サイアミディン

主体的治療者への教育

引き続き「主体的医療」を検索ワードにして調べてみると、

青森県立保健大学、健康科学部のホームページに突き当たりました。

こちらは主体的学習者を育成するための組織的なシステム作りに取り組んでいるとのことで、

そのシステムの概要が紹介されているページでした。

確かに主体性を高く持つかどうか、教育によってある程度影響を与えることはできるかもしれません。
紹介されているシステムの中で「主体的学習態度の視点」として、次のような要件が挙げられていました。

【主体的学習態度の視点】
•問題(学習課題)を見いだすことができる
•学習目標や内容を自ら認識することができる
•学習資源や手法を知り活用できる
•自己学習を進めることができる
•成果や結果を口頭や文章で表現することができる
•学び方を様々な場で活用することができる


青森県立保健大学健康科学部では上記のような事ができる主体的学習者を育てるように教育を行っておられる模様で、素晴らしい試みだと私は思います。

この指導方針を医療に当てはめれば、私が目指す「主体的医療」を実践できる患者さんが出てくるように思います。

つまり、

•問題(健康課題)を見いだすことができる
→自分の食生活、ストレスマネジメントに問題を見出す
•健康目標や内容を自ら認識することができる
→体調不良、精神不安定な状態を元の安定した状態に戻したいと思う
•健康資源や手法を知り活用できる
→今自分が食べているもの、生活にかかるストレス、問題点に応じた情報・先駆者の経験などの情報を入手し活用する
•自己学習を進めることができる
→実践と失敗を繰り返しながら学びを深め正解に少しずつ近づいていく
•成果や結果を口頭や文章で表現することができる
→失敗を含めた自分の経験を人に伝えたり、ブログに紹介したりする
•健康セルフケアを様々な場で活用することができる
→自分が主体的に動いて改善した経験を他の誰かに伝えることで新たに人を助けることができる


このような好循環を回すことができる患者を主体的学習者にならって「主体的治療者」と呼ぶとすれば、

主体的治療者こそが医療の在るべき姿の根幹を担う存在ではないかと私は思います。

ただ問題ははたして本当に教育によって「主体的治療者」を生み出すことはできるのか、ということです。


私は今までの個人的な経験から、どちらかと言えば「二十歳を超えれば人の性格を変えるのは無理」と思っている節があります。

勿論、教育は無意味だとは思いません。例えば主体性2割のところを主体性4割に立ち上げるくらいの効果はあるのであろうと思います。

しかしいかにすぐれた教育を行おうと、主体性0割のところから主体性10割に変えることに、少なくとも私は可能性を見出せません。

もし仮にそんなことができるのだとすれば、人は誰かによって完全にコントロールされるという事が起こりうることになってしまいますが、さすがにそんなことは起こらないと思っています。

マインドコントロールとか極端な世界は存在するにしても、基本的にはどんな環境であれ最後まで残る自分の心の本質的な部分は何人たりとも変えられないはずです。

だから教育、あるいはそれに準じた何らかのシステムによって、

患者全体の主体性を高める努力はすべきだと思いますが、

一方でそれで全員を救おうなどという慢心を持つべきではないとも思います。

いずれにしても患者全体の主体性を高める可能性を秘めている「主体的学習者」を育てようとする教育システムに対しては、

これからも興味を持ち続け、何か応用できそうであれば是非とも取り入れていきたいと思います。


たがしゅう
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相手に気持ちをどう伝えるか。アドラーの子育て論や、先生が関心を持っておられる哲学カフェなどにヒントがあると、最近考えております。私自身は、糖質制限を伝えるにあたっては、今のところ失敗続きです。7月の語る会に参加予定ですが楽しみにしております。

No title

なぜか「教育と布教」というのが頭に浮かび、ネットで検索したら

「教えるのではなく共に学ぶ」
「同じ憧れに憧れられるのが先生と生徒の良い関係」

というのがありました。

これはアドラー流に言えば

「他者と関わる上でもっとも重要なことは
 他の人の目で見、
 他の人の耳で聞き、
 他の人の心で感じることだ」

ということになるのかな?と思いました。

Re: タイトルなし

T さん

 コメント頂き有難うございます。
 
 糖質制限指導を初めてはや6年、私もずっと突き当たり続けている問題です。解決は容易ではありません。

 そんな中、見出しつつあるキーワードが「主体性」であり、「さりげないサポート」ではないかと思っています。
 人を対等に捉えるアドラー心理学、開かれた対話を大事にする哲学カフェ、確かにこの辺りに変革の鍵が隠されているように私も思います。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。

 「対等な関係」となる事が「主体性」を育むコツなのかもしれませんね。
 
 布教という言葉から「マインドコントロール」という言葉が何となく連想されました。
 「マインドコントロール」は極めて主体性の少ない人に対して客観的にみて望ましい方向へ導く究極の手段なのかもしれませんが、私はそちらの方向へは決して向かってはならないと感じています。例え困難な道のりでも「主体性」ベースで考えていくべきだと思います。

No title

主体性が有る人は「自分の選択によって自分の状態を決めることができる」と思っているのに対し、
主体性が無い人は「外部からの影響によって自分の状態が決まる」と思っています。

これは、たがしゅう先生がブログで度々おっしゃらてれていることです。

では、主体性が無い人を主体性が有る方向に持って行ける方法は有るのか?...
そんな方法を見出すことは、たがしゅう先生がブログで度々おっしゃらてれているように非常に困難だと思います。
よく「親のしつけが」とか「学校教育が」とか言われますが、それは「外部からの影響」に依存した物言いだと思います。

結局は「本人の気付き」に期待するしかないのではと思います。
で、他者としては「気付き」になるきっかけを例示するのが最適解ではないかと思います。

しかし、これは非常に難題です。
「他者のきっかけ」にアクセスすることは、時として強力なマインドコントロールが必要となる場合が想定されるからです。

いろいろ長文にて失礼しました。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。

> 主体性が無い人を主体性が有る方向に持って行ける方法は有るのか?...
> 結局は「本人の気付き」に期待するしかないのではと思います。
> で、他者としては「気付き」になるきっかけを例示するのが最適解ではないかと思います。


 私もそう思います。
 「気付き」は自発的であるべきで、強制的であってはならないと思います。

 主体的であることで得を感じる新しい医療のシステムを構築していく必要性を強く感じています。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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