サイアミディン

信じるは簡単,信じ抜くは困難

私は自分が医師なので,

糖質制限にまつわる様々な議論点を自分の頭で考えやすい状況にあります.

糖尿病治療も,創傷治療も,がん医療も,救急医療も,

医療者側の視点で見つめることができますし,現状も実際にみています.

おかげで実感を持って糖質制限の有効性を理解することができています.

その為,いくら医学の権威が糖質制限を否定していても,

その正当性について自分の頭で検証することができます.

しかし,非医療者の方が同じ作業をするというのは少しハードルが上がるように思えます.
糖質制限実践者の皆さんは糖質制限によって体調が改善した実体験を持ち,よく考えておられる方が多いですが,

一方で実践者の方々から御質問を頂く事も多いです.

例えば,「糖質制限を実践してコレステロールがまだ若干高いが,このまま続けて本当に大丈夫か?」というような内容です.

ふと世の中を見渡すと,コレステロール肯定論と否定論が混在している状況です.

知識としてコレステロールは重要で,それを強制的に下げる薬が必ずしもよい結果をもたらすとは限らないという事を知っていたとしても,

コレステロールが高いと脳梗塞や心筋梗塞になるとか,そういうデータが実しやかに示されていたりすると不安になるのも無理もないことでしょう.

しかし,例えば私は自身の外来で脳梗塞を起こした多くの方を頸動脈の状態を超音波(エコー)検査で定期的に経過観察していますが,

糖質制限を知るまでは,スピードの個人差こそあれ,動脈硬化が徐々に進行していく事はある程度やむを得ない事でした.

それはコレステロールを下げるスタチンをしっかり使っている人でも同様でした.

もっと言えばそういう薬を飲んでいるにも関わらず脳梗塞を再発する人もたくさんいます.

しかし,糖質制限を続ける事で頸動脈の動脈硬化が少しずつ改善していく実例を少数ですが確認しています.

そしてそういう方がスタチンを使った時のようにコレステロールが下がっているとは限りません.

そのような事実を目の当たりにし,動脈硬化の修復にコレステロールはある程度必要だということ,

そして大事なのはその質だという事,そして質を悪くしているのはコレステロールそのものではなく糖質にあるのだという事を,

実感をもって理解することができています.

しかしそうした背景がなければ,このコレステロールの話一つとっても,一時的に信じることは簡単であっても,

最後まで信じ抜くというのはなかなか難しい事なのかもしれません.


というのは自分に当てはめて考えれば,

私の場合は医療の分野に関しては多少なりとも詳しいと思いますが,

それ以外の分野に知識に関しては疎いわけです.

例えば経済学の知識に乏しい私は,経済の事に関して何か抜本的に従来の常識を覆すような事を仮に言われたとしても,

それが本当の事なのかどうかを自分の頭で判断するのは難しいと思います.

背景となる知識があまりにも少ないからです.

つまり自分の頭で考えるためにも,ある程度の備えが必要だということです.


すべて自分で知識を蓄えていく事ができればすごい事ですが,それはなかなか難しい事です.

だとすれば,時には人の力を借りることがあってもよいと思います.

しかし,この情報化社会において情報の質は玉石混合の状態です.

その時に信頼できる人達とのつながり,ネットワークを構築しておくことが,

今後に非常に活きてくるのではないかと思っています.



たがしゅう
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動脈硬化

 糖質制限で頸動脈の動脈硬化が少しでも改善されるというのは素晴らしいことですね。

 私の母親が脳梗塞になった時には、動脈硬化は不可逆的なもので、元には戻らないと言われました。対症療法として血液をサラサラにする薬をもらい、黒豆スープを飲ませていましたが、その後結局他界しました。あの時に糖質制限の知識があったらと、今でもとても残念に思っています。

 私もLDLコレステロールが基準より少し高めなのですが、採血の人に、弾力性があって素晴らしい血管だといわれたので、別に気にしていません。

 今回も貴重な情報を記事にしてくださってありがとうございます。これからの自信にもなりました。

No title

おはようございます。自分のわずかな経験談。境界型糖尿病と宣告されイロイロ方策を探しているうちに、江部医師のブログにたどり着き、糖質制限を知りました。今でこそ、多くの医師が糖質制限で成功した事例をブログで公開されていますが、始めた当初はみようみまねで大いに不安でした。偶然に、地元で糖質制限食の治療をされている医師にお目にかかり、自信を持って進めることができました。数年たった結果、多少の減量、降圧剤の中止、勿論血糖値の低下、5年前の献血記録では、今でははやらない総コレステロールが180台から230くらいまで上がり、健康診断の判定は悪いほうに評価されているが、全く意に解せず。腰の痛みも、糖質が悪さをしているとのブログも昨日めぐり合えました。糖質制限を続けてきて数々の恩恵にこうむり、まわりの方にすすめていますが、これが難しい。イズレにしても、たがしゅう医師が常々書いておられる認知症、そして癌の恐れも、糖質制限をしていない方々からすれば危険度合いがすくないとの自己暗示と自己満足。未来の話は大好きな観音様もお分かりで無いので止めますが、多くの医師がブメグでそれぞれのご苦労をかいておられます。毎日、片思いのネットワークを大事にして糖質制限のご利益に預かりたいと実践しているしだいです。信じ抜くことは難しかったですが、血糖値を上げるのは炭水化物、肥る原因はインスリンと炭水化物、直接口にした糖ではなく、糖新生の糖を使って生きている、ネットの中で得た知識で人体実験を繰り返しながら、限りある人生を過ごしていければ、こんな素晴らしいことはないと思います。よくぞ、人間に生まれたり。

Re: 動脈硬化

こたろう さん

 コメント頂き有難うございます.お役に立てて何よりです.

 私は糖質制限を知り,不可逆的と思われた現象が可逆的に改善することが実際にあるという事を知りました.頸動脈プラークはそのうちの一つです.

 可逆的に改善させうる方法があるという事を知った以上は,私は医師としてその可能性を追求し続けたいです.

Re: No title

高岡の清 さん

 コメント頂き有難うございます.

 ネットにはいろいろな情報があります.それを信じるのはたやすい事ですが,どの情報がどこまで正しいのかを見分けるのは難しい事です.見分ける力を鍛えるためには日々勉強あるのみですね.

 
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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