サイアミディン

未知の物質までメンテナンスできない

本日は何気なく医療ニュースを見ていて、

ふと思ったことについて記事にしたいと思います。

目に入って来たのは次のような記事です。

眠気の仕組み一部解明=脳内たんぱく群を特定-筑波大
2018年06月14日02時13分

(以下、引用)

徹夜すると蓄積し、眠れば解消される脳内のたんぱく質群を、筑波大の柳沢正史教授らの研究チームがマウスを使った実験で突き止め、13日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。眠気が脳内でどう生じるかなど、睡眠の仕組みや機能には未解明な部分が多く、研究成果は謎を解く手掛かりになると期待される。

研究チームは、通常のマウスより眠気が強くなる遺伝子変異を持つマウスと、睡眠を中断させて眠気をもたらしたマウスを使い、脳内のたんぱく質の変化を観察。いずれのマウスでも脳内の80種のたんぱく質がリン酸化(活性化)されていることが分かり、これらのたんぱく質群を「SNIPPs(睡眠要求指標リン酸化たんぱく質)」と名付けた。リン酸化の程度は、覚醒時間が長いほど進行していた。

SNIPPsのうち、69種が脳内の神経細胞をつなぐシナプスの制御に関与していることが分かっており、研究チームは今後、個々のSNIPPsの働きを詳しく調べるとしている。(2018/06/14-02:13)

(引用、ここまで)



睡眠と言えば、メラトニンとかオレキシンという神経伝達物質が関わるとされていますが、

今回全く新しいSNIPPsと名付けられた物質が発見されたという話で、

しかもSNIPPsは単一の物質ではなく、80種類もある一連のタンパク質群を指すというのですから、

睡眠という現象には様々な物質が関わっているということをうかがい知ることができます。

このニュースを見て、ある人はこれでまた新しい睡眠薬を開発するブレイクスルーになったと、

医学のさらなる発展に期待して胸を躍らせたりするのでしょうか。

でも私の感想はむしろ真逆でして、自然の複雑なシステムにはむやみに逆らわない方がよいという思いを新たにする次第です。


私が糖質制限が素晴らしいと思うのは、特定の物質を補充するプラスの発想ではなく、

本来不要なものをあるべき姿にセーブするマイナスの発想でもって様々な方面の臨床効果を発揮しているという点です。

それは糖代謝や脂質代謝など、私達が頭の中で把握している代謝システムのみならず、

把握しきれていないシステムも含めてメンテナンスすることができるのがマイナスの発想の良い所だと私は考えます。


糖質制限に種々のサプリメントを加えるオーソモレキュラー医学のアプローチに全幅の信頼を寄せている人もいるかと思いますが、

このプラスの発想は私達が把握している物質しかプラスすることができないという限界を知っておいて損はないように思います。

平たく言えば、サプリメントを加え出したらきりがないということです。

睡眠のためにメラトニンのサプリメントを利用している人もいるかもしれませんが、

それだと今回発見されたSNIPPsに対して当然ながら何も介入していないことになりますし、介入する方法も現時点では確立されていません。

もっと言えば、まだ発見されてない睡眠関連物質も複雑な人体の中にはまだまだあるかもしれず、それらに対してはそもそも介入さえできないという話になってしまいます。

ところが糖質制限のようにマイナスの発想であれば、未解明や未知の物質も含めて代謝をメンテナンスすることが可能となります。

なぜならば、不要な物質を取り除くことで未解明や未知の物質も働きやすくなるからです。

私はサプリメントを否定しませんが、その使い方は一時的であるべきだと思っています。

到底全ての物質を把握できているとは言えない複雑な人体において、

種々のサプリメントを用いて身体を人為的にメンテナンスするという発想では、

その介入が長くなればなるほど歪みを生じうるのではないかと私は考える次第です。

やはり自然の中で作り上げられているシステムをむやみに操作するべきではないということを、

このニュースを読んで私は思いました。


たがしゅう
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盲が層を

色々な考え方があるのだと思います。
私は私たちのライフスタイルを続ける限り、ビタミンC、E
亜鉛、鉄といった基本的なサプリメントを使う事をためらう理由はないと思っています。(あ、メラトニンを長期使用することは大変に異常な事。時差を修正するのでもないのにメラトニンが必要なこと自体、かなり変。ライフスタイルを直さないとって思う。)

知れば知るほど自分がいかに無知であるのかということを思い知らされます。今わかっている事はおそらく一割もないのかも知れない。
所詮、私たちは巨大な象の一部分を触って自分のわかる一部を評価して声高に議論しあっている「盲」に過ぎないのだと思います。

見えざる神の手に委ねる
もっとも大切な概念だと思います。
自然に任せる
その母なる「自然」は残念ながら、私たちの生活から
すでに失われているのかも知れません。
今、私たちが口にする肉も野菜も過去に私たちの祖先が口にしていたものからは遥かにかけ離れた代物です。野菜は品種改良という名の元、育てやすい口当たりの良いものばかり。ミネラルの多いエグ味のある野菜は今は売られていませんが、ちょっと前まで当たり前でした。子供の頃、生のほうれんそうなどエグくて食べられたものではありませんでした。化学肥料を使い、かつて含まれていたビタミン、ミネラルの数分の一になってしまっています。露地で日光をたっぷり浴びてそだった野菜はどれだけあるのか。野草を摘んで調理すると本当に驚愕します。例えばその辺のヨモギ、
食べて見て!苦いwwエグいwそのままじゃ食べれない。
肉もそう。餌の組成は肉の栄養素を大きく左右します。飼育方法も栄養素を左右します。口当たりの良い柔らかな、香りの良い脂がたっぷり含まれた肉って栄養から見ると???なんです。本気でグラスフェッドの放牧で育った牛って固くて臭くて不味い。今の鶏肉って地面を踏んだこともない鳥の肉。脂肪酸も餌のトウモロコシ由来のもの。

屋内で仕事してると日光に十分当たる時間もおそらく私たちにはありません。
屋外で長時間過ごすことのない多くの人はビタミンD不足でしょう。

あとね、
真面目な禅僧はみな短命でした。
(一休禅師は妻を娶り肉を喰らい好き勝手にやっていたバリバリの破戒僧。長命でした)
永平寺という大変に有名な禅寺がありますが、ここに入山すると厳格な菜食なので皆、脚気に悩まされています。脚気で立ち上がれなくなるのだそう。(NHKスペシャルの過去の放送で秀逸なものがあります。オンデマンドで見れます。永平寺の特集は二つありますが古いほうで脚気についての言及があります。ご興味あれば是非検索を)
ちなみに永平寺の開祖、道元は享年53です。

もっとも大切なことは
ちょっと前まで「人生50年」だったんです。
人間っては過酷な環境でも栄養不良でも大抵の人は生殖年齢を生きぬく。
一方で下手すると100年生きなくちゃいけない私たちなの。
70歳でも80歳でもエネルギッシュに生きるのはかなり人工的の何か。
ピンピンコロリ、になるにはサプリメントもありかなっておもう。
その辺は趣味嗜好の問題だと思います。

Re: 盲が層を

彩の幹事 先生
 
 コメント頂き有難うございます。

 産業革命、流通革命、情報革命を経て進化した我々の現代の生活はすでに本来の自然とかけ離れているという御指摘はうなずけます。御指摘のように、肉も野菜も古代のそれとは違うし、日照時間も全然違うであろうことは想像に難くありません。

 その歪みを修正する方法としてサプリメントは確かに選択肢の一つですが、「解明された物質だけを補うアプローチでは新たな歪みを形成するリスクも考慮する必要あり」というのが今回の記事での私の気付きです。
 私の意見としては、本来の自然が100点とは限りませんが、仮に現在の状態が本来の自然とかけ離れていたとしても、自然の代謝システムが正しく働いてさえいれば動物としての人間はうまく環境に適応できるはず、と考えます。そして自然の代謝システムがきちんと働いているかどうかを知るバロメータが「体調」です。

 体調がよければ現代社会でもサプリメントを使わずとも代謝適応はできているという事になりますし、体調が悪くてサプリメントを飲むことで体調が改善する人はサプリメントを加えることで代謝適応できているという事になります。ピンピンコロリのためにサプリメントが必要か否かは、自分の体調の変化をよく観察して自分自身で判断すべきことと思います。

 「真面目」という言葉は解釈が多様で難しいです。確かに短命の禅僧もいますが、長命の宗教家もいます。ストレスマネジメントだけですべてを語れないのかもしれませんが、ことはそう単純ではないことだけは確かだと思います。

 2016年5月14日(土)の本ブログ記事
 「宗教家の長寿の秘訣」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-689.html

 2017年1月14日(土)の本ブログ記事
 「真面目なだけでは長生きできない」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-841.html
 
 も御参照下さい。

どうも^^

個人差
^^

あ、
私など
大病した身なのでほったらかしてたら長生き出来ない。
再発してなるものかと
争う気満々です。それだけですよ。

元気なひとは
元気で良いんです。

Re: どうも^^

彩の幹事 先生

 コメント頂き有難うございます。

 人それぞれ考え方、やり方は違っていて当然です。私の意見はあくまで私のものです。
 自分の頭で考えて、自分にとって合う方法にたどり着けているのであれば、それが何よりだと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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