サイアミディン

そんな事ではうつ病は防げない

今,自殺が深刻な社会問題となっています.

警察庁の調査で2012年時点における自殺者数は約27000人で,

この人数は交通事故死者数の6倍以上となっており,そのうち34%が40~50代の働き盛りの世代だそうです.

また自殺未遂者は少なく見積もっても既遂者の10倍は存在すると言われており,

未遂者も含めれば何百万人にも及ぶ非常に大きな問題だという事です.

その背景となっているのが近年におけるうつ病の増加です.

この程,日本医師会より自殺予防マニュアルというものが送られてきました.
マニュアルの中では,うつ病を早期に発見する事の重要性が説かれ,

そして「うつ病は治る病気」として,速やかに適切な治療へつなげるべきだという事が書かれています.

現在の医療の中で,マニュアルやガイドラインというものは非常に重宝されていて,

それを守っていればまず大きな外れはない,仮に不幸な事が起こったとしてもその内容を順守していれば訴えられない,訴えられたとしても正当性を主張できる,そんな考えを持つ医師も多いと思います.

このマニュアルにおいて,適切な治療につなげるという所までは私も異論はありませんが,

その具体的な治療法について書かれている部分に関しては必ずしも賛同しきれません.

特に「うつ病は治る病気」と書かれている一方で,「病気だから薬が必要」とも書かれているという点が引っかかります.

病気だから薬を使わなければならないという考えは今の医療全体にはびこる一種の体質のようなものです.

食事・運動療法を軽視し,代替医療を異端視し,結局は西洋薬による薬物療法に帰結する今の医療の考え方は,

非常に偏った考え方だと思います.

そしてこのマニュアルには,「うつ病を食事で予防する」という観点は一切書かれていません.

私は自身がうつ病であった経験があります.

そしてその状態に抗うつ薬がほとんど効かないということ,

糖質制限によってうつ病を克服する事ができるということを実際に体験しました.

そして糖質の摂取によって確実に神経伝達物質はかく乱されるのであり,

うつ病と食事には密接な関係があるということもわかりました.



私は糖質制限の視点なくして,うつ病の増加を防ぐことは非常に困難な事だと思っています.

それはあたかも,糖質制限を無視して糖尿病が増加し続ける糖尿病治療の現状の如くです.

そしてうつ病を防ぐ事ができれば,自殺の抑止にも大きく貢献する事ができます.これは非常に価値のある事だと思います.

何があっても自ら命を落とすべきではない」,私は自分の経験からその事を強く感じています.

だからこそ,糖質制限の普及にこれだけ力を注いでいられるのだと思います.

最後に,私の好きな漫画「ONE PIECE」より,

主人公ルフィ率いる麦わら海賊団の航海士ナミの育ての親である元女性海兵ベルメールが,

海賊の陰謀によって無念の死を遂げる間際に,

ナミに対して放った愛情あふれる一言を紹介して本日の記事を終わります.

「何があっても

生まれてきたこの時代を憎まないで……!!

人に褒められなくたって構わない!

いつでも笑ってられる強さを忘れないで…

生き抜けば必ず楽しい事が……たくさん起こるから………!!!」






たがしゅう
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ひとの痛みを知る

たがしゅう先生の、「うつ病を経験したことのある神経内科医」、「肥満体型で現在糖質制限を実践中」というお立場は、実際のところ、医師としてとても有益かつ有力な素養だと思います。(不愉快にお感じになったら申し訳ありません。でも本当にそう思います。)

他人の痛みが本当にわかるのは、痛みを経験した人、つらい思いをした人です。もっとそういう人が (少なくとも、そういう感受性をそなえた人が) 医療にたずさわって欲しいと切に思います。

また、一般に強みと思われることでも、対人関係の中では必ずしもプラスに働かないことも多々あります。話が少しズレますが、私の学生時代(海外です)、いわゆる天才肌の若い講師がいらっしゃいました。この方、頭脳明晰なのはわかるんですが、教えるのは上手くなかったです。プレゼンテーションは決して下手ではありません。むしろ流暢にスラスラと説明されます。が、この方、頭が良すぎて、理解できない学生の気持ちが分からない。

質問した学生に対して、、彼が「こんな簡単な理論の何がわからないのかが分からない」と、本気で当惑気味に言われたとき、「あぁ、苦労をしらないっていうのは、欠点にもなり得るのだな」と感じました。

ときに、聖書の一節を思い出しました。「(主は、)ご自身が試みを受けて苦しまれたので、試みられている者たちを助けることがおできになるのです。」(ヘブル人への手紙2章18節)

たがしゅう先生には、今のお気持ちをもち続けて頂きたいです。経験と年齢だけかさねて無神経になった医者に、悲しい思いをさせられた人って、結構います。

先生、いつもありがとうございます。以前先生の記事のコメントで出会った
http://s.ameblo.jp/momo-kako/theme-10038832873.html
フリーライター かこ さんの記事を読ませていただいて、今回の先生の記事に更に納得です。かこさんの記事の中で糖質の害や、脂質の必要性が取り上げられて、多くの方が救われる助けとなれば…と思いました。

Re: ひとの痛みを知る

Jo さん

 コメント頂き有難うございます。

 「そのままでいいんだよ」と背中を押される思いです。心より感謝申し上げます。

 また、思うところあり、後日記事にさせて頂きたいと思います。

Re: タイトルなし

siin1 さん

 コメント頂き有難うございます。

 かこさんの記事に同意します。向精神薬大量処方の問題は私も現場で強く実感するところです。

 というのも、私が出会った他所の精神科クリニックでうつ病として治療を受けていた患者さんも、飲んでいた向精神薬の量も1つや2つではありませんでした。しかもそれはよく見かける事です。

 2013年12月8日(日)の本ブログ記事
 「なぜそう言い切れる?」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-113.html

 2013年10月15日(火)の本ブログ記事
 「問題を先延ばしにする薬」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-55.html

 も御参照下さい。

 「なぜそのような事が起こるのか?」多くの医師が薬での治し方しか知らないからだと思います。

 薬を減らした方がよい事はわかるけど、減らせば悪くなるから増やさざるを得ないという考えで結果的に薬を増やし続けている医師が大多数ではないかと思われます。

 この問題は何も精神医療に限った話ではありませんが、精神医療に携わる医師にとっても、糖質制限は必須の知識だと私は考えています。引き続き地道に普及活動を続けていきたいと思います。

うつ病と診断されてから12年…

たがしゅう先生 いつもありがとうございます。

僕は18歳のときに、うつ病と診断され、その時に処方された抗うつ薬で、とんでもないハイテンションになり、衝動的な行動を繰り返し、その後、躁うつ病と診断されました。

その間、5件ほどの心療内科、精神科をたらい回しにされ、最終的には、こちらの話をよく聞いてくれて、薬を減らしてくれる方向性の治療をしてくださる先生に出会い、幸い症状は収まっていきました。

ですが、この先生を含めて、食事の指導を受けたことは、1度もありませんでした。

初めて抗うつ薬を飲んだのが18歳のときで、それから数年飲まない時期もありましたが、途中また体調を崩したりして、そのときにまた服薬し、最終的にはトータルで10年間ほど飲んでいた計算になります。

昨年、ある先生のご紹介で糖質制限食を知り、目からウロコで、すぐに実践しました。

それから1年以上が経ちました。

主食をご飯→肉に変えただけで、体重や体脂肪率が劇的に変わり、肌荒れや乾燥肌も改善し、花粉症まで治ってしまいました。

メンタルの上下幅は相変わらずありますが、それでもかなり小さくなってきたと感じます。

薬も今は全く飲んでいないので、このまま一生飲むつもりはありません。

もちろん食事以外にもやるべきことがたくさんありますが、僕の精神状態をより良くしていく為には、糖質制限はもはや必須なことですし、今の僕の食事は肉を主食にすることが当たり前です。

たがしゅう先生みたいに、患者さんのことを本当に想って治療してくださるドクターが増えることを、心から願います。

Re: うつ病と診断されてから12年…

ミロ さん

 貴重な体験を教えて頂き有難うございます。

 ミロさん、糖質制限食が間に合ってよかったです。さぞお辛かったことでしょう。

 もしも最初に処方された抗うつ薬がSSRIやSNRIなどのセロトニンを高める薬であったら、衝動的になったのは薬の副作用であった可能性が否定できません。躁うつ病として扱われて10年も薬を飲み続ける事になってしまったことが残念でなりません。

 2014年1月29日(水)の本ブログ記事
 「糖質とセロトニンと衝動性」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-166.html
 も御参照下さい。

 ともあれ、健康を取り戻されて何よりです。これからも無理のない糖質制限をお続け頂ければと思います。

お客さまで

おはようございます。

最近の出来事ですが、80歳のお客さまの様子が明らかにおかしかったのです。とても何かにあせっているのか、お話が止まらなくて、不安でいっぱいな様子でした。

私は糖質制限をすすめたくて、江部康二先生の文庫本(それは、うつに糖質制限がよいとは書かれてなかったですが、気分が安定したりとさまざまな効果があるという1行を頼りに)をお貸し、少しお話をしました。

結果、食事の工夫をされて、1週間後、私のことをたいへん感謝してもらえました。(著効です)

うつっぽい人がいたら、心療内科に行く前に、食べ物に気をつけて!と言ってあげたいです。伝わらないのがもどかしいです。

Re: お客さまで

エリス さん

コメント頂き有難うございます。

不安が糖質制限で改善したという素晴らしい結果もさることながら、

80歳でも人の意見を聞いて実際に食事を変えてみるという柔軟性と行動力に脱帽です。やはり高齢というだけで糖質制限を伝える事をあきらめるべきではないですね。

「人生はいつだってやり直せる」のだと思います。

No title

たがしゅうさん

富山大学の村上先生も日本の心理学の遅れが先進国でやたら多いうつ病患者の自殺者を生んでいると指摘してますね。時代遅れの精神分析や心理テストに固執してる間に欧米学会は三十年先に行ってしまったと。

糖質過多もそうですが、アミノ酸や脂肪酸そのものが不足してる日本人は多そうです。趣味のMTBで走った後、ゆで卵を5個食べると驚かれるのですが、カップラーメンを食べてる人たちに健康を心配されるのはちょっと笑えます。

Re: No title

SLEEP さん

コメント頂き有難うございます。

「食事が精神疾患を治す」

この事は実体験がないと理解するのは困難な事かもしれません。そして多くの医師はその実体験がないままに、己のプライドも手伝って偉そうにわかったような顔をしています。はたしてそんな人間が本当に病気を治せるでしょうか。

病気になるのも自分の責任、治すのも基本的には自分自身であるべきです。また医者とはその程度の存在だという事を患者側は早く気付くべきです。医師に治してもらおうなどとは決して思わずに、大いに利用してくれればよいと思います。

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Re: 後日談です。

エリス さん

 嬉しい事がありよかったですね.

 引き続き私達のできる事を着実に続けていきましょう.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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