サイアミディン

組織の体質

日本糖尿病学会の内部において

糖尿病専門医の先生が全員糖質制限反対派というわけではなく,

少しずつ糖質制限に対する理解が広まる動きがみられているようです.

糖尿病専門医として糖質制限を認めるという事は,

従来のカロリー制限の間違いを認めるという事につながるので,

そういう事ができるのは自己回顧力の高い,素晴らしい先生だと私は思います.

ただ欲を言えば,容認するのと推奨するのでは雲泥の差なので,そういう先生達が推奨派に回ってくれればなおよいと思います.

しかし学会という組織において,そうする事がただならず容易でないというのは想像に難くありません.
組織において下の意見が上の意見を変えるという事が極めて起こりにくいことであるからです.

少し話は変わりますが,先日私の所属する医局で新人歓迎会がありました.

二次会の席で話題は自然と私の糖質制限の話になったのですが,

その場に居合わせた私より上の立場の先生が,私が糖質制限を推奨し続ける事に対して苦言を呈されました.

「糖質制限をすれば何年生きるというのか」
「一生病気で死なないとでも言うのか」
「認知症になる問題を先延ばしにするだけではないのか」
「それは自分のこどもにも勧められるのか」
「それがわからないのならそんな事は勧めるべきではない」

やはり突き詰めれば問題は長期の安全性という所に帰結してしまうのですが,

今回私が書きたかったのはその問題ではなく,

それこそその場に漂っていた空気の方です.

「先生は長期の安全性がわからないからといって,わかるようになるまであと70年待つのですか?」

と私が逆に問いかけた辺りから,相手の先生の語調が強くなり,

後半その先生は感情的かつ高圧的な態度で私に言葉を投げかけられるようになりました.



ある組織で立場が上の人間が立場が下の人間にそのような態度で意見を言うということ,

これは下の人間が言っている事が正しかろうと正しくなかろうと,

もうこれは上の人間の言う事に従わざるを得なくなってしまいます.

おそらく糖尿病学会の内部でも同じような事が起こっているのではないかと私は感じました.

そして意見を押しつぶされた先生は非常に苦々しい思いをしているのではないかと想像します.

だから,組織の中で立ち向かうという事は非常に勇気のある事であると同時に,非常に困難である事を痛感しています.

もっとも私はもともと議論が得意な方ではないので,

もしかしたら,しかるべき知識を以て論理的に相手を諭せば相手もわかってくれる,ということもあるのかもしれませんが,

少なくとも私はその場では,「これは何を言っても無駄だ・・・」と感じ,それ以上意見する事をやめました.



何を言っても変わらない組織の体質というのがあると思います.

その状況を打破するには,やはり目線を変えて,

地道に変えられるところから変えていくしかないのかもしれません.


たがしゅう
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誉め殺す

おはようございます。


そういう先輩は、誉め殺してください。
「先輩のお考えはもっともですね。」
「さすがは××さんですね。おっしゃる通りです。」
「私なんかには考えもつきませんでした。その通りですね。」
「ご指導ありがとうございます。」
「さらに学びたいと思います。」

などのワードを組み合わせて、やり過ごしてください。「あなたのおっしゃることは、あなたのお考えとしてそのようなんですね。」ほどの意味です。
議論を続けちゃいけません。負けるが勝ち。
そうやってやり過ごして、そのあとの仕事では、自分の思うようにやったらいいんです。
そのうちに、「こいつに言ってもダメだ」と思われたら、こっちのもんです。
私はそうやって、逃げてきました。
 
司馬遼太郎先生や米長永世棋聖や、
釈迦や孔子も言ってます。

議論は無駄。人の考えは変わらない。
ほんとに、議論で論破しようなんてエネルギーの無駄です。
「ハイハイ~」と外柔内剛でやってください。

影ながら、応援しています。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 誉め殺して

エリス さん

非常に参考になる考えを教えて頂き有難うございます。

(なぜか別のフォルダにコメントが入っていて,気が付くのが遅れました.すみません)

意見の違いは

認めるとしても、最後に組織内で自分の上位の地位にあるものが興奮して幼稚な感情論になるのはあまりにも大人げないと思いますよ。

そもそも長期安全性何て自分が証明できないものをたがしゅう先生に求めることとからして無理がある。

だって、私の今処方してもらっている降圧剤ARBだって長期安全性何て何の保障もされてないじゃないですか。
それでも内科の医者はバンバン出して飲ませようとするし、その同じ内科医が専門外の眠剤を出し不勉強の極みでスタチンを処方して人を低体温に至らしめた。
私の医者不信はそこにあります。
私が医者を信じて同じ薬を飲み続けた結果、症状がもっと悪化して死に至ったとしても、医師は殺人罪には問われない。
そういう自覚がない医者が世間に出てきては困るのです。

私は今回の病気は医者に直してなどもらったと思ってません。糖質制限を始めて運動療法を加え、医者の処方する薬に疑念を感じ必要な薬は飲んだけど、不必要な薬は自己判断で断薬した結果、、今があります。いわば私の主治医は糖制限食だったんです。
医者がただ出し続けたぜんそく薬では私の病気は完治しなかった。でも糖制限食はその喘息さえ、私の体から完治させてくれた。

そういう事実には目もくれず、批判だけの批判に終始する医者など私には無視するレベルの存在なんですよ。

インターネットが発達し様々な情報が一瞬にして交換されていく時代に患者はどんどん賢くなっていきます。
象牙の塔にとどまっているだけの医者なんていずれ独立しても、、患者に信頼されず捨てられる時代が来るってことに早く気づくことです。

No title

たがしゅうさん

アメリカのスポーツを見てるとお互いへのリスペクトやフェアネスというのを物凄く大事にしてるのを感じます。派手なガッツポーズで相手選手の心を必要以上に傷つけたり、大物選手だからといって若手を小馬鹿にする態度は取りません。それはやはりみんな歯を食いしばって頑張ってきたんだという、仲間としてお互いを大事にし合おうという認識があるのだと思います。本来なら上に立つ人こそ人一倍そうでなければいけないのでしょうが、日本の組織というのは学歴やスキルの高さに重きを置きすぎですね。

Re: 意見の違いは

アンチスタチン さん

 コメント頂き有難うございます.

 結局,長期安全性を気にしていたら何もできないように思います.

 最終的にはしっかり自分の頭で考えて,納得のいく方法を選ぶようにしたいですね.

Re: No title

SLEEP さん

 コメント頂き有難うございます.

> みんな歯を食いしばって頑張ってきたんだという、仲間としてお互いを大事にし合おうという認識があるのだと思います。

 そういう意識は大切ですね.

> 日本の組織というのは学歴やスキルの高さに重きを置きすぎですね。

 本当そうですね.

 糖質制限を学び,学歴は本当に関係ないのだという事がよくわかりました.

まずは懺悔から

 ある議論をしていた時の話です。
「お前は旗本にでもなったつもりか。曲学阿世はするな!」
と叱責されました。

 当時、「曲学阿世」を知らなかった私はポカン~
後で辞書を調べ、今度は唖然~
敬愛していた大学の恩師でありましたが、距離を感じた瞬間でした。

 仏道の修行は最初に「懺悔門」から始めます。
「今までに自分が何をしてきたのか反省をする」
これがないと次のステップへは進めないのですね。
 芋虫が華麗な蝶々になってはばたくためには、さなぎの段階が必要です。
さなぎを割いてみると(残酷ですが~)ドロドロ(-_-;)
つまり一旦ご破算にしないと次の蝶々の形が作れない!

 パラダイムシフトの先頭集団、たがしゅう先生を熱烈応援してます!

Re: まずは懺悔から

ライフワーク光野 さん

 コメント頂き有難うございます.

曲学阿世(きょくがくあせい) 意味
学問の真理にそむいて時代の好みにおもねり、世間に気に入られるような説を唱えること。真理を曲げて、世間や時勢に迎合する言動をすること。▽「曲学」は真理を曲げた正道によらない学問。「阿世」は世におもねる意。「阿」はへつらいおもねる意。


 他者には真理を捻じ曲げた行動に映るのでしょうか.本心はむしろ真逆であり,真実を追求しようとしているのですけれどね.

>  仏道の修行は最初に「懺悔門」から始めます。
> 「今までに自分が何をしてきたのか反省をする」
> これがないと次のステップへは進めないのですね。


 同感ですね.

 人は反省できなくなったら,軌道修正は困難だと思います.

 「もしかしたら自分が間違っているかもしれない」という考えは,今も忘れないように心がけています.その事は間違う事が常である人間にとって,さらなる高みを目指すためにとても大事な事であるように思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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