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サイアミディン

複雑を単純化する

先日書いた「情報の伝達性」についてさらに考察を深めます。

糖質制限について複雑な有機化合物名や難解な生化学的、細胞生物学的な専門用語が飛び交う議論を時々傍観することがあります。

私も学力ギリギリではありますが、奇しくも医学部を卒業した身なので、非医療従事者に比べればある程度用語は理解して議論の内容に多少なりともついていっているつもりではありますが、

ふと立ち止まって俯瞰でみた時にそれらの主張、おしなべて「わかりにくい」のです。

そこまで細かな理論にまで手を染めなければ糖質制限の妥当性は判断できないのでしょうか。

それだと判断のための情報源はごく限られた知識人にしか伝えることができず、

知識の乏しい人はそうした知識人の判断に従うか否かという選択をするしかないことになってしまいます。
ここで物事を複雑化すると情報の伝達性が小さくなるという事実に気がつきます。


知識人が自分の知的好奇心を満たすために、難解な事象を解明しようとするプロセス自体は結構なことです。

しかしその自分が理解したことを多くの人へ伝えたいと思うのなら、その理解した複雑な事柄をさらに単純化して説明するプロセスが不可欠だと私は思います。

さもなくば折角の発見が誰にも伝わらず日の目を浴びないまま埋もれてしまいかねないからです。

ここで言う単純化というのは、結論だけを単純化する作業ではありません。自分が理解したことのすべてを単純化し、理想的には誰にでもわかる形で表現するという作業です。

逆に言えば、それができていない人は知的好奇心が自分のためだけに向いている証だということになります。

そもそも知的好奇心、すなわち「知りたい」という欲求は何のためにあるのでしょうか。

その事象を追及したいという欲望の根元にあるものはなんでしょうか。

単純に自分が満足するためだという人もいるかもしれませんが、

もし自分のためだけにその欲望が備わっているのだとすれば、誰にも伝えることなく自分の生涯が終わればその人が手に入れた知識はそこまでです。

そうだとすれば、そんな知識は限りなく無意味に近いものだと私には思えます。

そうではなくて、手に入れた知識を誰かのために役立てるため、ひいては人間のために役立てるために知的好奇心があるのではないでしょうか。

少なくともそう考えてもよいのではないでしょうか。


難しい話を難しい言葉のまま話すことは、ある意味でとても簡単なことだと思います。

しかしそんな姿勢を持つ人は、誰かのためにという本来の知的好奇心の目的を見失ってしまっているように私には思えます。

実際、そんな難しい理屈に圧倒されて、内容を吟味できずに結論だけを信じて行動してしまっている人もたくさんいるように思えます。

私は難しい理屈を知らずとも、本質に注目すれば、すべての枠組みを俯瞰して物事を判断することはできると考えています。

それを行うためには表層的な複雑性に惑わされず、深層的な単純性を理解することが大切だと思っています。

その根幹を支える単純性を分かりやすく伝えることができれば、

知識人にならずともその理解が正しいのかどうかを自信を持って判断してもらえるのではないかと考える次第です。


たがしゅう
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ミトホルミシス

たがしゅうさん、こんにちは。

ミトコンドリアでの脂肪酸のベータ酸化が亢進すると活性酸素の産生が増えて、このことがかえってストレスに対する抵抗性を高め、寿命が延長する(健康になる)現象をミトホルミシスと言うそうですね。このメカニズムを単純化することで、糖質制限で健康になることが、一般の人にも理解できるようになるのではないかと思っています。

この理論は、カロリー制限で寿命が延長したアカゲザルの実験結果(長寿遺伝子で有名)にも当てはまりますし、たがしゅうさんが取り入れられているホメオパシー(多量では健康被害をもたらすものが、適量ならかえって健康を増進する)の効果も説明できると思います。

インスリンやドーパミンなど、適量であれば良いものでも、多すぎるとよくない例はいくらでもあるように思えます。

Re: タイトルなし

三辺 さん

コメント頂き有難うございます。

素人がついていけないと思われる文章ほど注意すべき対象と私は思います。
なぜならばその文章はわかりやすく噛み砕く作業に失敗している、もしくは最初から噛み砕くつもりのない文章だからです。いずれの立場だとしても自分にとって有益な文章とは思えないのではないでしょうか。

難しい文章はそれはそれで価値があるものだとは思いますが、そのベクトルは決して大衆には向いていないものだということは、知っておいても損はないかもしれません。

Re: ミトホルミシス

あきにゃん さん

コメント頂き有難うございます。

御指摘の通り活性酸素にしても糖質にしても、絶対悪というものはなく、それぞれの適量というものが存在すると私は思います。その適量がどのくらいなのかを知るには身体の声に従うことが一番大事だと私は思っています。

あきにゃん さんのおっしゃる「多量では健康被害をもたらすものが、適量ならかえって健康を増進する」というのはホメオパシーではなくて「ホルミシス効果」と呼ばれるものですね。ホメオパシーも確かに「毒をもって毒を制す」的な発想から生まれている点では似てはいますが、成分や物質に頼っているという点でどちらかと言えば漢方薬に近い発想ではないかと思います。

ホメオパシーはまたそれとは違う概念での治療体系ですが、細かいメカニズムが解明されていないので説得力をもってこれを説明するのがなかなか難しく、実は今これをどうやって人に伝えようかといろいろ思案しているところです。

No title

今回の記事は、整形外科医・眼科医・耳鼻科医等の内分泌代謝等について余り熟知してない(この認識が間違っていたらすいません)医師に対する助言ではないかな?と言う気がしました。

上記を専門領域とする医師が、患者に糖質制限を薦めたり、患者から糖質制限についての質問が有った場合には非常に戸惑うと思います。

何故なら、医師は自分が専門領域とする対象外については、迂闊なことは言えないと思うからです。

しかし、現在は糖質制限は一般的に広く普及しています。

コンビニ等でもロカボメニューとして糖質制限食が広く普及しています。

でも、医師として患者と面した時に糖質制限を薦めるべきなのか否かは医学的根拠に基づいて判断するのが適当である思う医師が多数ではないか思われます。

そのような時に「複雑を単純化する」問題が発生するのではないかと思いました。

Re: No title

名無し さん

コメント頂き有難うございます。

医療従事者であれば専門的な知識を踏まえて判断しなければならない、というのも一種の固定観念かもしれません。
それをいうなら私も内分泌代謝の専門家ではありませんが、糖質制限は自信をもって推進しています。

知識がそうした専門家に及ばずとも私に迷いがないのは、そこまで細かいことを知らずとも目の前で起こっている事実を重視してさまざまな角度から考えたところ理にかなっていて隙のない治療法だと自分の中で納得することができたからです。

その私が到達した理解についてはいずれどこかで語れればと思いますが、必ずしも専門的な知識がなくとも真理に到達するためのサポートとなるのが、御指摘のように「複雑を単純化する」作業ではないかと私は思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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