サイアミディン

向精神薬の常用はストレスマネジメントを弱らせる

私が糖質制限指導をし始めて6年以上になりますが、

経験上、糖質制限でトラブルをきたすことが多いパターンとして、

基本的にはやせ型体型の人にそういう人が多い印象を持っています。

肥満体質の人は私がそうであるように、一定以下にはやせない代わりに体調のトラブルは指導していてもそんなには問題にならないことの方が多いです。

ただし、肥満体質の人でも例外的にトラブルを起こしやすいパターンがあります。

それは向精神薬を常用されているという方です。
向精神薬は人為的に神経伝達物質を操作し、人為的な精神状態を作ることで何とか現状維持させようとします。

以前私が抗うつ薬を内服していた経験で言えば、身体は何とか動かせるけれど頭はぼ〜っとした感じとなり、ミスをすることが増える状態です。

そうした薬を飲む人は、薬を飲まなければもはや何もする気が起きず厭世的になってしまうので、

何も動かないよりはぼ〜っとしてでもいいから薬を飲んで身体を動かせていた方がマシだという考えもあるかもしれません。

しかし今にして思えば、何もやる気が起きなかったのは、ストレスを最小限にしようとする身体からのメッセージであったように思います。

さて、薬を飲んで何とか動けるのはいいですが、

それは自力で解決してそうなった訳ではないので、薬が切れたら元の抑うつ状態に戻ります。

それだと仕事も出来ずに困るので、また薬を飲んで何とか人為的な精神状態でやり過ごそうとします。

これを繰り返すことで、当面自力でのストレスマネジメントを行わないまま時間を過ごし続けることになります。

何が言いたいかといいますと、「向精神薬の常用は自力でのストレスマネジメント能力を弱らせる」ということです。

やせ型体型の方はストレスマネジメントがしにくいという事を以前考察しましたが、

肥満体型でも向精神薬を常用している人はそれと同じようなストレスマネジメント状況だとも言えるかもしれません。

容易に不安を感じやすく、下手すればそれを自己増幅させることで、ストレスが動悸、消化吸収障害という形で身体化しやすい方です。

勿論、これはあくまで私の糖質制限指導経験から感じる一般的な傾向であって、絶対的なものではありません。

肥満体質でも人生の不合理なイベントに遭遇して、極度のストレスがかかり交感神経過緊張状態となり、糖質制限がうまく出来なかったという方もいらっしゃいました。

もうひとつの問題はストレスマネジメントの不足は自覚しにくいということです。

ストレスマネジメント不足の人がいたとして、その人の中ではそういうものだとして生きて来ているので、

明確に物質的に比較することのできないストレスマネジメントの問題はどうしても軽視されがちになります。

そういうところで見えるものだけに重きをおく科学的思考の弊害が出てきている、そんな風にも思います。

この見えないストレスマネジメントの問題をどう捉え、どう改善に導いていくかということは、

私の考える新しい医療の在り方を構築していく上で重要なテーマのひとつです。


たがしゅう
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非公開コメント

向精神薬、安易に飲むものでもないですね。いまのところ必要なのかなって思ってます。
糖質制限しつつ、がんばりたいです。

Re: タイトルなし

瀬川里香 さん

 コメント頂き有難うございます。

 向精神薬が必要と思えば思うほど、自分自身のストレスマネジメントから遠ざかるというジレンマがあると思います。
 糖質制限はあくまでもサポートです。根本的な考え方が変わらない限りは向精神薬からの離脱は難しいかもしれません。

No title

たがしゅう先生
とても参考になります。

私の兄嫁がかれこれ7年くらい服薬をしながら家で過ごしています。
私が帰省すると、心身共にしんどい中でも色んな話をしてくれます。
自分でもなんとかしたい、どうしてこうなったか分からない、と。元気になったら庭にバラを植えたいと聞けば、負担になる可能性も危惧しながらも、きっかけになればと苗を送ってみたり。
本人が一番つらいでしょうが、母や兄、姪、甥もそれぞれの立場でつらいだろうと思います。
私が姉にできることはなんだろうと常に考えています。
服薬を止めて欲しいのですが、どうアプローチすればよいものか。

私自身も仕事をせず過ごした時期がありました。
自分で自分の事が決められず、美容室で美容師さんを困らせたこともありました。
そんな自分を思い出すのが怖くて小保方さんの本を手に取ることができませんでした。一個人の私と小保方さんでは重みが違い過ぎるのは承知です。でも、今なら大丈夫、むしろ今なのかと思います。
いいきっかけになりました。読んでみます。
ありがとうございます。

Re: No title

花鳥風月 さん

 コメント頂き有難うございます。

 今辛い状況にある人は健康な人に何を言われても響かない所があると思います。
 何かできることがあるとするならば、同じ辛い状況にある人のメッセージならもしかしたら伝わる可能性があるかもしれません。

 そういう意味では義理のお姉さまに小保方晴子さんの日記を渡すというのは一つの選択肢かもしれません。
 差し出がましい事を言うようで恐縮ではありますが。

はじめまして

いつも勉強させて頂いてます。

今回の内容はいつも以上に納得のいくものでした。
現在60歳になりかけですが、40歳を過ぎたころから4年前まで向精神薬を大量に飲んでいました。
仕事、介護、地域の用事や子供のことなど自分では
上手くハンドリングができていると思っていましたが、色々な出来事(泥棒なんかも含めて)の積み重ねで動悸や呼吸困難を起こす日々が続き、ある時近くの内科に駆け込んだのが始まりでした。
初診で「うつ病」と診断され、今思うと副作用の症状を訴え続けたところ(副作用と私は気づいていませんでした)2カ月後くらいにはベンゾ系が4種類と抗鬱剤。
1年後、精神科に転院してからは薬が複雑になり、幻聴や幻覚、解離が始まり、言葉にならない鬱状態や躁状態を経験しました。
2011年ころ、処方薬は1日に10種類以上に膨れ上がっていました。ここまできてようやく、自分は処方薬依存なんだと気づき、2年と少しで断薬しました。
今現在、体に後遺症はのこっていますが気持ちは穏やかです。
減薬を始めてから、反省することが多々ありました。そのひとつがストレスマネジメントです。
間違いなく向精神薬はストレス耐性の閾値を下げると思います。
減薬を始めてから心身ともに翻弄される時期を長く過ごすことでストレスと向き合うことが学べたと思っています。
これからもよろしくお願いします。

No title

極限のストレス状態に陥り、周りがどうすることも出来ない人間は、PCに例えれば、アプリのバグで無限ループになり、フリーズした状態ではないかと思います。

まずは、アプリを強制終了しますが、これは人間で言えば、向精神薬の服用や他者からのヘルプに相当するかも知れません。

もちろん、それで終わりではなく、アプリのデバッグをしますが、それは、通常そのアプリの作成者が行います、

デバッグは人間で言えば、ストレスマネジメントに相当すると思います。

デバッグを作成者が行う様に、ストレスマネジメントは本人が行います。

つまり、周りはきっかけくらいを与えることは出来ても、そこから先は本人自身に任せて見守るしかないのでは?と、私は思います。

本ブログの読者の皆様ならご存知かと思われますが、たがしゅう先生は、夏井先生のホームページで糖質制限と出会い、そこから先は誰に言われるでもなく、自分の意志で糖質制限理論を知識として身に着け、それを実践した結果ストレスマネジメントに成功し、希死念慮に捕われるほどの極限と言える鬱状態から離脱出来ました。

Re: はじめまして

おばちゃん さん

 コメント頂き有難うございます。

 辛い時に誰かに頼りたくなる気持ちはよくわかります。
 それゆえ薬に頼ってしまう心情も非常によく理解できます。
 問題はそれから先においても「自分の頭で考えることを放棄してはいけない」という事です。

 薬やサプリ中心主義には疲労やストレスなど様々な要因で正常に機能しなくなった思考をそのまま怠けさせてしまうという大きな落とし穴があると私は考えています。心の問題は決して人任せにはできない領域だと思います。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。
 わかりやすい例えですね。

 デバッグは他者が、ストレスマネジメントは自己が行うという点で一見異なるように見えますが、
 「構造を一番理解している者が取り組む」という点で言えば共通構造があるように思います。

 そして強制終了、向精神薬や他者サポートがそれらの取り組みに対してのきっかけです。
 向精神薬を飲み続けていたり、他者からのサポートを受け続けて自分では何もしないような状況は、
 あたかもアプリの強制終了ボタンを押した後、そのまま放置して解決するのを待っているような状況に似ていると思います。

 御指摘のように、私が夏井睦先生から教わった最も大切なことは「自分の頭で考える力」であったように思います。

No title

たがしゅう先生

貴重なアドバイス、ありがとうございました。
あまり本を手に取らない姉ですが、タイミングをみてプレゼントしてみます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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