サイアミディン

欲望の種をこまめに摘んでおく

前回に引き続き、「星の王子さま」で私が気になった場面を取り上げます。

「星の王子さま」がやってきた星は、とても小さくて、地球における家屋ほどの大きさしかないという事になっているのですが、

その星の中で生えているバオバブの木についての一節で考えさせられる部分がありました。

バオバブの木というのは実在し、アフリカのサバンナを象徴する樹木です。

先日、そのバオバブの巨木に謎の大量枯死が起こったという事がネットニュースにもなったばかりでの所でした。

ただ「星の王子さま」の中では、バオバブの木は次のように描かれています。

(以下、p27-28より引用)

(前略)

さて、王子さまの星には、おそろしい種がありました……。バオバブの種がありました。

そして、星の地面は、その種の毒気にあてられていました。

バオバブというものは、早く追いはらわないと、もう、どうしても、根だやしにするわけにゆかなくなるものです。

星の上いちめんに、はびこります。その根で星を突き通します。

星が小さすぎて、バオバブがあまりたくさんありすぎると、そのために、星が破裂してしまいます

王子さまは、もっとあとになって、ぼくにこういいました。

きちょうめんにやればいいことだよ。朝のおけしょうがすんだら、念入りに、星のおけしょうしなくちゃいけない。

バオバブの小さいのは、バラの木とそっくりなんだから、見わけがつくようになったら、さっそく、一つのこさず、ひっこぬかなけりゃいけない。

とてもめんどくさい仕事だけど、なに、ぞうさもないよ」

(引用、ここまで)



ここの解釈は、余計な推測を入れずに素直に読むならば、

「後で取り返しがつかなくなる前に掃除はこまめにきちんとしておきましょう」というメッセージなのかもしれませんが、

作者の意図とは外れるのかもしれませんが、深読みするとバオバブの木は人間の欲望を象徴しているようにも私には思えます。

というのも、この後「星の王子さま」を読み進めていくと、

王子さまがこれまでに巡った様々な星を回想するシーンで、

人間の様々な欲望を具体的に象徴するような登場人物が現れるからです。

「少欲、知足」という道元禅師の正法眼蔵での教えも思い出されるところですが、

人間の欲望を少ないレベルでコントロールできていれば秩序は保てるけれど、

欲望の赴くままに生きてそれが増大していくのをそのまま放置していけば、

星を破壊するかの如く、自分ではコントロールできない状態に陥ってしまう危険性を伝えてくれているような気がするのです。

それは病気という形かもしれないし、財産破産という形かもしれません。

いずれにしても几帳面に自分の心を常に掃除しておけば、バオバブの木との共存もできるという風に私は解釈しました。


おそらく作者のサン=テグジュペリにとってバオバブの木は、

大きくなり過ぎて次第に地球の環境破壊につながるのではないかと危惧された存在だったのではないかと察しますが、

現実世界ではバオバブの木がなぞの大量枯死する事態にまで発展してしまっており、これはサン=テグジュペリにとって予想外の事態であったかもしれません。

しかし、私達人間が欲望を放置させすぎた結果起こってきたことという意味では本質は間違っていないように思えます。

バオバブの木に限らず、欲望のふくらみが手遅れになってしまっている部分がないかどうか、

まずは自分の心に胸を当てて、種を摘んでおくべき欲望がないかどうかを見直す必要があります。

心を安定にするためにも、その作業をこまめに行うことが大事なのではないでしょうか。


たがしゅう
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昨日地震がありましたが、震源地の近くに住んでおります。阪神、東日本その他大地震の貴重な経験があるにもかかわらず、物の処分や緊急時物資の準備など、怠っていた「つけ」を悟った一日でした。今日のブログ内容、痛感してます。

Re: タイトルなし

T さん

 コメント頂き有難うございます。

 大層大きな地震だったと伺っています。一刻も早く事態が収束する事を祈っています。
 
 そして日々のちょっとしたことの積み重ねを怠らない事で、未来への大きな力が生まれることを私は信じています。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
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