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サイアミディン

耐性化は生命の防御システム

西洋薬が自己治癒力を阻害するという話をしましたが、

人体の方も黙って西洋薬のされるがままになっているわけではありません。

そんな自己治癒力を阻害するような物質が効きにくくなるような現象が起こることがあります。

これを薬剤の「耐性化」といいます。耐性化は薬を投与する側の立場に立てば厄介な現象かもしれませんが、

有害な薬を受ける側の立場からすれば、身体を守ろうとしているれっきとした防御反応です。

また同じ現象を薬を投与する側は「(治療)抵抗性が高い」と表現することもありますが、

薬を受ける側からすれば、「防御力が高い」と表現することもできると思います。
さてこの耐性化ですが、一般的には最初は効いていた睡眠薬がだんだん効かなくなってくるですとか、

抗生物質の投与を繰り返してだんだん効かなくなってきたという場面で使われることが多い言葉です。

糖尿病治療に用いられるインスリンも、長く使っているとインスリン抵抗性が高まり徐々に効かなくなってきます。これも耐性化の一種ですね。

この耐性化がいかにして起こるかに関しては、様々なことがわかっていますが、

大きく分けて、「組織耐性」と「代謝耐性」と呼ばれるもので説明がなされています。

「組織耐性」とは、薬剤の反復投与に伴って、その薬剤が作用する受容体の数が減少したり、薬剤の作用点に組織レベルの変化が生じた結果、薬剤が効きにくくなることをいいます。

「代謝耐性」とは、肝臓などでその薬剤を分解する酵素の産生が誘導された結果、体内の薬剤濃度が投与後速やかに減少してしまい、効力を発揮できなくなることです。

実は耐性は何に対しても起こるということではなく、薬の種類によって耐性が起こるかどうかは決まっているそうです。

その細かいメカニズムについては解明されているわけではないようですが、

個人的には人体の構成成分に近いものは耐性化しにくく、それとかけ離れれば離れるほど耐性化しやすいという印象を持っています。

さらにややこしいことに薬によっては逆耐性と呼ばれる現象がある事も知られています。

その名の通り、耐性の逆で、薬物を投与すればするほど薬剤の効果が本来の用量以上に高まっていく現象のことです。

具体的にはメタンフェタミンといった覚醒剤やプロポフォールといった麻酔薬にそのような現象がある事が知られています。

こちらも個人的にはドーパミン神経やGABA神経といった人体にもともと備わった神経系を賦活する作用を刺激する場合にこの現象が起こりやすい印象を受けています。

さて、耐性化メカニズムの詳しいことは解明されていないと言ったばかりですが、

目線を変えると詳細が分かってくることがあります。それは細菌の抗生剤に対する薬剤耐性化メカニズムです。

睡眠薬の耐性化、インスリンの耐性化と違って、抗生剤の耐性化を起こしているのは人体ではなく細菌です。

その細菌がどうやって薬剤に対する耐性を獲得するのかというメカニズムに関しては結構いろんなことがわかっているのです。

以下、Wikipediaから引用します。

(以下、引用)

薬剤の分解や修飾機構の獲得

化学療法剤として用いられる薬剤を分解したり化学的に修飾する酵素を作り出し、それによって薬剤を不活性化することでその作用から逃れる。細菌やがん細胞の薬剤耐性機構として見られ、特に細菌による耐性獲得ではもっとも普遍的に見られる方法である。例えば、一般的なペニシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSAを除くもの)など、ペニシリナーゼやβ-ラクタマーゼを産生してペニシリンを分解することで薬剤耐性を示す。

薬剤作用点の変異

化学療法剤の標的になる病原体側の分子を変異させ、その薬剤が効かないものにすることで薬剤の作用から逃れる。微生物やがん細胞などに全般に見られる方法であり、ウイルスの薬剤耐性はほとんどこの機構によるものである。他に代表的なものとしてMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)がある。

薬剤の細胞外への排出

薬剤をエネルギー依存的に細胞外に排出することで、細胞内の薬物濃度を下げる。細菌やがん細胞など、細胞からなる病原体の耐性機構に見られる。代表的なものとして、グラム陰性細菌のRND型多剤排出ポンプ(例えば、大腸菌のAcrAB-TolC)やがん細胞の多剤排出ABCトランスポーター(ATP依存輸送タンパク質、P糖タンパク質)があげられる。また緑膿菌の自然耐性の高さもMexAB-OprMやMexXY-OprMのようなRND型多剤排出ポンプによって説明できる。

その他の機構

上記に当てはまらない例としては、葉酸の合成酵素を阻害して抗菌性を示すサルファ剤に対して、葉酸前駆体を過剰産生することで耐性になる例などが知られている。結核菌に代表される抗酸菌はミコール酸と呼ばれる特有の脂質に富んだ細胞壁を持つため消毒薬や乾燥に対して高い抵抗性を有す。また、都市河川において薬剤耐性を獲得した細菌の存在が東京工科大学応用生物学部の浦瀬太郎教授らによって発見されており、自然環境下での耐性菌による感染症発生の可能性が指摘されている

(引用、ここまで)



このような複雑なメカニズムでもって、

原始の単細胞生物である細菌は自分の身を守るために薬剤に対する耐性を獲得しているのです。

いわんやヒトのような複雑な生命体であれば、なおのこと複雑なメカニズムでもって耐性化を獲得しているのではないかと推察されます。

勿論基本的な耐性化獲得のメカニズムは共通しているにしても、応用が利かせられるのだとすれば複雑なヒトの方でしょう。

逆に言えば、西洋薬で自己治癒力が阻害されている状況というのは、

そうした耐性化のシステムをかいくぐってそのデメリットがもたらされている状況だとも言えます。

それは投与量を増やすことで成し遂げられているのかもしれませんし、投与回数を増やすことで成し遂げられているのかもしれません。

いずれにしても折角こしらえた人体が用意するバリアをこじ開けている状況が目に浮かびます。

薬を使う側の人間は、バリアをこじ開けているのかいないのか、

認識しているか否かで、次にとる行動に雲泥の差が出ると私は思います。


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
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※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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