サイアミディン

低糖質が選べる時代を目指して

糖質制限の考え方が、

少しずつ世に広まってきているとはいえ、

現代はまだまだ糖質過多社会です。

江部先生の名言「見渡せば糖質」はまさに言い得て妙です。

その糖質過多分化の影響は、こんな所にも及びます。

医療現場で使われる経管栄養剤です。

経管栄養剤というのは、何らかの理由で口から食べられなくなった患者さんに、

栄養を入れるために鼻から入れたチューブや胃瘻から入れる食事代わりの栄養剤の事ですが、

現在販売されている経管栄養剤のほとんど全てが、

高糖質で構成されていると言っても過言ではありません。
もしも、低糖質の経管栄養剤が販売されるようになったら、私はまず使うと思いますが、

糖質制限推進派の医師はまだまだ少数派だから、

開発する企業としても商売にならないため、なかなか乗り出さないのでしょう。

そのように高糖質の栄養剤が主流の中でも、

比較的糖質量の少ない「中糖質」と言える経管栄養剤であれば、現在でも使用出来ます。

私がよく使うのは、明治の「インスロー」です。

インスロー1本200mlあたりの栄養成分は次のようになっています。

エネルギー 200kcal
たんぱく質 10.0g
脂質 6.6g
糖質 24.8g
食物繊維 3.0g
灰分 1.40g
水分 168.4g

200kcalのうち、24.8×4=99.2kcalは糖質なので、約50%が糖質という事になります。これでもかなり糖質比が高いですね。

では、なぜこれを好んで使うかと言いますと、

今ある経管栄養剤の中でこれが最も糖質の少ない部類のものであるということと、

もう一つは使用に際して面倒な手続きは一切不要であるからです。

厳密に言えば、もう一つアボット社の「プルモケア」という製品の方が糖質量が少ない(糖質28.4%)のですが、

これは呼吸不全用の経管栄養剤でして、呼吸不全のない人に使おうとすると色々手続き上面倒な事があるというのと、

糖質制限に理解のないスタッフを説得するのも難しいので、なかなか使いにくいというのが実情です。

一方、インスローの方は、そんな手続き不要でかつ糖質量が一番マシな栄養剤だということです。

逆に言えば他の経管栄養剤はどれだけ高糖質なんだ、ということになってしまいますが、

とにかく、そういう意味で重宝しているというわけでして、言わば私の中での妥協点です。


さて、そんなインスローに対しての医療従事者の一般的な認識は、

おそらく「血糖値の吸収を遅らせる糖尿病用の経管栄養剤」だと思います。

私は糖尿病であろうとなかろうと、糖質は控えめにしておくべきというスタンスなので、

いろいろな人にインスローを出しているのですが、

スタッフによく言われます、「なぜ、この人は糖尿病じゃないのにインスローを使っているのですか?」と。

理由をわかってもらうためには糖質制限の理論を知ってもらうことが必要です。

しかし、忙しい日常診療の中で、短いやり取りでその事を理解してもらうのは至難の技ですし、

ましてや相手が糖質制限に懐疑的な見解を持っているスタッフならなおさらです。

だから私は「糖尿病予防のために」とか「他の血管リスクも多いから」とか「高齢者の身体に配慮して」とかいう、当たらずとも遠からず的なコメントでとりあえず周囲を説得するようにしています。

でも本当はスタッフもきちんと意義を理解して疑問を内に残すことなく私のオーダーを理解してくれた方が良いというのは言うまでもありません。

低糖質の栄養剤だけでなく、点滴、漢方薬、

勿論、低糖質の入院食があって、それが当たり前に選べる病院、

そして糖質制限の理論をきちんと理解しているスタッフがいる病院、

そうした新しい世界を作るために、

地道な活動がいつか花開く事を願うばかりです。


たがしゅう
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参考資料

ご存知かもしれませんが関連するような論文がありました。


救命救急センターでの早期経腸栄養患者に対する血糖管理における低糖質高脂肪栄養剤の有用性.
日本救急医学会雑誌. 2011; 12: 871-7

No title

こんにちは
最近見た健康番組2本とも
(糖質の取りすぎに注意しましょう)と放送していたのを観て風向きが変わって来ているのを実感しました。

Re: 参考資料

> 救命救急センターでの早期経腸栄養患者に対する血糖管理における低糖質高脂肪栄養剤の有用性.
> 日本救急医学会雑誌. 2011; 12: 871-7


情報を頂き有難うございます。

Re: No title

アローン さん

コメント頂き有難うございます。

> 最近見た健康番組2本とも
> (糖質の取りすぎに注意しましょう)と放送していたのを観て風向きが変わって来ているのを実感しました。


良い傾向ですね。

少しずつでも世の中が変わっていく事を期待したいと思います。

管理人のみ閲覧できます

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これですね

日本救急医学会雑誌2011年12月号

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaam/22/12/22_12_871/_pdf

選択肢があれば

先日、近所の大学病院にいく機会があったのですが、院内の食堂に「今話題の低糖質メニュー!」と銘打ちいくつかメニューが用意してあるようでした。
内容はご飯を抜いたハンバーグ定食という感じで、普段はかなり厳しめの糖質制限をしている身からすれば、さほど特筆する事もないですが、
ご飯をわざわざ残して無駄にすることもなく、楽に糖質オフを実践できるのはいいなと思います。少しずつ糖質制限の広まりを感じます。

江部先生はじめ、食べ物を残すということで糖質制限を実行する人もいますが、
どうにも勿体無いと思う気持ちも強いですし。。

Re: これですね

精神科医師 先生

 いつも有難うございます.早速拝読させて頂きます.

Re: 選択肢があれば

mina さん

 コメント頂き有難うございます.

 大学病院に低糖質メニューですか.なかなか先進的ですね.

 確かに出された料理を残さなくていいというのは,精神衛生上もすごくいいことですよね.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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