サイアミディン

真面目な人と神経伝達物質

パーキンソン病という病気は、

ドーパミンという神経伝達物質を放出する神経が変性という現象を起こし、

結果的にドーパミンがゆっくりと枯渇していく病気です。

その臨床的特徴については過去記事でも少し触れました

実はこのパーキンソン病には「病前性格」がある事が知られています。

すなわち、パーキンソン病になった人の病気になる前の性格には一定の傾向が見られるという事です。

それは「小心」「内向的」「責任感が強い」「完璧主義」「予定尊重的傾向」などが挙げられます。
一言で言えば「真面目な人」という感じでしょうか。

ただし、真面目な人がみんなパーキンソン病なるわけではありません。あくまでそういう傾向があるという話ですので誤解のないように。

さて、真面目な人というのはどういう人でしょうか。

真面目な人は責任感が強いです。

ストレスの多い現代社会において、仕事を押し付けられたりしても、拒否せずやり遂げようとします。

また融通が効かず社交性に乏しい面があり、人とのコミュニケーションがうまく行かず、内気になったり人見知りになりやすかったりします。

また目標を決めたらそれに向かって突き進みますが、うまく目標に到達できない時に悩み苦しみ、非常にストレスを感じます。

私自身が真面目な人間だと自覚しているので、自分の事を思い浮かべながら特徴を書き連ねてみました。


一方で先日、ストレスはドーパミンを放出させるという事を記事で紹介しました。

すなわち,ドーパミンには抗ストレス作用があるという事です.

ストレスを感じた時に,ヒトの脳の中ではそれに対抗するためにドーパミンが出ています.

もしかしたら真面目な人は知らず知らずのうちにドーパミンを酷使しているのかもしれません

そうするとそれが高じればドーパミン神経が早めに疲弊し,やがてパーキンソン病になる,だからこそパーキンソン病の人には真面目な人が多い,という仮説が成り立つのではないでしょうか.


また真面目な性格の事を,医学的に「粘着気質」と表現したりもしますが,

この粘着気質はうつ病になりやすい性格とも言われています.またうつ病の人はセロトニンが低いと言われています.

ストレスがセロトニンへ与える影響はドーパミンに比べて複雑です.

ストレスによって直接セロトニン分泌が促されるわけではありませんが,

セロトニンはストレスによって乱れた神経伝達物質を調節する働きを持っています.

もう少し具体的に言えば,セロトニンは興奮性にも抑制性にも働く柔軟性があり

興奮性神経伝達物質(例:ドーパミン,ノルアドレナリン,グルタミン酸)と抑制性神経伝達物質(例:GABA)で構成される天秤を,

どちらか一方へ傾かないように興奮と抑制の中間になるよう微調整しているのがセロトニンだということです.





しかしながら,糖質はドーパミンもセロトニンも両方を強制的に分泌させる刺激になります.

ただでさえストレスを感じてドーパミンが枯渇気味になり,なおかつそのアンバランスを調整するためにセロトニンをフル活用している状況なのに,

そこに糖質摂取してドーパミンやセロトニンを強制分泌させてムチを打つような事をし続けた結果が,

パーキンソン病であったり,うつ病であったりするのかもしれません.


糖質を摂取すると一時的なストレス回避になっているようですが,

長い目でみるとまさにそれ自体がストレスの原因となっていて,じわじわと神経活動を弱らせていく事になっているのかもしれません.

それはまさにタバコを吸うとストレス解消になるようで,実はタバコのニコチン自体がストレスの原因になってしまっているという,

まさに中毒の構図そのものだと思います.



ストレス社会と言われる現代において

真面目な人間はとても生きにくい世の中だと思います.

そんな中でも信頼できる仲間と出会い,時には休み無理なく一歩ずつ歩いていけるような,

「Take it easy!(気楽に行こう)」という感じの生き方ができれば,

より健康に長生きできるのかもしれません.



たがしゅう
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史上最強のセロトニン

こんにちは。
私はセロトニンが大好きです。イケメンを見てセロトニンを出す研究をしているくらいです。(イケメンが大好きとも言います。笑)
セロトニンってやっぱりすごいですね。心が高揚するのにも、心が落ち着くのにも、どちらへも調整してくれる。オーケストラの指揮者のような、キレ者の課長のような、最強のエスコート役ですね。

Re: 史上最強のセロトニン

エリス さん

 コメント頂き有難うございます.

 セロトニンとっても大事ですが,そんなセロトニンも乱れると衝動性の原因になったりします.

 2014年1月29日(水)の本ブログ記事
 「糖質とセロトニンと衝動性」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-166.html
 も御参照下さい.

 ただ物事には良い面もあれば悪い面もあります.その両面を知っておくことが大事ですね.

イケメンを見過ぎてセロトニン過剰?

こんばんは。
イケメンを見過ぎるとセロトニン過剰になり衝動的になるってことでしょうか?もしかして、熱狂的な追っかけのファンの行動ってそういうことなのですか?

Re: イケメンを見過ぎてセロトニン過剰?

エリス さん

コメント頂き有難うございます。

過ぎたるは及ばざるが如し、という事です。

熱狂的ファンの頭の中で何が起こっているかははっきりとはわかりませんが、確かに興味はありますね。


こういう研究が進んで

こういう研究が進んで、例えばストーカー未然防止とかクレーマーやモンスターペアレント対策とかに効果が発揮できたらいいですね。
ありがとうございました。

管理人のみ閲覧できます

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パーキンソン発病と強迫性障害のお薬について

初めまして。ブログ拝読させていただき、質問失礼致します。
祖母や、その他近い親族何人かが70代以降で、パーキンソン発症、祖母自身も手が震えだした時にうちは代々多い家系なのだから仕方ないと言っていたほどで、自分も今から気をつける事があればしたいと思っております者です。

今は安定しておりますが、一時ある件で、強迫性障害 不安障害のようになり仕事もできず不安で仕方なく、半ば引きこもってた時期があります。(先生が書かれている通り、私自身責任感が強く完璧が好きな性格です。)
不安障害になった際につらくて病院へ行きたかったのですが、お医者にかかりますとセロトニンの薬SSRIを出されると書籍で知り、ドーパミンとセロトニンはパーキンソン発病に関連しているという事から、まだ若いうちからセロトニンの薬を常用することになるとますますパーキンソン発病が早まったり確実になっていくのではないかと思うと行動療法などで、治すほうが私のような家系の者には安全安心なのかな、と素人考えで思ってしまい、SSRIは怖くて飲めないのですが、SSRIのようなセロトニン関係のお薬を飲むことは、将来にわたってパーキンソン病発症リスクと関連はありますでしょうか? もし逆に、ドーパミンを出し続ける方がリスクは高い、
SSRIは積極的に服用する方が良いということでも結構です。もし私自身が次に同じような不安障害状態になった場合の参考にさせて頂きたく不躾で申し訳ないのですがご教示お願い致します。

Re: パーキンソン発病と強迫性障害のお薬について

ゆう さん

 御質問頂き有難うございます。

> SSRIのようなセロトニン関係のお薬を飲むことは、将来にわたってパーキンソン病発症リスクと関連はありますでしょうか?
 
 そういう事を明確に証明した医学論文はないと思います。

 ただ、天然に存在していないSSRIのような薬物を、長期的に飲み続ける事がいかに不自然な行為であるかという事は容易に想像できると思います。一時的使用であればまだしも、長期的にこのような薬物を内服し続ける事はパーキンソン病に限らずろくな事にならないと私は考えます。

 少なくとも、心の栄養源になる脂質、タンパク質はしっかりと確保する事、心を乱す元になる糖質を極力制限しておく事は、確実にできる事としてやっておくべきと思います。SSRIを始め向精神薬の服用はできるだけ避け、それでもどうしても薬に頼りたい場合は漢方薬を使うのも一つの方法と思います。

 そしてもう一つ、人が不安を感じるのはごく自然な事です。
 薬を使って不安をなくすのではなく、その不安をどう受け止めるかという心の在り方を考える事の方がずっと大事な事のように私は思います。それが一番難しい事ではあるのですが。正直言って私も修行中の身です。

こんばんは、お忙しい中早速のご返信ありがとうございました。
やはりセロトニン関連薬も含め、お薬は原則として人工的なものですしなるべくなら頼らない方が宜しいのですね。不安の原因が全くない人生というのはおそらく存在しえないはずですがそれを受け止めることの難しさはまさに修行と感じることも多く鍛錬が足りずに苦労しております。

パーキンソン発症ばかり気にすることもまた良くないと思いますがやはり良い治療法が見つかることを願ってやみません。

昨今は、グルタチオンの点滴が効果がでる人もおられたりマグネシウムのサプリが予防にいいかも知れないなど様々な試みがあるそうですがいずれも治療方法として確立はされてないようでしたので、今後も自分の発症リスクを高める投薬や行動は避けたいと思っております。

先生の挙げておられます「糖質」は、摂りすぎると膵臓や血管への影響があると最近知りましたもので、一層気をつけながら、なるべく炭水化物を控える食事の回数を増やしてみたいと思います。突然のコメントにご教示下さり誠にありがとうございました。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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