サイアミディン

学歴なんて関係ない

昨日に引き続き,糖質制限批判本への反論を続けます.

ゆほびか 2014年 07月号 [雑誌]
大学教授が10kg減!ご飯・パン・パスタもOK!
糖質を食べてもこうすればやせる
20年の追跡調査で判明!「糖質を食べたほうが長生き」


総じてこの本の中での糖質制限批判は,決めつけ,根拠のない言い切り,非論理的な言い分が多いですね.順に見ていきましょう.

まず,ハーバード大学元准教授,麻布医院院長,高橋弘先生のコメントです.

(以下,引用)

今,糖質を制限する食事がブームになっていますが,当院にも実践する患者さんが時々来院されます.

先日は,糖質制限食を始めて,肝臓病を悪化させた患者さんがいました.

そのかたは,何年か前に非アルコール性脂肪肝炎(ナッシュ)で当院を受診し,かなりよくなったのですが,糖質制限食をしてから,ナッシュが再燃してしまったのです.

糖質を制限すれば,かわりに肉や脂肪が増えます.肉が増えれば,肉に多い鉄分も増えます.鉄分は肝臓病を悪化させることがあります.

私は糖質制限食を否定するものではありませんが,糖質も体に必要な栄養素です

糖質は,3大栄養素の中で最も効率的にエネルギーをつくり,体が最初に利用するエネルギー源で,

脳にとっては唯一のエネルギー源になります

ですから,ある程度の糖質は必要なのです.

(引用,ここまで)



まず,糖質制限食でNASH(Non-alcoholic steatohepatitis;非アルコール性脂肪性肝炎)が悪くなったとの弁ですが,

糖質制限実践者からみるとにわかに信じがたい話です.

糖質制限をする事で脂肪のバランスは適正化します.従ってほとんどの場合脂肪肝は解消するのです.

そしてNASHの原因は脂肪肝なわけです.

なぜ糖質制限をする事で,NASHが悪化するのかその理屈が全く理解できません.

ところが,仮に「糖質制限をすると脂肪が多くなって脂肪肝になる」という事しか医師の頭にない場合を考えると,

『糖質制限⇒脂肪↑⇒脂肪肝⇒NASH増悪』

という短絡的な考えとなりそうな事が容易に想像がつきます.

つまりこの見解は,糖質制限をする事で脂肪肝がよくなるという事実を知らない医師が考えた机上の空論,つまり勝手な決めつけだと思います.

一歩譲って,本当に糖質制限をしてNASHが悪化したというのであれば,

一体どのくらいの糖質制限を行ったのか,またそれをどうやって確認したのかをきちんと言うべきでしょう.

そうでなくして,「糖質制限でNASHが悪化した」と結論づけるのは,科学者としてどうでしょうか?



また,鉄分の過剰が肝臓病を悪化させるという主張ですが,

おそらくこれは肝臓や脾臓に鉄が滞留する「ヘモジデローシス」という鉄過剰症の事を指していると思われます.

ヘモジデローシスは通常,先天的な遺伝子異常,あるいは鉄剤の過剰投与,血液疾患で輸血を繰り返した場合など特殊な状況において発症しうる疾患です.

食物に含まれる鉄分で鉄過剰になる事などまず考えられません.鉄過剰になる前に満腹感の方が先にくるはずです.

実際,肉の食べ過ぎでヘモジデローシスになったという話は聞いた事がありません.

これもまた実際を無視して,頭の中で知識をつなぎ合わせただけの勝手な決めつけだと私は思います.



そしてこの先生の一番の問題点は,

糖質を重要な栄養素と位置付けながら,糖質制限を理解しようとしている事です.

非必須栄養素だから,制限しようとしているわけであって.

糖質はある程度必要だという考えで糖質制限を理解できるわけがありません

そしてお決まりの,「糖質は脳の唯一のエネルギー源」という誤った認識です・

脳はブドウ糖もケトン体も両方利用する事ができるという事実を御存知ないというのですから,

この先生のコメントの信頼性は完全に失墜します.


ハーバード大学の准教授を務めた先生がこのような見解しか出せないというのだから,

もしかしたら学歴など全く関係ないのかもしれません.

むしろ,その権威が自由な発想を邪魔しているようにさえ思えます.

「先生と呼ばれる職業にはろくな人間がいない」という話を時に聞くことがありますが,

私は自分が医師だから医師の事はよくわかりますが,自分も含め当たらずとも遠からずだと思います.

政治家や弁護士,教師など他業種ではどうでしょうか.

権威やプライドは人を自己保身に傾け,

そしてダメにしてしまう側面があるのかもしれません.

東大や京大を目指して一心不乱に勉強にいそしむ高校生は多いと思いますが,

「本当にそれでいいのか?」と問いかけてあげたい気分になりますね.


たがしゅう
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批判は気にしない

いつもありがとうございます。いつも思うのですが医師が栄養士がどれほどの愛情、思いを持って診ているのか。実際は全くナシです。自分の体、家族の健康・・誰よりも真剣に愛情を持って考え行動しているのは自分だけ。だから良いことは誰が何と言おうと気にしない。批判している医師が自分や家族の健康の責任を一生とってくれるわけではないので。世の中色んなしがらみだらけ。たがしゅう先生の言うとおり自身で考え、TVが言ってるから、有名な先生だからと安易に鵜呑みにしないほうが良いです。TV,雑誌、新聞・・お金儲けからんでますから。私利私欲ってけっこう客観視すれば見えてきます。
やったもん勝ちの糖質制限です。

Re: 批判は気にしない

あーちゃん さん

 コメント頂き有難うございます.

> 誰よりも真剣に愛情を持って考え行動しているのは自分だけ。だから良いことは誰が何と言おうと気にしない。批判している医師が自分や家族の健康の責任を一生とってくれるわけではないので。

 本当その通りですね.

 権威によるネガティブキャンペーン,巨大産業からの圧力,いろいろな邪魔が入りますが,何があろうと自分の身体であれば自分次第で守る事ができます.だからこそ「自分で考える力」を養う事が重要だと私は考えています.

ハーバード大学の研究者

 ハーバード大学准教授(助教?)の小島宏司氏にも論文に疑惑がかけられています

http://stapcells.blogspot.jp/2014/02/blog-post_26.html

実感しています。

たがしゅう先生のブログを毎日拝読しています。。
昨年の11月から糖質制限の食事にしました。
食物で体が変わることを実感しました。
体重は6キロ減。毎年冬は踵の皮をお風呂あがりに削らなければならない程でしたが一度も必要なく、長年この時期は脚がだるくて仕方がなかったのですが今年は大丈夫です。
糖質制限を始めて人生で一番お肉を食べています。
江部先生、たがしゅう先生のブログは私にとってなくてはならないものです。
ご多忙のこととお察しいたしますがこんな読者をいますので今後ともよろしくお願いいたします。

         64歳 女性

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No title

医療業界で働いているのでドクターのプライベートな面をみることがあります。現役のドクターは勤務医にしろ開業医にしろ忙しいので食事はおにぎりだけ、食事の時間は5分というのが当たり前だったりします(いつもではないですが)。そして中年の医師には糖尿病が多いです。
バリバリ働いているドクターほどおにぎりなどの糖質中心の食事になり、運動不足もあいまって(診察中は椅子に座ってくるくる回っているだけですから)、糖尿病になってしまう人が多いようです。
自身の食事内容、生活パターン、代謝、現在の疾患を論理的に考えれば糖質制限の意義を理解してもらえるかと思うのですが。
医師で糖尿病の人は多いと思います。贅沢だからではなく忙しくておにぎり(あるいは糖質中心の食生活)を食べる時間をひねり出すのがやっとだからなのかなと思います。

Re: ハーバード大学の研究者

精神科医師A 先生

 いつも情報を頂き有難うございます.

>  ハーバード大学准教授(助教?)の小島宏司氏にも論文に疑惑がかけられています

 うーむ,疑惑の段階とはいえ,ますますハーバードの権威が失墜してしまいますね.

Re: 実感しています。

やまがわ さん

 コメント頂き有難うございます.

 体調の改善,よかったですね.

 私の拙ブログでもお役に立てているようで何よりです.今後とも宜しくお願い申し上げます.

Re: No title

やっくん さん

 コメント頂き有難うございます.

> 贅沢だからではなく忙しくておにぎり(あるいは糖質中心の食生活)を食べる時間をひねり出すのがやっとだからなのかなと思います。

 確かに,私も昔は車での移動中におにぎりで昼食,などよくやっていました.今考えると恐ろしい限りです.

Re: No title

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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