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サイアミディン

感染症治療に病名は必要か

医学が発展していく歴史の中で、

最も大きな出来事の一つに「抗生物質」の発見があると思います。

これによりそれまでの時代は死に直結する病であった感染症が治療可能な病気へと変化しました。

そして多くの命が救われました。抗生物質は人類が感染症と戦えるように進化する第一歩となったことは紛れもない事実だと思います。

その感染症を適切に治療する際に必要となってくるのが、診断というプロセスです。

何の病原体がどこに感染して患者に症状をもたらしているのかを知ることが、どの薬を用いるかという治療へと直結します。
前回の記事で「病名」をつけること、即ち診断することには二つの悪い側面があるというお話をしました。

しかし感染症の治療には診断は不可欠です。診断するのに「病名」が必要なのだから、やはり「病名」をつけることは大事なのではないか、という疑問が挙がるのではないかと思います。

結論から言えば、感染症の治療に診断、すなわち「病名」を確定させることは必要です。

ただ問題はそもそも感染症となってしまった本質的な原因はどこにあるのか、ということです。

多くの方は感染症の原因は細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などの病原体にあると考えることでしょう。

しかし例えば、細菌の立場になって考えてみましょう。

細菌は人間をやっつけようと思って感染という現象を起こしているのでしょうか。

そうではなくて、「そこに増殖しやすい場所があったから」感染しているのではないでしょうか。

増殖しやすい場所とは何なのかといいますと、適切な温度があって、適切な水分があって、適切な栄養分がある所です。

人体はそういう場所として合致するわけですが、通常はそうはさせまいと人体の免疫システムがうまく作動して排除するよう働きかけます。

要するにその免疫システムが何らかの理由でうまく働かなくなった時に、

たまたま通りかかった細菌が、増殖しやすい場所を見つけて生命の本分である複製を純粋に繰り返して、

そのことがさらに弱った身体に追い打ちをかけて、最悪の場合人体を死に至らしめるという結果へとつながる。

この一連の流れにおいて細菌は、言わば自分の職務を純粋に果たしているだけであって、悪気などというものは全くないわけです。

むしろ細菌をそんな風に働かせるに至らせた真の黒幕は免疫の弱った人体ということになるのではないでしょうか。

そういう意味では「感染症」の病名をつけることは、その原因が人体側にあるということに目を向けさせないという点でやはり有害なのです。

別の言い方をすれば、感染症を発症するに至った状況は、

主体的医療が実践できないほどに機能がオーバーヒート(過剰適応)してしまった状況なのであり、

主体性が発揮できない以上は、急場を脱するために受動的医療の恩恵に預かる際には「病名」をつける診断というプロセスが不可欠になるということです。

ややこしくなってしまったので、ここでまとめますと、

主体的医療においては「病名」は有害因子となるが、受動的医療においては「病名」は重要因子となるということで、

「感染症」という病態はどちらかといえば受動性の高い病態、

主体性の放棄、具体的には食事因子とストレス要因の管理の不十分さによって、

自力での免疫システムがうまく機能せずに、生体機能が過剰適応か消耗疲弊してしまった状況だと言えるのではないかと思います。



今はインフルエンザが全国的に流行している時期です。

インフルエンザに罹った人はもれなく食事かストレスのどちらか、もしくはその両方に問題があると私は考えます。

もしそういうことは関係なしにインフルエンザウイルスの密度や暴露時間などの物理的要因によってのみ起こるのだとすれば、

発症者と同じ空間にいた人はかなりの頻度でインフルエンザを発症してもらわないと説明がつきませんが、

実際には同じ空間にいても発症する人とそうでない人はバラバラです。

また一日に十数人のインフルエンザ患者を診察し、濃厚接触している私のような医師などは軒並みインフルエンザに罹らないとおかしいと思いますが、実際にはそうはなっていません。

ということはインフルエンザに罹患した人は、たまたまそこを通りかかったインフルエンザウイルスが増殖しやすい環境を提供してしまうほどに、

免疫を中心とした生体機能がうまく働かなくなっているという事に過ぎないのです。

ならばインフルエンザに罹った人は、「今年は罹ってしまって運が悪かった・・・」などと嘆いている場合ではなく、

食事とストレスを中心になぜ生体機能が故障してしまっているのかという事に思いを巡らせて、セルフメンテナンスを始めなければならないところだと私は考えます。

インフルエンザがインフルエンザウイルスという外部要因によって起こらされている、と考えているからこそ、

人はインフルエンザ対策をマスク装着や手洗いうがい、はては予防接種などに求めてしまうのだと私は思います。

そんなことよりもよほど真剣に取り組むべきは食生活の改善とストレスマネジメントだと私は考える次第です。


たがしゅう
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腸の能力

私の実体験を少々・・・

潰瘍性大腸炎に罹り十年以上経過し、どういうときに悪化し、その後どうなるのか、長い付き合いとなる持病の特性は大抵読めるようになりました。

そこで気が付いたのですが、「腸が好調の時は、体全体が良好」で反対に「腸が不調の時は、体全体が不調」だということです。

具体的には、「腸が不調の時は頻繁に風邪をひく上に水虫が悪化する」が一方「腸が好調の時には、インフルエンザの流行時期に予防接種なしで過ごせるし水虫も再発しない」といったっ具合です。

腸は免疫と深い関係があると聞いたことがありますが、腸が好調だと免疫力が上がり、他の細菌やウイルスを寄せ付けないのでしょう。

持病はそれをいみじくも体現してくれています。

いつのまにか、腸が体全体の不調を教えてくれる「センサー」のような役割をし始めて長年、1つ病を持つことで身体に気を使う「一病息災」を訓戒として思いのほかありがたく過ごさせていただいています。

Re: 腸の能力

だいきち さん

コメント頂き有難うございます。

> 腸が体全体の不調を教えてくれる「センサー」のような役割をし始めて長年、1つ病を持つことで身体に気を使う「一病息災」を訓戒として思いのほかありがたく過ごさせていただいています。

素晴らしいですね。
腸の状態を体調のバロメータとして、まさに主体的医療を実践なさっていると思います。
御自身の中で、どんな検査よりも信頼できる存在になっているのではないでしょうか。

因果か相関か

腸の調子と、体調は、どちらが原因でどちらが結果なのですかね?

あるいは、双方向なのか。

さらに、単なる「見かけの相関」で、真の原因は他にある可能性も。

Re: 因果か相関か

まさひろ さん

コメント頂き有難うございます。

> 腸の調子と、体調は、どちらが原因でどちらが結果なのですかね?
> あるいは、双方向なのか。
> さらに、単なる「見かけの相関」で、真の原因は他にある可能性も。


私は双方向性があると思います。
体調が悪く感じることで腸の調子が崩れることもあるでしょうし、
腸の調子が崩れることで体調が悪くなることもあるでしょう。

そして精神と身体は密接に関わっており、実は真の原因が「思考」にあり、ということもあるのではないかと思っています。

水虫について

水虫について、上記の方が投稿されている、「腸が不調の時は頻繁に風邪をひく上に水虫が悪化する」について、この夏、まさにその通りの体験をしました(以下、長文で済みません)。

5年近く糖質制限生活をしており基本的には体調良好ではあったのですが、元々暑さに弱く、夏は消化不良・下痢が続く傾向にありました。この夏は、記録的な異常高温が続き、そのせいか下痢がひどい状況で、風邪もひきました。そして、糖質制限開始以来無縁だった水虫になってしまいました。

夏井先生の見解に従って、水虫発症箇所の嫌気性を高めるべく、ワセリンを塗ったりしましたが、なかなか改善しませんでした。また、その間、手の皮がむけやすくなったり、腕の内側に黒い斑点(?)ができて、一体何だろうと思っていました。

そんなある日(2018年7月27日)、藤川先生の記事を読んでいて、「ペラグラ」についての記載を読んで、はたと気付きました。
https://ameblo.jp/kotetsutokumi/entry-12393614584.html

すなわち、自分は糖質摂取量は少ないものの、アルコール摂取量が多く、ビタミンB群を浪費する一方で、消化不良が続いていて栄養吸収が低下しており、ますますビタミン・タンパク質不足になっているのではないか、といういことです。つまり、自分の皮膚と消化器の問題は、ペラグラと同じなのではないか、という懸念です。

さっそく、その日からビタミンBのサプリを飲み始め、ナイアシンを注文し、胃腸の改善のために良いと聞いてグルタミンを買いに行きました。

むろん、n=1の個人的体験談ではありますが、水虫については著効したように感じられます(現在、跡形もなくなりました)。胃腸は完全にとは行きませんが、かなり回復してきました。

腸の調子は、免疫にも勿論関係するのでしょうが、消化吸収力の低下による栄養失調によるペラグラ状態が皮膚疾患を惹起する機序もあり得るのではないか、と感じています。

こういうことを述べている専門家はあまり多くないようですが、検索したところ、水虫について、下記のような治療方針を説明しているクリニックがありました --- 「爪でも髪の毛でも、タンパク合成にはビタミンBが必要ですので、肝臓で糖質が代謝されるときにビタミンBが多量に消費されることから、糖質制限を行うと同時にタンパク質とビタミン補充を指導しています。」
https://i-my.jp/dermatology/nail_ringworm.html

つまり、水虫に対するソリューションは、①夏井先生の推奨する、患部の嫌気性環境の維持、②糖質制限(アルコール制限)、③栄養補充(ナイアシンなどのB群及びタンパク質)、なのではないか、と感じております。

追伸:昨年は鹿児島で、江部先生合同講演会で勉強させていただきました。本年もよろしくお願いいたします。

Re: 水虫について

和田 さん

 貴重な体験を教えて頂き有難うございます。

 糖質制限と局所ワセリン塗布だけでは改善しなかった水虫が、アルコール制限とビタミンB群、タンパク質などのサプリメント補充で明らかに改善した、という話だと思います。糖質制限だけでは不十分だった代謝の改善が後押しされたことは間違いないでしょうね。

 もしもアルコール制限だけだとどうなっていたのか、
 あるいはサプリメントを止めると元に戻りはしないのか、などいくつかの疑問は頭に浮かびます。
 ですが、いずれにしても自分が体験した事実を元に、矛盾のないように理論を組み立てていけば、少なくとも自分にとって揺るぎのない理論へと発展させることができると思います。私もおおいに参考にさせて頂きたいと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
ツイッター:https://mobile.twitter.com/tagashuu600

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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