サイアミディン

ストレスは痛みの元

医師の仕事は、コメディカルと呼ばれる他業種との連携により成り立っています。

医師がリーダーシップを取ってみんなを指示して動かしているように思われるかもしれませんが、

仮にコメディカルが動かなければ、医師の仕事は成立しません。お互いが持ちつ持たれつの関係なのです。

そのコメディカルの中でも医師と最も密な連携を必要とするのは「看護師」です。

日頃より看護師さんには大変お世話になっており感謝しておりますし、

患者さんにとっても大きな癒しの存在となっている事でしょう。

しかし、傍から看護師さんの仕事ぶりをみていると、その仕事内容というのは結構大変なものがありそうです。

今日はそんな看護師さんについて考えてみたいと思います。
まずはこちらのニュースをご覧下さい。

 【ひどい腰痛、看護師と郵便配達員で顕著】

提供元:ケアネット 公開日:2014/09/12

看護師において腰痛症が多いことは知られているが、その他の部位の筋骨格系障害(MSD)について追跡研究はほとんど行われていない。

ニュージーランド・オタゴ大学の Helen Harcombe氏らは、看護師と郵便配達員および事務職員についてMSD(腰、首、肩、肘、手首/手、膝)の累積発生率、持続率、再発率を調べ、仕事や身体機能へのMSDの影響を調査した。

結果、看護師において腰痛症の影響はかなり大きい点などが明らかになったこと、1次、2次予防にはその他の部位も含めたMSDを考慮していくことが重要であることを報告した。Occupational Medicine誌オンライン版8月22日号の掲載。

調査は、ベースライン時と1年後に郵送調査にて行われた。

集められた情報は、直前の1ヵ月と12ヵ月時点のMSD、および仕事場への出勤状況、仕事の遂行能力、および身体的機能の能力などであった。

主な内容は以下のとおり。

・看護師において、腰部は、仕事の障害および身体機能を障害する痛みの累積発生率、持続/再発率が最も高い部位であった。
・仕事を障害する腰痛症は、事務職員と比べて看護師および郵便配達員でより優勢を占めていた(p<0.001)。
・看護師は、仕事に障害を来している肩の痛み(10%)、膝の障害(19%)、手首/手の痛み(16%)の有病率が高かった。
・いずれの職業でも、肘を除く解剖学的各部位で、MSDの持続/再発 率が高かった。



看護師の腰痛について調べられた調査結果です。

看護師の仕事というのはざっとみても、医師の診療補助、薬の配薬、食事介助、患者移動、排泄ケアなどいろいろありますが、

見ている分には結構肉体労働的な要素もあります。

例えば、具合の悪い患者さんは自分で動けなかったりしますので、

看護師何名かでベッド移動をするシーンなどはよくみかける光景です。

まず勤務形態も特徴的です。

病院によって多少の違いはあるものの、基本的には交代制勤務の形態をとっています。

朝から夕方まで働く日勤帯、夕方から深夜まで働く準夜帯、深夜から翌朝まで働く深夜帯があって、

それぞれの業務が日毎にランダムに組み込まれ、看護師さんはその勤務帯に応じて仕事に入るわけです。

そうすると、ある時は日勤で夕方に帰ったけど、ある時は深夜入りして翌朝まで働かないといけないという、非常に不規則な勤務を余儀なくされるわけです。

これは考えただけでも非常にストレスがかかる環境です。

このストレスフルな状況、看護師さんの腰痛の多さに決して無関係ではないように思います。

腰痛といえば、肉体労働で物理的に腰を痛めたような状況を想像しがちですが、

近年は腰痛とストレスの関係についても解明されてきています。

物理的には何も問題なくても、ストレスによって腰痛が起こるということがある、ということです。

ストレスがかかるとドーパミンという神経伝達物質が放出されますが、

以前記事にも書いたようにドーパミンは「下行性抑制系」というシステムを介して鎮痛作用をもたらします。

ストレスが許容範囲であるうちはよいのですが、

何度も何度もストレスを繰り返しているような状況にあれば、

ドーパミン神経が過剰に刺激され続ける事でドーパミンが枯渇し、そのうち疲弊し十分な鎮痛作用が発揮されなくなる可能性があります。

このように、肉体労働の荷重に加えて、ストレスフルな環境にある事が看護師の腰痛を多くしているのかもしれません。

ところで、ニュースには郵便配達員も腰痛が多い、ともあります。

郵便配達員の仕事の実際についてはあまり詳しくは知らないのでコメントし難いですが、

もしかしたら看護師と同様、郵便配達員にもストレスフルな状況があるのかもしれません。


看護師のストレスといえば、もう一つ思うところがあるのですが、

長くなりそうなので、こちらの話は次回に回したいと思います。


たがしゅう
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現地からの感想

現地に住んでいます。
日本と現地の両方で看護師経験のある知人に寄りますと、現地の方が比べ物にならないくらい楽だそうです。現地でも酷い腰痛があるとしたら、日本ではもっと過酷なことでしょう。ただ現地では結構太った看護師さんが多いのでそのせいもあるのかも、、、、。
 郵便配達の人は普通は自転車か徒歩です。日本のようなバイクはありません。過酷な労働のようには見えないのですけれど、荷物の重さに寄るものかも知れませんね。

看護師は・・・

看護師は看護の知識はもちろん必要ですが、医学や介護の知識も持ち合わせていて、それを状況に合わせて患者に提供しています。
病棟に関して言えば、医師が患者を話しをする・診察する・処置をする時間の数倍以上の時間を、看護師は患者に援助を提供し看ています。
たがしゅう先生のようにコメディカルへの感謝を忘れない・医療はチームワークで成り立っていることを忘れない医師が増えることを望みます。

腰痛について、『腰痛は脳の勘違いだった―痛みのループからの脱出』
http://www.amazon.co.jp/dp/4938939479/ref=wl_it_dp_o_pC_S_ttl?_encoding=UTF8&colid=LRH3FMJ8BZHN&coliid=I39GROT0JYGUSP

Re: 現地からの感想

ルバーブ さん

貴重なコメントを頂き有難うございます。

ニュージーランドではストレスが高じた痛みというより、単純に重負荷で腰を痛めているという要素の方が大きいのかもしれませんね。

ただ郵便配達員さんのストレスとは如何なものか、機会があれば経験者の方に聞いてみたいものですね。

Re: 看護師は・・・

もうあかん さん

コメント頂き有難うございます。

医師は傲慢になっては終わりだと思っています。

当然ながら医療は決して一人で行えるものではないからです。

勘違いしがちな医師業ですが、初心を忘れずにこれからも歩み続けたいと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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