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サイアミディン

主体的医療を提供するための環境

おそらく多くの患者さんの中には、

「先生(医師)の貴重な時間を長々と奪ってはいけない」などと、

医師に相談したいことがあったとしても、よほど重症でない限りは遠慮して引き下げてしまう心の動きがあるのではないでしょうか。

それもそのはず、多くの病院で行われているのは3分や5分といった短時間診療が主流となっています。

診療時間は何分まで、という決め事はありませんが、周りの患者さんが3分や5分で診察が終わっていく中、

あまり緊急性のない要件で20分、30分も時間をとるというのは申し訳ないと考えてしまうのは無理もないと思います。
しかも、今日こそは相談しようと思って診察に臨んだとしても、

医師や診察室の雰囲気に緊張して思っていたことの半分も話せなかったという経験をお持ちの方もきっと多いのではないかとお察しします。

私はここに隠れた医療ニーズがあると考えていますし、

主体性のある患者さんであればあるほど、ゆとりを持った診察時間が必要なのではないかと思っています。

つまり主体的医療を展開するには3分や5分診療では不可能だということです。


しかし一方で3分や5分診療が常態化していることの背景には、

病院経営の問題があります。短い時間でたくさんの患者さんを捌いていかなければ、いくら綺麗事を言ったところで経営は立ち行かないということになってしまうのです。

かく言う私も今いる病院で患者さんを診る時間は人によって違いますが、新患を除けば3分〜5分程度で終わることが多いです。

それは来られる患者さんがそもそも主体的医療を希望されていないことの方がほとんどだから、というのも大きいですが、

仮に今の私のもとへ主体的医療を希望されて受診されたとしても、

私は後に控える患者さんの存在を気にしてしまい、十分な話を聞いてあげることができないかもしれません。

また病院へ勤務している身ですので、病院経営のことを気にしないわけにもいきません。

そうすると十分な主体的医療を提供することができない可能性があります。

主体的医療を希望する患者さんには十分に満足を与えることができず、

受動的医療を希望する患者さんには私でなくても提供することのできる受動的医療を提供することになってしまいます。

今の病院医療体制の中で働いている限り、私は主体的医療を行うにも中途半端、

病院へ受動的にやってくる多くの患者に対して本意ではない受動的医療を提供し続けなければならないことになります。

具体的に言えば、受動的医療下で降圧剤を飲み続けるという大勢判断に従っている患者さんに対して、

無理矢理糖質制限の話をしたところで、「日本人ならお米食わなあかんやろ」と言われていなされるのがオチで、

私は素直に降圧剤を処方するのが一番わだかまりがないということになってしまいます。

しかし患者さんの方もこれでは、全然求めていない話をされて嫌でしょうし、

私は私で、薬を出すだけの仕事なら西洋医学中心医療派の医師のところへ行ってもらった方がよほど時間を有効に使えるのにと小さな不満を抱え続けることになるのでお互いにとって不幸です。

だから主体的医療を提供するための新しい環境を、

自ら創出するより他にないと私は考えています。


たがしゅう
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はじめまして

たがしゅう先生
はじめて、コメントさせていただきます。
毎日楽しみに読ませて頂いてます。
50代の2型糖尿病の主婦です。
5月から、新井先生のクリニックにお世話になっております。
糖質制限をしつつ、新井先生の治療を受けて大分、体調が良くなりました。
合併症で右目を失明しました。
残った左目も緑内障で失明の危機にあります。何とか打開したくて、頑張ってますが、なぜか、不可逆的な方になってしまいます。先日も、GLP-1の治療をして、前に重篤な副作用があり、嫌だと訴えたのですが、聞き入れてもらえず、やはり、昨日重篤な低血糖を起こして、このまま死んじゃうのかと思ったくらいです。糖質制限だけで6.3まで下げられたのですが、新井先生は、インスリンが効きすぎているとの見解でその治療を勧められたのですが、反対にインスリンが沢山出てしまったのかと思っています。中々、主体的に医療を受ける事の難しさを感じています。でも、あきらめず、自分の望んでいる医療を受けたいと思います。これからも、先生の言葉を噛み締めながら、頑張って行けたらなぁと思っています。発信をお続けくださいますよう願っております。励みになっている者もいる事をわかっていただけたら良いなぁと思い、コメントさせていただきました。
長々とすみませんでした。

Re: はじめまして

鯨岡 雪枝 さん

 コメント頂き有難うございます。
 
 医療の現場で患者が医師に主体性を発揮するのは、多くの場合なかなか難しいことだと思います。折角芽生えた主体性の芽も医師に無意識に摘み取られてしまうこともしばしばです。
 しかし自分の健康を守りたいのであれば最善の方法は主体的医療だと私は考えています。勇気を出して主体的に自分の意見を医師へ伝え、良い治療が選択できることを心よりお祈り申し上げます。

ありがとうございます

たがしゅう先生
お忙しいところお返事いただきありがとうございます😊
頑張って、自分の健康を守りたいと思います。やはり、自ら、勇気を持って発信していくしかないんですね。
頑張ってみます。
でないと、又、医療難民に戻ってしまうので。たがしゅう先生に診てもらいたかったです。( ^∀^)
ありがとうございました。

Re: ありがとうございます

鯨岡 雪枝 さん

 コメント頂き有難うございます。

 ほんの少しの勇気が景色を大きく変えることもあると思います。
 是非とも頑張って頂きたいと思います。

 ちなみに私は、遠方の方が主体的医療を実践するための場として
 オンライン診療のシステムを利用して環境を整えている所なのですが、
 様々な問題があって、軌道に乗せるのはまだ先の話となりそうです。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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