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サイアミディン

人類の代謝は脂質代謝メインか

糖質制限開始により体調が悪くなり、それが糖質摂取により軽快するという方が

やせ型の女性を中心に認められるという話を時々聞くことがあります。

女性には独特のストレスがあり、男性に比べて筋肉量が少なく月経で男性以上に鉄分が欠乏しやすくさらにストレスに対抗しにくくなる状況が関係していると私は考えていますが、

一方で、胎児はおしなべて高ケトン血症を呈しています。

ヒトは地球上の生命の歴史の中で、酸素が存在しない太古の時代に単細胞生物として糖代謝だけを利用していた時代から、

約30億年前、シアノバクテリアが酸素を作り、好気性代謝が使えるようになり、

約21億年前の細胞内寄生体であるα-プロテオバクテリウムとの合体を契機としてミトコンドリアが生み出され、

その先のはてしなく長い年月の先に、ミトコンドリアをフル活用して効率的なエネルギーを生み出す脂質代謝を基本システムとして利用する代謝経路を発達させてきたのではないかと私は考えています。
この辺りの仮説は夏井先生の最初の糖質制限本、「炭水化物が人類を滅ぼす」で詳細に書かれています。

改めて読み直しましたが、極めて説得力のある仮説であり、私もこの仮説を支持しています。

だからこそヒト胎児は皆生まれる前の時点から高ケトン血症を呈しているのではないかと考えています。

つまり生命の歴史の中で最初の代謝システムは確かに糖代謝ですが、

進化の歴史の中で獲得した脂質代謝を現在はハイブリッドさせて、より効率的な脂質代謝をメインで用いる事を基本設計とする生き物が私達ヒト(ホモ・サピエンス)なのであろうということです。

しかし初期設定が脂質代謝なのであれば、糖質制限で具合が悪くなる人達がいるというのはおかしな話です。

これに関して私は、糖質頻回過剰摂取やストレス過剰蓄積の影響で、

長年糖代謝ばかりを使用し脂質代謝を錆びつかせてしまったことが原因だと大まかには考えてはいます。

言い換えれば、そういう人達も生まれた時から脂質代謝が苦手だったわけではなかったのではないでしょうか。

この仮説の妥当性を検証するには、糖質制限メインで育てられているこども達の中で、

糖質制限により体調を崩し、糖質を与えることでそれが改善するという子がいるかどうかという事が一つの参考になると思います。

生まれたばかりのこどもであれば、先天的な脂質代謝異常症でない限り、脂質代謝が錆びついていることはありません。

ということは私の仮説が正しければ、「糖質制限中心の子育てで体調を崩す子はほとんどいない」という事になるはずです。

ただしこの検証は私自身には困難です。自分のこどももいなければ、診療で小さなこどもと接する機会もほとんどありません。

もしもこのブログを御覧の読者の方で、糖質制限中心で子育てをしている方がおられましたら是非情報をお寄せ頂ければ幸いです。

昨今糖質制限によるトラブルとして誤解されているLow T3症候群や糖新生亢進状態が、糖質制限中心で育てられたこども達には起こらないという事が示すことができればと思っています。


一つ直接的な証拠にはなりませんが、類似の病態であるアセトン血性嘔吐症は離乳食が始まって以降の2~10歳の時期に好発することがわかっています。

ということは、生まれた瞬間は脂質代謝中心だったけど、炭水化物中心の離乳食文化の影響で、

強制的に糖代謝中心で代謝に急ハンドルが切られ、その急激な変化に適応できなかった子が脱水、緊張、感染などの糖代謝駆動イベントを契機にアセトン血性嘔吐症を、

すなわちは糖質の再摂取、ブドウ糖点滴で改善するような代謝障害がもたらされてしまうという事になるのでしょうか。

つまり糖質制限による体調を崩し、糖質摂取により軽快するというやせ型女性に多くみられる状態は、

糖質過剰摂取にうまく代謝適応できない体質の人が後天的に起こしている現象ではないかということです。

しかしながら、先天性脂質代謝異常症の場合に加え、すでに糖質制限に適応できない代謝状態となったお母さんから生まれたお子さんの場合は、

DOHad仮説に基づき、生まれた時点でお母さんの糖質制限に適応できない体質がお子さんにも移行しているという可能性も考えられますので、

さすがに全員が全員糖質制限子育てで健康、というわけにはいかないかもしれません。

それでも大多数の糖質制限チルドレンが元気であれば、やはりヒトの代謝の初期設定は脂質代謝、ケトン体利用メインだという事が実証できるのではないかと私は考える次第です。

とは言え、糖質制限メインで子育てをされている方はまだまだ数が少ないかもしれませんが、

今後そういう方々が増えてくる可能性は十分にあります。

たとえこの場でまとまった意見が得られずとも、

その目で世の中で起こる事実を見つめて検証していきたいと思います。


たがしゅう
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非公開コメント

>生命の歴史の中で最初の代謝システムは確かに糖代謝ですが

勉強不足でした。知りませんでした。夏井先生の御本も読んでいませんでした。
せっかくのハイブリッドなのだから糖代謝を錆びつかせないようにする為にも糖質制限より糖質選択が有効と聞きました。
これはどうでしょうかね。
糖質制限をしていた頃より糖質選択をするようになってからの方がケトン値が上がったとかもあるようです。
いろいろ目が離せないです。

No title

サイトウカラミさんのブログより
(糖質制限グループでインフルエンサーだった方)

我が家が子どもの糖質制限を止めた理由1- 息子の身長
https://saitokarami.com/kodomo-no-toshitsuseigen-wo-yameta-riyu1/
我が家が子どもの糖質制限を止めた理由2- 娘の視力
https://saitokarami.com/kodomo-no-toshitsuseigen-wo-yameta-riyu2/

今となっては...

大人の糖質制限は賛成ですが、子供の糖質制限は私も答えが出せないでいました。本来は子供は代謝が良いし、成長期ということを考えると、起爆剤?の糖質利用を推進した方が良いのか?と。

ここで我が身を振り返ると、幼少期から、所謂、痒い子、でした。身体のあちこちに湿疹が出来やすく、鼻水もしょっちゅう。成人してやっと湿疹も治ったかなぁと思った矢先の重症の花粉症...

もしも、もしも、ゆるくでも良いから糖質制限していれば、ひょっとしてあんなに苦しむことはなかったのではないか。ご飯は山盛りで食べてましたから。で、太りもせず。

うーん、大人で起きている糖質制限のトラブル、ひょっとして子どもにも当てはまるのかもしれません。即ち糖質摂って全く大丈夫なタイプのブドウ糖代謝に長けた?子供には、無理に糖質制限せずとも過多だけ注意して見守る、で、本当は糖質制限の方が良いタイプと。

要するに、大人も子供も、どっちの代謝がメインという話ではなく、どっちも有りなのではないでしょうか?どっちかをメインと発信するから、合わない人が騒ぎ出すわけです。やってみて合うならそれで良し、必要以上に反対側を非難するのは間違っていると。一方を選んだらといって破滅が待っているのではないことは、脂質代謝で体調万全の私は思います。1つの方法論に捉われ、特にこの場合はブドウ糖代謝!、合わせる為にわざわざ薬を使う様な愚かな真似はしたくないですね。

見極めは私の場合は、慢性疾患のアトピーなどのアレルギー症状。もしも子供のアレルギーで困ったら、子どもにも糖質制限が有効かもしれません。私は糖質制限でアレルギー症状劇的緩和しましたので。

あー、自分の身体で試せないのが残念です!

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

>胎児はおしなべて高ケトン血症

人類が脂質代謝だと言える、
ゆるぎない事実だと思います。

ヒトに限らず、生物の代謝に関して、
絶対に外せないキーワード、
「細菌」です。

ヒトの代謝について、ふと興味が湧きました。
昔の、パプア高地人の、血中ケトン体値です。

当時、糖質メインの食、彼らの腸内細菌はかなり特殊、
窒素を作り出す腸内細菌を多く持っていたという話は、
先生もご存知だと思います。

当時のパプア高地人の糖質過剰な食でも、
特殊な腸内細菌(脂質代謝の材料提供)との共生のおかげで、
彼らは、脂質代謝だったのかなと興味が湧きます。

今では、彼らの食も大きく変わってしまったようで、
今の彼らのケトン体値は参考になりませんが。

当時、血液検査でもしていれば、
面白い結果が見れただろうなと思います。

Re: タイトルなし

Carmen さん

 コメント頂き有難うございます。

 糖代謝はわざわざ糖質を摂取しなくとも、
 ストレスによっても駆動されるので、生きている限り錆びつく事はないと思います。

 また糖質摂取に伴うインスリン分泌はケトン体を下げる要因なので、
 糖質量が少ない状態よりも糖質量が多い状態の方がケトン体が上昇するというのは理論上は考えにくい話です。

Re: No title

> 我が家が子どもの糖質制限を止めた理由1- 息子の身長
> https://saitokarami.com/kodomo-no-toshitsuseigen-wo-yameta-riyu1/
> 我が家が子どもの糖質制限を止めた理由2- 娘の視力
> https://saitokarami.com/kodomo-no-toshitsuseigen-wo-yameta-riyu2/


 情報を頂き有難うございます。

 ただ、ざっと読む限りでは完全な糖質制限ではないようですし、生まれた直後から糖質制限で育てていたのかどうかもよくわからないので、何とも言えないですね。

Re: 今となっては...

プリン さん

 コメント頂き有難うございます。

> やってみて合うならそれで良し、必要以上に反対側を非難するのは間違っていると。

 それはそうだと思います。
 私達は何も批判合戦をしたいわけではありませんから。

 ただ自分の中では筋の通る原理を持っておきたいので、引き続き私は私の思考を積み重ね、世に問いかけていきたいと思っています。

Re: No title

Etsuko さん

 コメント頂き有難うございます。

> 当時のパプア高地人の糖質過剰な食でも、
> 特殊な腸内細菌(脂質代謝の材料提供)との共生のおかげで、
> 彼らは、脂質代謝だったのかなと興味が湧きます。


 腸内細菌が糖質を利用し、短鎖脂肪酸やアミノ酸を産生したりすれば、
 宿主が糖質過剰食を摂取しても、宿主に糖質の害が加わらないという状況は実はありうるのではないかと私は思っています。

 その状況が成立する時のポイントは先日のアマゾン奥地のチメイン族もそうですが、「余計な人為が加わっていない食生活」だと私は考えています。土着の食物を食べて結果的に高糖質食となった人々は腸内細菌毎食物を食べることで細菌との共生が成立した人達の末裔が現代に生きているのではないかと思うのです。しかし結局は想像の域を出ないのでこの辺りはまだ謎の多い所だと思います。

鈴木先生の最新の考えは糖代謝ということでしょうか…
https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=1031934690280638&id=100003923499809

Re: タイトルなし

Carmen さん

 それは私ではなく、鈴木先生にお尋ね頂ければと思います。
 おのおのが様々な人の意見を参考に自分の思考の樹を育てていけばよいと私は思います。

MEC食をした子の話です

4歳、2歳の子どもにMEC食(糖質10g〜20g以下)をした際、開始から6ヶ月もすると低T3症候群それぞれに発生をしました。始めた時期が上の方が早かったので、それぞれに、と書いています。
先生の考えを立証するのには2歳の時点では遅いということになりそうです。

当時3年前、低T3症候群の考察をされていた先生だけで、先生のブログに助けられました。
ありがとうございます!!

Re: MEC食をした子の話です

ケト子♪ さん

 情報を頂き有難うございます。

 糖質主体の離乳食文化に触れた後の糖質制限だと急激な代謝変更になってしまっていたかもしれませんね。

 ちなみにfree T3値が低値を示していただけでしょうか。それとも何か症状を伴っていたのでしょうか。前者であれば単なる適応反応で問題はないと私は考えます。

MEC食をした子供

症状は脱毛しだしたあたりで大学病院にいく形になりました。

足の攣りもありました。
チーズによるカルシウム摂取しすぎなどでしょうかね。当時子どもにはつらい思いをささせました。

でもそのころが精神的な安定が一番あり、また早寝早起きしケトーシスの良い点が見受けられました。

Re: MEC食をした子供

ケト子♪ さん

コメント頂き有難うございます。

脱毛もあったのなら、確かにストレスとなっていたのでしょうね。

ただ一方で精神状態が安定していたというのは、体調を重視する私としては違和感があります。もしかしたら脱毛も良い髪への生え変わりであって、必ずしも悪いことではなかった可能性もあるかもしれません。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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