サイアミディン

もともとの性格なのか否か

「あの人には何を言っても無駄だから」

糖質制限の指導をしていて、そういう言葉をよく聞きます。

もともとの性格だと言われればそれまでですが、糖質制限の理論を学ぶとそれすらも「本当だろうか」と考えさせられる部分があります。

例えば「糖尿病の人はわがままで人の言う事を聞かない。そういう性格だから糖尿病になったのだ」という医者側の言い分を耳にする事があります。

私も糖質制限を知る前までは、そういうものなのかもしれないと思ってしまっていましたが、

それは「糖質の中毒性」のせいかもしれないと考えるようになりました。
一方アルコール依存症の人で、飲酒が身体に悪影響を及ぼしているにも関わらず飲酒がやめられない状態が起こります。

はたしてこれはもともとの性格なのでしょうか。

アルコール依存症から離脱するための互助組織として断酒会というものがあります。

私は研修医時代にその断酒会に参加させて頂いた事があります。

参加者の皆さんはそれぞれ自分がお酒でどれだけ辛い出来事を経験してきたかという話を語り、その悩みを共有しあう事で必死にアルコールから離脱しようとしていました。

悲痛な思いが当時の私にひしひしと伝わってきました。それがもともとの性格のせいだとは私には到底思えません。

彼らはアルコールの中毒性によって、いわば「脳が支配されている状態」ではないかと思うのです。

もちろん中毒性があるもの自体が絶対悪と言っているのではありません。

多くの人がそうであるように、アルコールもある程度節度を持って付き合えば、大きな問題はないですし、それどころか人生に彩りを与えることもあります。

そういう意味では糖質も同じです。アルコールにしても糖質にしても「中毒性がある」事を知った上で、ある程度の距離感を持って付き合うのは別にあってもいいことだと思います。

問題はほとんどの人が「糖質の中毒性」自体を知らないということ、

そしてそれを知らずに「糖質が好きなのは、自分のもともとの性格だ」と信じて疑わない人がいる、ということです。

アルコールと糖質の最大の違いは、その中毒性が社会的に認知されているか否かです。

例えば「今日からアルコールを控えます」と宣言した際に、周りは好意的な目でみると思いますが、

「今日から糖質を控えます」と宣言した場合は、多くの場合周囲は「大丈夫か?」などと怪訝な顔でみられるのではないでしょうか。場合によってはストイックと捉えられかねません

そして糖質を控えようと思っても、社会に広がる食品は糖質ものばかり、周囲の常識も糖質は脳をはじめ基本的エネルギー源、そして日本の文化的背景も糖質を控えることを邪魔します。

しかしそれでも糖質を控えることが決して不可能なわけではありません。簡単に言えば、主食をやめておかずを増やすだけでもある程度は実践可能です。

そして糖質が好きなのが「もともとの性格」なのか、あるいは「糖質によって脳が支配されているせい」なのか、これは一度糖質を制限してみるより他に判別する術はありません。

しかし実際に診療で糖質制限を指導していて感じるのは、多くの人がなかなか自分の食事を変えようとしないという事です。

仮に「糖質の中毒性」の事を話しても、患者さんが納得されず食生活を変えないのであれば、私はその方へはそれ以上どうすることもできません。

それでも、一人でも多くの人へ「糖質の中毒性」の事を知ってもらえるよう私は語り続けます。

そして、知った上でどう動くか、考えるチャンスを提供したいと思います。


たがしゅう
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性格じゃないさ

おっはようございまっす!(^^)

私も糖質中毒のこと
毎日一人づつ 理解してもらえるよう努力します!!

んま、自分の体験話すだけですけどね(^^)

No title

たがしゅう先生おはようございます。
先生のブログを読ませて頂いて、本当に信じられないくらい自分の考えとダブるので、ついついコメントしたくなります。
 昨日のブログを読んでから、糖質もアルコールもたばこも薬物も依存と考えていました。
 なぜなら、私の身近にアルコールによって体を壊す人、精神に異常をきたす人、家族を崩壊させたひとが多いからです。
 いつも何とかしたいと何年も考えてきましたが、名案は浮かびませんでした。脳が支配されているからなんですね。
 逆の言い方をすれば、糖質制限がうまくいく人はアルコールもうまく制限できるということですね。
 まず身近な夫から試してみます。
 

糖質オフの考えを広げるには・・・

>「今日から糖質を控えます」と宣言した場合は、多くの場合周囲は「大丈夫か?」などと怪訝な顔でみられるのではないでしょうか。場合によってはストイックと捉えられかねません。
そして糖質を控えようと思っても、社会に広がる食品は糖質ものばかり、周囲の常識も糖質は脳をはじめ基本的エネルギー源、そして日本の文化的背景も糖質を控えることを邪魔します。

* * * * * * * *

やはり、戦後、常識とされた食習慣を抜けられないのでしょうね。

 私は、糖尿病を治療するために糖質制限を始めましたが、今では、糖質オフ」が、人々の(メンタル面を含めて)健康を取り戻すためにもっとも効果的な食生活(食事療法)だと確信しています。

 しかしながら、糖尿病の兄嫁は、農家の出身ということと、主治医が炭水化物を取るよう指示しているためか、なかなか食生活が改善できません。

 私が、江部康二先生の著書や大柳珠美先生の「糖質量ハンドブック」を読むように渡し、手紙を書き、年数回会うときに血糖測定器を持って行って食後血糖値を計って説明し、ある程度分かってもらえたかなと思っているのですが・・・

 今年。お正月に会ったときは、赤飯が出ました。
私たち夫婦は、せっかくなので少しだけ食べました。
 兄嫁は、朝から、お正月ということでチョコレート・和菓子など甘いものを食べていたようです。
 兄嫁は、一年前の健康診断で、HbA1c 8.6 で糖尿病であることが判明しました。

 兄夫婦の娘(私の姪で、外資系の薬品会社で、新薬の開発に携わっています)が、「ママ甘いものはダメよ・・」と注意していました。
 
 さて、2時間後、私が血糖測定器を用意して来たので、血糖値のチェックです。
     兄  63歳  120  
     兄嫁      176
     姪  32歳   97
     私        93
     妻         106
 
MRをしていた姪は、「糖質制限食」については納得していないようですが、「糖分と血糖値」の関係は分かっています。
 私は、現代の米が品種改良の結果、糖分がとても多いこと、「茶碗一杯に角砂糖が10数個も入っている」ことを強調しました。

 ● 結局は、それぞれの人生ですから、各人が自分で考えるしかないですね。

  真実は、そこにあって見えているのですが・・・

No title

10年前に他界した母は20年間の人工透析に耐えてきました。血圧が高いといったことで民間療法で血圧のことを心配しながら、いつの間にか透析に。
そんな子供の私、60歳のときに境界型ですと宣言されて何とか薬をのまないでと試行錯誤。血圧も高かったのでとりあえずは降圧剤のお世話に。
江部先生の本屋、偶然にも県内の糖質制限で治療される医院の栄養士さんの指導で糖質制限を始めて3年目。ヘモグロビンA1cは5.5世界基準
だが、たまに計る食後血糖2時間目が140をオーバすることが。なまくら糖質制限の食事の時。
 本題です。
透析で苦労した実母の姿をみた息子は糖質制限。そんな義母の姿を見てきた妻は残念ながら3食ご飯を食べて糖尿病の錠剤2錠服薬。糖の悪さを説明しても絶対に納得しない。晩酌のアルコールとご飯のカロリーはあなたの方が取りすぎです。大学を卒業した子供ですら母親の味方。
夏井医師ではないが半径500メートルの人すら
糖質制限を広めることができないむつかしさ。つくづく感じています。ただし、一緒に働いている女子職員4名全員糖質制限。そしてオメガ3のエゴマの御愛用です。
 糖の中毒から開放されγGTBの値が良過ぎて
アルコール中毒から脱却できません。いつか、臓器が悲鳴を上げるまでおそらく禁酒はできないのでは。
 アルツハイマーの予防ということで、切り口を変えて健康な方にも糖質制限を紹介している今日この頃です。


Re: 性格じゃないさ

すず。さん

 コメント頂き有難うございます.

 私もあせらず地道に糖質オフの良さを伝えていきたいと思います.

Re: No title

スマイル さん

 コメント頂き有難うございます.

 依存症からの離脱は容易でありません.私が見た断酒会の世界も壮絶でした.

 一番大事なのは,自分が依存症だと自覚することだと思います.

Re: 糖質オフの考えを広げるには・・・

わんわん さん

 コメント頂き有難うございます.

 正直わからない人には何を言っても無駄ではないかと感じることがあります.

 ですがあきらめず,ゆっくり地道にできる事を続けていきたいと思います.

Re: No title

高岡の清 さん

 コメント頂き有難うございます.

 「切り口を変えて伝える」というのはよい方法の一つですね.

 ある人には食後の眠気改善法として,ある人には認知症予防として,ある人へは冷え症改善として伝えていく,入口は何であってもよいと思います.

 そして興味を持った人が糖質制限についてさらに深く学び,その本質を知る.そういうやり方もまた一つです.

仕方ないことがどうしてもある

こんにちは。
種を蒔くように人に伝えるのは大事。
そうすればいつか思い出してくれることがあるかも知れない。
先生の思いは悩ましいです。
でもです。偉い人は例外なく「それは徒労ですよ」と言っていますよ。
孔子は「朽木は彫るべからず」と言っています。枯れ木だとわかったら彫刻しようとしても無理。
釈迦は「縁なき衆生は度し難し」と言っています。縁がないとき(人)に何を言っても無駄。
泥沼だとわかったら、わざわざ飛び込むな、ということです。多くの文化人も同じようなことを言っているから、これはたぶん真実。
人間は朽木が立派な木になったり、泥沼が美しい湖になることもあるのが人間ですから。未来に期待と思って、私は糖質制限の話しをしています。

No title

自分が何が言いたいか考えたら、
「先生、燃え尽き症候群にならないでくださいね」 です。

糖質制限について

現在、牛乳・ヨーグルト・チーズ・卵・大豆・鶏肉・魚介類・緑の野菜・海草・キノコ類で自己流の糖質制限を行なっている者です。
(主に炭水化物・イモ類・玉葱・人参を抜いただけです)
(一応これだけでも疲れにくくなったとか、食欲をコントロールできるようになったとか、体調ははっきりと良くなっています)

しかし、どうも自己流は正しくないようなので、これから本格的に(正しい?)糖質制限を始めようと考えているところですが、糖質制限にも色々ありますよね。

例えば「弱い糖質制限」「強い糖質制限」「スーパー糖質制限」「ケトン食」・・・
てんかんの療法食であるケトン食は基準がしっかりあるので分かるのですが、他の弱いだの強いだのスーパーだの、どれがどれやら。

これらについて詳しく知れるオススメのサイト・書籍がありましたらお教え願えないでしょうか。
どうも自分では、どのサイトや書籍が良いのか判断ができません・・・

よろしくお願い致します。

Re: 仕方ないことがどうしてもある

エリス さん

コメント頂き有難うございます。

人生の偉大な先輩の助言ですね。参考になります。

確かに、頑固な人にいくら勧めても無駄な努力と感じる事はあります。

しかし、その中に混じっている「変われる人」へきちんと想いが伝わるように、たとえ大部分が無駄であっても努力を辞さない覚悟でいます。

…燃え尽き症候群にならない程度で(笑)。

メリットを並び立てる

私はポジティブ・キャンペーンを展開しています。
女性の友人には、糖質制限をやると肌がきれいになるとか、カロリー制限に比べてきれいにやせられるとか。健康に不安のありそうな友人には、ガンやアルツハイマー予防になるよと。婦人系の病気にも効果がありそうですし。
教えたからといって実行してくれるわけではないのですが、「糖質制限」という言葉だけでも知っていれば、イザ問題が起きたときにふと思い出して調べてくれるかもしれません。
そして何より、自分が実行して健康になることが一番の説得力かな。
糖質詩制限を開始して3か月半ですが、体重・血糖値・その他の数値が順調に改善中です!

誰も支配されたくない

医師として、糖質制限を推進して行かれる方々は
その立場故の強い思いで日々世間の無理解と向き合っておられるのですよね。

本当に、根気のいるお仕事だと思います。
糖質制限推進派のお医者さんを尊敬します。

私は病気のためでなく、あくまで趣味として
道楽で糖質制限を続けて来た人間ですが、
糖質制限がいのちを救うくらい大きな意味を持つ
病に苦しむ人々こそが
この大きな恩恵を誰より受けて欲しい、と思います。

私が今まで出会ってきた人々のように
こちらが何もアプローチしなくても
「教えて!教えて!」
と強く求められる患者さんが押し寄せる…
そんな時代が来た時のために
医師の方は今からしっかりと準備しておいて頂きたいなと、私は思います。

長年やってる私から見れば、こんないい時代に
「わかってくれない」と落胆している暇も
聞き入れてくれない人に注ぐ感情的なエネルギーも
無駄に浪費しているなんて
もったいないことです(笑)

周囲の人に糖質制限の良さをわからせよう、と
必死になっている方も同じです。

誰しも、ひとつの考え方を受け入れるようにと
高圧的に説得されたくはないですよね。
どんなに糖質制限が良いもので、その人に必要なこととしても。
どんなにその人の幸せを思っての行為であっても。
それは説得される人から見れば支配されることで、
自由意思を奪われる行為ですから。

糖質制限の良さ、正しさを知る人は
この「自由」を侵害してまで伝えたい、と
つい力んでしまうのではないでしょうか?

たがしゅうさんはそこをしっかりと理解しておられ、
糖質制限という選択肢を提示したら
あとは患者さんご本人にお任せになり、
威圧的に説得しようとなさらないところに
私は大きな信頼をおかせて頂いています。

糖質制限に限らなくても。

「北風」に散々吹かれることよりも、
あたたかい「太陽」のここちよさに、
人は自分から求めて集まるものだと思います。

糖質制限の恩恵は、まさにあたたかい太陽ではありませんか?
それをよく知っているのが、経験者の私達ですよね(*^-^*)

これからも、太陽の恵みに浴する人々が
沢山増えていくように祈りたいですね。
応援しております☆

Re: 糖質制限について

たろう さん

御質問頂き有難うございます。

糖質制限についてきちんと学ぶなら、まずは下記江部先生のブログが一番わかりやすいと思います。
http://koujiebe.blog95.fc2.com

「弱い糖質制限」「強い糖質制限」というのは誰の目線で語られるかによって意味が違うので、解釈に注意を要する言葉です。定義がはっきりと決められているわけではないのです。

例えば糖質制限を理解している人にとっての「通常の糖質制限」は、糖質制限反対派(糖尿病専門医など)にとっての「極端な糖質制限」です。

2013年9月29日(日)の本ブログ記事
「意図的にイメージづけされた言葉」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-38.html
も御参照下さい。

Re: メリットを並び立てる

月夜野うさぎ さん

コメント頂き有難うございます。

「ポジティブ・キャンペーン」いいですよね。本来のキャンペーンはそうあるべきです。

私もそのように常日頃心がけているつもりです。しかし残念ながら常識や文化の壁が邪魔をしてなかなかうまく伝わらない事が多いです。めげずに続けていきたいと思います。

Re: 誰も支配されたくない

棗 さん

コメント頂き有難うございます。

糖質制限の理論の正当性と効果を知ってしまった以上、

私の真面目さはこの問題から目を逸らす事を許しません。

世の中に糖質オフを広げたいというよりは、私という人間にはそうすることしかできないだけなのかもしれません。

No title

先生ありがとうございます。
よく読んで勉強したいと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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