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サイアミディン

自分を知るために他人を見る

不思議なことに他人のことは客観的に見る事ができても、

自分のことを客観的に見ることは難しいということを時々感じることがあります。

先日、私のブログを読んでくれている友人から、私の語彙力が多いことを褒めてもらうという出来事がありました。

それを聞いて私は非常に意外に感じました。私にはプロの作家さん達がするような込み入った文章を書きあげることは到底できないし、

むしろ自分の語彙力は少ないと思っていて、平易な文章で伝えることこそ自分のオリジナリティだとさえ思っていたようなところがあるくらいです。

あくまでも一個人の意見であり、本当に私の語彙が多いかどうかは別にしても、

いかに自分が自分の事を見れていないかという事を考えさせられる出来事でした。
しかし考えてみれば、自分をよく知るためには他人と比較するという作業が不可欠であるようにも思います。

自分の学力が高いかどうかは他人と比べなければ判定できませんし、

自分の集中力があるかどうかということも、他人と比べてどうであるかを見なければわかりません。

自分のことを理解するために、自分のことだけを見ていても決して知る事はできないというのも不思議な感じがしますが、

むしろ他人を自分の写し鏡にする、他人に興味を持つという事が、自分をよく知る旅への第一歩なのかもしれません。


かたや「発達障害」という病名があります。

発達障害とは、発達障害者支援法という法律で

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

もう少しかみ砕いて言うならば、一つの事にこだわり続ける、長い時間机に座り続けて勉強を行うことができない、様々な事に興味をそそられてじっとしていられないなど、

規則が設けられた社会生活の中でなかなか適応しにくい性質・体質を持っている人達のことが発達障害と名付けられています。

発達障害の当事者は自分が「発達障害」であるということを医師に認定されることで、

今までの謎が解ける感覚を覚え、救われる思いがするという話を聞いたりすることがありますが、

私個人の意見としては、「発達障害」という診断を下すことは基本的によろしくないことだと考えています。

発達障害は一種の個性であり、その個性が社会の一般集団と比べると比較的かけ離れているというだけの状況です。病気でも何でもないというのが私の意見です。

つまりその人の個性に社会システムの柔軟性がついていけてないということが問題の本質であって、

その個性を社会に適合するよう無理矢理に薬でノルアドレナリンの再取り込みを阻害したりして矯正しようとするのは、

まるで首が短く生まれた子供が、首長族の文化で無理矢理首を長くするように首にわっかをつけて育てられているような違和感を私は覚えます。

何よりよろしくないと思いのは、発達障害と呼ばれる人達は、「発達障害」と名付けられることで自分探しの旅に出かけられないということです。

何をするにしても、自分が社会生活でトラブルを起こしたとしても、それは「発達障害」という病気のせいだからだ、と思考停止に至ってしまいかねません。

「発達障害」と名付けられることで救われた感じがするのも、勿論自分の苦悩を理解してもらえた安心感もあるでしょうが、

もう自分で苦悩の理由を考えなくても済むという開放感も合わさっているのではないかと私は思います。

しかしそれは自分がどういう人間であるかということを考えることを放棄する行為でもあり、それがよいこととは私には到底思えないのです。

発達障害の中には例えば片づけられないとか買い物が止められないとか、

私にもあてはまるような特徴もあります。そういう意味では私もおそらく広い意味での発達障害の範疇にきっと入ることでしょう。

しかし自分が発達障害であるかどうかなど知りたいとは思いませんし、知った所で「片づけられないのは発達障害のせいです」と言われたとしても何が変わるわけでもありません。

自分の特徴を他人との比較の中で認識していき、この世の中のシステムの中でどうすれば生きやすくなるのかということを他ならぬ自分自身が考えない限り、

本当の意味での解決には至らないと
私は思うのです。

そうやって他人との比較で自分の本当の姿が浮かび上がってきた時に、

限られた人生の中で自分が何をすべきかという道筋も見えてくるのではないかと私は思います。

「発達障害」という病名がそれを教えてくれるわけでは決してありません。


たがしゅう
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No title

私の同僚に発達障害ではないか?と思われる人がいます。もっとも私は精神科専門医でもないので、あくまでも憶測に過ぎませんが。
彼は、他人と比較されることを極端に毛嫌います。
他人の生き様を参考にして、自身の振る舞い方を社会の一般的な有り方にする方向に舵取りして行けば、もっと楽になるのにと思われるのですが、
その様な素振りは全く有りません。
どうやら彼には非自己からは決して浸食不可能な絶対的な価値観が有り、それに従っているようです。
しかし、そんな彼でも組織には一応適応(仕事の結果を出すという意味では)しています。
彼は、仕事が舞い込む度に「なんだこれ・くだらねえ・ちくしょう」と周りにはっきりと聞こえる様に呟きながら課題に向かっていますが、
言うまでもなく仕事をこなすというとは、デスクワークで書き物をするだけでは済まされず、他者との円滑なコミュニケーションを達成することも必須となり、
時々(というか頻繁に)「あいつの態度や仕事の進め方は一体どうしたもんなんだ!」と言ったクレームが組織内や外部取引先から有ります。
しかし、一定の業績を出しているということで、組織の全体会議で表彰状を貰ったのですが、自席に戻った瞬間に表彰状をびりびりに破ってゴミ箱に放り捨ててました。
私が、恐る恐る「なんでそんなことするんだ?」と言ったら、「あいつらに、一体俺の何が解るんだっ!」と言ってました。
これは噂話で事実かどうか分かりませんが、彼は東大理科三類卒で、医局で指導教授と大喧嘩をして、医師の道は捨てたそうです。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。

 発達障害と呼ばれる人は従来の平均的な社会システムにそぐわないというだけで、
 必ず自分に適合するシステムはあるはずです。もし本当になかったとしても自分で作り出すという発想もあります。

 そのように適合するシステムの中で生きることができれば、発達障害と呼ばれる人にも「自己受容」「他者信頼」「他者貢献」という幸せへのステップと言われる感覚が生まれるはずだと私は考える次第です。

 2017年1月15日(日)の本ブログ記事
 「『幸せのサイクル』を意識する」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-842.html
 も御参照下さい。

No title

幸せのサイクルとは
①自己受容→②他者信頼→③他者貢献
彼は「①自己受容」は100%完璧ではないかと思われます。
しかし、彼にとっては「②他者信頼」する前に「他者受容」の段階が必要なのかも知れません。
それが彼に「なんだこれ・くだらねえ・ちくしょう」と思わせるのかも知れません。
で、いろいろ軋轢が有ったにせよ、最終的には「③他者貢献」になっています。
彼を弁護するするつもりではありませんが、「他者受容」には、一時的にでも自分の価値観を見直す(場合によっては否定する)ことになるので、とても精神的なコスト掛ると思われます。
アドラー心理学の心理学の実践と精神的なコストの実践の天秤。
アドラー心理学はそんな葛藤を強要していませんし、精神的なコストはアドラー心理学に対する理解に関わらず万人に発生し得るものです。
とても難しいです。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。

 他者信頼なしでの他者貢献は、ただの自己満足の産物であって、本当の意味での「他者貢献」になってはいないように思います。

 アドラー心理学での他者信頼は、明らかに誤っている人物にまで範囲を拡大させるものではなく、「見えない相手にも無条件の信頼をおきなさい」ということだと私は認識しています。

 もしもその方にとって、すでに他者は信頼しえないものだと認識されている場合は、残念ながらその方は幸せにはなれないと私は思います。幸せになるためにはその人自身が考え方を変えるより他にありません。
 そして接する私達はその人が明らかに間違っていない限りは、それでも信頼することが大事なのではないかと思います。あくまでも非当事者の意見であり、綺麗ごとに聞こえるかもしれませんが。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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