サイアミディン

アサーティブな会話とは

あけましておめでとうございます.2014年(平成26年)の幕開けですね.

今年最初の話題はこちらの本からです.



「50歳からは炭水化物をやめなさい」という本も書かれている寄生虫研究の権威,藤田紘一郎先生の最新著作です.

この本は非常に面白かったです.この本の最も重要なメッセージは「遺伝子は環境によって変えられる」ということです.

私たちは,「遺伝的な情報は生まれつき決まっていて,どうやっても変えられないものだ」と考えがちですが,

実は「自分の生きている環境を変えれば,遺伝子も変化させられる」ということなのです.この事を「エピジェネティクス(後天的遺伝子制御変化)」といいます.

本の中には示唆に富む内容が具体的な例を示しながらとてもわかりやすく記されているのですが,

本日はその中から「自分の考え方」という環境を変えて,良い遺伝子変化をもたらすための方法の一つを紹介します.

これを読んでよい一年の足掛かりになれば幸いです.
まずはこちらの文章をご覧下さい.


~以下,引用~

『アサーティブな会話を心がける―腸思考法②』

(前略)

「正論が人を傷つけやすい」とよく言われます.「絶対に自分が正しい」と思っていると,他者への気配りをせず,自分だけが納得している言葉を不用意に伝えてしまうからです.しかしたいていは,相手も自分が絶対に正しいと思っています.

本来は,「いま,ここ,あるがまま」の場面を最も大切にすることが大事なのに,自分の正義だけを主張して,目の前にいる人との信頼関係を保つことを忘れてしまってるのです.

だからといって,自分の意見を言わずに我慢したり,意見を通そうとして攻撃的になったりすると,結局はお互いが不快な気分で終わってしまいます.

〈相手に腹が立つ〉ということは,裏を返せば〈相手が好きであり,思い通りにならないから悲しい〉ということです.本当に大嫌いなら相手にもしないはずです.友好関係を保ちたいがため,相手を無理矢理操作しようとして怒りに発展するのです.

では,お互いに嫌な思いをしないで,相手と異なる自分の考えをどうすればうまく伝えられるでしょうか.

まずは,相手を受容します.これは,意見に同調することも否定することもなく,「相手が話している行為自体を受け止める」という意味です.つまり,「そうなんだ.〇〇さんは,そう考えたんだね」という返答になります.

そしてアサーティブな会話を心がけるのです.「アサーティブ」とは,相手の存在や意見を大切にしながら,自分の意見を相手に伝える,という意味です.

(中略)

※注:あたま=そのままの言葉の受け止め方,おなか=発想を変えて相手へ負の感情を伝えない解釈の仕方

【例1】
あたま:「あなたの冷たい態度は,いつも私の気分を損ねる」
おなか:「私が悲しくなったのは,あなたの態度を冷たいと受け取ってしまったから」

【例2】
あたま:「また勝手に私のお金を使って,どうしたらわかってくれるの」
おなか:「私の知らないあいだにまたお金を使われたことを,とても残念に感じている」

【例3】
あたま:「何度言っても仕事のミスがなくならないのはどういうことだ」
おなか:「私が仕事のミスについて何度か指摘しても,うまく伝わっていなくて悲しい」

腸思考法②:
自分の常識が,相手にとっての非常識のこともあると心得る.相手と対立せずに,自分の考えや思いを伝えることができるようになります.

~引用,ここまで~


ストレスの多い今の社会,人間嫌なことの一つや二つ誰だってあるはずです.うまが合わない人だって必ずいることでしょう.

そんな時に環境の赴くままに負の感情を抱かされていると,そのままストレスを受け続け,健康にとってもよくないという事です.

そして感情は移ります.この本の中では「遺伝子の水平伝播」という興味深い現象のことも取り上げられていますが,感情が移ることはみなさんも日常よく経験することだと思います.

確かにいつもニコニコしている人のそばにいると,自分の気持ちが落ち込んでいたとしても,気分が少し明るくなっていく気がしますし,

泣いている人をみてもらい泣きするという現象も感情が移るということを示しています.

自分が相手に負の感情を伝えてしまえば,相手からまた誰かに伝わり,その波はとどまるところを知らなくなります.

ただそれは自分のところで我慢しなさいということではなく,上述のアサーティブな会話を心がけて思考法を変えることによって,自分のところにたまる負の感情さえも逃がしてしまおうという手法です.

これ実際にやってみるとなかなか難しいのです.世の中には一方的に攻撃的な人やどう考えても腹が立つことをしてくる人間っていますからね.

しかし,そういう時でも相手と対立するのではなく,相手を受容することが大事なわけです.

これはとても大切な考え方だと思います.

負の感情はふくらませない,でも正の感情はどんどん伝えて輪を広げていく.

この事が糖質制限を広めていく上でも重要になってくるのではないかと私は思います.


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生、今朝のブログ昨日の私の質問にピッタリですね。
今年は元日早々嬉しい情報で嬉しいです。ありがとうございます。
私の住んでいる所は田舎ですから、正論を言えば潰されます。出る杭は打たれるという感じです。間違った親の言うことにおかしいと思いつつも反論することもできません。嫁にきて20年以上そんな我慢の生活ができるわけがありませんでした。反論しない夫の代わりに私は何度も戦いました。戦った相手はあの世にいきましたが、この本を読んでいたら無駄なエネルギーは使わずに済んだことでしょう。
今年は昨年以上に糖質制限について実践していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

Re: No title

スマイル さん

コメント頂き有難うございます。

私もこの本読んで目からウロコでした。実践には慣れを要しますが、相手も自分も負の感情を抱えなくてすむという点でやってみる価値はあると思いました。

大切なことですね

 「傾聴面接」といいますが、仕事をしているときは、自分の感情を抑制できるのですが、個人的には、結構、江戸っ子で気が短い性格のようです。

 今回の「言葉」自戒の言葉といたします。

相手の話を、10聞いて、自分の言いたいことは、7くらいにするような感じですね。
 ただし、ポイントは抑えて・・・
相手によって臨機応変というのが難しいですね・・・

Re: 大切なことですね

わんわん さん

コメント有難うございます。

この本、良書です。他にもためになる事がたくさん書かれています。宜しければ是非お読みになって下さい。

本年もよろしくお願い致します。

たがしゅう先生

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い致します。

今年も元旦から断食スタートです。

藤田先生の本は分かりやすくて私もよく読んでいます。実は、私も昨年気になったのがこの「エピジェネティクス(後天的遺伝子制御変化)」でした。実に、興味深いですね。また、昨年後半から、腸内環境や腸が身体に及ぼす影響について考えてきました。糖質制限開始から糖質ゼロを経て、いろいろやりましたが、下痢や便秘など腸内環境が安定しなかったのが悩みどころでした。プロバイオティクス・プレバイオティクス、そして、それらを組み合わせたシンバイオティクスなど、辨野 義己 先生の本も随分読みました。現在、酪酸菌や乳酸菌生成物質なども試し、腸内環境も改善して来ております。腸と健康との関係は本当に興味深いです。

先生のブログ、今年も楽しみにしております。

アサーティブですか

アサーションですか、まあ、藤田先生が、なんと。

割と女性の地位回復的な文脈で、当初聞こえてきたことが多かったコミニケーションスキル&思想ですよね。
日本の第一人者は、森田汐生という女性ですが、何度かお仕事をお願いしたことがありますよ。

元々ソーシャルワーカーだった彼女がイギリスで訓練を受けてこちらに持ち込んで本格化したのですが、
対人援助職や、どうしてもヒエラルキーになりがちな看護師のコミニケーションスキルのソーシャルスキルトレーニングとして、普及してきました。もう、彼女の行動力と講演会のスキルの高さには、敬服いたします。

いろいろな技法はあるのですが、自分の感情なり主張をアサーティブネスにお伝えするのには、最低限、主語を「I」する方法がありますね。
もっとも、いくら自分がアサーション的な会話をしていても、意図を理解していただけないことも多いのですけどね(笑)

Re: 本年もよろしくお願い致します。

carpediem さん

 いつもコメントを頂き有難うございます.

 エピジェネティクス,本当に興味深いです.どうやらcarpediemさんは私の二手,三手先を行く感じですね.いろいろと教えて頂けると有難いです.

 今後とも宜しくお願い申し上げます.

Re: アサーティブですか

Chie さん

 コメントを頂き有難うございます.

 森田汐生先生の事はは存じ上げませんでした.ソーシャルワーカー発祥の技術なのですね.また関連本勉強してみます.教えて頂き感謝申し上げます.

> いろいろな技法はあるのですが、自分の感情なり主張をアサーティブネスにお伝えするのには、最低限、主語を「I」する方法がありますね。

 その事は藤田先生のこの本にも「腸思考法①」として書かれていました.本当にいろいろ勉強になる本でした.

新聞記事より

www.asahi.com/articles/ASG3B46BBG3BULOB00L.html

 50歳からは「炭水化物」をやめなさい、と言う一方で、こういうこともやっているのですね

Re: 新聞記事より

精神科医師A 先生

 情報を頂き有難うございます.

 残念な話です.お金が絡むといろいろと問題が出てくることが多いですね.

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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