サイアミディン

運動習慣に見合った筋力がつく

私の中での健康を維持するための二大原則は、

糖質制限+ストレスマネジメントですが、

そこに運動も入れてはどうかという御意見を時々頂くことがあります。

確かに運動は健康を維持するために考慮すべき大きな要素の一つだとは思います。

しかし私の中で運動は、糖質制限とストレスマネジメントに比べて何か違うという違和感があったため、いまいちその御意見を採用し切れずにいました。

最近熟考を重ね、その違和感の正体が少しわかってきたように思います。
それは運動は特別な人為を加えなくても自然適応が起こるという点で他の二つと異なるということです。


どういうことかと言いますと、現代社会は車をはじめとした交通機関の発達、

流通、生活様式の変化に応じて百年前に比べると明らかに運動不足となったことにおそらく異論はないと思います。

それにより当時と比べて筋肉量が減ったということも偽らざる事実だと思います。

ただそれ自体が健康に悪いことかと言われたら意見の別れうるところです。たいした運動をしない生活習慣ならばそれ相応の筋力しかつかないのはある意味当然の適応反応です。

例えば私は現在特別の運動習慣を持っていませんが、

日常生活の中で息切れとか共通など運動習慣のないせいで困った症状があるかと言われたら、決してそんなことはありません。

私の普段の日常生活を送る上で必要十分な筋力は、運動習慣がなくとも維持されていると見ることができます。

勿論私が急に100メートルダッシュをしたり、7階まで一気に階段を駆け上がったりすれば当然息が切れます。

それは、その運動負荷が私の生活習慣の中で非日常的なものであるからです。

非日常的な運動負荷でも息切れしないようにするためには、その非日常的負荷を日常的負荷に変えていく必要があります。

それがいわゆる運動習慣を作るということになると思いますが、それが死ぬまで自分の日常生活に組み込まれればいいですが、

運動習慣をやめれば、元の負荷の少ない生活が日常的となり、筋力は時間とともに元の少なめの量で環境適応するよう変化します。

要するに今運動するのに必要な筋力が勝手に身体が自己調整してくれるので、

健康を維持するという目的においてはあまり人為を加える余地がないのです。

現代社会は先史時代と比べ物にならないくらい運動量が少ないですが、

それに応じて減少した筋力自体は不健康の要因ではなく、むしろ適切に環境に適応した結果だと私は思います。

プロアスリートが現役を引退して筋力が低下し体型が変わるのも、まさにこの環境適応が起こるためと考えられます。

もちろん運動の目的が健康維持ではなく、スポーツで勝つことや異性に対しての魅力を増すことなどにあれば、

運動は加えるべき人為ということになりますが、健康の為に運動というのはそれが日常的になったところで、健康に寄与したというよりは恒常性を保つために筋量のバランスをとったというニュアンスの方が近いように思います。

また負荷のかけ方は気をつけないと急激にやり過ぎると、逆に酸化ストレスとなって運動の負の側面が出てくる可能性もあります。


しかし大人になって運動習慣がなくなった人が、いわゆるメタボ体型になったりすることは稀でなく観察され、

近年注目されるようになったフレイルやサルコペニアの問題もあり、運動をしないことで起こる健康被害は現実にたくさんあるではないかという反論もあるかもしれません。

けれど私は運動量に見合った筋量以下に筋力を落としている真の原因が、食事(糖化)とストレス(消化吸収障害)にあるのではないかと考えているのです。

なぜならば、食事もストレスも社会が現代化したことで、野生ではあり得ない極めて不自然な人為が加わったと言えるからです。

野生動物の世界でも生育環境によって筋量が変化する現象は起こり得ると思います。

しかし糖質過剰摂取とストレスの過剰蓄積は、

ヒトが知恵を得て火を使用し穀物のデンプンを吸収しやすくしたり、大脳の前頭連合野を発達させ複雑な高次脳機能を生み出さない限り起こり得ないことでした。

だから大量の糖質摂取、高次脳機能に伴うストレスという極めて人為的な現象に対しては、

適切な人為を加えて対処しないと非日常状態から復帰させることは難しいと私は考える次第です。

よって私の中での健康維持の二大原則はやはり糖質制限+ストレスマネジメントであり、

運動は健康維持とは少し目的の異なるオプション的な選択肢と位置づけています。

言い換えれば、糖質制限とストレスマネジメントができていれば、生活に見合った筋力は維持されると私は考える次第です。


たがしゅう
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たがしゅう先生

定期的にこのブログを拝読させていただいている者です。

たがしゅう先生の考察に いつも感銘を受けております。

私は 8年前(42歳)に 糖代謝異常とわかり 江部先生の推奨する「糖質制限生活」を始めて はや 8年目

糖質制限しながら 摂取した糖質を 更に 筋肉で 代謝させる方法もあるとは考えましたが…
たがしゅう先生が仰るように 現代の日常生活の中で 筋肉をより一層強固にするための運動は 非日常であって 恒常的に続けられるとは到底思えませんでした。
昭和初期までの日本なら 日常生活活動の中で普通に必要な筋肉は備わっていたと思います。
現代の日本は 移動は車、洗濯は自動洗濯機や乾燥機、水を得るのも水道の蛇口をひねればいいだけ、お風呂も同じ、薪で風呂の湯を焚くなどもう考えられない。
あらゆる物が便利化され 今更 その頃の生活に戻って日常的に身体を動かしてたら 摂取した糖質も効率よく代謝されるわよ…
と 言われても… やはり やれる自信は 無い。

だからと言って 生産性の低い「スポーツジム通い」に果たして死ぬまで通えるか? 疑問。

今 恒常的に私に出来ることは⁉
やはり 食生活の改善が一番身近な方法としか考えられませんでした。
これなら なんとか続けられそうな気がします。
ストレスマネジメントに関しては 社会活動をしている限り なかなかコントロールは難しい…。

今 私の中での最低限必要な筋力を得る方法としては 如何に日常生活で生産性のある活動ができるか⁉ がメインとなってます。

・仕事中は ひたすら歩く事を積極的に行う
・エレベーター禁、階段を使う
・草刈を定期的に行う
・DIYを趣味にする
・洗車は 自分でする
・掃除を必死で行う(ワックスや拭き掃除)
・買い物時の駐車場では 入口より遠くに車を停める

こんなことに気を付けながら筋力維持を意識して生活してみてます。これらの活動って…ビックリするほど 気持ちが良くて 続けられてます。動いた結果 環境が綺麗になる と言う生産性があるから。

Re: 共感

wako さん

 コメント頂き有難うございます。

> これらの活動って…ビックリするほど 気持ちが良くて 続けられてます。動いた結果 環境が綺麗になる と言う生産性があるから。

 運動を加える時のポイントは、それが当たり前のように続けられるということだと私は思います。
 そうするとストレスになりませんし、wako さんの場合は、身体を動かすことでの心地よさまで感じることができておられますので、結果的にそれがストレスマネジメントにもなっているようにお見受けします。

運動と脳内麻薬

たがしゅう先生やブログ読者の方々は既に御存知の事かと思いますが、
運動と薬物依存症は、脳内の化学的なプロセスが共通しているそうです。
よって、重度の依存症患者の依存物質受容体を活性化させることで、
危険な薬物やアルコールを用いなくても、患者が切望する状態にできるのかもしれないそうです。
真偽のほどは定かではありませんが...

詳しくは下記をご覧ください。
「ランナーズハイは「脳内大麻」で引き起こされる:研究結果」
 https://wired.jp/2015/10/28/body-cannabis-when-you-run/

Re: 運動と脳内麻薬

名無し さん

 情報を頂き有難うございます。

> 運動と薬物依存症は、脳内の化学的なプロセスが共通しているそうです。
> 危険な薬物やアルコールを用いなくても、患者が切望する状態にできるのかもしれないそうです。


 なるほど。
 確かに、運動習慣のない人間からすれば「なぜそこまでの運動を続けることができるのか」と思いたくなるくらい強い負荷の運動を喜んで習慣に取り入れられている人達がいることを考えると、経験的にはその説は理解できます。

それでも、

たがしゅう先生の仰る通り、
糖質制限とストレスマネジメントの二軸で考えた時に運動はオプション的な存在かもしれません。


そして、死するその時まで恒常的に続けられるものではありませんし、
何らかの身体的な障害を持った方も、取り組むことが出来ないので、
やはり、上記の二つと同等には並べることは出来ません。

しかしながら、運動の習慣は出来うる方は、した方が良いと、私は考えます。

私で、置き換えると腰痛すべり症、左坐骨神経痛、出産後からの骨盤底筋の衰えなどの軽失禁など、
意識して運動することにより改善したり、それらの周囲の筋肉が付くことにより得られたものが大きいからです。

息子も生まれつき筋緊張が弱く、他の子どもより運動能力が著しく低いです。

筋肉も普通の子より付きにくいですが、
付きにくいだけであって、それなりの努力をすれば発達していきます。

高負荷な運動は、余程、意識が高くないと、むしろストレスになりかねませんが、
日常生活のワンステップ上程度の運動はやはり、オプションに付け加えられれば、利益が大きい。

私で例えると、夕食後の2、3キロのランや腹筋などの無酸素運動などは、終えた後に汗が吹き出してくれて、堪らんです(笑)

面倒と思う入浴も入る意義が芽生えます。
睡眠も深いです。

代謝が上がるのも勿論ですが、
そういった運動で、基礎体力が上がり、
一日中、忙しく動かなくてはならないイベントが起きた際も
日常で、運動している分、疲れにくいです。
これは、ケトン優位だけではないと、思っています。


それでも二軸には劣るのは、否めません…。

Re: それでも、

kazukou1508 さん

 コメント頂き有難うございます。

> しかしながら、運動の習慣は出来うる方は、した方が良いと、私は考えます。

 勿論、適度な運動習慣を持つことが健康増進に働くこと自体に異論はありません。
 問題はそれをやらなければならないと思ってやるのではストレスとなるので注意が必要だし長続きしない、ということだと思っています。
 kazukou1508 さんのように楽しんで運動できる場合は全く問題ないと思いますし、
 一方で糖質制限+ストレスマネジメントで代謝が安定している人が、やりたくもないのに無理に運動をする必要はないというのが私の考えです。

 ちなみに私は今スポーツやランなどの運動習慣を持っていませんが、最寄り駅まで歩いたり、エレベーターは使わないようにしたり、部屋でパソコン使う時にスタンディングにしたりしています。わざわざ運動をしているという意識はあまりありません。

No title

たがしゅう先生、こんにちは。
いつも読ませていただいております。
釜池式糖質制限で9年目ぐらいです。

運動についての先生のご考察に全く納得しています。
糖質制限前は、一時ジムなどに通い体に鞭打っていたことが思い出され、まったく無駄なことを振り返っています。

しかし、最近ロコモティブシンドロームなどという言葉に触れ、糖質制限で、もしスローエイジングを獲得できても、身体のロコモ化はいずれ避けられないとすると、何か手軽にできることはないかと退職後になって考えていた次第です。

ロコモ的には、関節可動域の維持・身体の柔軟性の維持は対策になりうると思い、ここ数年ゆっくり寝れることもあって、ベッドを抜け出す前に柔軟体操を行っています。ちょくちょくさぼっていますが・・・。
15分ほどですが、そう快感があり愉快です。

ラジオ体操は、マジでやると結構きつくて生真面目な私には向きませんでした。知り合いの整形外科医は、ラジオ体操ぐらいやらなきゃ人でない、ぐらいにすすめられますが、無理です。

とりとめないコメントになってきましたが、筋肉強化運動は先生のお考えがフィットしました。
一方、ニクタイ的恒常性の維持という考えで、やわらかな体の維持は、これからの長寿社会に向け、(糖質制限によりますます伸ばしてしまったら)案外大切かもしれないと思っている次第です。

Re: No title

大阪人 さん

 コメント頂き有難うございます。

 食事とストレスの観点を置き去りにして運動に解決を見出そうとする手法は、私には半ば強引な環境適応にも思えます。
 筋肉強化運動を日常化できるという人は、それはそれでよいと思いますが、とにかくそれがストレスにならないようにする事が大切だと思います。ストレッチや柔軟体操は日常化しやすい運動とも言えるかもしれませんね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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