サイアミディン

実体験から考える時の落とし穴

糖質制限を理解するのに実体験が重要であったという話をいたしました.

自分が患者で糖質制限によって症状が改善すれば受け入れやすいというわけです.

その事実を重視して,その事実が起こった理由を科学的に説明することができれば,さらに理解を助けてくれます.

従って,新しい理論を理解する際に「実学を中心に」進めていく,というのは一つの良いやり方だと思っています.別の言い方をすれば,帰納(きのう)法とも言えます.

しかし帰納法を進める場合には,個々の例で起こった事実を誤った理論で誤って解釈しないよう注意が必要です.

ややこしい導入で始まってしまった本日の記事ですが,要するに言いたかったのは次のようなことです.

「糖質制限をやり始めて2,3日,体に力が入りにくくなった.糖質制限をやって筋肉が衰えるという理論を聞いたことがあるけど,実際そういうふうになったではないか.だからやっぱり糖質制限はよくない」と言われるケースがあります.これのどこが間違っているのでしょうか?

先にも記事にしたように,糖質には弱い「依存性」があります.依存性のあるものを急に中断した場合,中断して間もない時期に離脱症状が起こる場合があります.タバコ,アルコール,麻薬,睡眠薬もしかりです.この離脱症状を筋肉が衰えると誤解釈している可能性があります.

そしてそもそも糖質を控えると本当に筋肉が衰えるのか?という疑問自体にも検証が必要です.例えば,絶食時にはエネルギー源として糖質の代わりに,脂質(脂肪酸),蛋白質(アミノ酸)が分解されると確かに言われています.

しかし,一体脂質とタンパク質はそれぞれどれくらいの割合で分解されるものなのでしょうか?人間では倫理的な問題からそういった調査はできませんが,例えば,コウテイペンギンやラットのデータでは絶食時のエネルギーは脂質が96%で, 蛋白質が4%しか使われていなかったという話もあります(http://eikojuku.seesaa.net/article/267610692.html).

また一方で断食をして健康を手にしているという人たちの報告もあります.

こうなってくると「糖質を控えると筋肉が衰える」という理論そのものの土台が揺らいできます.

真に正しい理論には隙がないはずです.


たがしゅう
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共感します

7月の推進協議会パーティでご挨拶した高橋です。
私も内科医ではないので、表立っては患者さんへの指導とはなりませんが、現在慢性膿皮症の女性に糖質制限のアドバイスをしています。少しずつ効果がでています。
やはり、現在自分も実践していて、体調が良いという実感を込めて診察しているから、患者さんも取り入れてくれていると思っています。
たがしゅう先生のエッセイ、これからも楽しみにしています。

Re: 共感します

たかはし先生

コメント有難うございます。
実際に自分で実践されて指導するという姿勢、素晴らしいです。

逆に言えば、実践せずに否定してくる医師が世の中には如何に多いことか、とも思います。

糖質制限に理解ある医師のネットワーク、拡げていきたいですね。

これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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