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サイアミディン

過剰ストレス反応と重度糖質依存

糖質制限はよくないとする人達の主張その3は「やせ型非筋肉質の人が糖質制限を実践すると、コレステロールが急上昇してLow T3症候群を呈し、めまい、脱力、倦怠感などの症状をきたす」です。

講演会では糖質制限実践後より総コレステロール値が上昇していき、3年近くの経過で800程までに至り、

また甲状腺ホルモン関係の項目でTSH、fT4は正常だけれど、fT3のみが低値を示すLow T3症候群を示したため、

とある糖質制限指導者に相談したところカロリー不足だという指摘を受けたので、

肉を800gほど食べるようにしたけれども、数値は改善しないばかりか、めまい、脱力、倦怠感が生じるようになってきたため、

糖質制限を解除するよう指導したところ、体調が改善し、総コレステロール値もLow T3症候群もあっという間に良くなったという症例が紹介されていました。

そしてこの症例、やはりBMI17代のやせ型を呈している方でした。肉800gを食べていたにも関わらず、です。
結論から言えば、この方にもストレスが強く関わっていたと考えれば非常につじつまが合います。

まずストレスがかかればストレスホルモンが出ます。

これによりストレス性の血糖上昇が緩く駆動され続けてケトン体をうまく利用することができなくなります。

またストレスがうまく処理できない状況にあれば身体はその状況を打破するためにストレスホルモンの材料であるコレステロールの産生需要を高めます

通常はちょっとコレステロールの産生を増やせば解決できるようなことでも、根本的なストレスがとてつもなく大きかったり、すでにオーバーヒート(過剰適応)して元に戻りにくくなっているような状況の時は、

コレステロールを増やしても、ストレス反応系がうまく着地せず、まるでダムで堰きとめられたかの如くコレステロールがどんどん増えていきます。

その傾向は消化吸収障害があればさらに加速します。なぜならばコレステロールは脂質の消化吸収を助ける胆汁酸の材料でもあるからです。

つまり身体はストレスフルな環境に対してストレスホルモンを増やし、エネルギーをくみ取るよう胆汁酸をも増やす目的でコレステロールをせっせと合成しているけれども、

現場のストレス問題が解決しないためにコレステロール合成の過剰適応状態となってしまっているのが症例の状況と思います。

そしてストレスホルモンの一つ、コルチゾールには甲状腺ホルモンのfT4を、より活性の高いfT3へ変換するのを抑制する働きがあります。

その結果、Low T3症候群と呼ばれる状態をきたしますが、これは高まり過ぎたストレス反応に伴う代謝の過活動を避けるための適応反応だという考察を以前述べました。

一般的にもLow T3症候群は甲状腺機能としては保たれているので甲状腺機能低下症ではないと考える認識の医師が大半だと思います。

しかし前述の症例では、実際にめまい、脱力、倦怠感といった甲状腺機能低下症で観察される症状が現れているのだから、

これは立派な甲状腺機能低下症なのではないかという指摘がありました。なるほど、確かに一理ある指摘です。

要するに本来は甲状腺機能のオーバーヒートから身を守るための適応反応であるはずの働きが、何らかの理由で過剰に働き過ぎてしまい甲状腺機能を抑え過ぎる所まで行ってしまっていると考えれば、これは病的な状況です。

これは血圧を上げる反応自体はストレスに対する適応反応だけれども、過剰に働き過ぎれば病的な高血圧状態となるという論理と共通構造を持っているように思います。

では何が本来適応反応であるはずのものを病的反応へと変えてしまっているのかと言えば、やはり「解決しきれないストレス」の存在なのではないでしょうか。

自力で解決できないストレスがあるからこそストレスホルモンが出続けるし、

ストレスホルモンが出続ければ、fT4からfT3への変換が抑制され続けるし、血圧上昇も血糖上昇も緩く刺激され続けます。

そしてそれでもストレスが解決できなければ、さらにストレスホルモンの材料のコレステロール産生需要が高まるという流れが見えてきます。

そしてストレスの解決を糖質摂取に依存し、自己ストレス解決能力が阻害され続けてきてしまった人に対して、

糖質を再摂取すれば当座のストレス対処が図られることによってストレス反応が終息するので、

ストレスホルモン量が正常化し、コレステロールも正常化、症状を伴うLow T3症候群も解除され、血圧も血糖も安定するということで一連の現象が説明できるのではないかと私は思います。

これを糖質制限が悪いと考えるのは一つの解釈だとは思いますが、

見方を変えれば最重度の糖質依存症であり、環境調整なしで糖質を制限しても依存症から離脱できない状態とも解釈できます。

それはまるでアルコール依存症患者に対して、環境調整なしで断酒を進めたらそのストレスから強烈な離脱症状が出たことを持って、「断酒は悪い」と言っているのと同じようなことだと私は思います。

最重度のアルコール依存症に対しても、ただ酒を止めればよいのではなく、断酒会で執り行われているような断酒のための教育・支援プログラムが必要なはずです。

糖質制限で体調を崩し、コレステロール上昇や症状を伴うLow T3症候群などの過剰ストレス反応を反映するデータを示すという人も、

ただ糖質制限するだけではなく、重度の糖質依存症から離脱するためのストレスマネジメントがうまく進むような教育支援プログラムが必要なのかもしれません。


そもそも大前提として糖質制限をするのは何か解決すべき健康問題があるからだと思います。

糖質摂取生活で健康問題がないという人は「体調が最良のバロメータ」の観点から考えても糖質制限をする必要はありません。

糖質制限をしたいという人は、糖質摂取に伴う何かしらの健康問題が以前にあったはずです。

それが糖質制限をしたから悪くなったとして、「糖質制限が悪い」と判断して糖質を再摂取してよくなったとしても、

それでは結局、ふりだしに戻っただけで何の解決にもなっていないのではないでしょうか。

そんな結論が正しいとは私には思えません。


たがしゅう
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Re: センシティブな内容なので非公開です

ジャスミン さん

 コメント頂き有難うございます。

 閉じられた空間の中で発言すると、そのような内容が平気で書けてしまう怖さがあります。
 一歩譲って憶測でものを語るまでは自由だとしても、それを断定的に語るのは偏った態度だと私は思います。

 2014年6月27日(金)の本ブログ記事
 「憶測を論拠にしてはいけない」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-316.html
 も御参照下さい。

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Re: No title

奈良県吉野けんさん さん

 コメント頂き有難うございます。

 理論や検査値に左右され、体調をみる視点がおざなりになっていると、
 知らず知らずのうちに身体にストレスをかけてしまっているという事もあると思います。

No title

「糖質制限=危険」と言う自説に都合の良い体質の人を恣意的に選択して糖質制限させた可能性も否定出来ないと思います。

これは、飽くまでも私の根拠無き妄想ですが(^_^;)

Re: No title

名無し さん

コメント頂き有難うございます。

> 自説に都合の良い体質の人を恣意的に選択して糖質制限させた可能性

それは流石にないと私は思いますが、
自説を情報発信していれば、糖質制限で調子を崩した人達が集まってくる可能性は十分にあると思います。

第一はストレス

昨今の過熱する「健康に関する議論」はあまりにも糖質にバイアスかかりぎみで、「糖質が健康阻害に影響するか否か」となっては本質を見失う危険性があり、もう少し冷静さが必要な時期ではないでしょうか。

昨今特に、糖質オフの食品の多さやメディアでの糖質オフ系健康情報など、「糖質さえなんとかすれば健康を取り戻す」という印象を受けます。

新しい概念には賛否両論の議論は必要ですが、しかし本当のところ、たがしゅう先生もおっしゃるように、何を摂取しようが体調が一番のバロメーターで、実は「体調次第で糖質は摂取してもしなくても良いもの本人次第」その程度なのではないでしょうか。

本丸は「ストレス」なんです、私はそう思うのです。

目に見えない、どこからともなくやってくるウイルスのような存在のストレスが、糖質より制限すべき対象であることを忘れてはなりません。

例えば「電気」は見えません。

しかし、「ここのコンセントに100ボルトの電気が来てる」と学んだから見えないけど見えてるように使えます。

ストレスも学んで「見える化」出来る時代が来てしまえば、糖質議論は霞んでしまうかもしれません。

Re: 第一はストレス

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

> 昨今の過熱する「健康に関する議論」はあまりにも糖質にバイアスかかりぎみで、「糖質が健康阻害に影響するか否か」となっては本質を見失う危険性があり、もう少し冷静さが必要な時期ではないでしょうか。

 重要な御指摘だと思います。
 確かに、世の中には糖質制限関係なしで健康長寿を成し遂げている方も実在するので、そうした事実を見過ごしてはなりません。

 「ストレス」の見える化も非常に重要と思います。
 私は糖質制限でうまくいかない人達の特徴、やせ型、非筋肉質、女性(甘いもの好き)、消化吸収障害、コレステロール急上昇、Low T3症候群などから見えないはずの「ストレス」の問題に気付くことができました。

 ということは糖質制限関係なしで健康長寿を成し遂げた方にストレスマネジメントができている可能性が浮上してきます。

 糖質制限理論はかなり再現性の高い信頼できる理論ですが、ストレスマネジメントは時に糖質頻回過剰摂取による代謝のかく乱さえを整える大きな効果をもたらしうるのではないかと私は考える次第です。

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Re: タイトルなし

ジャスミン さん

当事者でない人はいくらでも好き勝手な解釈ができます。
それに揺さぶられるのも、気にしないのも、その人次第だと私は思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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