サイアミディン

「糖質制限+蛋白制限」を学ぶ

この夏は断食以外に,クリニック見学にも行きました.

一つの目的は,糖質制限を診療に取り入れておられるクリニックの実態を知る事です.

先日,愛知県清須市のきよすクリニックへお邪魔させて頂きました.

院長の伊藤先生は湿潤療法にも精通されており,夏井先生のサイトにもよく登場されています.

非常に物腰の柔らかい優しい雰囲気のある先生です.

この度の私の見学の申し出に対しても,快く応じて下さいました.

伊藤先生の考えは柔軟で,従来の常識にとらわれることなく,良いものを積極的に取り入れようとされている姿勢があります.
糖質制限や湿潤療法は勿論の事,掌蹠嚢胞症に対するビオチン療法や,水イボ(伝染性軟属腫)に対するダクトテープ療法を実践されていたり,統合失調症に対するナイアシン療法も積極的に勉強されています.

そして一番私の目を引いたのは,腎不全に対する蛋白制限の方法です.

腎機能が悪い人に対して,蛋白を制限するという事自体は腎臓の専門家を含め医療者の共通認識ですが,

糖質制限の観点でみると,高度に腎機能が低下していない限りは蛋白は制限しなくても問題はなく

腎機能障害への蛋白制限の適応はかなり限られてきているという印象を私は持っています.

ただそれでも,高度腎機能障害の方にとっては蛋白質が腎臓に負担を与えてしまうため,

透析への移行を防ぐためにやっぱり蛋白質を制限しなければなりません.

しかし,その蛋白制限の仕方に一般的な腎臓の専門家と,伊藤先生らとの間に違いがあります.

伊藤先生が取り入れる蛋白制限食は,以下の本を執筆された出浦先生の提唱される方法です.



日本腎臓学会のガイドラインでは、標準体重当たり0.6~0.7g/日の蛋白制限が推奨されているのですが,

出浦先生は理想的には標準体重あたり0.5g/日以下にされるという事を推奨されています.

一見,たいして違いはないように思えるかもしれませんが,

出浦先生の経験上,0.6~0.7g/日の減らし方だと,やらないよりはましだけれども非常に効果が乏しく割に合わないというのだそうです.

このように蛋白制限を厳密に行う事によって,透析への導入時期をかなり遅らせることができるそうで,

その差が一般的な腎臓病の専門家の方式と出浦先生方式とではかなり違いがあるのだそうです.

蛋白質を減らし過ぎる事の弊害として,我々は筋肉が崩壊して栄養失調になる事を懸念しますが,

これは蛋白質がエネルギーとして使わなくても済むように糖質,脂質が十分に存在している状況下では,十分に蛋白を制限していても問題ないということなのです.

0.6g/日と0.5g/日の違いを徹底的に患者さんを観察する事で見出した出浦先生の観察力は素晴らしいと思います.

そして伊藤先生はそのやり方に加え,糖質制限を理解されているので,

高度腎機能障害に対して糖質制限+十分な蛋白質制限というスタンスで指導をされています.

そうなると高度腎機能障害の人の透析を遅らせるための最適の手段になる可能性があって,非常に興味深い話です.



大半の人は糖質制限だけでうまくいくのだけれども,

それだけでうまくいかない人には糖質制限+蛋白質制でうまくいくという例があります.その一例がケトン食です.

一方で,必須蛋白質というものもありますし,糖質制限の実践者も蛋白質は十分に摂るべきものだという認識の人が多いと思いますが,

蛋白質を再利用するオートファジーという機構がある事もわかってきています.

今後その辺りも見直していく必要がありそうですね.

腎臓病に対する蛋白制限食,今後引き続き勉強していきたいと思います.


他にも,きよすクリニックでの糖質制限指導の実際を見せて頂きましたが,

その感想はまた後日記事にさせて頂きたいと思います.


たがしゅう
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食事療法の奥は深い

食事療法として、まず糖質制限をやってみる。

それでもダメなら、その上にタンパク質制限をプラスする。

それでもダメなら、さらにカロリー制限をプラスする。

食事療法の奥は深そうですね。


「タンパク質は、0.5g/kg・日でだいじょうぶ」は、私にとってうれしいデータでした。

ありがとうございました。

Re: 食事療法の奥は深い

saiko さん

 コメント頂き有難うございます.

> 食事療法として、まず糖質制限をやってみる。
> それでもダメなら、その上にタンパク質制限をプラスする。
> それでもダメなら、さらにカロリー制限をプラスする。


 まさに,そういう流れだと私も考えています.

 もっと言えば,私はカロリー理論はでたらめだと考えていますので,

 カロリー制限というよりは摂取量制限の方がニュアンスが近く,

 摂取量制限を極めたものが断食(絶食療法)という事になってくるのではないかと思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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