サイアミディン

都合の良い解釈

今日は普段の診療場面のヒトコマから.

ある患者さんに肉,卵,チーズを中心に糖質制限を行うよう勧めました.

次に患者さんが来られた時に,チーズはしっかり食べているか尋ねたところ,

食べていますよ.チーズケーキとか,パンにスライスチーズを載せたりしています.

うわぁ~,そう来たかぁ~と思わず思ってしまいました.

一瞬,自分の説明不足でそうなってしまったのかと思いましたが,

私は糖質を制限する方もかなり強調してお話ししています.米,パン,麺類,イモ類,お菓子,ジュースは極力避けるようにと.

しかし結局患者さんが都合のいい解釈をしてしまっているのではないかと思います.
また別の患者さんでは,

その方は非常に太っている方なのでやはり糖質制限を強く勧めるのですが,

どれだけ丁寧に説明しようと,本を貸そうと,噛み砕いて説明したものをメモに書いて渡そうと,

一向に糖質制限を実践しようとされません.せいぜい白米を五穀米に変える程度の行動変容です.

しかし一方で,睡眠時無呼吸症候群があり,さらには最近は太り過ぎて膝の痛みがかなり強くなっているようで,

別の整形外科で痛み止めを頻繁に処方されているようでした.

私はやせる事がいずれにおいても最善の治療であり,そのために医学的に最も有効かつ効率的な方法が糖質制限であるとお話しするのですが,

ここまで困っているにも関わらず,それでも糖質をやめようとはされません.

そしてこの患者さんは一言,こう言うのです.

体質だからしようがないですわ


体質…,確かに体質はあるでしょう.

私自身,きわめて太りやすい体質であるからその事はよくわかります.

しかし体質がどうであっても,やれる事はあります.「体質だから」であきらめるのは,まさに「自分で考えること」を放棄している行為です.

最近は変えられないのが常識だと考えられていた遺伝子を変える事ができる事もわかってきています.

この患者さんは,今すぐ実行できる「糖質を減らす」という行為を実践さえしていないわけですから,

体質を変えられるかどうかのスタート地点にすら立っていません.

逆に言えば,糖質を減らす以外にこの状況を打破できる方法を私は思いつきません.

ここまで言っても患者さんの行動が変えられないのは,やはり糖質の中毒性が絡んでいるからだと思います.

太っている患者さんがいて,それをほぼ確実に改善させる方法がある,

けれどそれを実践してもらえないという状況…

医師として非常にはがゆい思いです.



たがしゅう

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糖質制限、やった人だけ得をする^^

本当ですよね!!
こんなに素晴らしい方法があるというのに。
どうしたら、糖質制限をやる!!
という気になってくれるのでしょうかね・・・。

ですが、たがしゅう先生が一生懸命に
そこまでやっても実践する気のない患者は
そのままでいいんじゃないですか??
たがしゅう先生がストレス溜まってしまいますよ。
もどかしい、はがゆい、、、わかります。
冷たいかもしれないけど、仕方ないですよ!!

私の解釈

先生こんにちは。

たしかに患者も同じ糖制限食の説明を受けても、いろいろな自己解釈されるので対応はばらばらになりますね。
その人間の自分の健康や現在の病気をどの程度深刻に認識しているかでも糖制限食の理解は変わります。

でもお医者様でも一緒ですよ。
先生のようなお立場から釜池さんのようなストイックな立場を取るもの、江部先生のようなお立場、そしてMEC食を推進される沖縄の先生、そして最近コメントで紹介させていただいた血管プラークを糖尿病や高血圧より高いポジションで原因とするお医者様のように、糖制限食にかなり否定的な立場の方までいろいろです。

だからこそ、、最後は自分を信用するしかないのだと思います。

私も再度高血圧状態にならなければ、薬は毒であるという立場からかなりの高血圧になっても薬は飲むな、日本の医療機関は基準値が低すぎる、そういう主張をされるお医者様の気持ちにも同感を覚えていましたけどね、自分が再び高血圧を呈し薬が必要になりそれで現在は安定状況で落ち着いている立場から言えるのはなんでも盲目的に信ずることの危険性です。所詮患者は自分に都合の良い意見しか最後は受け入れないのだとある程度認識しましたし、自分でもそんな思考を取っていたのだと。

私は糖制限食開始以来トータルで30キロ減量に成功して遺伝と思い込んでいた喘息が完全に自覚がなくなり、すでに6ヶ月目に入りました。
花粉症等はあいにくないので今は病気の自覚はほとんどないですが、喘息の苦しさを長年経験してきただけに、あの苦しい思いは再度味わいたくないと思っていますので、、体重管理には厳格です。
でも一日2食で厳格な糖制限食ではまだまだ体重が減少していく可能性が高いのでもうBMI20近い現在、食事は一日3度白米も毎回取る生活に戻しました。
それでもトータルとしての白米は一日1号前後程度に抑えて、後はMEC食つまり肉野菜チーズ生活を続けてます。
結果として睡眠状態は安定していますし、、血圧も110~120,血糖も5.1前後と安定。
一方ではパン、うどん類、ケーキスナック類、当分の入った清涼飲料水などはまず口にしませんし、タバコは経験なく、酒も最近はほとんど飲みません。でも別に食べたいものは食べているし精神的には満足した生活を送れているので、食べることに苦しさを感じているのでない。

ただ血管プラークという新しい分野に注目を始めてからはより油の使い方には厳格になってきましたね。
血流というのはお医者の皆さん、、糖尿病とか高血圧とかうつとか、個々の病気には関心も強く医者としての知識も豊富ですけど、あまり関心を持っているようには思えません。皆さんの本を読むと血流の大事さって片手間で考えている気配がします。
しかし、よくよく考えてみると、一日中体を駆け巡っているのは血そのものなので、それの流れが阻害されればいろいろな病気になる可能性があるのは誰でも直観として理解できます。
ただあまりにもその範囲が体全体に及ぶのでカバーしきれていないのだと考えてます。
 
私のご紹介した久留米のお医者様でも2008.9年頃は血管プラークが高い患者さんに血液サラサラの薬と同時にコレステロールが高いことが血管プラークの原因の一つとしてスタチン系の薬を処方していたようです。それが同時に患者データを取り続けていて、2014年現在ではコレストレールの値と血管プラークには因果関係がないと結論づけて、スタチン類の投与をやめてます。現在は血液サラサラ薬と食事指導中心の医療です。
おなじお医者様でもわずか5.6年の間にこういう変化が起こっているのです。

つまり言いたいことは糖質制限食でも患者の状態によって全然その意味合いが異なってくるということなのです。

先生のように体質的に太りやすい方と私のように順調に逆に怖いぐらいにその減量がすすむものとがおなじ糖制限食で実行してもその結果はかなり異なったものとなる。そういう可能性も含めて人間の体には対処していかなければならないと私は個人的に感じてます。

長文失礼しました。

自分なりの「解釈」という言い訳

たがしゅう先生の危惧に同感です。人間は、言い訳を見つけるのが得意な生き物だとつくづく感じます。

また、糖質制限が広まってはきたものの、食品業界のマーケティングに多くの人が惑わされている気がします。「糖質を制限する」という引き算の論理をほとんど度外視して、むしろ、「糖質制限・糖質オフな食材を(もっと)食べる」足し算の食生活をしておきながら、やれ「糖質制限しても痩せない」、「糖質制限はお金がかかる」、「リバウンドした」とぼやいている自称糖質セイゲニストが結構多いのではないでしょうか。

あと、もともと日本の糖質制限が肥満・糖尿病対策として研究されてきたがゆえに、体重と血糖値に話が集中しがちですが、糖質は脳や肌など多方面に悪影響を及ぼします。たとえ肥満・糖尿でなくても、制限しないにこしたことはないと思います。

私は痩せ型で糖尿ではありませんが、糖質制限を続けています。ものの試しのつもりで気軽に始めたのですが、長年悩まされていた肌のトラブルが、(意図せず)劇的に改善したのを目の当たりにして、糖質の害を身をもって認識しました。

結局、問題点を直視することができない人は、改善もできないです。私は医者ではありませんが、ものを教える立場にあり、たがしゅう先生のもどかしいお気持ちが痛いほど分かります。でも、熱意と根気は必ず報われると思います。がんばって下さい。

Re: 糖質制限、やった人だけ得をする^^

美月 さん

 コメント頂き有難うございます.

> そこまでやっても実践する気のない患者は
> そのままでいいんじゃないですか??


 そうですね.こちらがストレスをためこまないことも大事な事ですものね.

 しかし救える方法があるのに目の前の患者さんを救えないというのはなかなか辛いものがあります.まさにそれが「中毒」の恐ろしい所だと思います.

Re: 私の解釈

アンチスタチン さん

 コメントを頂き有難うございます.

 いろいろなヒトの意見を参考にするにしても,

 結局糖質制限は自己責任で自分の頭で考えて実践するものだと思っています.「先生が言っているから」と受動的な姿勢で取り組む人は,困難にぶつかった時になかなか対応できないのではないかと思います.

Re: 自分なりの「解釈」という言い訳

Jo さん

 コメント頂き有難うございます.

> 人間は、言い訳を見つけるのが得意な生き物だとつくづく感じます。

 本当,そうですね.

 「自分には向いていない」とか「長期の安全性がない」とか,やらない理由はいくらでも挙げられます.

 実際的にはできる行為であるにも関わらず,です.

> また、糖質制限が広まってはきたものの、食品業界のマーケティングに多くの人が惑わされている気がします。

 これもそう思います.

 糖質制限の理屈を突き詰めていけば,

 「糖質制限食材をたらふく食べる」ではなく,『体に必要なものを必要なだけ食べる』という事につながっていくように思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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