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サイアミディン

糖質摂取に適応するのは至難の業

もしも未精製で自然の構造を保った糖質を摂取すると調子が良くなるという人の理由が、

糖を利用し残りの薬理活性物質を宿主に与えることができる腸内細菌を宿しているということになるのだとすれば、

こういう人は糖質摂取によりメリットがあると同時に、

ストレスに対して非常に弱い消化管を持っている可能性があります。

なぜならば上述のメカニズムが過敏性腸症候群に対する治療薬としての漢方に応用されているからです。

言い換えれば糖質を定期的に摂取して自分の腸内細菌を維持しなければ、ストレスに伴う腹痛、下痢、便秘など支障をきたしてしまうということです。
こうした人は本来は肉食に適合しているはずの消化管構造を持ち合わせているはずのヒトにおいて、

糖質を利用する腸内細菌との共存という裏技を用いて、糖質摂取生活に適応することに成功した人という風に見ることもできます。

とは言え、適切な糖質摂取とそれを処理する代謝環境とのバランスが維持されていない限り、

ストレスフルな環境要因に左右されやすいデリケートな集団という見方もできます。

そんな過敏性腸症候群を呈する方々と、

やせ型で非筋肉質のタイプに多いとされる糖質制限の非適応者の方々が、

割とリンクしているような気が私はしています。


過敏性腸症候群の有病率を、

日本消化器病学会の機能性消化管疾患診療ガイドライン2014の過敏性腸症候群(IBS)で調べてみますと、

意外なことに、ここ30年くらいの間、10〜12%の間でほとんど変わっていないとの記述が出てきました。

様々な疾患が年々増え続けている中で、そこに糖質頻回過剰摂取の関与が考えられる中で、

有病率がほとんど変動していないというのは、過敏性腸症候群が生活習慣病というよりは、

生まれもった腸内細菌の性質によって定まった体質的な側面が強い可能性が私には見えてきました。

ちょうど10〜12%という頻度も正規分布でいうところの+1SD(13.6%)、すなわち標準集団から少し離れた人達の割合に近いように思えます。

正規分布

※図はWikipedia「正規分布」より引用

大部分の人(68.2%)は糖質頻回過剰摂取に適応できない人で、

過敏性腸症候群を示す人は糖質頻回過剰摂取に適応しかけている人である可能性があります。

そして+2SD以降(2.2%)の人達はもしかしたら、糖質頻回過剰摂取に完全に適応できている人、すなわち健康長寿を成し遂げた百寿者、もしくはそれに近い人達なのかもしれません。

この正規分布、微妙に「2:6:2の法則」ともリンクしていそうなところも面白いですね。


さてそう考えると、糖質頻回過剰摂取に適応することがいかに狭き門であるかという事がわかります。

それと同時に糖質摂取が絶対悪ではないという事実にも気が付かされます。

自分がどのグループに属しているのかを調べることも腸内細菌を調べることがまださほど一般的ではないので難しいですし、

調べられたとしても、腸内細菌の多様性がまだとても解析しきれているとは言えない現時点においてはっきりとした判定はできないのではないかと思います。

しかし危ぶむなかれ、「体調を最良のバロメータ」と考えていれば大丈夫だと私は思います。

糖質頻回過剰摂取しても健康であれば+1SD以降のゾーンに入っているのであろうことが推測できますし、

糖質制限で調子がよくなるのであれば標準集団ということになると思います。

いずれにしても、身体が教えてくれる事実に素直に従うことが大切なのではないでしょうか。


たがしゅう
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非公開コメント

No title

いつも興味深い記事をありがとうございます。

腸内細菌が人体に与える影響は、
想像以上だと思います。

糖質の摂取量による 健康への個人差は、
確かに、腸内細菌なしには語れないと思います。

人の生命は、人の身体だけで成立するのでなく、
小さな存在(寄生虫、細菌、ウィルスなど)と、
良くも悪くも影響し合い成立するものだと思います。
人は小さな存在と共に進化してきたと思います。

以下の本は、小さな存在の影響が、実はどれだけ大きいか、
膨大な情報と共に知らしめてくれる、壮大な内容です。

「寄生虫なき病」
https://www.kinokuniya.co.jp/c/20140423102020.html

Re: No title

Etsuko さん

 コメント及び情報を頂き有難うございます。

 ヒトは自然の中で多様な生物とともに生きている事実を忘れてはならないと私は思います。
 もしかしたら私達の生活を脅かす最大の脅威は、自然に逆らってどうにかしようとする利己的で傲慢な心なのかもしれません。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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