サイアミディン

2018年5月13日糖質制限医療講座 in 静岡の御報告

2018年5月13日(日)、静岡で糖質制限の講演会をさせて頂きました。

4月の鹿児島講演会に続いて2回目の江部先生とのジョイント講演会となった今回、

前回鹿児島の時の参加者の皆様から頂いた御意見も参考に、またパワーポイントに頼り過ぎずに私の気持ちを一生懸命伝えるプレゼンを心がけました。

80名を超える参加者の皆様でほぼ全ての方々がすでに糖質制限を実践されている方で、皆さん非常に熱心にお話を聞いて頂きました。

静岡ではこれまでにも同様の講演会が何度か開催されているのですが、

糖質制限を知らない人に糖質制限を伝えるという意味でのこうした講演会の意義は徐々になくなりつつあり、

時代は糖質制限に対して次のステージに進みつつあるのかもしれないということを感じました。
つまり糖質制限を知らない人に教えるのではなく、糖質制限制限をやっている人もしくはやろうとして悩んでいる人に対して、

いかに安全に、いかに不安を感じることなく糖質制限を実践してもらうかという道標を示すという役割です。

そういう意味で私は第一部の講師として、「糖質制限から学ぶ自然重視型医療」と題しまして、

糖質制限とはどういう食事療法なのか、また糖質制限とどのように向き合うべきなのかについての私の想いを語らせて頂きました。

内容に興味を持って頂きつつも、種々の事情で参加出来なかった方のためにも、講演の概要を紹介させて頂きたいと思います。


まず私が134kgから10ヶ月で約30kgの体重減少に成功したという証拠画像を提示し、

体重減少だけではなくあらゆる体調が人生で初めて軒並み改善していった経験を語るところから始め、

一方で標準体重までやせ切らない事実を見て、糖質制限への考察を自分の頭で考えて重ね続けていった結果、「糖質制限は単なるダイエット(痩身法)ではなく、人類の健康食」という結論に達したと最初に明示しました。

そこから先、講演の前半はなぜ糖質制限であらゆる体調不良が軒並み良くなるのかという今までに分かっている理屈に関して私の知っている知識の要点を示しました。

例えば糖質をとるとなぜ太るのか、なぜ眠くなるのか、なぜ老けるのか、

認知症、アレルギー、自己免疫疾患、神経難病、線維筋痛症などの現代医学で原因不明の病気がなぜ糖質制限でよくなるのかなどについて解説を加えました。

あるいはアセトン血性嘔吐症糖質酔いと呼ばれる現象機能性低血糖症という病態が関わっている可能性についての私見も述べさせて頂きました。

高度腎不全、肝硬変、活動性膵炎の人、現在低血糖を起こしうる薬剤を使用している人、生まれつき脂質・タンパク質がうまく利用できない体質の人などが糖質制限を行う場合は必ず医師と相談するようにとする注意点で前半を折り返しました。

後半は重症糖尿病と糖尿病性足壊疽で足切断宣告を受けた後、

糖質制限と湿潤治療を行っている病院としてネットで調べて私の下に訪れた患者さんが、

見事糖質制限+湿潤治療で足切断を免れて人生を変えることに成功した患者さんの紹介から始めて、

糖質制限と湿潤治療に共通する自然重視型の医療の本質について迫っていきました。

つまり糖質制限も湿潤治療も、自然に備わっている治るためのシステムを邪魔しないという点で共通しているということです。

原始時代、農耕がまだ始まっていない時代に自然にあるものを食べれば自然と今の糖質制限状態になり、これを基本に考えることが自然重視型の食事だと示しました。

一方で同じくケトン体産生の恩恵を受けられる脂質90%のケトン食は、

自然界に自生する食物を摂取する方法では再現できない人為的な糖質制限だと示しました。

しかし人為そのものが常に悪いのではなく、湿潤治療が原始時代の傷の治り方に傷に固着しない被覆剤という人為を加え、

傷が治るのを阻害する消毒やガーゼという人為を排除する調整を加えることで、自然の治り方よりもさらに良い治り方を実現させることができることを指摘し、

この人為にまみれた現代社会では、自然重視型のスタイルに適切な人為を加えていくことが最も健康的な生き方であると主張しました。

そして自然重視型のスタイルを考える時、そもそも原始時代はどうだったのか、

あるいは生命の歴史の流れとしてどうだったのかを考えると向かうべき方向が見えてくることが多いとも述べました。

糖質制限、湿潤治療以外の例として、腹臥位療法マインドフルネスについて紹介しました。

進化の歴史上、二足歩行を成し遂げたヒト以外の動物は骨格に内臓が守られる位置関係の腹臥位を基本姿勢としていること、

仰臥位は人為的に周囲の捕食動物から確実に襲われなくて済む、家などの人為的な環境を作ることで成し遂げられた極めて人為的な姿勢だと主張し、

自然を重視した腹臥位をとると、1日5分程度の実践でも呼吸が楽になったり、痰や尿が出しやすくなったり、腰痛や褥創が良くなったり、など様々なメリットがあることを紹介しました。

またマインドフルネスについては現代版の瞑想であり、

言葉というヒトのみが扱える人為を生み出したおかげで、

野生のゴリラであれば決して思い煩わされることのないようなストレスフルな精神状態が作り出されるという負の側面が生まれ、

生活、仕事、家族など様々な環境で心の休まるいとまのないストレス社会に私達は生きている、ということを示し、

そんな時代だからこそ、何も考えないという心の断食たるマインドフルネスを、加えるべき適切な人為として利用すべきだと述べました。

最後に、昨今は糖質制限に対するネガティブキャンペーンもまだまだ鳴り止まない世の中ですが、

そんな情報にも揺さぶられて、本当に糖質制限をすべきなのかどうか思い悩む時は、

ここはひとつ原始時代を参考に「はたしてそれは自然なのか、人為なのか」ということをふと立ち止まって考えてほしいと提案しました。

しかし今更私達は原始時代に戻るわけにはいかないし、戻れないのであるならば、

自然重視型のスタイルで適切な人為を加える方法で乗り越えていきましょうと、

そのためには人任せにしては決してダメで、自らが主体的に取り組むべきというメッセージで終える約70分の講演でした。

余談ですが、今回は笑いのひとつも取りたいという一心で、

「私は(この肥満体型なのに)で福山雅治さんラインを目指している」という自虐ネタを放り込んでみましたが、

静岡の方々、みなさん優しくて温かい気持ちで私の心を察して下さり微笑んで頂きました。

全体としてはまだまだ笑いの少ない真面目さ95%の講演だったと自己分析しますので、

今後はもっと皆さん老若男女楽しめる笑顔の絶えない講演ができるよう進化させていきたいと思います。


第二部の江部先生の講演は、いつもながら笑いの絶えない見事な内容でしたが、

ひとつ江部先生が講演の最後の方で諭すように私達におっしゃって下さっていたのは、

糖質制限でいくら体調がよくなっても油断は禁物、それまでの負の遺産がなくなっているわけではないので、

エコーや眼底検査など自身の状態をチェックし、メンテナンスしていく姿勢は崩さないようにということでした。

私達はどうしても、喉元過ぎれば熱さを忘れるところがあるように思いますので、

江部先生の強調されたことはとても大切だと再認識し、これからも襟を正して糖質制限指導に取り組んでいく気持ちを新たにした次第です。

最後は帰りの鹿児島行きの飛行機の時間上、江部先生の質疑応答タイムを待たずして途中退席という失礼をしてしまうことになってしまいましたが、

静岡の皆さんの熱心な気持ちと温かい心に支えられ無事講演を終え、鹿児島への帰路にもつくことができました。

機会があればまた静岡へ参りたいと思います。

関わって下さった皆様、関心を持って下さった皆様方に心より感謝申し上げます。


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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