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サイアミディン

主体性と自主性の違い

「主体性」と似た言葉に「自主性」があります。

学校教育などでは「主体性」というよりも「自主性」を重んじる風潮があるように思いますが、

「主体性」と「自主性」の違いとは、はたして何でしょうか。

この疑問の答えから、「主体的医療」への理解をさらに深めることができます。

本日は、この切り口から主体的医療について考えてみたいと思います。
まず、学校教育で重んじられる「自主性」とは、「他人からの干渉や保護を受けず、独立してことを行う態度や性質」のことです。

言い換えれば、「明確に定まっているやるべきことを“人に言われる前に率先して自らやる(行動する)こと“」と言えます。

例えば、仕事場で挨拶をする際に、上司や周囲の人から“挨拶しろ”と言われてはじめて挨拶をするのではなく、

自分から率先して元気よく挨拶することができる人は自主的な人です。

これに対して「主体性」とは、「どんな状況においても“自分の意志“や“判断“で責任を持って行動する態度や性質」のことです。

言い換えれば、「たとえやるべき事が決まっていない状況でも自分の頭でで考えて判断し行動する」ということになります。

例えば、主体的な人が挨拶をしようとすると、まず「挨拶をすることの目的」を考えます。

そして考えた結果、挨拶の必要があると判断すればするし、挨拶の必要がないと思えばしないという行動をとります。

つまり、やるべき事を自分で判断し、その行動によるリスクも自分で負いながら、自らの責任で最も効果的な行動をとろうとする態度が「主体性」ということです。


さて、「自主性」と「主体性」の決定的な違いはどこにあるでしょうか。

それは「やるべき事が他人によって決められているか、自分が決めていくか」という違いにあると思います。

医療で言えば、血圧を下げたいと思って降圧剤を処方してもらう行動は、

それだけで見るとまだ「自主的」なのか「主体的」であるのかはまだわかりません。

もしも「血圧を下げた方が良いと世間で言われているから」と考えて、誰に言われるでもなく降圧剤を処方してもらう行動をとったというのであれば、その行動は「自主的」となります。

ところがこれを世間での常識にとらわれず、自分の頭で考えた結果、降圧剤を処方してもらうべきと判断したのであれば、その行動は「主体的」となります。

同じ行動でも自主的でも主体的でもありうるというややこしい話になりますね。

ところがそれが自主的なのか、主体的なのかによって、例えば副作用が起こった場合、その後の行動は変わってくると思います。

自主的に動いた人は世間の常識に従っているので、仮に副作用が出たとして軽い場合は気にもかけないかもしれないし、

気になったとしても医師に判断をゆだねその指示に従うという行動をとると思います。

ところが主体的に動いた人は、自分の判断で降圧剤を飲むとしたので、何か調子がおかしいと感じた場合に、「もしかしたら自分の判断が間違っていたのかもしれない」と考える可能性が高いです。

その結果、再び自分の考えを見直すように情報を集めたり、医師へアドバイスを求めたりするでしょうし、

得られた情報や助言を鵜呑みにすることなく、再び自分の頭で考えて最適な行動を取ろうとします。

同じような行動に見えるかもしれませんが、主体的に動いた人の方はもしも薬で何かトラブルに遭ったとしても、

それを他人のせいにするという行為は決してしないように思います。なぜならば自分の頭で考えて判断し、情報や助言はあくまでもサポートと考えているからです。


大人になれば自分の事は自分で責任を持てるようになれ、とそのような教育を私達は受けてきたように思います。

しかし、こと医療に関してはその考えが置き去りとなり、誰かに判断を委ね続けてしまっている人が多いのが現状なのではないでしょうか。

後悔のない満足のいく医療を受けられるようになるためにも、

「主体的医療」の重要性を広めていくべきだと私は考えています。


たがしゅう
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とりとめもない感想です。「理想的な健康状態以外は悪、早期発見早期治療が全て」との身体観がメジャーなので、そうじゃない「自分の健康観」と、それに基づく治療希望を伝える適切な言葉すら持ってない。医師も、じっくり聞く時間を持ってない。
人生観を、かかりつけ医と共有した上で、個別の治療なども考えることが出来れば最高です。異常を感じるやいなや検査や治療を希望するか、「医師の指示、意見」書に全責任を押し付けざるを得ない現状を変えたいです。

Re: タイトルなし

T さん

 コメント頂き有難うございます。
 
 自分の頭で考えるためにもきっかけは必要です。
 ゼロから自分の頭で考えろということほど無理難題はないと思います。

 しかし現代医療はそのきっかけが医療者側から発信するものが主流です。
 御指摘の通り、「早期発見、早期治療こそが最善」という考えの下、医療者は、多くの場合、患者へ価値観の押し付けを図ります。そして受動性の高い患者は、多くの場合、その押し付けに疑いを持つことなく盲目的に信用することが習慣化してしまっています。そこに疑問や検証の目を向けなければ、患者自身の人生観を大事にした患者満足度の高い医療を展開することは難しいと私は考える次第です。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
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※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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