サイアミディン

自分の頭で納得をする

にこさん から糖質の依存性に関して御質問を頂きました.

たがしゅう先生 
いつもブログを楽しみにしています。

以前依存症に関する本をいくつか読んだことがあるのですが、たしかに、依存症の治療にはその対象になるものをきっぱりやめるべきと書いてありました。
ただ、糖質に関していえば、完全除去は理論的に不可能ですよね。
その点、薬物やタバコ、アルコールなどとは違うと思うし、そもそもこれらのものも突然やめると、離脱症状がでることがあります。
体には恒常性というものがあるので、急な変化に対応しにくい、というか。
自分が起立性調節障害なので、特にそう感じているのかもしれませんが。
どうしても、病状がゆるさないというときを除いて緩やかな制限という選択もあるのかな、とも考えていますがいかがでしょうか?

というのは、同僚たちに糖質制限をすすめても、女性のせいもあってか、まず拒否されます。まあ、私の説得の仕方が悪いんだとは思うのですが、
食べないとフラフラするとか、仕事するのにご飯食べないと無理とか、たしかに自分自身、糖質制限をはじめたら、、最初体が適応するまで、なにかかしら、不定愁訴があって少しハードル高かったです。

緩やかにはじめて、少しずつ強化というのは、やはり難しいですか?


にこさん,御質問を頂き有難うございます.

まず糖質依存の状態というのを言い換えれば,「高糖質食を繰り返すことで血糖値の乱高下を生じ,次から次へと(1日3回以上)糖質を摂取しなければ満足が得られなくさせられている状態」です(言わば日本人のいわゆる普通の食生活にあたりますね).

また人類の歴史を振り返れば,1日3食安定して食事ができるというのは,長い歴史の中できわめて奇異な状況です.人類700万年の歴史の中の,農耕が始まった1万年の中の,さらに短い数百年あまりのわずかな時間です(1日3食が定着したのは日本では江戸時代以降だと言われています).

1日3食の状態は人体の恒常性(ホメオスターシス)を大きく乱されている状態ではないかと思うのです.

従って糖質制限を行うことは,恒常性から逸脱させる作業ではなく,恒常性を取り戻す作業であるとお考え頂きたいのです.

しかし糖質依存の強さは個々人の体質や,それまでどの程度高糖質にさらされてきたかということにもよります.

きっぱりとやめることの方が依存症からの解放が楽ということがわかっていても,依存性が強い場合は離脱症状が強く出てくる(脱力感,倦怠感,糖質渇望感,不定愁訴など)ために,実践が難しいという場合もあるでしょう.

そういう場合は,緩やかな糖質制限から進めていってもよいと私は思います.

ただし,そのように徐々に依存物質から逃れていく手段を取る場合に,是非とも頭に置いておいてほしいことがあります.

それは「糖質は必須の栄養ではない」という事を心底納得しておく,という事です.

というのも,「糖質は減らした方がよい」という程度の理解で緩やかな糖質制限を始めたとして,頭のどこかで「脳の唯一のエネルギー源はブドウ糖」だの,「日本人の主食は米」だの,「大多数の人が普通にごはんやパン食べている」などという従来の常識が頭に残っていると,

一時的には実践できていても,長く続ければ続けるほどいつかしんどいと思う時がやってくると思います.

しかも,緩やかな糖質制限だと程度によってはやはり食後に強い糖質渇望感などの離脱症状がおそってくる可能性があるので,そういう意味でも長く続けていくのは至難の業です.

でも「糖質を控えた状態こそが真に健康な状態である」ということが心から納得できていれば,ゆっくりでも着実に目標(離脱症状が出ない状態)に近づいていけるのではないかと思うのです.

私は,いきなり糖質制限をするのが納得してもらえなさそうな方に対して,先日も記事にしたように「ごはんを今の量の半分にして,減らした分のおかずを増やすように食生活を変えていって下さい」という「半糖質制限食」指導を実際にはよくやっています.

その一時的かもしれない貴重な「半糖質制限食」実践中に,少ないながらも臨床効果(減量,血糖値安定化など)が得られてきた段階で,「ほらやっぱり糖質を控えた方が体にやさしいでしょ,糖質は体にとってありすぎるとよくないんですよ」という事を心底納得してもらえるように一生懸命説得していけば,最終的にスーパー糖質制限食レベルにまで持って行けるのではないかというのが,私の戦略なんです.

そしてもう一つ付け加えるとすれば,糖質摂取に代わる適切な代替手段を持つということも大事です.

糖質でなくても世の中にはおいしいものがたくさんある,ということをいかに魅力的に伝えるかが大事です.肉しかし,卵しかり,魚しかり,甘いものならカロリーゼロのゼリーやジュース,場合によっては糖質制限ドットコムさんのようなインターネットでの糖質制限食品を紹介することもあります.

そのように,糖質依存の症状が出ないようにするまでの道のりは,いろいろなやり方があってよいと思いますが,

従来の常識にとらわれず,医者に言われたからやるというのではなく,「真に健康な状態とは何か」ということを自分の頭で理解して頂くことが成功の秘訣だと思います.


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

「良質の脂肪を積極的に摂取する」
という考えに対する抵抗も大きいですね。

糖質制限実践者のなかでも分かれます。

Re: タイトルなし

まるむしさん

コメント有難うございます。

のべつまくなしに悪いもの扱いされてきた脂肪ですが、

正しい脂質の摂り方については新しい常識を元に再検証が必要だと思います。

少なくとも「動物性脂肪=悪」「植物性脂肪=善」という構図はすでに崩れつつあると思います。

No title

たがしゅう先生
コメントを取り上げていただきありがとうございました。
緩やかな糖質制限は、確固とした強い動機と、はっきりした報酬がないと難しいということですね。
なんとなく良さそうでは、多くのダイエット同様、いずれ辞めてしまう可能性が高いとなると、私の同僚のように、大して困っているわけでもないと、勧めること自体無駄なのでしょうね。
私自身は、6kgの減量と気分の落ち込みが少なくなったという大きな報酬をもらえたので、やめるにやめられなくなったというか(笑)
挙句に江部先生をはじめ、指導者はたくさん、理論はばっちりで、しかも夏井先生のホームページが、セルフヘルプグループのミーティングっぽくなっていて、サポートはいっぱい。お顔は知らないけど同志がいっぱい。敢えてやめる理由もない感じです。
調子も落ち着いたし。
代替品にはとてもお世話になっています。どうしても甘いものの呪縛がぬけません。もらったものはありがたくいただく。お土産のほとんどはお菓子で糖質は外せません(^_^;)
糖尿病じゃあないから、こんなんで、OKしてもらう。(誰に?)糖尿病になった友だちたちは興味を示しています。そっちは切実なので、当然続くでしょう。
湿潤療法の方がらくでした。やっぱりゆっくり時間をかけないとだめですね。。

Re: No title

にこさん

健康な人にはなかなか理解してもらいにくいですよね。

ただ一見健康に見えていても、糖質制限をすれば食後に眠たくなくなるとか、やせるとか、肌ツヤがよくなるとか、やってみて初めてわかるメリットに気がつく可能性があるのですが、

なかなか第一歩を踏み出す動機付けが難しいのでしょうね。

湿潤療法との決定的な違いは、治療前に目に見えたデメリットがあるかどうか、だと思います。

すなわち

 傷ができる→本人にとって明らかなデメリット→湿潤療法を試してみようと思う
 食後に眠たい→本人はそういうもんだとやり過ごす→糖質制限の恩恵を受けられない

という構図です.

No title

アレルギー性鼻炎を改善したくて、糖質制限という健康法にたどり着き、目からうろこです。


糖質制限すると糖質の禁断症状が出ます。制限する前よりも、むしろ多くの糖質を摂ってしまうのですが、禁断症状に抗うコツというのはありませんでしょうか。
これでは普通に3食食べていたときの方が、糖質の摂取量が少ないです。

数日耐えれば不快症状がなくなるというのはわかっているのですが、意識とは無関係に、気がつくとチョコレートなどで糖質を補ってしまっています。 肝臓の糖新生機能が落ちてしまっているのでしょうか。

糖質を辞めたほうがいいとはわかっていても、では実際にどう絶つか?を触れていない、あるいは避けている本やブログが多いように感じます。

気合だとか、根性論だけでどうにかなるのでしょうか。

Re: No title

Nigred さん

 御質問頂き有難うございます.

> 糖質制限すると糖質の禁断症状が出ます。制限する前よりも、むしろ多くの糖質を摂ってしまうのですが、禁断症状に抗うコツというのはありませんでしょうか。
> 数日耐えれば不快症状がなくなるというのはわかっているのですが、意識とは無関係に、気がつくとチョコレートなどで糖質を補ってしまっています。


 かなり強い依存のようですね.

 依存から離脱するために,絶対こうしなければならないというルールはないと思います.

 まずは依存から離脱して自由になったイメージを持つ事が大事です.

 2014年6月3日(火)の本ブログ記事
 「長期的な目標を達成するために」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-292.html
 も御参照下さい.

 その上でチョコレートなどの身近な糖質を買わない,どうしても買いたい衝動に駆られた時は人工甘味料を用いた代替食品を利用する,糖質の摂取量を少しずつ減らしていく,などいろいろと試して自分のあった方法を探されるのがよいのではないかと思います.

No title

たがしゅう先生

成程、そうですよね。

少しずつ糖質の摂取量を減らしていき、その一方で、代わりとなる栄養素(野菜、動物性たんぱく質)の量を増やしていき、徐々に身体を慣らしていこうと思います。

所謂、「好転反応」による反動が懸念されるので、やはり、突然に食生活をガラッと変えてしまうのは避けてみます。

腸内細菌ひとつ採ってみても、炭水化物を餌としてきた細菌にとつぜん動物性タンパクや生野菜を与えられるようになっても、効率よく代謝できず、最初のうち暫くは便秘になったり栄養不足になったりしますよね。

なるべく身体への負担を抑えつつ、糖質を遠ざけていきたいと思っております。

イメージと言われましても、私には些か抽象的で、難しいかなと思うのですが、やはり精神力なども必要になってくるのかもしれません。

ご返信誠にありがとうございます。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

たがしゅう先生

はじめまして
いつもブログで勉強させていただいています。ありがとうございます。

糖質の離脱症状について先生に伺いたいことがあり、コメント欄ですが質問させていただきました。

私は半年ほど前に、スーパー糖質制限を開始し、開始後約3週間位、イライラや怒りを感じやすいということを経験しました。個人的にはこれが糖質の離脱症状かなと思っています。
この期間を過ぎると落ち着き、症状はなくなりました。

しかし、先日、スーパー糖質制限中にもかかわらず、糖質の多い食事を摂らざる得ないことがありました。

食事後は、動悸や眠気、気分の悪さなどが起こり、この時、一旦多糖質の食事をすると、再び離脱症状が起こるのだろうか?という疑問が頭に浮かびました。

離脱症状終了後、糖質を摂るとどのようになるのでしょうか?

長くなり申し訳ございません。






Re: タイトルなし

ハコ さん

御質問頂き有難うございます。

> 離脱症状終了後、糖質を摂るとどのようになるのでしょうか?

個人差があると思います。
つまり調子が悪くなる人とそうでない人がいると思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR