サイアミディン

医療を必要最小限に利用する

糖質制限の守備範囲は広いです。

体重の適正化、糖尿病治療にとどまらず、アトピー性皮膚炎、冷え症対策、原因不明の頭痛やめまいの治療、認知症予防の可能性など枚挙に暇がありません。

あまりにも都合が良すぎて一見ウソに思える糖質制限ですが、

きちんとやったことがある人ならば皆それがウソでないという事がわかっていると思います。

ここまで守備範囲が広いのであれば、もう医者なんて要らないんじゃないかと思ってしまいそうですが、

残念ながらそういうわけにはいかないと思います。まず,すべての人が完璧に糖質制限できるとは限りません。

仮に糖質制限が当たり前の時代がやってきたとしても、医療の全体ニーズが下がることはあっても、完全に医療がなくなることはないと思います。

その大きな理由の一つが「救急医療」の存在です。
例えば、急な怪我や大きな感染症に罹った時、これはやっぱり医療の力が必要です。

骨折をした際などに「糖質制限で治そう」などとは言っていられませんし、

敗血症(全身の血液に細菌が入り激しい炎症を起こしている状態)の時に「糖質制限で我慢しよう」などと言っていては命に関わります。

そういう時には救急医療が必要になるのですが、私はそうした場合であっても医療は必要最小限であるべきだと思います。

簡単に言えば医者は患者さんの病気の「火消し役」です。

例えば、患者さんの身体の病気という名の「火事」が起こったとしましょう。

そうした場合にまず火消し役をするのが医者の仕事です。医者に「骨折の修復」「感染症の制御」という名の火消し作業をやってもらいます。

火事が治まったら、その後損傷を受けた部分の修復は患者さん御自身にやって頂くのです。そのために糖質制限の考え、ひいては正しい栄養の考え方が必須です。

脂質、蛋白質を中心にミネラル、ビタミンなどをバランスよく摂取し、骨を強くし、免疫力を高めます。その過程の中でちょっと修復の仕方が難しかったり、うまい具合に修復できなかった場合は、再び相談しに行きます。

あるいは修復がうまくいっていることを確認するために医者に会いに行ってもよいかもしれません。

そういう感じで要所要所で医者を少しだけ利用する付き合いができれば、人生をよりよいものにできるのではないでしょうか。

もっと言えば、救急医療の中でも糖質制限の考え方は役に立ちます。

例えば、骨折の痛みの軽減にケトン体が有効である可能性があります(Masino SA, Ruskin DN. Ketogenic diets and pain. J Child Neurol. 2013 Aug;28(8):993-1001. doi: 10.1177/0883073813487595. Epub 2013 May 16.)。

また感染症で点滴を受ける際にも不要な糖は入れるべきではありません。感染症の制御に際して蓄えた脂肪を分解しエネルギーを作り出すことが重要であり、糖質を摂って脂肪を蓄える方向に向かえばその目的に真逆に作用してしまうからです。

こういう場合も「ヒトが治ろうとするのを邪魔しない」という考え方、即ち「Do no harm(まず害をなす事なかれ)」が重要になってきます。

ただ、そんな万能な糖質制限でも急な心停止には対応することは当然できません。

そういう時には糖質制限云々ではなく、救急医療の力を最大限に発揮するべきだと思います。

私はICLSという救急のインストラクターの資格を持っており、医師としてきたるべきそういう事態に対応できるよう日々努力をしているつもりですが、できればそういう事が起こらないに越したことはありません。

そのためにも糖質制限の理論を基盤とした「予防力」を世の中に伝えていきたいと考えています。


たがしゅう
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め組の人

おはようござますっ!(^^)

ネットでいろんな情報が得られ薬さえも買えるとなると、医者なんかいらないじゃん?(^^)

なーーんて、おもちゃったいしますが!

救急救命士のドラマとか、みると(ドラマかよ!)
これこそ、医療のエキスパート!なぁんておもっちゃたりしたり(^^)
オペのうまい先生は、修理人?(^^)

初めて入院して感じたコとですが、ちょっとした優しい言葉、だけでも、勇気づけられました(^^)

傷の手当ても大事ですが、心のケアも大事(^^)

救急の医師が足りないようですね

>私はICLSという救急のインストラクターの資格を持っており、医師としてきたるべきそういう事態に対応できるよう日々努力をしているつもりですが、できればそういう事が起こらないに越したことはありません。

東京・関東地方に、大地震が確実にやってきます。昨日、地元の消防団の方と話したのですが、各人が最低限の救急救命の知識と技術を持っていないと、大変なことになりますね・・。
 一般市民も、出来るだけ自立しなければ・・

Re: め組の人

すず。さん

 コメント頂き有難うございます.

> 傷の手当ても大事ですが、心のケアも大事(^^)

 そうですね.今の医療は薬主義,検査主義でどこかそういう事が置き去りにされているような風潮もあります.

 私は会話の中で生まれる事をできるだけ大事にしていきたいと思っています.

 2013年11月26日(火)の本ブログ記事
 「真面目な人間の弱点と強み」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-100.html
 もご参照下さい.

Re: 救急の医師が足りないようですね

わんわん さん

 コメント頂き有難うございます.

> 各人が最低限の救急救命の知識と技術を持っていないと、大変なことになりますね・・。
>  一般市民も、出来るだけ自立しなければ・・


 備えあれば憂いなしですね.

 ただ,大災害の場合は一般の救急処置では対応しきれないくらい現場が混乱することが予想されます.個々の能力だけではなく臨時の指揮系統の存在も重要になってきます.

 東日本大震災の時も応援部隊がたくさん来たのは良いですが,初期には十分な指揮系統が確立していなかったため,医療資源があるのに現場に行き届いていないという状況がありましたね.結果的には地元の医師会や保健師のグループがかなり指揮をとられてスムーズに行っていたように記憶しています.

はじめまして、糖質制限始めて二ヶ月の初心者です。毎日先生のブログで楽しく勉強してます!
昨年主人が網膜剥離を起こし、救急車で運ばれ即入院という事がありました。視界ほぼ全てが無いぐらい網膜が剥げちゃってましたが、幸い硝子体手術も上手くいき一カ月の入院で復帰できました。
外科技術の進歩に感激、心から感謝しました。
が、その入院食がどんぶりご飯と、消しゴムか!というぐらいの小さいおかずというのにびっくり。一カ月間体重は増減なしでしたが、何と退院前日に痛風になってしまいました。
術後はトイレお風呂以外、俯き姿勢での寝たきりでしたから、ストレスと運動不足が主な原因とはおもいますが、蛋白源が不足して筋肉が分解されて起こったのかなあ…と糖質制限をしている今は思ってしまいます。因みに同室の糖尿病で網膜剥離になったおじいちゃんは一晩中お菓子をバリバリ食べてたそうです。
糖質中毒って怖いですね。
今更ながら、色んな事を学んだ入院でした。

Re: タイトルなし

まこ さん

コメント頂き有難うございます。

>入院食がどんぶりご飯と、消しゴムか!というぐらいの小さいおかずというのにびっくり。一カ月間体重は増減なしでしたが、何と退院前日に痛風になってしまいました。

やはり糖質の反応は一様でないようです。

どんぶり飯を食べたのに体重には反映されず痛風になるというパターンもあるのですね。

おそらく糖質過剰摂取で酸化ストレスが高まり、それを何とかしようと抗酸化物質である尿酸が高まった、けれど状況が解除されず尿酸が高い状態が続いたために痛風につながったのではないかと想像します。

体重が正常な人も糖質制限した方がいい一つの理由になりそうですね。

病院の食事

悲惨ですよね。どんぶり飯ってなによ!です。家では今までこんなに食べたことはありません。
おかず絶対一品たりないし。野菜足りないだろ、タンパク質足りないだろ、ですよね。
予算もあるし、なにしろ標準の食事がカロリーベースで炭水化物50-60%だから、反論しにくいけど。
病院食のときに、ご飯残すと、ほんと悲惨で、お魚や肉の缶詰あけて食べてました。
こんなんでほんとに病気よくなるんだろうか。
予算がねえ。高尾病院の食事なんて、高嶺の花です(-_-)

Re: 病院の食事

にこ さん

コメント頂き有難うございます。

病院食、大いに問題ですね。管理する栄養士も「炭水化物50-60%が栄養バランスがよい」と信じて疑うことなく完全に思考停止してしまっています。

しかし食べる側にも問題はあります。 入院患者さんの食べ方を見ていると、主食10割、副食6-7割というようなパターン結構多いです。せめて逆にしてほしいと言うのですが軌道修正は困難です。

ただその習慣にすら糖質の中毒性が関わっているのかと思うと複雑ですが…。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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