプタプしています。

糖質酔いもあります。

糖質制限前は菓子パンまみれお菓子まみれの生活をしており、腸管が弱っていて吸収出来ていないのかもしれません。
それか元々の体質かは分かりませんが、BMIが20以上になったことはありません。元々少食です。

家族性高コレステロールについて何も知らなかった私は、自分の病気について調べてみることにしました。
そこから日本脂質栄養学会の提言書でスタチンの副作用を知り、怖くなったので主治医に黙って飲むのをやめてみることにしました。

定期受診には「薬を飲み忘れた」と嘘をつきました。
薬をやめると数年間悩まされ続けた原因不明の体の痛みがなくなりましたが、1週間ほど前から下半身のしびれと、頭がスッキリしない感じが続いています。
私の中ではコレステロールは悪者ではないのですが、過去の乱れた食生活の影響もありますので下半身のしびれが、動脈硬化だった場合を考え再度薬を飲むことにしました。スタチンの副作用が怖いので、次回受診時に書類を持って行き薬を変えてもらえるよう話すつもりです。

頭にもやがかかったような感覚を調べていて、副腎疲労に辿り着き、さらに今日のブログを見てコレステロールが高すぎてコルチゾールが過剰なのかもしれないとも思いました。

糖質制限を始めたばかりの時はまだコレステロールの薬は飲んでおり、体調はすこぶる良かったので、その頃の状態に一度戻してみることにします。

やせ型の糖質制限について、たがしゅう先生の考察は非常に参考になります。

私の情報で良ければ、惜しみなく提供させていただきますので参考にしていただければ幸いです。今日、健康診断の結果が来ていましたので色々提供出来そうです。
たがしゅう先生のブログを読んでいるやせ型体質でお悩みの方にも参考にしていただけたらと思います。

長くなってしまいすみませんでした。

今後も記事を楽しみにしています。

Re: やせ型体質です

きん子 さん

 コメント頂き有難うございます。
 詳細な体験報告、大変参考になります。

 世にダイエット本と呼ばれるものは数あれど、
 やせ型の人が標準体型に、ひいては健康になるためのアプローチ法を示した本はあまりないように見受けられます。
 いわゆる筋トレ本は数ありますが、あくまでも従来の糖質文化をベースにした考えが主流だと思います。

 ただ私は糖質への依存度が高いやせ型体質の人が筋肉量を増やす目的で糖質を利用するアプローチは悪くないと思っています。
 私も3ヶ月ほどですがジムで糖質制限状態での高強度のトレーニングに取り組んだことがありますが、結果筋力は増えますが筋量を増やすのには少し不向きかもしれないと感じた所があります。

 肥満体質の私が、やせ型体質の問題について提示できるのはあくまでも仮説止まりです。
 きん子さんのように実際にやせ型体質の方に私の仮説も参考に解決のための方法を実証して頂ければ有難い限りです。その過程で私の仮説に誤りがあればなんなりと御指摘頂ければ幸甚です。適宜軌道修正していきたいと思っております。

お返事ありがとうございます

たがしゅう先生、お返事ありがとうございます。

乳腺腫瘍がガンになってしまうことを恐れるあまり、糖質をゼロに近づけることばかり考えていたので、少し糖質も摂ってみることにします。
私の場合、20グラムは大丈夫ですが、30グラムでは糖質酔いするので20グラム以内を目安にしてみます。ちなみに食べたのは両方ともアイスでした。チートデイのつもりが大変な目に合いました…。

私の健診結果も参考までにお知らせしておきます。

H29年10月から3食主食なしのスーパー糖質制限をしています。

性格は神経質で真面目な方だと思います。気になったら納得するまで調べます。
完璧主義傾向を治したく、80%を目指すという目標を掲げています。
仕事の愚痴とかをあまり人に言えずストレスは溜め込みやすいと思います。


前回H29年2月13日→今回H30年2月19日

身長 146.3→146.5
体重 37.9→37.9
腹囲 59→59

最高血圧 100→108
最低血圧 64→65

総コレステロール 202→488(薬をやめています)
中性脂肪 69→50
HDLコレステロール 56→87
LDLコレステロール 130→393

GOT 17→25
GPT 10→25
LDH 137→151
ALP 177→119
γ-GTP 12→12
ZTT 8.9→13.9

HbA1c 5.1→5.0
空腹時血糖 79→95
尿糖 (-)→(-)

尿酸 4.6→5.2
アミラーゼ 120→102

白血球 6900→6500
赤血球 468→490
血色素量 14.4→15.1
ヘマトクリット 42.7→45.2
血小板数 23.8→23.4

蛋白 (-)→(-)
ウロビリーゲン (±)→(±)
潜血 (+)→(-)

BUN 13.5→18
クレアチニン 0.77→0.77

Na 145→142
K 3.9→3.9
Cl 107→103

肝のう胞あり。

薬を飲んでいる数値といない数値のため、あまり参考にならないかもしれませんが、考察に使えそうであればご利用ください。

毎日お忙しいことと思います。季節の変わり目、体調など崩さないようにご自愛ください。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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