サイアミディン

無意識の間欠的糖質刺激の落とし穴

先日取り上げた週刊新潮での糖質制限批判記事での日比野佐和子先生のコメントについて、

もう少し詳しい内容が知りたいと思っていたところ、日比野先生が自身のダイエット遍歴について語っている本を出版されていましたので、

早速購入して詳細を確かめてみることにしました。

39種類のダイエットに失敗した46歳のデブな女医はなぜ1年間で15kg痩せられたのか? 単行本(ソフトカバー) – 2017/5/25
日比野 佐和子 (著)


(以下、100-102より引用)

【糖質制限ダイエットで一気に14キロ減!】

おばちゃん体型のまま、仕事に邁進していましたが、アメリカと違い、日本はスマートな人が多い。

ニューヨークで増やした17kgの体重はそのままでしたから、やっぱり目立つんですよね。

それで、久々にダイエットすることを決心。ダイエッター魂が復活です。

とにかく忙しかったので、エステやスポーツジムに通うのも難しい。

けれど短期間で結果を出したいと思っていた私の目についたのは『糖質制限ダイエット』。

アメリカに留学していたとき、話題になっていたのがロバート・アトキンス博士が考案した『アトキンス・ダイエット』。

炭水化物の摂取量を極端に減らすことで、糖分の代わりに脂肪が体内でエネルギー源となり、体脂肪を減らすことができるという理論。

アメリカで大ブームになっていたので、試してみることにしました。

私がいいと思ったのは米、パン、麺、砂糖や小麦粉を使ったお菓子など炭水化物を一切摂らない代わりに、あとは何でも食べていいという点。

私がこのダイエットを選んだのは、炭水化物を食べない代わりに大好きなお肉を食べてもいいというのが大きかったです。

ロバート・アトキンス博士もタンパク質は積極的に摂るように提言しています。

私の主食はお米や麺類の炭水化物からお肉に代わり、付け合わせで生野菜を食べました。

もともと焼肉が大好きですから、スーパーでお肉を大量に買ってきて、フライパンで焼き、焼肉のタレをたっぷりかけて出来上がり。

「炭水化物を食べていないから大丈夫」という気持ちから、量は制限せずにジャンボパックで買ってきたお肉を1日で完食。

赤身より脂身が好きだったので、脂分の多いホルモンもよく食べていました。

関西で人気だった「こてっちゃん」というホルモン焼きのタレをたっぷりからめたものが特に好きで。

すると、おもしろいぐらいに体重が減っていき、たった半年で14キロも痩せたのです。ボディラインも変わり、普通体型に戻りました。

『糖質制限ダイエット』の魅力は炭水化物を制限することで、体重がガクッと減ること。そうすると、やっているほうは効果がすぐに出たことで楽しくなるし、もっとやりたいと思ってしまう。

私もある程度好きなものが食べられますから、キツいとも思わず、体重が減った後も3年間ぐらい糖質制限を続けていました

(引用、ここまで)



文章を読む限りでは肉中心の糖質制限食で、半年で14㎏の減量に成功しそこから糖質制限を継続しているにも関わらずその後体重は横ばいのようですので、

典型的な糖質制限実践後の減量経過ですから、基本的には糖質制限はうまくできていたのではないかと思われます。

ところが、私が気になったのは「焼肉のタレをたっぷりかけて」の部分です。

焼肉のタレは基本的には高糖質調味料です。

焼肉のたれ100gあたりの栄養成分:
エネルギー:169kcal
水分:51.6g
タンパク質:4.3g
脂質:2.2g
炭水化物:33.1g
食物繊維:0.4g
原料割合:こいくちしょうゆ40、砂糖20、りんご20、こま油1.5
顆粒和風だし1.5、ごま0.5、食塩0.5

(※「糖質制限カロリー」のサイトより引用させていただきました。)

たっぷりタレをかけるとはいっても、まさか100gはかけておられないでしょうし、

タレだけで糖質20g以上の量を摂取していたと考えるのは無理がありますし、実際減量効果は出ていたのでおそらく全体としては糖質制限状態になっていたのでしょう。

ただこの高糖質調味料が加わっている影響で糖代謝からケトン体代謝への切り替えはうまく進んでいなかった可能性があります。

糖質制限自体は自然の中に存在する食材で再現できる食事療法ですが、焼肉のタレという高糖質食品を加えた所が自然界ではありえない人為的な要素です。

それを加えることで基本は糖質制限状態で体重が変化していくものの、見えない代謝の部分では糖代謝依存が残ったままという状況が続いていたのではないかと私は想像します。

糖代謝依存が残存した状態のままで、何らかの理由で長い絶食時間を設けざるを得なくなった場合、

例えば一日中食べる間もなく忙しくして夜そのまま疲れてしまって眠ってしまうような場合には、就寝中に低血糖状態となる可能性があります。

この辺りが日比野先生が糖質制限を続けることで体調を崩した原因なのではないかと推測されます。

もっと言えば、残念ながら1日何食かという情報が書かれてなかったので断定はできませんが、

1日3食で高糖質調味料の影響が加わる食生活を送っていたのだとすれば、より脂質代謝への切り替えは難しかったものと思われます。

なぜならば1日3回も、液体の糖質によって糖代謝へと急峻にシフトする刺激が加わるチャンスがあるからです。

これがもし1日1~2食にして食事と食事の間隔をあける形の食生活へと変わっていれば、脂質代謝へより移行しやすかったかもしれません。

肥満体型から糖質制限を実践した人は男性を中心に食事回数が1日3食以上から1日1~2食へと移行する人が多いです。なぜならそれほど空腹感が強くなくなるからです。

ところが女性を中心に糖質制限を始めるも、1日3食の食生活はそのまま続けているという人も結構おられます。

その場合は糖代謝へシフトしうるタイミングが1日3回あるということでもありますので、調味料も含めてきちんと糖質制限状態をキープできていればいいですが、

日比野先生のように調味料に関してはルーズなルールで取り組んでおられると、代謝が脂質代謝へ切り替わりにくいという落とし穴があります。

いまいち体調がよくならない糖質制限実践者にとって、これは参考になる教訓ではないでしょうか。


上述の引用文の先はいよいよ、糖質制限で体調が悪化した時の話が書かれていますが、

長くなりそうなので、次回に回したいと思います。


たがしゅう
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本当に糖質制限できているか

私は昨年5月から、3食とも主食を抜き、野菜や調味料の糖質にも一応気をつけて糖質制限しているつもりですが、今回の記事も読ませていただき、やせ型で筋肉量の少ない身としては、自分がちゃんと脂質代謝になっているか不安になりました。現在1日3食で、カロリーも十分確保できていると思いますが、次の食事までに空腹を感じ、間食(高カカオチョコ、チーズ、水切りヨーグルト、少量の果物、低糖質スイーツなど)してしまうことが多いです。起床時も空腹感が強く、例えば朝食をコーヒーだけに置き換えるとか、欠食にして1日2食にするとかは考えられない感じです。たまに測る尿中ケトン体は+だったり、±だったりです。
体調は悪くないと思うのですが、季節柄ストレスは感じやすく、ストレスを感じると甘いものが欲しくなり、少しずつ間食してしまう始末です。外食も時々行き、バイキングや単品組み合わせ、しゃぶしゃぶなどで気をつけてはいますが、バイキングだと糖質オーバーになっているかもしれません。
そこで、質問なのですが、自分がきちんと脂質代謝になっているかは、どこで判断すればいいですか?中途半端な糖質制限になっていたら逆に危険なのかな…と思うようになり、自分のしていることが不安になる今日この頃です。また、空腹を感じても食べるのを我慢して、糖新生に頼るようにした方がいいのでしょうか?よろしくお願いします。

Re: 本当に糖質制限できているか

はる さん

 御質問頂き有難うございます。

> 自分がきちんと脂質代謝になっているかは、どこで判断すればいいですか?

 それは糖質制限をやっていて自分が体調が良いかどうか、ということに尽きると思います。
 また様々な情報に惑わされずに、自分の体調を最優先事項として考えるスタンスも大事だと思います。

 日比野先生のケースでも、途中から自分の体調不良を自覚していたにも関わらず、そのまま見直しなしで糖質制限を続けられていた所が本質的な問題です。糖質制限をすること自体が目的にならないように気を付けられることをおすすめします。

ありがとうございます。

迅速なご回答ありがとうございます。体調で判断でいいのですね。以前にも、体調が最良のバロメーターと言っていただきましたね。しっかり覚えておきます。基本、体調は良いのですが、たまにだるいな〜と感じることがあったりで…でもそれは生理周期との関係だったり、ストレスによるものだったりかもしれないですよね。体調不良が続く、改善しない、などなければ、心配しすぎず続けていきたいと思います。心配しすぎがストレスになりますよね!気をつけます!
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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