サイアミディン

根本的な原因に対処しなければ

神経内科が扱う病気の中には「慢性進行性疾患」が多くあります。

「慢性進行性疾患」とは、「ゆっくりと症状が進んでいく病気」のことです。

糖尿病も世間一般的には「慢性進行性疾患」と位置づけられていると思いますが、

糖質制限を行えば、その進行を食い止めることが可能となります。

なぜならば、糖質が血糖値を上げ、糖尿病を悪化させる根本的な原因であるからです。

一方、薬で血糖値を抑えても根本的に糖尿病を治すことはできません。根本的な原因が放置されているからです。

従って、「慢性進行性疾患」に対しては、その根本的な原因がどこにあるかを考える必要があると思います。

そして現在私が特に興味を持っている慢性進行性疾患の一つが「認知症」です。
「認知症」とは「いったん正常に発達した知能が低下し日常生活に支障をきたした状態」の事ですが、その原因には様々なものがあります。

認知症の原因となる病気の中で最も多くの割合を占めるのが「アルツハイマー病」という病気です。

典型的な「慢性進行性疾患」であり、徐々に脳の記憶を中心とした領域に神経変性が起こっていくこと知られています。

その変性した神経の中に「アミロイドベータ」や「タウ」と呼ばれる異常蛋白が認知症を発症する10年も20年も前からたまってきているということがわかってきました。

従って、世界中の研究者が認知症を治療するために、このアミロイドベータやタウに対する薬剤を開発している現状があります。

しかし、この発想による治療は現時点であまりうまくいっていません。今回もケアネットで次のようなニュースがありました。

新規抗アミロイドβ抗体薬、アルツハイマー病への効果示せず/NEJM

 新たに開発された抗アミロイドβ(Aβ)抗体ソラネズマブは、軽度~中等度アルツハイマー病(AD)患者の認知機能および機能的運動能力を改善しないことが、米国・ベイラー医科大学のRachelle S Doody氏らが行ったEXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験で示された。ソラネズマブはネズミ抗体のヒト化アナログ製剤で、Aβの中枢神経系(CFS)から末梢循環への流出を促進することから、ADに有効な可能性が示唆されていた。NEJM誌2014年1月23日号掲載の報告。

認知機能、身体機能の改善効果を2つの無作為化試験で評価
 EXPEDITION 1およびEXPEDITION 2試験は、軽度~中等度AD患者に対するソラネズマブの有用性を評価する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験。年齢55歳以上、うつ状態を認めず、軽度の認知機能障害がみられる患者を対象とした。ソラネズマブ(400mg、静脈内投与)は、4週ごとに18ヵ月投与し、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンの併用は許容された。

 主要評価項目は、アルツハイマー病評価スケールの認知機能評価11項目(ADAS-cog11、0~70点、点数が高いほど認知機能が良好)およびアルツハイマー病共同研究日常生活動作評価(ADCS-ADL、0~78点、点数が低いほど身体機能が低い)の、ベースライン時から80週までのスコアの変化とした。

 EXPEDITION 1試験の解析が終了後、EXPEDITION 2試験の主要評価項目として軽度AD患者におけるADAS認知機能評価14項目(ADAS-cog14、0~90点)の再解析を行った。


発症前~軽度患者に限定してさらなる検討を
 EXPEDITION 1試験には1,012例(ソラネズマブ群506例、プラセボ群506例)、EXPEDITION 2試験には1,040例(521例、519例)が登録された。治療完遂率は、それぞれ73.1%、73.1%、77.9%、77.1%で、主な治療中止理由は有害事象であった。


 両試験共に、主要評価項目の有意な改善効果は得られなかった。EXPEDITION 1試験におけるADAS-cog11スコアの変化の差(ソラネズマブ群-プラセボ群)は、-0.8点(95%信頼区間[CI]:-2.1~0.5、p=0.24)、ADCS-ADLスコアの差は-0.4点(同:-2.3~1.4、p=0.64)であり、EXPEDITION 2試験ではそれぞれ-1.3点(95%CI:-2.5~0.3、p=0.06)、1.6点(同:-0.2~3.3、p=0.08)であった。

 ADAS-cog14スコアの群間差は、軽度AD患者が-1.7点(95%CI:-3.5~0.1、p=0.06)であり、ソラネズマブ群で良好な傾向がみられたが、中等度AD患者は-1.5点(95%CI:-4.1~1.1、p=0.26)だった。

 両試験の安全性データの統合解析では、アミロイド関連画像異常として浮腫がソラネズマブ群の0.9%、プラセボ群の0.4%(p=0.27)にみられ、出血がそれぞれ4.9%、5.6%(p=0.49)に認められた。

 著者は、「ソラネズマブは軽度~中等度AD患者の認知機能および機能的運動能力を改善しなかった」とし、「抗アミロイド戦略の有用性を見極めるために、軽度AD患者やバイオマーカー検査で脳のアミロイド蓄積が確認されている無症状の患者を対象に、本薬剤のさらなる検討を進める必要がある」と指摘している。


アルツハイマー病の原因とされる「アミロイドベータ」ですが、

一旦認知症を発症してしまえば不可逆的になってしまうので、できるだけ早期に使えば効果があるのではないかという発想で、この研究では早期の認知症に対して介入を試みたということですが、それでもうまく行っていません。

だから、さらにさかのぼって無症状の人に予防的に使えば効果があると考えられているようですが、

私はその発想で進めて行っても治療はうまくいかないと考えています。

なぜなら、「アミロイドベータ」は原因ではなく、「結果」だと思うからです。

即ち、糖尿病が薬で治らないのと同じ現象、すなわち根本的な原因に全く対処していないと思うからです。

アミロイドベータは何か根本的な原因があって作られ、それが神経にたまるために神経変性が起こっているのだと思うのです。

それではアミロイドベータができてしまう原因は何なのか、

その大きな部分を占めるのが「酸化ストレス」だと私は考えています。

酸化ストレスを日常的に受けうる出来事は食事であり、特にヒトにおいては血糖値の乱高下が原因として重要です。

もしも糖質制限をして血糖値の乱高下を防げば、日常的に受ける酸化ストレスを確実に減らすことができます。

ただ糖質制限をしていても多少の糖質が含まれたりはすると思うので、完全に酸化ストレスから逃れることはできません。

しかしながらもしも酸化ストレスを受けてアミロイドベータができても、体内のクリアランス(浄化)システムを働かせることである程度は掃除することができます。

糖質制限をすれば蛋白の摂取量が多くなりますが、アミロイドベータを分解する酵素(例:ネプリライシン)も蛋白質からできています。

だから私は糖質制限で認知症が予防できると考えています


たがしゅう

関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

予防

おっはようございまっす!(^^)

予防ですね。。。。
早期予防、早期発見、早期治療。。。。。

風邪ひく前に風邪薬飲んでた 私はアホでした(--)

Re: 予防

すず。さん

 コメント頂き有難うございます.

 予防は非常に大事で,そのために中核を成すのが糖質制限の考え方だと思います.

ネプリライシン

はじめまして。
毎記事読んでます。わかりやすく書いてくださってありがとうございます。
ネプリライシンは同時にインスリン分解酵素でもあって、インスリンが余っているとそちらの分解に掛かりっきりでアミロイドベータはほっぽらかしだそうです(NHKためしてガッテンより)。糖質摂るといっそうアミロイドベータを溜め込むことになる、という図式ですね。

Re: ネプリライシン

猫のん さん

コメント頂き有難うございます。

> ネプリライシンは同時にインスリン分解酵素でもあって、インスリンが余っているとそちらの分解に掛かりっきりでアミロイドベータはほっぽらかしだそうです(NHKためしてガッテンより)。糖質摂るといっそうアミロイドベータを溜め込むことになる、という図式ですね。

そういう事ですね。

インスリンの分泌を最小限にすればアミロイドベータのクリアランス(浄化)が最大限に高まります。

そう考えれば糖質を制限するのがクリアランスを高める最もリーズナブルな方法ですね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR