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サイアミディン

自ら言い出すまで待つ

私は約7年の糖質制限推進派医師としての指導経験で、

糖質制限に興味を示していない人に糖質制限を勧めてもろくなことはない」という事を身に染みて感じました

例えば無理に勧めることによって、一見理解してくれているように見えても

医師からの圧力を感じてやむなく従っていただけで、実は心の底でストレスを感じながら続けていたりして

そのストレスが病気を悪くする方向へ導いてしまう事を経験したということ、

そしてその事を表面上こちらから感じ取ることができないからです。

一方で、「ごはんを半分に減らしましょう。その代わりおかずを多めにしましょう」という言い方をすれば、

よほどの糖質依存症や糖質中毒の人でない限り、比較的多くの人に受け入れられやすくなるということも経験しました。
だから通常診療の中で私が糖質制限を勧めるスタンスとしては、いわゆる緩やかな糖質制限食的な指導を行っています。

その方が患者の受け入れも悪くないし、短時間で説明可能だし、この指導で効果が弱い一方で大きなデメリットが現れるリスクも少なくて済むからです。

この指導に関しては相手がよほど嫌な顔をしない限りは、私の方から積極的に指導・情報提供を行うようにしています。

一方で、本来私がおすすめしたいのは、

私自身が救われるきっかけとなった、江部先生が推奨するスーパー糖質制限食レベルの糖質制限です。

しかしこちらの糖質制限は最近努めて自分からは勧めないようにしています。

なぜならば、ごはんを抜くという指導法は、多くの人達にとっての文化的価値観にそぐわず、

反発されるか受け流されるか、あるいは冒頭で述べたように一見受け入れたように見えてストレスを感じていたりすることが多いからです。

いわば定食屋でいうところの裏メニューです。知る人ぞ知るもので、客がオーダーして始めて提供するものです。

これは「顧客満足度」「患者満足度」の観点から非常に重要なことです。

例えば辛いのが売りのラーメン屋で、最高で5辛の表メニューに対して、10辛までの裏メニューが存在したとして、

10辛のラーメンをわざわざ注文する人に対しては満足度が高まるかもしれないけれど、

ただ単に「辛いものは好きでも嫌いでもなく食べられる」という人に、10辛ラーメンを無理に勧めたとしたら、

その10辛ラーメンがいかにおいしくて魅力的なものであったとしても、きっと受け入れられることはないでしょう。

相手の心の地層にまで染み込んだ文化的価値観を察するように努め、

こちらからはそれに適合する最大限の歩み寄りを行い、それにそぐわないものは決して自分からは勧めない、

そんな、ただ静かに相手から自ら言い出すまで待つスタンスで、

糖質制限を伝えていくようにしています。

その代わり、求められた時には存分に糖質制限について伝えられるように、

日々の学習、考察を書かさずに続けていくつもりです。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生
おはようございます。

糖質制限とは無関係のある会を友人達と開催しており、
自己紹介で糖質制限をしていることを伝えました。
すると何人かの方から声をかけてもらえ、糖質制限という言葉は知っているけれどよく分からない、友人がしていてこんなお店ありますよ、と情報も頂いたり。
分からないという方には、例えばでテーブルに沢山のお菓子が並んでいたので全て糖質であること、お野菜もざっくり言うと土の中のものは糖質、土から上のものはほぼ食べても大丈夫と話すと、今度は相手の方からとうもろこしは?豆は?と逆転に質問を受けました。
これまで意識していなかった普段食べているものが糖質か糖質でないかその種類を伝えられただけでもよかったと思っています。
その方達が今後、糖質制限するしないは本人の自由であり、先生のおっしゃるようにストレスになるのは本末転倒。

炭水化物を食べないと体に悪いのではないかと何人かの方が言っていました。「私は炭水化物を食べなくても生きてます」と伝え、言葉プラス私自身の体調や見た目の体の状態(美醜ではなく)で伝え続けていこうと思いました。
まずは知ってもらうことが私のできることかと思うようになりました。

Re: No title

花鳥風月 さん

 コメント頂き有難うございます。

> まずは知ってもらうことが私のできることかと思うようになりました。

 そうですね。
 まさに「馬を水辺に連れていく事はできても、馬に水を飲ませることはできない」の精神だと思います。

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

糖質制限推進において、最大のネックは、
厚生労働省と農林水産省が決定した、
「食事バランスガイド」だと思います。

先生の先日のブログ記事を思い出します。
「言葉の持つイメージに惑わされない」

厚生労働省と農林水産省という言葉のイメージから、
「食事バランスガイド」が間違ってるはずがない。
そう思われても仕方ないのでしょう。

しかし、その実態は科学的根拠のない、
決定当時の庶民の平均的な食生活の集計結果。
稲作推進のために農林水産省も絡んでいる。

厚生労働省は、国民の健康を守るために、
正しい知識を学んで欲しいです。
「食事バランスガイド」見直すべきです。

Re: No title

Etsuko さん

 コメント頂き有難うございます。

 「国が認めた」という言葉の安心感はすさまじいものがあるかもしれませんが、御指摘のように国も間違います。しかしながらそのイメージが文化レベルで定着してしまった人達の心を変えるのは容易ではありません。

 個人が変わるのは簡単でも、国レベルの組織が変わるには相当思い切った舵取りは必要です。そんないつ変わるとも、いつ見直されるともしれないものが変わるのを待つよりも、自分達が変わる方に期待をかける方が現実的だと私は思います。

No title

興味深い論文が有りました。

『リスク認知のバイアス
 ──なぜリスクが過小評価されるのか──』
http://www.aaos.or.jp/contents/committee/file/045-4-6.pdf

-冒頭より引用...

「本論文では,組織に存続の危機をもたらすようなリスクが過小評価される
 現象について,リスクを外敵などのリスク1と天災や現代社会のリスクである
 リスク2に分類することで説明を試みた.

 リスク1に適応した人間の認知のシステム1がリスク2には適切に対応できず,
 人間の認知の中で論理と分析を司るシステム2もまたリスク2に適切に対処
 できるには至っていないことが原因のひとつである可能性が見出された.」

-引用終わり。

本論文は組織と危機管理に関するものですが、人間はおよそ37兆個の細胞からなる組織なので、構造的には参考になるかと思われます。

人間にとっての糖質頻回過剰摂取のリスクは本論文でのリスク2に相当するのではないかと思われます。

Re: No title

名無し さん

 コメント頂き有難うございます。

 理解が浅いかもしれませんが、外因性のリスクと内因性のリスクと言い換えられるでしょうか。
 ウイルスや細菌などの外来の疾患リスクに対して人類の頭脳は戦う術を整えてくる事ができてきたけれど、生活習慣や思考のクセなどの結果として自分の内側から湧き出てくる疾患リスクに対して人類はまだ十分に戦えていないということなのかもしれないと思いました。

世界最高齢男性&国内最高齢女性

2017年のJIJI.comによると、世界最高齢男性は北海道の足寄にお住まいで、ギネスに認定されていますが、記事によれば「甘い物が大好きで、まんじゅうやケーキなど和洋問わず楽しんでいるという」とのことです。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2018041000858&g=soc

2018年7月27日現在、日本最高齢女性は福岡県にお住まいで、同日付の朝日新聞記事によると、「甘い物が好きで、缶コーヒーや栄養ドリンク、炭酸飲料をあわせて毎日3本は飲む」とのことです。
https://www.asahi.com/articles/ASL7W3QJRL7WTIPE00K.html

長寿ナンバーワンの方々が甘いもの好きなのですから、糖質制限のほうが優れるとは言いにくいです(*_*;

糖質を減らすメリットがその方にあるかどうかですね。

Re: 世界最高齢男性&国内最高齢女性

きよすクリニック 先生

 情報を頂き有難うございます。

 稀ですが糖質摂取に適応できることがあることを示す良い実例だと思います。
 糖質制限推進派としてはこうした事実にも真摯に向き合わなければならないと思っています。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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