FC2ブログ
サイアミディン

想像力は人生のスパイス

想像力を働かせて論文を読むべきという私見を記事にしましたが、

診療においても私はかねてから想像力を働かせて当たるべきだと考えており、

目に見えないことをいかに想像し考慮に入れることができるかどうかが良い医療とそうでない医療の分かれ道と言っても過言ではないくらい想像力は重要だと私は思っています。

具体的に言えば、この人は普段どのような生活を送り、食生活はどのようになっているのか、

頭痛やめまいを訴えているけれども頸椎の並びはどうなっているだろうか交感神経過緊張になるようなストレスフルな生活を送っているのではないだろうか、などのことを想像できるかどうかです。

場合によっては、本人さえ気づいていないことにまで想像力を働かせるべき場面さえあると思っています。
よくあることとして自分にはストレスはないと言い切る人が、実は客観的に見て明らかにストレスのある状況に全く気付いていないというものがあります。

問診を行えば患者の認識が正しかろうと間違っていようと、歪んだ認識も含めてその人の感じているすべての情報が得られるので非常に大切なのですが、

それだけではなく、本人外の視点から客観的な問題点をいかに拾うことができるかというところに医師の腕が問われるのではないかと思っています。

自分しか知らない情報と、自分では気付かなかった情報を組み合わせることで情報の完全性が高まるのではないでしょうか。

現代医療は前者を軽んじて後者ばかりを重んじる受動的医療です。

私が推奨する主体的医療は前者を重んじて、後者も決して軽んじることのない医療だと言い換えることもできると思います。


さて想像力と言えば、先日紹介した「星の王子さま」という本について、

私がよく視聴している「100分de名著」という番組で先日名著として取り上げられていました。

いつもは25分番組で4週に分けて一冊の名著を紹介していく形式なのですが、

今月は「100分de名著 for ティーンズ」と題して、毎週1冊のこどもたちに是非読んでほしい名著を取り上げて解説するという形で放送されており、その1回目が「星の王子さま」であったということです。

その際解説されていた漫画家のヤマザキマリさんが興味深いことをおっしゃっていました。

「不寛容性は想像力の欠落から生じる」

想像力を失った世界ほど恐ろしいものはない、宗教戦争などが起こるのも大人たちが想像力を失ったことが大きいのではないかとヤマザキさんはおっしゃいます。

不寛容性、すなわち心が狭くて他者の多様な言動を受け入れられない性質のことです。

帽子を横から見たような絵をみて、書いた本人は「これは帽子なんかじゃない。ゾウを飲み込んだウワバミの絵だ」と言っているような状況で、

「そんなばかな」とか「だからどうした」と気にもとめない大人の姿勢には想像力が失われてしまっているのかもしれません。

「そう考える人がいてもおかしくない」「なるほどそのようなものの見方があるのか」など、

自分の中にはなくとも、相手にはあったその発想を、相手の立場にたって理解しようと努めるプロセスに必要不可欠なものこそ、「想像力」であるのかもしれません。


糖質制限についても、不寛容性と想像力は大きく関わってくる問題だと思います。

「糖質のない生活なんて考えられない」と考える人は糖質制限など到底できません。

しかし「糖質を制限したら一体どんなことが起こるのだろうか」と想像力を使って寛容に向き合える人は新しい世界に踏み込むことができます。

想像力があれば世界が楽しくなるという側面もあることでしょう。

想像力があれば今まで知らなかった世界への扉も開くことでしょう。

一度きりの人生、どうせなら私は想像力にあふれた世界で生きていきたいと思います。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

初めまして

糖質制限の批判記事を検索していて、先生のブログに行き着きました。先生の記事を拝見して、冷静かつ論理的な検証に感銘いたしました。
私は10年ほど前から自己流の糖質制限(プチ糖質制限)を始め、現在はスーパー糖質制限をしている64歳の男性です。
私も、中途半端な糖質制限は意味がないと思っています。FreeStyleリブレを使って血糖値を測っていますが、血糖値の状態を見ていれば、インスリンの追加分泌が起こることが明確に分かるため、田頭先生や江部先生がスーパー糖質制限を勧めていらっしゃることがよく分かります。
もともと太っているわけではなかったのですが、お腹周りに脂肪がついてきたため、なんとかしようとプチ糖質制限を始めました。その結果、体脂肪率を25 → 15%程度まで落とすことができました。
その後、10年ほどプチ糖質制限の生活を続けてきたのですが、再びお腹周りが気になってきました。そこで、遅まきながら1ヶ月半前から江部先生の書籍を参考にしながら本格的な糖質制限を始めたところです。
最初は、血圧は下がるし腹囲も落ち、これはすごいと思っていたのですが、始めて2週間ほどで痛風になってしまいました。また、下がっていた血圧も150 → 110 → 170と以前よりも高くなってきています。
江部先生は尿酸値についてはカロリー不足を指摘されています。ただ根拠が示されていないため不安が残ります。
お忙しいところ申し訳ありませんが、この点(尿酸値・血圧)について先生のアドバイスをいただくことはできませんでしょうか。
図々しいお願いで申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 初めまして

JACK さん

 御質問頂き有難うございます。

> この点(尿酸値・血圧)について先生のアドバイスをいただくことはできませんでしょうか。

 まず尿酸に関してですが、
 糖質制限を行うと尿酸が上がる事は割とよくあることです。

 そのメカニズムの一つは糖質制限により脂質代謝が回転しケトン体産生が高まることによって、
 導入期に一時的に尿中にもケトン体が漏出し、酸性のケトン体が同じく酸性の尿酸を排出するのを難しくする事で血中に尿酸が溜まっていくということが考えられます。

 私の意見としては身体の代謝が正常に回っていれば、尿酸が高い状況は必ずしも悪いことではないと思っています。
 しかし痛風発作を起こすとなれば、まだ代謝が整っていないことの傍証であり、急に強めの糖質制限を行うなどの要因で代謝の安定化がまだ落ち着いていない事が考えられます。おそらくJACKさんの尿中ケトン体は陽性なのではないでしょうか。

 2017年12月30日(土)の本ブログ記事
 「痛風発作と糖質制限」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1205.html
 も御参照下さい。

 つまりJACKさんにとって今の糖質制限のやり方はペースが速すぎて身体がストレスを感じている、ということを意味しているのではないかと私は思います。おそらく血圧が上昇しているのもそれに連動して起こっている事ではないでしょうか。

 もしも糖質制限でうまく代謝が回れば尿細管でのケトン体の再吸収効率が高まるので尿中ケトン体は陰性となります。それを目安にペースを緩められてはどうかと思います。

わかりやすいお答えありがとうございます

お忙しいところお答えいただき、感謝いたします。
現在は尿酸を抑える薬、フェブリクを飲むように言われて服用していますが、糖質制限を緩めた場合でも、フェブリクも続けたほうがいいのでしょうね。

血圧については、筋トレを始めたのが原因ではないかと思い、昨日は筋トレをやめました。その結果、血圧は低くなっています。

反対派は、このような時、『糖質制限が血圧を高くした』と、何でもかんでも一緒くたにして、まくしたてるわけですよね。
私は、糖質制限でダイエットするということよりも、今は健康のために続けたいと思っています。何か問題が起こっても、本当の原因を見極め解決すればいいわけですから。もう2度と糖質にまみれた食生活に戻りたいとは思いません。

田頭先生のように患者の立場で物事を考えてくださるお医者さんがいること、心強く思います。

Re: わかりやすいお答えありがとうございます

JACK さん

コメント頂き有難うございます。

こうしたことを考えるのに重要なことは主体性です。
筋トレをしたから血圧が上がったのではないか、フェブリクを飲みながら糖質制限をするべきか、
いずれも人の意見を参考にしつつ、最終的には自分の判断で決断し、間違っていると思えば軌道修正し、また間違っていれば修正する、その繰り返しによって自分にとっての正解に近づいていくのがよいのではないかと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR