サイアミディン

解剖から学ぶ

現代医学にはまだまだわからない事が多いです。

日々診療をしていて、原因もわからず症状が進んでいってしまったり、不幸にも亡くなってしまわれる方も少なからずおられます。

だから医師は常に学び続けなければなりません。学ばなくなった医師は、もはや医師ではないと思います。

そのわからないことを解明しようとする医学における最終手段が「病理解剖」になります。

先日、巨大脳出血で亡くなられた80代の男性で、解剖が行われた方の臨床病理検討会(CPC)が行なわれました。

実際に診療にあたった臨床医と、解剖を行った病理医とで、亡くなられた方の病気の原因や病態について詳細に話し合うのです。

この度亡くなられた方は、死因となった脳出血以外の場所もほとんど脳の組織が血流不足に陥っていて、全身の血管もボロボロになっていました。

なおかつ晩年は重度の認知症(長谷川式5点)で、食欲だけは残っていてなんでも好きなものを食べているという状況でしたこちらの記事もご参照ください)。

しかしそんな動脈硬化が進んだ状態にも関わらず、高血圧や糖尿病などの動脈硬化を進めやすくする「危険因子」があまり目立たないというのがこの方の最大の疑問点でした。

この方にはもしかしたらそういう状態を起こしうる何か別の病気が隠れている(例:アミロイドアンギオパシーなど)のではないかと考え、病理解剖を依頼したのです。

しかしながら、結果としてこの方にはそうした特殊な病気は隠れておらず、一般的な高血圧性の動脈硬化、コレステロール性の変化を認めるのみでした。

ただ私は、この結果から一つの可能性を学びます。

高血圧や糖尿病は一般的にグルコーススパイクによって生じやすい疾患の形(表現型)ではあるけれども、必ずしも全員がそういう形を示さない。

体質によっては高血圧、糖尿病を示さない代わりに、動脈硬化が内部で進行していってしまう表現型もあるのではないか、と。

もしこの可能性が正しいと仮定すれば、この方の動脈硬化の進行を防ぐには降圧剤でも血糖降下剤でも不十分です。

止めるべきはこの現象の上流にあるグルコーススパイク、もっと言えば「酸化ストレスの増加」です。

その酸化ストレスを減らすために私達ができる最も確実かつ着実な事は、

糖質の頻回過剰摂取を避けること、だと思います。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生、こんにちは。
電車で通勤していると太った人をかなり多くみます。これは食べ過ぎとかではなく糖質の摂りすぎではないかと思っています。私の場合は運良く糖尿病が発覚して糖質のことを改めて考える機会を得ることができましたが、糖尿病が発覚する前は糖質とか炭水化物とかのことは全く考えたことはありませんでした。糖質を制限したら総コレステロールと中性脂肪の値が改善して正常値になったので、もしかして糖尿病でない人も一般的に糖質は摂りすぎたら身体に悪いのではないかと(何の医学的なバックグラウンドもないにもかかわらず)思うようになりました。

実際にフィールドに携わっている方のお話はためになりますね。

Re: No title

クロワッサンさん

コメント有難うございます。

> 電車で通勤していると太った人をかなり多くみます。これは食べ過ぎとかではなく糖質の摂りすぎではないかと思っています。

おっしゃる通りとおもいます。

現代社会は普通に過ごしているだけで、糖質の摂りすぎになる構造だと思います。

いつもブログ楽しみに読んでます。
江部先生のところでたがしゅう先生を知りました。
いつも興味深いお話ありがとうごさぃます。江部先生のブログでもコメントしたことはない隠れ読者⁈です。が、
初めてコメントします。

高校生の娘の友達などを見ていても感じます。若い子、どっぷり糖質漬けです。学校の自販機にはジュース、売店には菓子パン、食堂では王道の麺、カレー、部活帰りの補食におにぎりと。あっぱれです。
そんな中でも、当然肥満気味の子もいればびっくりするぐらいスリムな子もいます。

でもスリムな子はニキビやアトピーがあったり、若いのに頭痛腰痛持ちだったり、コミュニケーションをとるのが上手ではなくしょっちゅうまわりとトラブルをおこしていたり…

糖質=肥満と考えがちですが、個人個人で処理する能力やその影響も違うんですね。とにかく糖質摂取をなるべく抑える!今回のを読んでますます納得しました。

実際に患者さんを診ておられるお医者さまの目で語られる、糖質制限をベースにしたお話は大変興味深いです。毎日の更新はお疲れの時には大変でしょう。どうか無理せず、為になるブログを永く続けてくださいませ。応援してます‼



Re: タイトルなし

べりーさん

コメントを頂き有難うございます。嬉しいです。

まさにおっしゃる通りです。学生食堂や附属の売店は安く食事が買えるのがウリで、安いものにはたいてい炭水化物がからんでいますので、気をつけていないと高校生も例外なく高糖質にさらされます。

> 糖質=肥満と考えがちですが、個人個人で処理する能力やその影響も違うんですね。とにかく糖質摂取をなるべく抑える!今回のを読んでますます納得しました。


糖質制限がメタボや糖尿病だけでなく、アトピー、頭痛、精神疾患など様々な病態に幅広く効果があるという紛れもない事実が、肥満者だけでなく、糖質の摂りすぎが全ての人に共通して関わる根幹の問題だということを教えてくれます。おっしゃる通り、やせていれば大丈夫という問題ではないのです。

> 実際に患者さんを診ておられるお医者さまの目で語られる、糖質制限をベースにしたお話は大変興味深いです。毎日の更新はお疲れの時には大変でしょう。どうか無理せず、為になるブログを永く続けてくださいませ。応援してます‼

応援有難うございます。
皆様にコメントを頂くおかげでブログ、楽しんで続けられています。
きつい時は休むかもしれませんが、続けているうちは大丈夫ですので御安心下さい。

これからも宜しくお願いします。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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