サイアミディン

カロリー制限は「ごく弱い糖質制限」

なかなか奥深い酸化ストレスの世界です。

昨日に引き続き酸化ストレスについて学んだことを書き連ねてみたいと思います。

④ダウン症候群は高酸化ストレス状態

尿酸には抗酸化作用がある。
ダウン症候群では高尿酸血症、肥満を発症しやすい。
約半数にインスリン抵抗性が高いことがわかった。(一般に比べて高い。)
ダウン症候群は比較的低年齢から高尿酸血症がみられた。
ダウン症候群は高酸化ストレス状態だと考えられている。
 例:過酸化脂質の増加、尿酸アラントインの増加


尿酸が高いということの解釈は注意しないといけません。
単純に「抗酸化作用が高い状態」なのかもしれませんし、「抗酸化作用を高く発揮しているにも関わらず酸化ストレスに対抗しきれていない状態」なのかもしれません。
ダウン症候群の場合は後者だと考えられます。

ということは酸化ストレスリスクを減らす糖質制限は、ダウン症候群の症状改善にも寄与する可能性があります。


⑤慢性肝疾患は抗酸化作用が低い状態

C型肝炎と酸化ストレス
タンパク・アミノ酸異常にBCAA製剤
リンパ球・単球における多価不飽和脂肪酸の意義
肝癌を合併しているとアラキドン酸、EPA,DHAが減少、抗酸化作用の低下が明らか。
C型慢性肝炎には抗酸化ビタミンとEPAの補充が必要


肝臓には様々な働きがあります。

糖質、脂質、蛋白質の代謝を司り、おなじみの糖新生、ケトン体産生に加え、解毒作用、

そして蛋白質の中で大半を占めるアルブミンを合成するのも肝臓の仕事です。

アルブミンは抗酸化物質のひとつですから、肝臓の働きが落ちると抗酸化作用が低くなるのはうなずけます。

糖質制限の禁忌(糖質制限をやってはいけない病気)に「肝硬変」がありますが、「極めて抗酸化作用が低下した状態」ともとれます。

そうなる前に肝臓を酸化ストレスから守ってやりたいですね。

⑥カロリー制限は酸化ストレスを改善する可能性がある

(マウスにおいて)
加齢に伴う酸化ストレスはカロリー制限で改善する
加齢腎におけるミトコンドリア形態異常、遺伝子変異、腎障害はカロリー制限で改善する。
加齢腎におけるオートファジーの破綻はカロリー制限によって解除されている。
SIRT1(Deacetylation)は加齢に伴う疾患の発症・進展に効果がある。
加齢によって発現が低下するSIRT1はカロリー制限によって改善する。
カロリー制限によって2型糖尿病ラットの尿アルブミン排泄増加、腎機能低下、腎組織病変は改善する。


「腹八分」という言葉に象徴されますが、

カロリー制限は長寿を成し遂げるための方法として注目されているようです。

しかしカロリー自体は信憑性の乏しい概念です(※この辺は夏井睦先生が書かれた書籍「炭水化物が人類を滅ぼす」に詳しく書かれています)。

また草食動物であるマウスで証明されたカロリー制限の効果が、本来肉食動物であるヒト(※腸管の構造から想定されます)でそのまま適応できるかどうかということには疑問が残ります。

ただその事を差し引いても「マウスでカロリー制限すると酸化ストレスが改善する」という事実は注目に値します。

ここをどのように解釈したらいいのでしょうか。

そこでマウスの代謝システムについて考えてみます。

マウスの場合は種子(穀物)などの植物を主食とするので、ヒトと違って糖質は重要なエネルギー源です。

またマウスに高脂肪食を与えると糖尿病を発症させることがわかっています。

これは本来マウスの主たるエネルギー源である糖質ではなく、脂質を与えてしまうことが酸化ストレスとなり代謝が破綻するためだと考えられます。

だからマウスにとっては、脂質負荷を避けることの方が、酸化ストレスを減らすために有用な手段となります。

そんな状況に対してカロリー制限はうってつけなわけです。

なぜなら食事全体のカロリーを押さえることは、結果的にカロリーの高い脂質を多めに押さえて、カロリーの少ない糖質は少ししか減らさなくてすむからです。言ってみればカロリー制限は「強い脂質制限」+「ごく弱い糖質制限」です。

だからマウスではカロリー制限で効果的に酸化ストレスを減らすことができるのだと思います。


しかしヒトの場合はマウスと違って脂質を主なエネルギー源とします。

主たるエネルギー源ではない糖質を摂る事にとって酸化ストレスを生じます。

だからこそ食後高血糖や平均血糖変動幅の増大により酸化ストレスが増加してしまうのだと思いますし、

ごく弱い糖質制限であるカロリー制限は、やはりかなりの高糖質負荷がかかってしまうので、ヒトに対してはごくわずかの酸化ストレス軽減効果しかもたらさないのだと私は思います。

従ってヒトで酸化ストレスを減らすには糖質制限の方が理にかなっています。


ところで、今までカロリー制限は科学的根拠のないまま何十年もの間指導され続けてきました。

しかし、そんな指導でも少数ですが、効果がある人も確かにいたと思います。

それは「カロリー無制限の高糖質食」が「カロリー制限の高糖質食」に変えることによって

「ごく弱い糖質制限」の効果が得られたがために改善したのだと思います。

無根拠なカロリー制限でごく緩い糖質制限をするより、

「普通に糖質制限」をした方が絶対良いと私は思います。


たがしゅう
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カロリー

おはようございまっす!(^^)

カロリー計算めんどいですね(--)

つい、つい、カロリー気にしちゃうんですよね(^^)

普通にやるって、せっかちなせいか、早く治そう、早く
血糖値の値を普通に戻そうと、あせるわ、あせるわ(^^)
無根拠なカロリー制限&糖質制限で
お腹グゥグゥ なんですね(^^)

普通に、ふつうに。。。。。〔言い聞かせる)  (^^)







































。。。

Re: カロリー

すず。さん

 コメント頂き有難うございます.

 私はカロリーよりも,食欲や自分の体調を重要視しています.

ヒトは肉食なのですか?

腸管の構造は知りませんが、腸の長さは草食動物のものではないでしょうか。特に草食中心で発展してきた日本人は肉中心の欧米人より腸が長いです。
またヒトの唾液は澱粉を消化するためのものだと聞きました。
ヒトが肉食なら、唾液はどう説明をするのでしょう。
またヒトの犬歯は肉を噛み切るものでしょうが、臼歯は植物をすりつぶすためのものだと聞きました。
なのでヒトは雑食動物?だと思っていました。

糖質制限を批判したいのではありません。
僕も糖質制限をしていますから。
ただヒトを肉食とする事に違和感がありました。

世界には肉のみしか食べない民族もいれば、植物しか食べない民族もいます。
どちらにも適応できるのがヒトのように思うのです。

Re: ヒトは肉食なのですか?

モン さん

 御質問頂き有難うございます。

 肉食動物と草食動物の腸管の構造についてですが、

 牛に4つの胃があるように植物を主な食料とする哺乳類には消化管の一部が著しく大きくなるという特徴があります。またその腸管に腸内細菌を生息させることが必要条件であるようです。

 なぜなら草食動物は植物の主たる構成成分であるセルロースを分解する細菌を腸管に共生させることで、細菌から得るエネルギーを利用して生きているからです。その結果腸管の構造が複雑になり、一般的に身体が巨大化する傾向があります(例外:ウサギ=草食動物だけど小さい、草食+糞食のため)。

 それに対して肉食動物の腸管の構造はシンプルで、腸内細菌との共生を必須とせず、自前の消化酵素を持ち他の動物の肉を分解することによって腸内細菌の力を借りることなくエネルギーを得ます。そのため食べるためには他の動物を狩る必要があるので、一般的に草食動物に比べて小型で運動能力に長けています。

 ただ草食と肉食の割合は動物の種類によって異なり、0か100かというものではないようです。

 そういう違いを踏まえればヒトはもともと肉食だと考えるのが妥当なようです。

 勿論、現在ヒトは肉も野菜も食べる雑食ですので、あくまでも「本来の姿が」という話です。進化の過程の中で草食にも適応してきている段階にあるのではないかと思います。

 しかし、現代人の生活習慣病の多さを考えると、まだまだ大多数の人は大量の穀物に対応できる程適応できているとは思えません。

 ちなみに唾液に関しては、デンプンを分解する働きがありますが、本来は母乳に含まれる程度の少量の乳糖を分解する働きを担っていたのではないかと考えています。

 詳しくは夏井睦先生著の「炭水化物が人類を滅ぼす」にも書かれていますので、よろしければ御参照下さい。

Re: ヒトは肉食なのですか?

日本人の腸が欧米人より長いというのはウソ

http://kenko100.jp/articles/131126002709/

Re: Re: ヒトは肉食なのですか?

精神科医師A 先生

 補足情報を頂き誠に有難うございます。

Re: ヒトは肉食なのですか?

モンさんへ。

ヒトは肉食か?という疑問に対して、私が最も納得したのは「親指はなぜ太いのか」(島泰三著 中公新書)でした。
推理小説の様な面白さでした。是非ご一読を。

夏井先生も『炭水化物が人類・・・』の中で触れられていますね。

Re: Re: ヒトは肉食なのですか?

saty さん

> 「親指はなぜ太いのか」(島泰三著 中公新書)
> 推理小説の様な面白さでした。是非ご一読を。


 情報を頂き有難うございます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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